憲法審査会

2026-05-21 衆議院 全23発言

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会議録情報#0
令和八年五月二十一日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   会長 古屋 圭司君
   幹事 鬼木  誠君 幹事 北神 圭朗君
   幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君
   幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君
   幹事 國重  徹君 幹事 馬場 伸幸君
   幹事 浅野  哲君
      秋葉 賢也君    石井  拓君
      石川 昭政君    石橋林太郎君
      伊藤信太郎君    稲田 朋美君
      大野敬太郎君    木村 次郎君
      下村 博文君    高木 宏壽君
      田野瀬太道君    辻 由布子君
      土田  慎君    寺田  稔君
      中川 貴元君    中山 泰秀君
      新田 章文君    葉梨 康弘君
      星野 剛士君    細野 豪志君
      本田 太郎君    丸川 珠代君
      森原紀代子君    盛山 正仁君
      保岡 宏武君    山口  晋君
      山本 裕三君    若林 健太君
      有田 芳生君    泉  健太君
      河西 宏一君    西村智奈美君
      阿部 圭史君    池畑浩太朗君
      西田  薫君    飯泉 嘉門君
      玉木雄一郎君    川 裕一郎君
      和田 政宗君    古川あおい君
      畑野 君枝君
    …………………………………
   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  井出 庸生君     山口  晋君
  加藤 勝信君     新田 章文君
  上川 陽子君     山本 裕三君
  棚橋 泰文君     森原紀代子君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 裕三君     辻 由布子君
同日
 辞任         補欠選任
  辻 由布子君     上川 陽子君
  新田 章文君     加藤 勝信君
  森原紀代子君     棚橋 泰文君
  山口  晋君     井出 庸生君
    ―――――――――――――
五月二十一日
 憲法九条改悪に反対することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五六一号)
 同(辰巳孝太郎君紹介)(第五六二号)
 同(田村智子君紹介)(第五六三号)
 同(畑野君枝君紹介)(第五六四号)
は本憲法審査会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(「『緊急事態条項』のイメージ(案)」)
     ――――◇―――――
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古屋圭司#1
○古屋会長 これより会議を開きます。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
 本日は、緊急事態条項のイメージ案について討議を行います。
 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。
 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。
 発言時間は七分以内とします。
 質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて七分以内といたしますので、御留意願います。
 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 発言は自席から着席のままで結構でございます。
 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。
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新藤義孝#2
○新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。
 先週に引き続きまして、緊急事態条項のイメージについての討議を行います。
 まず、緊急事態条項のイメージについて、私が理解をしている位置づけについて申し上げたいと思います。
 このイメージは、審査会における今後の討議のために、これまで積み上げてきた議論を、幹事会の要請によりまして、衆議院法制局、憲法審査会事務局が中立的かつ専門的な立場で整理をしたものであります。現時点で何かが確定されたり決定したりするものではなく、今後の議論の土台として活用すればよい、このように考えております。
 先週の審査会で私がピン留めと言えるのではと紹介した論点は、各会派の意見がおおむね同様と言える論点という意味で整理をいたしました。また、更に議論を深めていくと整理した論点は、複数の見解があるので今後更に議論を深めていくものというような趣旨で私なりの整理をしたものとお考えください。
 本日は、緊急事態における国会機能の維持を図るための規定に加えて、更に厳しい状況、国会機能の維持すら困難となる事態に備えて国家機能の維持を図るという観点から、緊急政令、緊急財政処分の規定の必要性を中心に、私なりの意見を申し上げたいと思います。
 憲法四十一条は、国会は、国権の最高機関であって、唯一の立法機関と規定しています。この立法機関の意味としては、少なくとも、国民の権利を制限し、義務を課す事項については、国会が法律という形式で定める必要があるとされているわけであります。平時はもちろん、特に緊急事態にこそ、国会が立法機能をフル回転させることが求められます。だからこそ、私たちは、緊急事態においても国会機能を維持するために、選挙困難事態の認定と議員任期の延長を可能とする制度の創設、これを提案しているわけであります。
 一方で、国会機能の維持を図るべく国会議員が参集しようと思っても、物理的に参集することが難しく、国会がどうしても開けないような更に厳しい事態が発生することも、当然に予想しておかなければならないと思います。
 そのような場合に備えて、まずはオンライン国会などの法的、物理的な環境整備が考えられます。しかし、極めて深刻な緊急事態発生時においては、通信途絶や停電などにより、オンライン国会すら対応できないという事態が起こり得るわけであります。
 このように、様々な手段を用いてもどうしても国会が開けず、国会議員が参集できない、オンライン国会すら不可能な究極の事態において、国家機能を担う内閣が一時的、暫定的に立法機能や財政支出機能を代替しようとするのが、それが緊急政令や緊急財政処分の制度であります。国会が機能不全に陥り、法律や予算の議決が不可能になり、既存の法律に基づく委任政令や既存の予算に基づく予備費などでも対応できない場合の、万々が一のための制度、これを整備する必要があるのではないかと考えるわけであります。
 もちろん、このような事態が発生しないように最大限の努力をするのが政治の責任です。しかし、それでも国会が機能不全となってしまう事態が起こり得ることは否定できないと思います。
 我々は、どのような事態にあっても、国民の生命と財産を守り抜き、国と社会を維持する仕組みを整備しておかなくてはならないと考えています。したがって、緊急政令、緊急財政処分は、内閣の権限をいたずらに強化したり増やそうとするものではありません、究極の手段として、国家機能を維持し、国民の生命財産を守ろうとするものであり、積極的に使うことは想定しなくても、立憲主義国家として当然に備えていくべきものではないかと考えるわけであります。
 一九四六年の日本国憲法制定時において、日本政府はGHQに対し緊急政令の規定を設けることを求めたという経緯があります。これに対するGHQの判断は、英米法的な発想で、超法規的な法理であるエマージェンシーパワーで対応すればよいというもので、緊急政令の規定を設けることを拒否しました。
 本来であれば、一九五二年に日本が主権を回復した際に、憲法を改正し、緊急事態条項を整備すべきだったのかもしれません。しかし、結果としてこれまで憲法改正は行われず、日本国憲法の未完成部分として今日に至っている、このように思います。
 次に、緊急事態条項は諸外国において実際どのように発動されているのか。
 二〇二二年時点で世界の現行憲法の九一%に緊急事態条項が設けられていること、これが東京大学のマッケルウェイン教授の研究により明らかになっています。
 例えば、フランス憲法は、十六条で大統領の緊急措置権、三十六条で戒厳という緊急事態条項を規定しています。ただ、一九五八年に憲法を制定して以来、フランス大統領の緊急措置権は一九六一年アルジェリア紛争時に発動した一例のみであり、戒厳はこれまで一度も発動例がありません。
 フランスは、二〇一五年の同時多発テロの際には緊急状態法、二〇一九年末に始まる新型コロナウイルス感染症蔓延時には公衆衛生法典という法律上の緊急事態条項によって対応しました。
 つまり、フランス憲法上の緊急事態条項は、整備はされていても、実際に発動される例はほとんどなく、緊急事態条項を備えた憲法を頂点とする法体系を確立していることにこそ意味があると考えられます。実際、私がかつて憲法審の筆頭幹事としてフランスに出張した二〇二三年の海外調査で意見交換をいたしましたパリ・サクレー大学のブドン教授からもそのような話を伺ったことは、鮮明な記憶として残っています。
 一方で、現実に憲法上の緊急事態条項を発動し、国民の生命と自由を守り抜こうとしている例もあります。それはウクライナです。
 ウクライナは、二〇二二年二月二十四日、ロシアが侵略を始めた当日、憲法に定められた緊急事態条項のうち戒厳を布告し、国家運営を緊急事態モードに移行いたしました。これにより、現在までウクライナにおいては、大統領選挙、国会議員選挙は延期され、その任期も延長されています。他国からの侵略という緊急事態においても議会機能をぎりぎりまで維持し続けているウクライナの国民と議会の勇気と努力には、心からのエールを送りたいと思います。
 このように、緊急事態条項は抑制的であり、よほどのことがない限り使われるものではありません。
 我が国においても、緊急事態に陥らないよう外交、安全保障、強い経済、国土強靱化、選挙制度など不断の努力や整備を怠らないことが何より重要であり、政治の責任であることは、常に肝に銘じております。一方で、主権国家として、あらゆる事態においても国の運営を維持していく、そのための緊急事態条項の整備は、日本国憲法の未完を埋め、国の形を整えることにつながると確信をしております。
 憲法改正の機運が高まりを見せている中で、憲法改正は何のために行うのか、そしてどのような効果をもたらすのか、より多くの国民の皆様に理解をしていただくことが重要だと思います。憲法審査会において今後更に国民のための憲法論議が深まることを切望して、私の意見といたします。
 ありがとうございました。
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古屋圭司#3
○古屋会長 ありがとうございました。
 次に、國重徹君。
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國重徹#4
○國重委員 中道改革連合の國重徹です。
 前回の審査会で、私は主として次のことを述べました。選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心である。だからこそ、選挙の実施をできる限り可能にするため、平時から選挙制度の強靱化に力を尽くさなければならない。その選挙実施優先原則、さらに、繰延べ投票、参議院の緊急集会を最大限尊重してもなお、国会機能維持の観点から制度的な空白が生じ得るのか。仮にそのような制度的空白が認められる場合には、立憲主義の観点から、補充条項としての議員任期特例を検討することになる。その際、濫用の危険を防ぐために、憲法及び法律でその要件を厳格に定め、恣意的な解釈の余地をできる限り狭めることが不可欠である。その要件の核心部分は憲法そのものに明確に定めるべきである旨述べました。
 本日は、仮に議員任期特例を創設するとした場合の広範性要件と長期性要件を中心に、憲法の条文を手がかりに問題提起をしたいと思います。
 まず、広範性要件について、イメージ案は、国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域としています。
 確かに、国政選挙の公正性確保との関係で、選挙の一体性は重要な視点です。しかし、広範な地域の具体的基準が法律に委ねられることで、法改正によって要件が実質的に緩和されるリスクはないのか、また、選挙の一体性がそれだけで国民の選挙権行使を延期し得るほどの憲法上の根拠となるのかについては、更に議論を深める必要があります。
 そもそも、補充条項としての議員任期特例の目的は、政府に権限が集中しがちである緊急時において、国民の代表機関である国会の機能を発揮させることにあります。とすれば、適正な選挙を実施した結果、国会、とりわけ衆議院が安定的に議事を開き議決を行い、立法機能、行政監視機能を果たし得る状態になるのかどうかという点がポイントになります。
 その意味で、着目すべきは、定足数を総議員の三分の一以上とした憲法五十六条一項の趣旨です。これは、少数派の審議拒否等による流会を回避し、国会をできる限り機能させるとともに、一定数の出席により国会の権威を保つ点にあります。
 この趣旨を踏まえ、どの程度の議員が選出されれば安定的に定足数を満たし国会の機能を維持できるかを検討することが、条文に根拠を持つ客観的基準を考える上で重要な視点になるのではないでしょうか。
 もっとも、具体的な数値基準をどう置くかは、慎重な検討を要します。ここで申し上げたいのは、広範性要件を単なる地域的な広がりとして捉えるのではなく、こうした機能的な観点からも検討する必要があるのではないかということです。
 このように、憲法五十六条一項を手がかりに広範性要件を構成することは、認定の恣意性を抑制する上でも重要な検討軸になり得ます。従来の選挙の一体性論と併せて、この視点からの議論を深めることを提案いたします。
 次に、長期性要件について、イメージ案では相当程度長期間としていますが、その憲法的な根拠は何か。判断の軸がないまま政治判断に委ねることは、立憲主義の観点から問題があります。
 ここでも、憲法の条文を手がかりに考えてみたいと思います。
 憲法六十七条一項は、内閣総理大臣を国会議員の中から指名することを、六十八条一項は、国務大臣の過半数を国会議員から選ぶことを定めています。前者は在任要件とされ、後者は内閣の構成上の要件を定めたものとされています。
 これまでの内閣の構成を踏まえると、衆議院が解散された場合には、通常、これらの要件を欠くことになります。もっとも、この場合にも、内閣は、憲法七十一条により例外的に、次の内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うこととされています。この職務継続が憲法上認められているのは、解散後四十日以内に総選挙が行われ、その後三十日以内に召集される特別会において新たな内閣総理大臣が指名されるという時間的枠組みがあるからです。
 つまり、このような一時的な職務継続は、あくまで、七十日程度の間に総選挙が実施され、新たな内閣が構成されることを前提とした、暫定的な仕組みと言えないでしょうか。
 したがって、その状態が長期化すれば、憲法六十七条、六十八条が予定する議院内閣制の仕組み、すなわち、内閣が国会との結びつきの中で民主的正統性を確保するという構造との関係で、内閣の正統性に深刻な問題が生じます。
 そのため、相当程度長期間とされている長期性要件を深掘りするに当たっては、議院内閣制の趣旨に照らしてどの程度の期間であれば暫定的な内閣の職務継続を憲法上許容できるのかという観点からの議論も重要です。
 以上は要件そのものの問題ですが、その要件をどのような手続で認定、承認するのかも重要です。
 例えば、武力攻撃事態では、選挙困難事態の認定に必要な情報が、作戦情報や同盟国との機密情報と不可分に絡み合う可能性があります。公開情報による通常の国会審議を原則としつつ、機密情報については、情報監視審査会の仕組みを参考にしつつ、限定的な秘密審査手続を設けることも一つの方向性として考えられます。
 しかし、機密を理由に情報提出が過度に制限されれば、国会の実質的な検証ができず、国会の承認は内閣の判断を単に追認するだけのものになりかねません。こういった点も議論を深める必要があります。
 イメージ案が示されたことは、これまでの議論を可視化する点で意義のあることですが、本日申し上げたとおり、それぞれの論点を詰め切るには更なる議論が必要です。
 先週の審査会では、平時の国会機能維持に関する臨時会の召集期限や解散権行使の在り方及びその制限を議論することについても、日本維新の会、国民民主党から前向きな御発言をいただきました。これらは国会機能維持の点で共通するテーマです。
 仮に、新たな制度を憲法上設けるにしても、設けないにしても、問うべきは同じ、国民の権利を守るために権力をどう縛るのかです。その仕組みを憲法上あるいは法律上可能な限り明確にしていくことが、立憲主義の要請です。その問いに正面から向き合い、国民のための真摯な憲法論議を積み重ねていく決意を申し述べ、本日の意見表明といたします。
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古屋圭司#5
○古屋会長 次に、阿部圭史君。
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阿部圭史#6
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。
 先週の本審査会において、緊急事態条項のイメージ案が提示をされました。これに沿って意見を述べたいと思います。
 先週、新藤幹事が述べられたように、緊急事態条項のイメージ案には、おおむね合意を得られるとみなせるピン留めできるところ、そしてもう少々深掘りできるところの二パターンがあろうと思います。
 議論をピン留めできる部分は、一定の結論としてまとめていくことが重要です。先週の本審査会で我が党の馬場伸幸幹事が述べたとおり、本審査会において直ちに条文起草委員会を常設し、イメージ案をベースとして改正条文案の作成に入ることを強く求めたいと思います。特に、議論をピン留めできる部分は条文化に入ろうではありませんか。
 自民党と日本維新の会の与党両党で構成する憲法改正条文起草協議会は、国家の危機に対処するに当たり死活的に重要な憲法九条改正及び緊急事態条項創設が最も重要であり、この二つについて議論を進めております。その上で、国会機能維持と内閣による国家機能維持の両方の要素について、今年度中に合同で条文案を起草し国会提出を目指すということとなっております。
 我が党としては、参議院憲法審査会で議論されている合区の解消については、議論する必要性の認識は共有するが、国家の危機に対処するに当たり死活的に重要な憲法九条改正及び緊急事態条項創設に比べ優先順位が低いテーマであると考えていることを明確に申し述べたいと思います。
 次に、イメージ案に沿って、我が党の考え、整理を述べたいと思います。
 衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化について。
 解散から四十日以内に国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域において衆議院議員総選挙を実施することが困難な場合、すなわち広範性要件を充足する選挙延期事態となった場合に総選挙延期の明文規定を置くこととされています。この部分について、新藤筆頭幹事から、ピン留めできるものとの御発言がございました。私もその認識に賛同するものでございまして、ピン留めすべきものと考えております。
 次に、1の二の1において、参議院の緊急集会の射程が明確に整理されています。すなわち、総選挙が延期されて衆議院が不在となった場合に、四十日から相当程度長期間未満の場合には、この参議院の緊急集会の射程を拡大しつつ対応すること、また、衆議院議員の不在が相当程度の長期間に及ぶ場合、すなわち長期性要件を充足する選挙困難事態となった場合には、二院制国会の原則に基づいて、議員任期の特例の制度を用意しておくべきことが記載されております。
 この点については、先週、我が党の馬場幹事からも述べたとおり、憲法五十四条を素直に読めば、参議院の緊急集会の活動期間は最長七十日であることは明白ではないでしょうか。その認識に基づき、改憲五会派による国会機能維持に関する案も、最長七十日としてまとめられております。
 参議院からは、七十日に縛られないという主張が繰り返され、二院制の例外措置にすぎない緊急集会を際限なく適用せんとする主張も見られます。
 新藤筆頭幹事が先週述べられていたとおり、二院制国会が原則でございます。参議院の緊急集会の活動期間を野方図に認めるのではなく、例外はあくまで例外としてとどめることが重要なのではないかと考えております。
 次に、イメージ案の二ページ目にございます2の二の1、内閣による選挙困難事態の認定について述べます。
 選挙延期の場合の要件として、広範性要件と長期性要件の二つが挙げられております。前者は、国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域において総選挙実施が困難である場合、後者は、適正な総選挙の実施が相当程度長期間にわたり困難である場合です。
 内閣による選挙困難事態の認定はこの二つの要件をもって判断するのが適切ではないかという点について、先週、新藤筆頭幹事より、ピン留めができるとの御発言がございました。私もそれに賛同するものでございまして、ピン留めするべきものと考えております。
 その上で、広範性要件と長期性要件の具体化については、先ほど参議院の緊急集会の活動期間について申し述べたことを含め、論点がございます。
 広範性要件については、新藤筆頭幹事から、衆議院の小選挙区比例代表並立制を前提とした場合には、被災地域が複数の比例ブロックにまたがること、かつ、一つの比例ブロック内の過半の小選挙区において選挙実施が困難であることという二つの具体的な基準が述べられました。
 これは、東日本大震災が該当することに加えまして、今後想定されている南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定に照らしても、該当することが予想されます。したがいまして、新藤筆頭幹事がこれはかなり妥当な基準ではないかとおっしゃったことに賛同いたします。
 長期性要件については、イメージ案にもございます相当程度長期間という文言は、解釈の幅があるものであります。二院制国会の原則に基づいて、参議院の緊急集会を最長七十日とする場合には、七十日とするのが適切ではないかと考えます。
 その上で、相当程度長期間未満、相当程度長期間以上という二つに分けるという整理等については、先週、新藤筆頭幹事より、ピン留めできるとの御発言がございまして、私もその認識に賛同するものでございます。ピン留めすべきものと考えております。
 次に、2の第一の三の1に記載されている、一回当たりの選挙困難事態の期間の上限について述べたいと思います。
 現在のイメージ案で空欄となっている本期間については、先週、新藤筆頭幹事から、六か月程度が妥当という御発言がございました。私もその認識に賛同するものでございまして、五会派案もそのようになっております。
 次に、2の第二の二の2に記載されている、任期が終了している議員の身分復活について述べたいと思います。
 この議員任期の復活につきましては、二つに分けられていると考えます。前段は暫定的身分復活、後段は本格的身分復活です。これらは国会機能維持にとって必須の要素でありまして、非常に重要な制度であることに賛同いたします。
 次に、2の第二の三の1に記載されている国会の閉会及び衆議院解散の禁止に加え、2の第二の三の2に記載されている憲法改正の禁止について、先週、新藤筆頭幹事より、ピン留めできるとの御発言がございました。私もその認識に賛同するものでございまして、ピン留めするべきものと考えております。
 また、我が党としては、内閣不信任決議の禁止については、考慮すべき点もあるというふうに考えております。
 次のページにある3のオンライン国会について述べたいと思います。
 先週、新藤筆頭幹事より、停電、セキュリティー確保、議長の議事整理の在り方という三点について、議論を深めねばならない問題があるという御指摘がございました。
 例えば、緊急事態において停電となった時点で、オンライン国会は開催不可能となります。オンライン国会は大変有用ではありますが、特に緊急事態においては万能ではないことは、留意せねばならないと思います。
 最後に、繰り返しますが、ピン留め可能な部分から条文化を積極的に進めるべきことを改めて申し上げて、私の発言としたいと思います。
 どうもありがとうございました。
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古屋圭司#7
○古屋会長 次に、玉木雄一郎君。
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玉木雄一郎#8
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 本日も、大規模災害時等に国会機能を維持するための条項について申し述べます。
 まず、私たち国民民主党の考え方は、前回も申し述べたとおり、二年前の、二〇二四年六月十三日の憲法審査会において、当時の自民党の中谷筆頭幹事から五会派の意見を集約、代表する形で述べられたものと同じであることを確認したいと思います。当時、中谷議員は、資料の作成に当たってはこう発言されています、公明の北側幹事、維新の馬場幹事、国民の玉木委員、有志の北神委員から詳細かつ丁寧なアドバイスをいただきましたと。ということで、五会派の意見を集約して当時作ったことを改めて確認したいと思います。
 この五会派で合意した案を基に具体的な条文案作りに着手することが憲法改正に向けた最も現実的な進め方であることを、改めて強調したいと思います。議論が煮詰まっておらず合意が得にくいテーマを今から新たにつけ加えない方が得策だと考えます。
 その上で、今日は、特に緊急政令、緊急財政処分について申し上げます。
 二〇二四年六月の五会派案には、緊急政令、緊急財政処分の条項は入っておりません。当時の丁寧な合意形成の過程で、五会派案としては含めないとした経緯がございます。もし緊急政令、緊急財政処分の話を蒸し返せば、時計の針を巻き戻し、せっかくここまで積み上げてきた憲法改正議論が停滞することを懸念いたします。
 あえて過去の議論を私なりに整理して申し上げますと、緊急政令、緊急財政処分については、大きく三つの対応が考えられると思います。
 第一の案は、緊急事態においては、内閣が法律と同一の効力を有する政令を制定することができるとし、包括的な政令制定権を内閣に持たせるケースであります。ただ、これは内閣に白紙委任的な広範な裁量を与えることになり、国民の理解を得ることが正直難しいと考えます。
 第二の案は、あらかじめ法律の定めるところにより、内閣が法律で定めるべき事項を定める政令を制定することができると規定し、あらかじめ法律で定めておいた場合には政令を制定できると規定する。これは、現行憲法下でもできる、法律レベルの緊急政令の確認規定として盛り込む方法です。二〇二二年十二月の国民民主党案はこのケースであります。私の記憶が確かならば、かつて、公明党の浜地議員も同じ意見を表明していたと理解をしています。
 第三の案は、参議院の緊急集会や議員任期の延長、そしてオンライン国会など、緊急事態において国会機能の維持を可能とする憲法改正を行うことで、国会が機能しない場合は想定されなくなり、そもそも内閣が緊急政令や緊急財政処分を行う場合が想定されないとする対応です。二〇二四年の五会派の同意はこれに近い形で行われたものと認識しています。
 ただ、オンライン国会でも定足数を満たさない場合が考えられるということは、先ほど、通信が遮断されるとか、そういったことで提案をいただきました。
 その場合には、緊急政令ではなく、ドイツ基本法が定めるミニ国会のような制度を創設することも実は考えられます。これは、先ほど申し上げた二〇二二年の国民民主党の改憲案でも提案した、両院合同委員会のアイデアであります。
 このミニ国会とも言えるドイツの合同委員会は、ドイツ基本法では、定数の三分の二を連邦議会議員から、三分の一を連邦参議院代議員とすると規定されており、また、合同委員会規則で、連邦議会議員が三十二名、連邦参議院代議員は十六名とされています。ちなみに、連邦議会の総定数は五百九十八名、連邦参議院の定数は六十九名です。いざというときに国会機能を少数で代替する制度をドイツの憲法、基本法は設けております。
 また、オンライン国会も開けないような究極の事態のときは、閣議も開催できない、閣議不能に陥っている可能性もあります。政令も制定できません。国会は開けないが内閣は必ず開けるという前提で議論が進みがちですが、逆のケースもあり得ることを念頭に入れる必要があるのではないでしょうか。
 ちなみに、国民民主党案では、両院合同委員会が開かれる場合として、国会開会中だが、オンラインを活用してもなお定足数を満たすことができない場合、国会閉会中で、国会の召集を待つことができない場合、あるいは、そもそも参集不能で定足数を満たすことができない場合などを想定しています。
 いずれにしても、緊急政令、緊急財政処分の話に議論を広げると、論点が拡散して、せっかく五会派でまとめたものも御破算になりかねないので、その点については、慎重な取扱いをお願いしたいと思います。
 なお、緊急財政処分については、予備費の活用で十分対応可能であり、不要と考えます。
 以上、緊急政令、緊急財政処分について国民民主党の考え方を申し述べましたが、高市総理のおっしゃる来春までに憲法改正発議を目指すのであれば、やはり、新たな論点を追加することなく、二〇二四年六月の五会派案をベースに、大規模災害時等における議員任期の延長等、国会機能の維持に関する条文案作りに速やかに着手することを求めます。
 また、昨日の参議院憲法審査会での議論を見ると、追加のテーマとして考えられるのは合区の解消だと思います。国民民主党としては、衆議院で議論の積み上げのある選挙困難時における議員任期の延長等と、参議院で議論の進む合区の解消と、いずれも選挙制度に関わる、いわば民主主義の基盤整備に関する二つのテーマについて、優先的に取り組むことを求めます。
 来春の発議を視野に、秋の臨時国会に国会法に基づく憲法改正原案の国会提出を目指すのであれば、そろそろ、何を議論するかより、何を議論しないかを考える時期に来ているのではないかと思います。論点を絞って議論していくことを改めて求めたいと思います。
 以上です。
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古屋圭司#9
○古屋会長 次に、和田政宗君。
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和田政宗#10
○和田(政)委員 参政党の和田政宗です。
 緊急事態条項のイメージ案について、参政党の意見を改めて申し述べます。
 前回も申し述べましたが、イメージ案では、緊急事態の対象範囲が、大規模自然災害、感染症の大規模蔓延、内乱等による社会秩序の混乱、外部からの武力攻撃その他これらに匹敵する事態となっていますが、感染症の蔓延との文言が入っている限り、恣意的な事態認定が排除できず、参政党は反対をいたします。
 さらに、緊急事態の対象範囲にある、その他これらに匹敵する事態も、定義が曖昧であり、こちらも恣意的な事態認定が排除できず、参政党は懸念を持っていると申し述べました。
 憲法は国の最高法規ですから、要件を厳格に書き込むべきと考えます。その観点から述べてまいります。
 まず、選挙困難事態の認定において、国政選挙の適正な実施が相当程度長期間にわたり困難であると認められるときとされていますが、例外的な制度を設けるのに、相当程度長期間との文言は曖昧です。相当程度長期間とは何日間なのでしょうか。
 また、選挙の一体性とありますが、具体的に選挙の一体性とは何なのか。条文に定めなければ、恣意的な解釈が生まれる危険性があります。
 さらに、選挙の一体性が害されるほど広範な地域においてとありますが、広範な地域とはどれくらいの範囲の地域なのでしょうか。
 これらは、前回までに自民党筆頭幹事より内容の提起がありましたが、議論はまだ入口であると考えます。
 そして、例えば、国境離島が外国等からの武力攻撃を受け、必死に我が国土、国民を守る国防のための行動を取っているときに、攻撃を受けている地域では選挙が実施できなくてもほかの地域では選挙を実施できる状態であったとしても、果たして国政選挙を実施するとなるでしょうか。広範性要件に該当しなくても、選挙実施が困難な事態が生じる可能性があります。
 前回、自民党筆頭幹事からは、ピン留めしてもよろしいのではとの発言がありましたが、このように定義が曖昧な中では、ピン留めできないと考えます。
 そして、議員任期の復活は、議会制民主主義の正統性において、やはり疑問があります。
 議員任期の復活に議論を集約しようとするのではなく、次の憲法改正の論点も議論が行われるべきではないでしょうか。
 例えば、衆議院の解散があっても、選挙期日まであるいは次の国会召集日までは身分を失わないこととする憲法改正です。憲法四十五条の改正です。現行憲法七十一条では、内閣は総辞職後も、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行うものとなっています。憲法四十五条に同様の規定を置くことは可能です。
 更に述べれば、現行憲法において、衆議院解散中は、半数以上の国務大臣が国会議員の身分を失っており、内閣の存立要件を満たしていないのではないかとの疑問があります。これについてはどうするのでしょうか。
 また、衆参両院同時活動の原則は合理的なのか、こだわるのかという観点もあります。衆議院解散時でも参議院は開会できるとの憲法改正を行えば、参議院により国会審議は保たれることになり、緊急集会も不要です。憲法五十四条二項の改正です。
 そして、緊急政令、緊急財政処分のイメージ案では、「あらかじめ法律の定めるところにより、」との文言がいずれにも出てきます。
 しかし、緊急事態への対応ですから、要件を法律に委任するのではなく、憲法に厳格に書き込むことが必要です。法律に委任するとなれば、憲法改正より改正が容易であることから、時の政権により恣意的に定められたり改正が行われたりする危険性があります。
 さらに、前回の当審査会において自民党筆頭幹事は、様々な手を尽くして国会機能の維持を図った上で、それでも国会の会議を開くことができない、国会議員が参集することができないという究極の事態に陥ったときに、国家の機能を維持するための条項を設けることは必須と考えますと述べましたが、国家の機能維持における、国会を開くことができるか、参集できるかどうかについては、前回、前々回も述べましたが、国会のバックアップ機能や代替機能を東京とは別の場所に置くことで解決できると考えられ、先ほど述べました憲法四十五条改正、五十四条二項の改正を行えば、緊急事態においても衆参両院に多数の国会議員が存在し、国会を開会できます。
 このように、自民党筆頭幹事が述べるピン留めの前に、更に議論を深めなくてはならないことが多くあります。
 更に述べれば、憲法に緊急事態条項を創設し、選挙困難事態を定め、国会議員の任期の延長を可能にしても、外国等からの武力攻撃を受けた場合に、真に国家国民を守れるのでしょうか。やはり九条改正と緊急事態をセットで議論しなければ、真に国家国民を守る憲法改正になりません。
 憲法改正に当たっては、総体的な見直しを行い、いついかなるときも国家国民を守れる憲法とする根本改正が必要と考えます。だからこそ、一から国民の手で作り直す創憲が必要なのです。
 最後に、改めて提起をいたしますが、参議院の憲法審査会で重要項目として審査が続いている合区の解消について、衆議院憲法審査会でも議論を行うべきと考えます。地方の声が失われることなく、しっかりと地方の声が反映される国会を改めて築き上げることは喫緊の課題であると考えます。衆議院憲法審査会においても合区解消の議論を深めることを改めて提起するとともに、根本的な憲法改正、そして憲法を一から国民の手で作り直す創憲が行われるよう、参政党として強く提起します。
 以上です。
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古屋圭司#11
○古屋会長 次に、古川あおい君。
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古川あおい#12
○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいです。
 本日は、前回の各会派の御発言を踏まえて四点申し上げます。
 第一に、議論の状況について申し上げます。
 先週、今週と各会派の御発言を伺いまして、論点ごとに議論の状況には差があり、多くの会派において認識を共有し得る論点もあれば、見解が大きくばらついているものもあると感じております。
 例えば、議員任期延長については、延長の期限について、六か月程度が妥当であるという御発言や、通算で最長一年程度を限度とすべきであるという御発言など、具体的な数字に触れる御意見が出ております。数字については幅があるかもしれませんが、期間に通算の上限を設けるべきであるという点については、多くの会派で合意可能なところが見えてきているのではないかと感じます。
 他方、緊急政令、緊急財政処分につきましては、立場の幅が依然として大きく残されております。緊急政令、緊急財政処分は、国会の関与なしに法律や予算に代わる措置を可能とするものであり、非常に慎重な議論を必要とするものですが、現在のところ、具体的にどのような事態にこの仕組みが必要となるのか、法律レベルの対応では不十分なのか、こうした問いへの答えがいまだに十分に共有されているとは言い難い状況だと考えます。この点につきましては、ほかの項目と同様に議論の対象に含めるのではなく、もう一段、立法事実の整理を深める段階が必要なのではないでしょうか。
 また、そもそもの憲法についての議論の考え方として、緊急事態への備えにつきましては、改正を行った場合と行わなかった場合、それぞれの効果と懸念を丁寧に比較し明らかにしていくことが重要であると考えます。
 時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する可能性があるという御懸念は、改正に賛成される方々の主要な理由としても挙げられているところです。一方で、非常時のために設けられた規定が恣意的に運用されるリスクへの御懸念も、同様に重く受け止めるべきものでございます。こうした意見を踏まえて、建設的に議論を進めていくためには、憲法改正をしなくても対応できるのではないかという指摘に対して、憲法改正をしないと対応できないのだという考え方だけでなく、改正の効果についてメリットとデメリットを提示しつつ比較する視点が重要だと考えます。
 第二に、選挙権の保障の観点から、選挙環境の強靱化について申し上げます。
 本日のテーマの一つとなっております選挙困難事態はそもそも生じないことが望ましいということについては、立場の違いを超えて御賛同いただけるところと存じます。仮に例外的な仕組みを設けるとしても、この前提を共有しておくことには意味があると考えます。
 加えて、選挙困難事態の発生をあらかじめ織り込むのではなく、災害や有事においてもなお選挙が実施できるよう選挙制度そのものを強靱なものとする視点も欠かすことができません。インターネット投票の導入を含め、選挙制度の在り方を見直すことで、選挙困難事態の発生リスクそのものを下げる余地があると考えております。
 強調しておきたいのが、この論点は、憲法改正を行う場合であってもそうでない場合であっても、避けて通ることはできないということです。本日のイメージ案におきましても、選挙困難事態の認定には一定の要件を課すという前提に立っており、安易な認定を許容するものではありません。
 また、任期延長についても、上限を設けるべきという考え方が多くの会派で共有されております。すなわち、仮に任期延長等を認める方向で改正を行ったとしても、厳しい状況下で選挙を実施せざるを得ない場面は依然として残るということでございます。
 また、現行の選挙制度においても投票へのハードルが高い方々がいる中で、そうした方々への手当てなしに憲法改正の国民投票を実施するという話になれば、国民投票という手法そのものへの信頼が揺らぐ事態にもなりかねません。困難な状況下においていかに選挙を成立させるのか、この問いは、どのようなお立場の方であっても考えていただく必要があるものと考えます。
 第三に、議員任期延長と関連する論点について申し上げます。
 イメージ案で提案されております選挙困難事態における議員任期の延長そのものにつきましては、選択肢としてあり得るものと考えております。ただし、それを前提とするためには、ただいま申し上げたような、インターネット投票の導入を始めとする選挙制度自体の強靱化に向けた具体的な検討をまずは尽くしておく必要があると考えます。
 任期延長というのは、本来選挙によって信任を受けるはずの議員の身分を選挙を経ずに延長することにほかなりません。だからこそ、ほかに取り得る手段が残されていないか、それを確認し、困難な状況下でも選挙を実施することができる環境の整備についても検討を進めることが国民の理解にもつながると考えます。
 これに関連して、参議院の緊急集会の位置づけについても申し上げます。
 これまでの審査会でもほかの委員からも御指摘があったとおり、緊急集会で対応できるかどうかという法的評価については衆議院と参議院との間でも見解が分かれており、まずは両院の議論の整合を図ることこそが必要ではないかと考えます。その上で、参議院の緊急集会に何でも任せるべきではないという問題意識自体は理解するところでございます。であるからこそ、国会の機能維持の手段として、緊急集会だけに依存するのではなく、ほかの手段も併せて検討することが重要だと考えます。
 例えば、国会のオンライン出席につきましては、本日のイメージ案にも記載がありますが、オンライン出席という選択肢は、緊急時の対応手段にとどまらず、平時における議会機能の向上にも資するものと考えております。緊急事態に限定された場面だけではなく、より広い文脈での活用の在り方についても踏み込んだ議論をしていく価値があるのではないでしょうか。
 最後に、今後の議論の進め方について申し上げます。
 緊急事態条項につきましては、ただいま申し上げてまいりましたとおり、論点はいまだに多く残されており、丁寧な議論を続ける必要があると考えております。そうした中で、本審査会においては国民投票法をめぐる議論にも一定の時間を割いていただきたいと考えております。
 国民投票法をめぐっては、令和三年改正の際に附則において検討すべきとされた事項が複数残されております。さらに、この附則が設けられた当時と比べても、生成AIの進展を始めとし、情報環境は大きく変化しており、最新の状況を踏まえた議論を進める必要性は当時と比べてむしろ高まっていると言えます。
 国民投票法は、主権者である国民が憲法改正について直接意思を表明する際の手続を定めるものでございます。手続の公正性と全ての有権者が実質的に参加できる環境の確保は、改憲発議の有無にかかわらず、有権者の権利保障として重要な論点でございます。
 緊急事態条項については論点の整理を引き続き丁寧に進めつつ、並行して国民投票法をめぐる議論にも時間を割いていく、こうした進め方が結果として審査会全体の議論を建設的に深めることにつながると考えます。
 以上でございます。
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古屋圭司#13
○古屋会長 次に、畑野君枝君。
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畑野君枝#14
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 今日の審査会も、法制局がまとめた緊急事態条項のイメージ案を議題としています。一部の会派の主張に基づいて、緊急事態条項について論点を抜き出し、議論を方向づけようとすることは認められません。
 朝日新聞と東京大学が共同で行った有権者への調査では、改憲を優先的に取り組む課題だと答えたのは僅か一%にすぎません。国会の場で改憲を喧伝し、国民に議論を押しつけることは許されません。
 この間の議論で主張されている緊急事態条項の内容は、内閣が緊急事態だと認定すれば、国会の議決を得ずに法律に代わる政令の制定や予算の執行を可能にするものです。内閣に権限を集中させ、国民の権利を制限するもので、憲法停止条項です。国会議員の任期延長は、国民の参政権を停止し、内閣の独裁体制を支えるため、時の政権が国会の多数を維持するためのものにほかなりません。
 こうした緊急事態条項の規定は、さきの戦争の反省から日本国憲法が否定してきたものです。かつて日本は、朝鮮半島や台湾を植民地化し、中国大陸を始めアジア太平洋諸国を侵略しました。国内では、国家総動員の方針の下、戦争に反対する人々を弾圧して、国民経済や国家予算、学術研究など、ありとあらゆるものを戦争遂行のために動員しました。日本の植民地支配と侵略戦争で、アジア太平洋地域で二千万人、日本国民三百十万人以上が犠牲となりました。
 この戦争を遂行する体制をつくるために用いられたのが、明治憲法にあった緊急勅令などのいわゆる緊急事態条項です。当時の政府は、緊急勅令によって、議会で廃案になった治安維持法に死刑を導入する改悪を強行するなど、戦争に反対する国民の声を弾圧するために濫用しました。緊急財政処分も、日清、日露戦争、そして満州全土の制圧など、戦争を遂行する戦費を調達するために乱発されました。
 任期延長も同じです。戦前は、国会議員の任期は法律で定めるとされていました。前回も述べたように、太平洋戦争へと突き進もうとしていた一九四一年、挙国一致体制をつくるために国民の中に不要な議論を起こしてはならないという理由で衆議院議員の任期を一年延長しました。こうして国民の声を抑え込んだ下で、東南アジアへと戦線を拡大し、真珠湾攻撃へと突き進んだのです。
 この痛苦の教訓から、日本国憲法は、内閣による緊急政令を廃し、国会議員の任期を憲法に明記し、国民主権と民主主義を徹底することを求めているのです。
 憲法制定議会で金森徳次郎担当大臣は、民主政治を徹底し、国民の権利を擁護するためには、政府の一存による処置は防がなければならない、言葉を非常ということにかりてその道を残しておけば、どんなに精緻なる憲法を定めても破壊されるおそれがあると述べています。任期延長についても、自ら任期を延長することは甚だ不適当であり、任期が来れば選挙によって国民の意思を国会に反映することが重要だと述べています。
 日本国憲法が緊急事態条項を否定したのは、悲惨な戦争を二度と起こさないという決意にほかなりません。これは日本国憲法の原点そのものです。日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを宣言し、憲法九条で、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めています。戦争につながる一切のものを排除することを求めているのであり、これが日本国憲法の核心です。
 緊急事態条項の議論では、九条改憲の議論も並行すべきだとか一体に議論すべきだという主張がされています。ロシアによるウクライナ侵略も度々挙げられていますが、結局、戦争準備の議論にほかなりません。九条改憲と一体に戦争する国づくりを進めようというものではありませんか。日本国憲法の精神を根本から覆そうというもので、断じて認められません。
 私たち政治家がすべきは、国民が求めていない改憲のための議論ではありません。現実に窮地に陥っている国民の暮らしやなりわいを守るための議論です。
 アメリカとイスラエルによる国際法違反の攻撃によって始まったイラン戦争は、国民の生活に極めて重大な影響を及ぼしています。ナフサなど石油関連製品の不足で、事業者からは、このままでは廃業するしかない、コロナ禍以上に深刻な状況だという声が上がっています。この声にどう対応するのかが国会には問われています。
 最も重要なのは、一日も早く戦争を終結させることです。アメリカは今もホルムズ海峡の逆封鎖を続け、トランプ大統領は度々再攻撃に言及しています。日本政府は、アメリカとイスラエルに対して、再攻撃せず早期に戦争を終わらせるよう、国際社会と連携して外交努力を強めるべきです。
 今目の前にある国民生活の危機に対応するための議論こそ予算委員会や各常任委員会で大いにするべきだと改めて強調して、発言を終わります。
    ―――――――――――――
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古屋圭司#15
○古屋会長 次に、委員各位による発言に入ります。
 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。
 発言は自席から着席のままで結構でございます。
 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。
 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。
 また、幹事会の協議に基づき、発言時間は五分以内といたします。質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて五分以内といたしますので、御留意願います。
 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。
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高階恵美子#16
○高階委員 自由民主党の高階恵美子です。
 緊急事態条項のイメージの3、オンライン国会について、これまでの本審査会における議論の経過を踏まえつつ意見を申し述べます。
 新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、本審査会では、令和四年二月からオンライン国会について本格的に議論がなされました。法制局の論点説明や参考人質疑、集中的な討議プロセスを経て、本審査会における議論の大勢として、いわゆる緊急事態が発生した場合等においてもどうしても本会議の開催が必要と認められるときは、例外的にオンライン出席も憲法五十六条の定足数算定の基礎となる「出席」と認められる旨の議決がなされています。
 これが当時の森憲法審査会長から細田衆議院議長に報告され、議院運営委員会において議論が行われることとなり、その結果、参考人のオンライン出席を可能とする衆議院規則等改正がなされました。昨年五月三十日には衆議院安全保障委員会において米国在住の参考人に対するオンライン質疑が行われるなど、委員会においては既にオンライン審議が導入されています。
 こうした導入例のように、オンライン国会は、遠隔地にいる参考人が出席できるようになるなど、平時においても有益と認識しております。また、平時における利便性向上以上に、緊急事態においても国会機能を維持するためオンライン国会が有効かつ重要な手段の一つであることは、本審査会においても議論がなされてきたとおりであります。
 例えば、複数の議員が同時に感染力が強く致死率の高い感染症に罹患、あるいは隔離を要する状態となったり、大規模災害等によって移動手段が途絶し、定足数を満たせなくなるなどの事態はいつでも起こり得ます。先般の新型コロナ感染症流行時、衆議院では、本会議におけるいわゆる間引き出席によって三密を回避した上で国会を機能させる工夫がなされました。より毒性の強い感染症等の蔓延時には、こうした運用では対応が困難な事態も起こり得ます。そうした場合でも国会機能を維持するためには、緊急事態条項のイメージにあるとおり、憲法五十六条一項を改正し、オンライン国会を明文上認めることが必要だと考えます。
 その上で、オンライン国会を円滑に運用していくためには、幾つかの実務上の課題もあります。
 例えば、停電等による通信の途絶です。今後発生する確率が高いとされる南海トラフ地震及び首都直下地震では、大規模な被害が想定されており、長期間の停電又は通信回線が断たれるなどして、オンライン国会の開催が難しくなる可能性もあります。
 また、そもそもオンライン国会といっても、議員が自宅等から個人のスマートフォンやパソコンでアクセスし本会議に出席するとか採決に参加するといった性質のものであってよいものでしょうか。特に採決は、院の意思決定であり、非常に重たいものであります。オンラインで採決を行う場合には、本人確認をどのように実施するか、不正アクセスや採決結果の改ざん対策などセキュリティーをどのように確保するのか、また、遠隔地のオンライン出席議員が多数いる中で議長の議事整理の在り方をどのように考えるのかなど、今後更に議論を深めるべき問題もあります。
 このように、オンライン国会については、緊急事態における国会機能維持の方策として非常に重要ではあるものの、詰めるべき課題も残っております。これらの課題への対応策を検討し、可能な限りオンライン国会ができるよう努めることは当然のこととして、オンライン国会を含めた国会機能維持に関する規定を設けてもなお国会機能が維持できない万が一の不測の事態への備えも、同時に用意していく必要があるのではないかと考えます。
 以上で私の発言を終わります。
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西
西村智奈美#17
○西村(智)委員 中道改革連合の西村智奈美です。初めて憲法審査会で発言します。
 戦後日本の自由と平和の礎となってきた日本国憲法を尊重する立場から意見を述べます。
 私たち中道改革連合としては、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と自由を守るという基本政策の下、憲法議論に参画していくという立場です。
 しかし、あえて申し上げれば、先週の審査会で日本維新の会の馬場元代表は、憲法論議の核心であるべき、権力の暴走につながるとの主張について、改憲反対ありきの常套句などと発言されました。権力の暴走は、ナチス・ドイツの例を始めとして現実的かつ真っ当な懸念です。こうした発言が相次ぐ中で、また中東情勢やその影響など深刻な課題が山積する今、それより優先して憲法の議論が進んでいくことに深刻な懸念を感じています。
 また、自民党は衆議院では圧倒的多数かもしれませんが、参議院ではそうではありません。今回のテーマである緊急事態への対応に関しては、与野党の枠を超えて衆議院側と意見の開きがあります。そもそも、現在、法制局及び憲法審査会事務局にイメージ案を作成させるような段階ではなかったと私は考えます。百歩譲っても、昨年衆議院法制局から提出された資料「緊急事態条項(国会機能維持)の主な論点(イメージ)」には記載のあった、平時も含めた臨時会召集期限、緊急時、平時における解散権制約など、多岐にわたる論点が今回抜け落ちていることに納得がいきません。
 その上で、先週提示されたイメージ案について、幾つかの問題提起をさせていただきます。
 第一に、緊急事態の際に議員の任期延長が必要との説のほぼ唯一の論拠である選挙の一体性とは何かという問題です。憲法的価値が本当にあるのかという指摘がこれまで重要な論点として複数なされてきました。ここが、この憲法改正が必要かどうかを判断する大きな鍵だと考えますので、しっかりとした議論が必要です。
 第二に、想定される最も巨大な震災の際にも選挙を実施できない選挙区は限定されるので、選挙全部を延期するような立法事実はないという指摘がこれまで繰り返されてきました。まずは徹底的に選挙制度の強靱化を図り、その上で選挙全部を延期するような立法事実が残るのかを精査すべきです。
 第三に、参議院緊急集会が一時的、限定的、暫定的とされている点です。これまで緊急集会の権限については様々な指摘がなされてきましたし、自民党も、二〇二四年八月に、参議院緊急集会の権限は原則として国会の権能の全てに及ぶとしています。改めて議論すべきです。
 第四に、緊急事態の対象範囲に存立危機事態も含まれるのかです。昨年十一月、高市総理は、法律の限定を逸脱したと思える答弁をされています。支持率低下のタイミングにおける衆議院任期満了選挙を避けるために、内閣の恣意的な判断で存立危機事態を認定するとともに選挙困難事態の認定がなされ、選挙が停止され続けるという濫用が懸念されます。古今東西、自らの政治的な危機を乗り越えるために戦争を始めた指導者は少なくありません。こうした危険はないのか、今後も議論させていただきたいと思います。
 最後に、緊急政令などという、国会としておよそ認められない条項が紛れ込んでいることは論外です。憲法を改正してまで議員の任期延長をして国会機能を維持しようという議論と同時に国会が機能しない場合を想定した議論をすることは、論理矛盾なのではないでしょうか。憲法改正に決して消極ではない国民民主党の玉木代表も、先週は、あえて蒸し返さない方が得策と、今日も同様の趣旨の発言がありました。通らないことを見越してバッファーとして入れているとすら思えてきます。論外だと考えます。
 以上です。
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阿部圭史#18
○阿部(圭)委員 緊急事態条項といった場合には、主に二つの要素を含みます。具体的には国会機能維持と内閣による国家機能維持です。これはほかの委員の方もるる言われております。
 先ほど私の方から国会機能維持について見解を述べましたけれども、今回は内閣の国家機能維持について述べたいと思います。
 日本維新の会、国民民主党、有志の会の三会派がまとめた憲法改正条文案は、緊急事態条項の二要素のうち国会機能維持のみについてまとめられております。また、五会派骨子案でも、国会機能維持のみについてまとめられております。その上で、緊急事態条項のもう一つの要素たる、緊急政令と緊急財政処分を含む内閣による国家機能維持については、日本維新の会、自由民主党、国民民主党は基本的には必要だと考えているというふうにされております。
 その上で、この緊急事態条項のイメージ案につきましては、公正、精緻、明快にまとめていただいておりまして、改めて衆議院法制局そして衆議院憲法審査会事務局の皆様に感謝を申し上げたいというふうに思います。非常に簡潔そして明快にまとまっているというふうに思います。
 次に申し述べたいのは、緊急事態条項に関して慎重な方々の主張について、緊急事態条項と、いわゆる緊急事態条項、緊急事態に類する概念及び文言との混同を指摘したいと思います。それは本日の一巡目の発言にも見られておりました。
 憲法学上の整理ですが、緊急事態と非常事態とは全く異なる概念でございます。緊急事態条項とは緊急事態に際して用いられるものである一方、非常事態に対しては国家緊急権という不文の法理に関する概念が用いられます。
 緊急事態は、通常の統治機構の下で統治が行われ、立憲的統制が十分に機能する状況を言います。その上で、平時の法制度、法運用とは異なる対応を必要とする事態のことであります。
 一方で、非常事態とは、戦争で国の中枢が爆撃されて閣僚や国会議員がほとんど死んでしまうとか、散り散りになって全く連絡も取れない、こういった事態が想定をされます。すなわち、憲法所定の機関が正常に機能し得ないときにどのように対処すべきかという、国の存立に関わるこういった難しい問題に応えるものでございます。要するに、国家緊急権とは、立憲的統制を離れ、憲法秩序を停止するものです。一巡目で新藤幹事がおっしゃった、GHQの言う超法規的なエマージェンシーパワーとは、非常事態における国家緊急権のことだと私は理解をしております。
 緊急事態条項は、立憲的統制として憲法秩序の維持を目的として行われるものである一方、国家緊急権は、憲法秩序の停止という効果があります。我々が今この場で議論をしている緊急事態条項とは、まさに憲法秩序の維持を目的として行われるものであり、緊急事態条項に慎重な方々の様々な主張は杞憂であることを強調したいと思います。もちろん、我々国会は、最悪の事態を想定し、最終的には緊急事態を超えて非常事態についても議論せねばならない責務を負っていることは言うまでもありません。
 しかしながら、これまで幾多の議論を重ねてきた緊急事態と緊急事態条項については、既に論点が出尽くしておりまして、まさにこのイメージ案でまとめていただいたとおりだと思っております。ピン留めできるところはその部分から条文化を積極的に進めるべきことを改めて申し上げて、私の発言を終わりたいと思います。
 以上でございます。
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浅野哲#19
○浅野委員 国民民主党の浅野哲です。
 本日は、緊急事態条項のイメージ案について、具体的な論点を幾つか挙げ、それらに対する意見を申し述べます。
 第一に、参議院の緊急集会の射程、期間についてです。
 緊急集会は、衆議院解散後、総選挙を経て特別会が召集されるまでの間、参議院が暫定的に国会機能を補う重要な制度です。しかし、あくまで一時的、限定的、暫定的な制度です。憲法五十四条一項は、解散から総選挙まで四十日以内、総選挙から国会召集まで三十日以内、合わせて最大七十日の衆議院不在を想定しています。
 ここで、いわゆる四十日説は、総選挙までの期間を重視する点で理解できますが、新しい衆議院が活動を開始するまでの空白をどう埋めるかという課題が残ることから、射程範囲としては十分とは言えません。他方、七十日超過説は、大規模災害等への対応として理解できる点もありますが、二院制による民主的正統性の発揮、衆議院優越の趣旨との関係を踏まえれば、参議院単独で国会機能を担う状態は最小限度とするよう努めるのが妥当と考えます。
 したがって、緊急集会の権能範囲は、七十日程度を基本とするいわゆる七十日説が制度趣旨に沿うものと考えます。
 第二に、緊急政令、緊急財政処分との関係です。
 日本国憲法の制定過程を振り返れば、いわゆる三月二日案、松本案七十六条には、国会召集が不能で、公共の安全保持のため特に緊急の必要がある場合に、内閣が事後に国会の賛同を得ることを条件として法律又は予算に代わる閣令を制定できる構想がありました。しかし、先ほど新藤筆頭幹事がおっしゃられたとおり、現行憲法では、内閣に包括的な緊急立法権を与える仕組みを採用しておりません。非常時であっても議会的統制を残す制度を選択し、参議院の緊急集会を設置しました。
 この歴史の判断を踏まえれば、緊急事態において最初に考えるべきことは、内閣の権能拡大ではなく、国会機能をどこまで維持できるのか、その限界を明らかにすることこそ先決と考えております。
 また、今ほど阿部委員がおっしゃったとおり、緊急事態と非常事態の差を踏まえながら議論を行うに当たっても、やはり、国会機能をどこまで維持できるか、その限界を見極めてからでなければ、立憲的統制が取られた上での緊急政令の権能範囲の決定というのは難しいのではないかというふうに考えております。
 参議院の緊急集会、選挙困難事態における議員任期延長は、いずれも国会機能を維持するための制度であり、一方、緊急政令、緊急財政処分は、内閣に法律や予算に代わる権限を与える制度です。同じ緊急事態条項でも憲法上の意味、意義は異なり、まずは国会機能維持の方策とその限界を明らかにすることが優先すべきであることを重ねて申し上げます。
 第三に、選挙困難事態認定における国会承認の議決要件についてです。
 この要件としては、過半数ではなく、各議院の三分の二以上の承認を要件とすることが望ましいと考えます。選挙困難事態の認定は、選挙の延期や議員任期の延長につながり、議員の身分に関わる重要な意思決定となります。過半数で足りるとすれば、時の与党の判断で選挙延期や任期延長が可能になる制度だと受け止められかねません。緊急時こそ、権力を持つ側の自己延命と疑われない制度設計が必要です。三分の二であれば、一定の野党も含めた合意が必要となり、国会の総意に近い判断を示す民主的正統性の要件になると考えます。
 最後に、今後の議論の進め方についてです。
 九条など各党間で方針が大きく異なる論点は、中長期的に議論を深めるべき課題です。一方で、合意可能性があり、時間的制約のある論点については、議論を発散させず、優先順位をつけて進める必要があります。その観点から、参議院の合区問題についても、緊急事態条項の議論がまとまった後、本審査会でも議論すべきと考えます。
 昨日の参議院憲法審査会では、一票の格差と合区問題について各政党の見解が表明されました。国勢調査の速報が今月末に公表される見通しであり、二〇二八年の参議院通常選挙までに合区問題を解決するならば今年中に改正原案をまとめる必要があることを申し上げ、発言を終わります。
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北神圭朗#20
○北神委員 自由民主党の北神圭朗です。
 本日は、参議院の緊急集会と議員任期特例のすみ分けについて申し上げます。
 まず、これまでの議論の整理です。
 先週、新藤筆頭幹事から、衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化に関し、解散から四十日以内に国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で総選挙を実施することが困難な場合にこれを延期する明文規定を置くこと、及び参議院の緊急集会の射程の明確化について整理がなされたこと、この二点についてピン留めされたとの御発言がありました。
 もう一つ、いわゆる選挙困難事態の認定基準として、一つは、国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域で、二つ目には、適正な選挙実施が相当程度長期間にわたり困難である、すなわち広範性要件及び長期性要件が求められることもピン留めしてよいとの御発言もありました。
 私も、これまでの議論を踏まえれば、先ほど維新の阿部委員からも話がありましたが、これらは多くの会派の共通認識となっていると意を同じくします。
 そこで、四十日以内に選挙が困難な場合に参議院の緊急集会と議員任期特例のどちらで対応するのか、このすみ分けに関しては、相当程度長期間内に総選挙の実施が見通せるかどうかが決め手となります。四十日以内に選挙ができなかったとしても、一定の期間内にその実施が見通せる場合には、憲法が予定しているとおり、参議院の緊急集会によって対応すべきです。
 他方で、相当程度長期間、選挙の実施が見通せない場合には、任期特例等により対応すべきだと考えます。これは、憲法第四十二条を根拠とする国会の二院制の原則から導かれます。長期間にわたり国会が開かれない場合、予算、条約、重要な法案を審議しなければいけない可能性が当然高まります。行政監視機能を発揮する必要性も高まります。やはり、衆議院も参議院も国会が全体として本格的に機能することが望ましいと考えるのであります。
 では、相当程度長期間に関してはどこまで具体的に規定するのか。これについては、先週、國重筆頭幹事が、要件の核心部分は憲法に明確に定めるべきだとおっしゃいました。私も、ある程度具体的に規定する必要はあると考えます。
 しかし他方で、そもそも議員任期特例の目的は、緊急事態にあっても国会が平時と同様に機能し、国民の生命や生活を守るために必要な立法措置、財政措置等を取れるようにすることにあります。このような重要な制度について、憲法上、例えば相当程度長期間は○○日間だとか、余りにも具体的に書き込み過ぎますと、合理的な解釈の余地すら狭まります。
 極端に言えば、規定されている日数より一日ずれるから長期間とは言えないじゃないかといった極めて形式的な理由で、結局、制度が発動されないことになってしまう。本末転倒と言わざるを得ません。あるいは、その解釈をめぐって時間をいたずらに費やし、対応が遅くなってしまうこともあってはなりません。国会議員はいつ何どきも、国政を動かし、これに責任を持つ立場にあります。緊急事態であればなおさらであります。
 以上、こうした観点をも考慮し、議員任期特例の要件の一つである相当程度長期間の具体的内容について、憲法に規定すべきことと法律に規定すべきことをどう振り分けるべきか判断する必要があるのではないでしょうか。今後もこの点について本審査会で議論を深めていただくことを求めて、私の意見とします。
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寺田稔#21
○寺田委員 自由民主党の寺田稔でございます。
 選挙困難事態の認定期間における解散権の在り方、また内閣不信任決議の禁止の是非について意見を申し上げたいと思います。
 本審査会においては、令和四年以降、緊急事態をテーマとする議論が精緻に積み重ねてこられました。その中で、緊急事態の発生により選挙の実施が困難な事態と認定をされた場合の効果として、国会機能を維持をするために議員任期を延長するという以上、国会の閉会あるいはまた内閣による衆議院の解散は禁止をされるべきであるという意見が、自民、維新、国民、公明、有志の五会派から開陳をされたところであります。また、その他会派の委員からも、一般論としてでありますが、解散権が制約される場合等々について多くの発言がなされているところであります。この選挙困難事態の認定期間におけます解散権の禁止については異論のないところかと存じます。
 そして、問題となりますのが、内閣と国会の均衡を重視をする議院内閣制の理解に基づき、解散を禁止をするのであれば、その対抗措置であり表裏一体の関係にある衆議院における内閣不信任案の議決についてセットで禁止をすべきではないかという考えも申し述べられたところであります。
 また他方で、緊急事態にどうしてもこの内閣には任せられないといった場合が出てきたときのために、立法府からの最後のチェック機能は残しておくべきだということで、内閣不信任案の議決を禁止すべきでない、つまり、選挙困難事態の認定期間であっても内閣不信任決議案を議決可能としておくべきだという意見も同時に主張され、発言されたところであります。
 このような議論がありますのは、先週示されましたイメージ案の主要論点にもあるとおりでありまして、引き続き議論を深めるべき論点となっているものと思います。
 そこで、これまでの主張、論拠を整理をしてみたいと思います。
 不信任決議の禁止は必要ない、つまり、選挙困難事態の認定期間においても内閣不信任決議案を議決できるようにすべきであるとの主張。それは、議員任期を延長している間に、内閣不信任案を出さないといけないような状況が全くないかというと、あり得ないと言い切れないのではないかというものであります。総理大臣に求められる資質は平時と緊急時では異なります。どうしてもこの総理、この内閣では現在の国難を乗り切れないと判断された場合のために、最後の手段として内閣不信任決議の余地を残しておくべきであるという主張もうなずけるところでございます。
 他方で、内閣不信任決議を禁止をすべきであるという主張。それは、内閣不信任案が可決された場合、本来は内閣は憲法上、解散又は総辞職を選択することができるわけでありますが、憲法上そう定められておりますが、解散が禁止をされている状況では、内閣は直ちに総辞職をするほかありません。これでは、行政の空白が生じ、また、立法府と行政府の均衡と抑制、チェック・アンド・バランスの関係が崩れ、健全な議院内閣制とは言えなくなってしまうのではないかというのが論拠でございます。
 さらに、選挙困難事態が認定される場合というのは、衆議院四年あるいは参議院六年と定められている議員任期を延長してでも二院制国会でなければ対応できない、いわば国難と言える事態が生じているのであって、そのような事態におきましては、与野党が垣根を越えて力を合わせて対処することが当然求められるわけであります。不信任案の議決を禁止をすることにより、そうした事態においては、行政の空白を避ける、あるいは政局的な動きを防ぎ、緊急事態への対応や復興のための政策を迅速かつ円滑に前に進めることができるものと考えられ、この点についても十分論拠のあるものと言えるのではないかと思います。
 以上、双方の立場からの主張の内容を論拠も含め申し上げたところでありますが、この点も含めて、本審査会において緊急事態条項についての議論がますます深められることを期待し、私からの発言とさせていただきます。
 ありがとうございます。
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古屋圭司#22
○古屋会長 名札を立てている議員もおらないようですし、また、予定していた時間が経過いたしましたので、今回はこれにて討議は終了いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十九分散会
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