古川あおいの発言 (憲法審査会)
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○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいです。
本日は、前回の各会派の御発言を踏まえて四点申し上げます。
第一に、議論の状況について申し上げます。
先週、今週と各会派の御発言を伺いまして、論点ごとに議論の状況には差があり、多くの会派において認識を共有し得る論点もあれば、見解が大きくばらついているものもあると感じております。
例えば、議員任期延長については、延長の期限について、六か月程度が妥当であるという御発言や、通算で最長一年程度を限度とすべきであるという御発言など、具体的な数字に触れる御意見が出ております。数字については幅があるかもしれませんが、期間に通算の上限を設けるべきであるという点については、多くの会派で合意可能なところが見えてきているのではないかと感じます。
他方、緊急政令、緊急財政処分につきましては、立場の幅が依然として大きく残されております。緊急政令、緊急財政処分は、国会の関与なしに法律や予算に代わる措置を可能とするものであり、非常に慎重な議論を必要とするものですが、現在のところ、具体的にどのような事態にこの仕組みが必要となるのか、法律レベルの対応では不十分なのか、こうした問いへの答えがいまだに十分に共有されているとは言い難い状況だと考えます。この点につきましては、ほかの項目と同様に議論の対象に含めるのではなく、もう一段、立法事実の整理を深める段階が必要なのではないでしょうか。
また、そもそもの憲法についての議論の考え方として、緊急事態への備えにつきましては、改正を行った場合と行わなかった場合、それぞれの効果と懸念を丁寧に比較し明らかにしていくことが重要であると考えます。
時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する可能性があるという御懸念は、改正に賛成される方々の主要な理由としても挙げられているところです。一方で、非常時のために設けられた規定が恣意的に運用されるリスクへの御懸念も、同様に重く受け止めるべきものでございます。こうした意見を踏まえて、建設的に議論を進めていくためには、憲法改正をしなくても対応できるのではないかという指摘に対して、憲法改正をしないと対応できないのだという考え方だけでなく、改正の効果についてメリットとデメリットを提示しつつ比較する視点が重要だと考えます。
第二に、選挙権の保障の観点から、選挙環境の強靱化について申し上げます。
本日のテーマの一つとなっております選挙困難事態はそもそも生じないことが望ましいということについては、立場の違いを超えて御賛同いただけるところと存じます。仮に例外的な仕組みを設けるとしても、この前提を共有しておくことには意味があると考えます。
加えて、選挙困難事態の発生をあらかじめ織り込むのではなく、災害や有事においてもなお選挙が実施できるよう選挙制度そのものを強靱なものとする視点も欠かすことができません。インターネット投票の導入を含め、選挙制度の在り方を見直すことで、選挙困難事態の発生リスクそのものを下げる余地があると考えております。
強調しておきたいのが、この論点は、憲法改正を行う場合であってもそうでない場合であっても、避けて通ることはできないということです。本日のイメージ案におきましても、選挙困難事態の認定には一定の要件を課すという前提に立っており、安易な認定を許容するものではありません。
また、任期延長についても、上限を設けるべきという考え方が多くの会派で共有されております。すなわち、仮に任期延長等を認める方向で改正を行ったとしても、厳しい状況下で選挙を実施せざるを得ない場面は依然として残るということでございます。
また、現行の選挙制度においても投票へのハードルが高い方々がいる中で、そうした方々への手当てなしに憲法改正の国民投票を実施するという話になれば、国民投票という手法そのものへの信頼が揺らぐ事態にもなりかねません。困難な状況下においていかに選挙を成立させるのか、この問いは、どのようなお立場の方であっても考えていただく必要があるものと考えます。
第三に、議員任期延長と関連する論点について申し上げます。
イメージ案で提案されております選挙困難事態における議員任期の延長そのものにつきましては、選択肢としてあり得るものと考えております。ただし、それを前提とするためには、ただいま申し上げたような、インターネット投票の導入を始めとする選挙制度自体の強靱化に向けた具体的な検討をまずは尽くしておく必要があると考えます。
任期延長というのは、本来選挙によって信任を受けるはずの議員の身分を選挙を経ずに延長することにほかなりません。だからこそ、ほかに取り得る手段が残されていないか、それを確認し、困難な状況下でも選挙を実施することができる環境の整備についても検討を進めることが国民の理解にもつながると考えます。
これに関連して、参議院の緊急集会の位置づけについても申し上げます。
これまでの審査会でもほかの委員からも御指摘があったとおり、緊急集会で対応できるかどうかという法的評価については衆議院と参議院との間でも見解が分かれており、まずは両院の議論の整合を図ることこそが必要ではないかと考えます。その上で、参議院の緊急集会に何でも任せるべきではないという問題意識自体は理解するところでございます。であるからこそ、国会の機能維持の手段として、緊急集会だけに依存するのではなく、ほかの手段も併せて検討することが重要だと考えます。
例えば、国会のオンライン出席につきましては、本日のイメージ案にも記載がありますが、オンライン出席という選択肢は、緊急時の対応手段にとどまらず、平時における議会機能の向上にも資するものと考えております。緊急事態に限定された場面だけではなく、より広い文脈での活用の在り方についても踏み込んだ議論をしていく価値があるのではないでしょうか。
最後に、今後の議論の進め方について申し上げます。
緊急事態条項につきましては、ただいま申し上げてまいりましたとおり、論点はいまだに多く残されており、丁寧な議論を続ける必要があると考えております。そうした中で、本審査会においては国民投票法をめぐる議論にも一定の時間を割いていただきたいと考えております。
国民投票法をめぐっては、令和三年改正の際に附則において検討すべきとされた事項が複数残されております。さらに、この附則が設けられた当時と比べても、生成AIの進展を始めとし、情報環境は大きく変化しており、最新の状況を踏まえた議論を進める必要性は当時と比べてむしろ高まっていると言えます。
国民投票法は、主権者である国民が憲法改正について直接意思を表明する際の手続を定めるものでございます。手続の公正性と全ての有権者が実質的に参加できる環境の確保は、改憲発議の有無にかかわらず、有権者の権利保障として重要な論点でございます。
緊急事態条項については論点の整理を引き続き丁寧に進めつつ、並行して国民投票法をめぐる議論にも時間を割いていく、こうした進め方が結果として審査会全体の議論を建設的に深めることにつながると考えます。
以上でございます。