伊藤孝恵の発言 (本会議)
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○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
私は、会派を代表し、令和七年度補正予算案について質問します。
トランプ大統領を誕生させたのは、ラストベルトと呼ばれる工業地帯に暮らすフォーゴトンピープル、忘れ去られた人々だったと言われています。政治に忘れ去られた人々の声には、政治を大きく動かす力があった。
冒頭、二つの報道について確認をさせていただきます。
今月四日、政府・与党が高校生の扶養控除三十八万円の縮小を検討している旨が報じられました。十五歳以下の年少扶養控除がない中で、同じ子供に対する制度上のバランスが悪いことや、児童手当、高校無償化との重複、所得の高い人ほど減税額が大きくなることが理由だといいます。
制度上のバランスを重視するのであれば、最大五十八万円の扶養控除がある同居高齢者との整合についてはどうお考えになるのか、総理に伺います。
重ねて、扶養控除は、憲法二十五条が保障する最低生活費部分には課税しないという趣旨に基づいて認められる基礎的な人的控除であり、納税者本人の所得に応じて逓減、消失させる項目ではありません。児童手当や高校無償化を理由に廃止される根拠もありません。総理の認識をお聞かせください。
また、高額所得者ほど税額削減効果が高いという点については、所得控除方式の人的控除を行った後の課税所得に対して適用される税率構造を調整すべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
子育て世代は、せっかく給料が増えても、所得税率がそれ以上の比率で上がって実質所得が目減りするブラケットクリープや各種手当の所得制限に引っかかり、取るもの取られてもらうものもらえない中間層クライシス状態に陥っています。言うに事欠き扶養控除まで奪うとは、許すまじ。
総理は六日夜、自身のSNSに、縮減を指示していない、与党税調で決定した事実もないと投稿されました。では、どうか税調に、見送りではなく撤回を指示してください。
扶養控除は維持拡大の上、年少扶養控除を復活する、それが時代の要請です。総理の見解を伺います。
今月一日、基幹統計である学校基本調査の大学進学率が、特別支援学校に通う子供たちを除いた十八歳人口を用いて算出されていたことが分かりました。この差別的な除外に至った経緯と、長年放置されてきた理由、高市政権の対応についても、総理、お答えください。
障害のある子供たちが十八歳以降も学べる場所は少なく、児童福祉法を根拠とした放課後等デイサービスにも通えなくなることから、ケアに当たる保護者が就労を継続できなくなる、これがいわゆる十八歳の壁です。
二〇一二年の児福法改正で放デイができて十三年。六歳で通い始めた子供たちは今年十九歳になりました。時間の猶予がありません。十八歳の壁に対する総理の見解をお聞かせください。
子供の障害は、受け止めるものでも乗り越えるものでもありません。ただそこにあるもので、ただただいとしい我が子です。親亡き後の子供たちに先立つものを残したいと思うから、親たちは今日も一生懸命働いています。
国民民主党は、十八歳の壁対策法案を近く衆院に提出します。それに先立ち、八月一日には、障害児福祉に係る所得制限撤廃法案を参院に再提出しました。総理に法案の評価を伺います。
二〇二五年の国の税収は、六年連続で過去最高かつ六年連続で上振れ、ついに八十兆円を超えました。当初見込みより税収で二・九兆円、税外収入で一兆円上振れたほか、予算の使い残しが一・一兆円、これだけで五兆円の財源が生まれています。年収の壁を百七十八万円まで引き上げることも、年少扶養控除を復活することも、赤字国債を発行することなく実現できます。
税収増の主な要因は、物価高による消費税収、賃上げに伴う所得税収の伸びによるもので、コロナ以前から二十兆円の増加、つまりインフレ影響で国が潤っています。インフレの勝ち組を国にしてはいけません。インフレで増えた分は、インフレに苦しむ家計に戻すのが道理です。にもかかわらず、減税は、国民民主党が提案したガソリン暫定税率廃止一・五兆円と年収の壁の見直し一・二兆円、総額二・七兆円にとどまります。それぞれ五十一年ぶり、三十一年ぶりとなる大英断ではありましたが、税金を取って配るとどうしても無駄なコストが生じます。
総理、お米券に変えるより、取らずに残すが合理的だと思われませんか。見解を伺います。
それにしても、お米券には驚きました。現在、重点支援交付金二兆円が計上されているだけで、自治体への交付額は補正が成立するまで示されません。金額規模が分からないので、自治体は、補正予算を組むことも、十二月議会に追加提案することもできません。間に合わなかった場合、次の定例議会は二月か三月。そこで対策メニューを決め、商品券などを準備し、対象店舗への説明や住民への周知、コールセンターの設置など、事務コスト、事務負担が発生するのは年度末の超繁忙期です。
地域のニーズに即した物価高対策を実施するため地方自治体に任せたいという総理の理念を具現化するには相応の時間が必要で、今回はそれがかないません。七月の参院選から臨時国会開会までの三か月に及ぶ政治空白が原因です。
そもそも、自民党総裁選のすったもんだから、公明党の連立離脱、維新の閣外協力と、物価高にあえぐ国民生活には何ら関係のない政局の帳尻合わせを自治体に強いるのは理不尽です。後手に回った物価高対策の巻き返しを図る総理の発奮に、お地元奈良市長からは、国がすべきことで、地方に押し付けるのは無責任だとの声が届いています。
昨年は岸田政権肝煎りの減税と給付が入り交じる複雑な定額減税で大混乱、今年は重点支援交付金で右往左往。全国の政令市長でつくる政令都市市長会はついに、給付金事業は国の責任で一元的に実施することを求める緊急要請書を提出しました。
総理は総務大臣経験者です。自治事務の在り方についてどのような認識でおられるのか、あわせて、重点支援交付金も補助金同様、会計検査院などによる事後検証を可能としておく必要があると思いますが、総理の見解を伺います。
本補正では、四十一基金に二・五兆円が計上されました。昨年の補正ではなかった新設基金も七つあります。単年度主義の原則には工夫が必要ですが、基金は一度予算が付くと国会によるチェックがなく、執行管理の甘さがかねてより指摘されています。また、金利ある世界に移行しつつある今、これほど残高が積み上がっていることは財政資金の効率的活用という観点で問題はないのか、総理の見解を伺います。
一般会計予備費七千九十八億円についても伺います。当初予算の予備費七千四百億円のうち、まだ二千九百億円が残っています。年度末まで四か月を切っている中、追加計上を行う妥当性及び予備費で実施した施策の効果検証の方法についても、総理、お答えください。
先月発足した日本版DOGE、租税特別措置・補助金見直し担当室の総点検対象には、この基金や予備費、会計検査院による指摘事項は入っていますか。総理、お答えください。
日本版DOGEでは、是非ガソリン補助金の事後検証もお願いします。二〇二二年に始まった事業は、これまでに八兆一千七百十九億円の予算を計上しました。この間、資源エネルギー庁が六十二億円の補助金を交付して行った価格モニタリング調査の結果が放置されていたことや補助金が消費者に還元されていなかった点など、会計検査院から複数の指摘を受けています。
この際、当初からガソリン暫定税率を廃止した場合と補助金事業との政策効果の違いを研究し、国会に報告することを総理に求めます。
公開と説明は、多党時代、少数与党国会における建設的な議論の要諦です。総理の積極財政や本補正に対し、財政健全性に関する懸念の声があることは否めません。緊要性や年度内消化に疑義があることも事実です。
マーケットと丁寧な会話を続けてください。プライマリーバランスにこだわる必要はありませんが、累積債務残高の対GDP比を減らしていくことは重要です。
そして、名目GDPを確実に増やしていくための成長戦略が欠かせないからこそ、その阻害要因となっている人手不足の解消が急がれます。働き控えを生んでいる年収の壁の引上げの決着、これこそが日本経済復活の分水嶺です。最後は政治決断。高市総理、いつ関所を越えられそうか、お答えください。
政治不信は社会の不安定に直結します。自分は忘れ去られている、剥奪されている、そんな政治への怒りや諦め、格差は社会の分断要素となり、SNSの中に広がる他責や他撃は現実世界に染み出していきます。
我が国のフォーゴトンピープルは誰なのか。総理には、その問いを決して怠らないでいただきたいと思います。そして、ちゃんと寝て、ちゃんと休んでください。我が国初の女性総理が起こす地殻変動を一つ一つ指折り数えていることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕