阿部圭史の発言 (憲法審査会)

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○阿部(圭)委員 緊急事態条項といった場合には、主に二つの要素を含みます。具体的には国会機能維持と内閣による国家機能維持です。これはほかの委員の方もるる言われております。
 先ほど私の方から国会機能維持について見解を述べましたけれども、今回は内閣の国家機能維持について述べたいと思います。
 日本維新の会、国民民主党、有志の会の三会派がまとめた憲法改正条文案は、緊急事態条項の二要素のうち国会機能維持のみについてまとめられております。また、五会派骨子案でも、国会機能維持のみについてまとめられております。その上で、緊急事態条項のもう一つの要素たる、緊急政令と緊急財政処分を含む内閣による国家機能維持については、日本維新の会、自由民主党、国民民主党は基本的には必要だと考えているというふうにされております。
 その上で、この緊急事態条項のイメージ案につきましては、公正、精緻、明快にまとめていただいておりまして、改めて衆議院法制局そして衆議院憲法審査会事務局の皆様に感謝を申し上げたいというふうに思います。非常に簡潔そして明快にまとまっているというふうに思います。
 次に申し述べたいのは、緊急事態条項に関して慎重な方々の主張について、緊急事態条項と、いわゆる緊急事態条項、緊急事態に類する概念及び文言との混同を指摘したいと思います。それは本日の一巡目の発言にも見られておりました。
 憲法学上の整理ですが、緊急事態と非常事態とは全く異なる概念でございます。緊急事態条項とは緊急事態に際して用いられるものである一方、非常事態に対しては国家緊急権という不文の法理に関する概念が用いられます。
 緊急事態は、通常の統治機構の下で統治が行われ、立憲的統制が十分に機能する状況を言います。その上で、平時の法制度、法運用とは異なる対応を必要とする事態のことであります。
 一方で、非常事態とは、戦争で国の中枢が爆撃されて閣僚や国会議員がほとんど死んでしまうとか、散り散りになって全く連絡も取れない、こういった事態が想定をされます。すなわち、憲法所定の機関が正常に機能し得ないときにどのように対処すべきかという、国の存立に関わるこういった難しい問題に応えるものでございます。要するに、国家緊急権とは、立憲的統制を離れ、憲法秩序を停止するものです。一巡目で新藤幹事がおっしゃった、GHQの言う超法規的なエマージェンシーパワーとは、非常事態における国家緊急権のことだと私は理解をしております。
 緊急事態条項は、立憲的統制として憲法秩序の維持を目的として行われるものである一方、国家緊急権は、憲法秩序の停止という効果があります。我々が今この場で議論をしている緊急事態条項とは、まさに憲法秩序の維持を目的として行われるものであり、緊急事態条項に慎重な方々の様々な主張は杞憂であることを強調したいと思います。もちろん、我々国会は、最悪の事態を想定し、最終的には緊急事態を超えて非常事態についても議論せねばならない責務を負っていることは言うまでもありません。
 しかしながら、これまで幾多の議論を重ねてきた緊急事態と緊急事態条項については、既に論点が出尽くしておりまして、まさにこのイメージ案でまとめていただいたとおりだと思っております。ピン留めできるところはその部分から条文化を積極的に進めるべきことを改めて申し上げて、私の発言を終わりたいと思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 阿部圭史

日付: 2026-05-21

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会