國重徹の発言 (憲法審査会)

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○國重委員 中道改革連合の國重徹です。
 緊急事態条項のイメージ案とその説明によって、本審査会におけるこれまでの議論が相当程度可視化をされました。憲法審査会事務局及び法制局の御尽力に感謝を申し上げます。
 他方で、これは、各会派の賛否を示すものでも、各会派間で合意された事項をまとめたものでもありません。あくまでも議論の整理です。むしろ、このイメージ案によって、様々な課題、論点の所在とその具体的な内容が改めて浮き彫りになりました。
 これらを踏まえると、論点は出尽くしているのであとは決めるだけだといった現状認識は当てはまりません。実際の運用場面を想定し、憲法改正や関連の法改正を真摯に考えれば考えるほど、臨時国会の召集期限の明記などと比べても論点は多岐にわたり、法技術的にも難度の高いテーマであるとの認識を深めています。だからこそ、丁寧に論点を詰めていくことが必要です。
 その上で、緊急時の国会機能の維持を論じる前に一点申し上げます。
 それは、発生確率が極めて低い緊急事態における国会機能の維持もさることながら、国民生活に広く関わる平時の国会機能をいかに維持するか、これこそ国民のための憲法論議としてより優先すべき重要課題ではないかということです。その意味で、緊急時の議員任期の延長だけでなく、平時の国会機能を維持するための臨時会の召集期限の明記や解散権行使の在り方及びその制限についても、イメージ案の末尾にあるように、セットで議論することを改めて提案いたします。
 この点、昨年四月二十四日の本審査会において、日本維新の会の阿部委員は、日本維新の会、国民民主党、有志の会の三会派がまとめた憲法改正条文案では、臨時会召集要求に係る召集期限を明記しております、臨時会の召集要求といった平時の国会機能維持を含めて、憲法改正に積極的に取り組んでまいりたいと発言されています。
 また、国民民主党の浅野幹事は、臨時国会の召集要求から実際の召集まで百日を超えるような例も現実に存在しています、こうした状況は、少数派による行政監視という立憲主義の要請に真っ向から反するものであり、議会制民主主義を空洞化させる重大な問題です、国民民主党は、この制度的不備を放置するべきではないと考えていますと述べられた上で、憲法改正によって召集期限については明記をすべきと発言をされています。
 さらに、昨年十一月二十六日の参議院の憲法審において、国民民主党の川合参議院議員は、党としての課題認識として、恣意的とも言える衆議院解散権行使が続く一方、憲法上の要件は満たしても臨時会が召集されず、国会の統制が十分機能していない、三権分立のゆがみを是正し、憲法の規範力を再構築して法の支配を貫徹させることが喫緊の課題になっていると述べられています。
 これらの発言は、我々の問題意識とも重なるものです。そこで、平時の国会機能の維持に関する課題の重要性とその議論の必要性について日本維新の会や国民民主党はどのようにお考えなのか、来週以降で結構ですので、改めてお伺いしたいと思います。
 その上で、本日配付された資料を基に何点か申し上げます。
 まず、別紙、すみ分けメモの3で、四十日以内に総選挙実施が可能かが最初の分岐点とされています。この点、選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心です。だからこそ、まず問うべきは、四十日以内に総選挙を行うという憲法上の大前提を可能な限り満たす仕組みを平時にどこまで構築できるかです。選挙人名簿のバックアップ、自治体間の協力体制、避難先での投票確保、緊急時の郵便投票の拡充など、平時にこそ取り組むべき課題は多岐にわたります。議員任期特例は、こうした選挙制度の強靱化を尽くした上での最後の補充制度でなければなりません。
 こうした制度整備がどこまで進んでおり、何が足りないのか、本審査会で明確にすべきです。つまり、国会機能維持のために最優先で考えるべきは選挙の実施であるという、いわば選挙実施優先原則に基づいて議論を進める必要があります。
 このように、選挙権の保障、そして参議院の緊急集会の役割を最大限尊重した上でもなお、国会機能維持の観点から制度的空白が生じ得るのかどうか、我が党内でも真摯に検討しているところです。その上で、仮にそのような制度的空白が認められるのであれば、その空白を補うためのいわば補充条項として一定の制度的対応を創設することは、立憲主義にかなうものではないかと私は考えます。
 もっとも、補充的なものである以上、実際に発動される場面、すなわち、別紙、すみ分けメモの5、議員任期特例等による対応に当たる場面は極めて限られたものになると考えられます。そして、そのような補充条項としての議員任期特例制度を設ける場合、濫用の危険を最大限防止するために、憲法及び法律でその要件を厳格に定め、恣意的な解釈の余地をできる限り狭めることが不可欠です。
 とりわけ、議員任期特例の最も重要な要件である広範性要件、長期性要件について、具体的な基準を明確にしなければなりません。その際に重要なのは、憲法に何を定め、法律に何を委ねるのかという振り分けです。
 硬性憲法にルールを定めることによって権力の濫用を防止する、この立憲主義の観点からすれば、要件の核心部分は憲法そのものに明確に定めるべきです。その核心部分まで法律に委ねることは相当ではありません。憲法には法律で具体化する際の枠組みや限界を明記する、法律ではその範囲内で客観的基準や手続を具体化する、こうした振り分けにしなければ、時の多数派が法律改正によって議員任期特例の発動要件を実質的に緩めてしまうおそれがあるからです。
 この点、本日示されたイメージ案の、国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域や相当程度長期間といった要件は、依然として抽象的です。その具体化が不可欠ですが、その際、憲法レベルでどこまで書き込むのかという視点、さらには、要件を詳細化する法律ではどのように定めるのかについても、セットで議論することが必要です。
 以上、立憲主義の観点から所見の一端を申し述べ、本日の意見表明といたします。

発言情報

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発言者: 國重徹

日付: 2026-05-14

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会