國重徹の発言 (憲法審査会)
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○國重委員 中道改革連合の國重徹です。
緊急時における国会機能の維持は、統治機構の根幹に関わる重要なテーマである一方、要件や制度設計に関して詰めるべき論点も少なくありません。私自身、前々回の憲法審査会において、この点を今後議論を深めるべきテーマの一つとして挙げました。また、前回の審査会においても、これを含む緊急事態条項について多くの意見が表明されました。
こうした点を踏まえ、まずは緊急事態条項について集中的に議論を深めていくことには賛同いたします。緊急時においても国会機能を維持することは極めて重要です。それは、単に立法機能を維持するためだけではありません。緊急時には政府に権限が集中しがちであるからこそ、その行使が適切な限度にとどまるよう、国民の代表機関である国会が行政監視機能を果たすことが必要であるからです。
そして、緊急時でさえそのような国会機能の維持が求められる以上、国民生活に広く関わる通常時において国会が本来有する立法機能や行政監視機能を十分に発揮することは、なおさら重要です。だからこそ、国会機能の維持という共通の問題意識の下、臨時会の召集期限や解散権行使の在り方、その制限についても併せて議論する必要があるのではないかと考えます。
私たち中道改革連合は、憲法施行時には十分に想定されていなかった課題が明らかとなり、その対応のために憲法改正が必要と認められるときには、改正の内容を真摯に検討していく立場です。これは、一九四七年の施行以来約八十年に及ぶ日本国憲法の運用の経験を踏まえ、維持すべきものは維持し、改めるべきものは改めるという姿勢にほかなりません。
その観点からすれば、臨時会の召集や解散権の行使といった日本国憲法に直接規定されている事項については、これまでの運用に照らして大きな課題があるのではないでしょうか。こうした課題の存在は、二〇二三年に日本維新の会や国民民主党などが臨時会の召集期限を明確化するため憲法五十三条に二十日以内と明記する改憲案を取りまとめたこと、また、自民党も二〇一二年草案で同様の改憲案を示したことなどからも明らかです。
その上で、後ほど我が党の委員が述べる緊急政令や緊急財政処分については党内でおおむね意見の一致が見られる一方、緊急時における国会機能の維持については議論を重ねているところです。
まず、対象とする事態について、自民、維新、国民の三会派は、大規模自然災害、テロ・内乱、感染症蔓延、国家有事・安全保障の四つの事態と、その他これらに匹敵する事態を挙げています。この点について、参政党から、感染症蔓延を対象とすることへの反対意見が示されています。また、チームみらいからは、事態ごとに、選挙の実施や国会機能の維持に生じる課題を具体的に整理すべきだとの意見がありました。
もっとも、これらの事態は、その他これに匹敵する事態という包括条項が設けられていることからも明らかなように、通常時の統治機構では対処できない事態の例示です。とすると、重要なのは、その例示された事態そのものではなく、選挙困難事態、つまり選挙の適正な実施ができなくなる事態の具体的要件、いわゆる広範性要件と長期性要件をどう定めるかという点です。したがって、この二つの要件をどのような内容にするかが合意形成のポイントになると考えます。
その際、選挙権の保障の重要性を踏まえつつ、必要な国会機能の維持とどうバランスを取るのかという視点で丁寧に議論を深めていくことが必要です。
まず、広範性要件については、これまで、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域といった抽象的な基準が示されてきました。しかし、その具体化は十分でなく、共通認識も形成されていません。選挙権という極めて重要な憲法上の権利の保障に関わるものである以上、どの程度の地域的広がりがあれば選挙の適正な実施が困難であると言えるのか、更なる議論が必要です。
また、長期性要件についても、参議院の緊急集会での対応がどうしても難しいほどの長期であるとか、七十日間であるとか、様々な見解が示されてきましたが、具体的な基準は定まっておりません。そして、この論点は、参議院の緊急集会の射程、つまり、その活動期間や権限、対象案件をどう考えるかと密接に関わります。
この点、昨年六月十二日の当審査会における自民会派の意見として、当時の船田筆頭幹事は、長期性の要件については、従前は七十日間としていたが、参議院での議論も踏まえ、緊急集会の活動期間を厳格に限定するものではないことを明確にするため、相当程度長期間と改めた、七十日程度が目安と考えているが、必ずしもそれに縛られるものではない、また、参議院の緊急集会の機能拡充等については、参議院との調整も必要になることは言うまでもないなどと述べられています。したがって、前回申し上げたとおり、この問題については、参議院との関係も十分に意識しながら議論を進めていくことが重要と考えます。
さらに、これらの要件について、実際の被害や被害想定を踏まえて具体的に検討することも重要です。
加えて、広範性要件、長期性要件のいずれについても、緊急事態発生の時点における予見可能性が論点になります。すなわち、その時点で、事態がどの範囲にまで及ぶのか、いつ選挙を実施できるのかについてどの程度の確実性を持って見通すことができるのかという問題です。
例えば、そのような事態は絶対に起こしてはなりませんが、仮に万一、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した場合、その影響が及ぶ範囲や収束時期を事態発生時に見通すことができるのか。明確に予測できない場合には、ややもすれば、念のために議員任期を延長しておくという判断に傾くおそれがあります。だからこそ、制度設計に当たっては、要件の抽象性ゆえに運用が広がり過ぎることのないよう慎重な検討が必要です。
以上申し上げた点は、決して議論を遅らせるためのものではありません。むしろ、この問題を真摯に検討するのであれば、こうした課題を具体的に整理し、代表的な論点として共有しておく必要があるとの趣旨で申し上げたものであります。
参議院も含めた幅広い合意形成に向けて着実に検討を重ねていくべきであること、また我が党としてもそのための議論に真摯に取り組んでいく決意を申し述べ、私の発言といたします。