馬場伸幸の発言 (憲法審査会)
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○馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。
この四年余り本審査会でメインテーマとなっていた緊急事態条項について、議論の集大成たるイメージ案をめぐる討議を二回にわたり行い、大きな方向性が見えてきました。
先週の本審査会で我が党の阿部圭史委員が述べたとおり、選挙困難事態における国会機能維持のための議員任期延長等、おおむね合意を得られるとみなされるピン留めできる部分については、一定の結論として仕上げに歩みを進めることが肝要です。可及的速やかに条文起草委員会を常設し、イメージ案をベースに改正条文案の作成に入ることを改めて強く求めます。
また、緊急政令、緊急財政処分等、なおも煮詰める必要がある部分については、条文化作業と並行して議論を続け、最適解を見出していくべきです。全会派に御賛同、御協力を切に求めます。
その上で、緊急事態条項の条文化作業に併せ、本審査会で次回以降向き合うべき事項について述べさせていただきます。
第一に、緊急事態条項と同様喫緊の項目である本丸の九条を次の主要テーマに据えて集中的に討議を行い、成案を得るべきだと考えます。
我が党は、昨年十月の連立合意に基づき、自民党との間で緊急事態条項と九条改正の憲法改正条文起草協議会を設置し、それぞれ条文案策定に向けた議論を進めていますが、本審査会での今後の討議において、九条に軸足を置き議論を重ね、改正を是とする会派間の溝を速やかに埋めていく作業が不可欠です。
我が国を取り巻く現状の厳しく複雑な安全保障環境を受け、日本維新の会は昨年九月、「二十一世紀の国防構想と憲法改正」という提言書をまとめ、九条二項削除による集団的自衛権の全面容認、自衛権や国防軍の明記などを打ち出しました。もはや憲法への自衛隊の明記だけでは国家国民を守り抜くことはおぼつかないとの判断からです。
GHQが日本の非武装化を狙って作った現行憲法は、時代の要請を受け、自衛権行使のための必要最小限度の実力は保有できるという曲芸的な解釈変更が施されました。そこで約七十二年前に誕生したのが、戦力なき自衛隊です。国防組織なのに憲法上は軍隊ではない、歴史上類を見ない究極の矛盾です。自衛隊はこのままでは張り子の虎にすぎません。
周辺では、ウクライナ侵略を続けるロシアに加え、中国も軍備増強にひた走り、日本有事に直結する台湾有事の生起が現実味を帯び、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返しています。これら核を持つ専制独裁国家に囲まれながら、国の根幹を成す最高法規に安全保障上の危機を乗り切るだけの実効性が担保されていないことは明白です。
NATO諸国やフィリピンなど米国と同盟を結ぶ日本以外の国々は、フルスペックの集団的自衛権行使を前提に相互防衛を約束しています。国力差があっても法的に対等に守り合う関係が世界の同盟の常識です。
九条一項は、人類の不戦の戦いと侵略戦争の禁止をうたう国連憲章と同旨であり、人類の金字塔ですが、日本の非常識性は、陸海空軍その他の戦力を持てず国の交戦権を認めないとする屈辱的な九条二項の規定にあります。戦争が起こっても国のために戦いませんと、丸腰、ノーガード状態を宣言したに等しく、国際法上主権独立国家に認められている全面的な集団的自衛権の行使も禁じられています。
九条二項を甘受し続ける惰弱な日本に対し、周辺の独裁者たちはさぞほくそ笑んでいることでしょう。このまま迂回路に逃避し続ければ、日本は一層危機に瀕するだけです。この有様に対し、早い話、北朝鮮が拉致被害者を返すのだろうかと谷口智彦元内閣官房参与が先日の産経新聞コラムで嘆いていましたが、全くの同感です。
憲法違反だからと、座して死を待ったり、困ったら米国にすがりついたりするのは、まともな国の振る舞いではありません。自衛隊を軍として明確に位置づけるために、真剣に憲法改正の実現に向かうべきです。このまま放置しているいとまはありません。九条改正論議も加速させ、可及的速やかに条文起草委員会を設置し条文化の作業に着手することが、立法府の重大な使命、責務です。
世界各国の憲法研究の泰斗である駒沢大学の西修名誉教授は、平和、国防、国家緊急事態対処の三点セットを憲法条項として導入することは世界の憲法常識であり、緊急事態条項と九条改正は一体だと主張されています。
そうであるのに、ここに来て、改憲勢力とされる会派の間では、参議院選挙の合区の解消を優先すべきだという声が大きくなりつつあります。我が党は、先週、阿部委員が表明したように、これにくみする気はありません。
そもそも、緊急事態条項と九条を差しおき平時の選挙のための区割りの見直しに駆け込もうとする姿勢には、疑念を抱かざるを得ません。無論、一票の格差是正が重要である点は共有していますが、選挙どころではなくなる可能性をはらむ国家的有事への対応整備が死活的に重要な一丁目一番地であると、きっぱり申し上げておきます。
一方、こうした憲法本体の議論とともに、車の両輪を成す国民投票に関わる諸課題をめぐる議論も、双方パラレルで真摯かつ速やかに進めていくことも不可欠です。
具体的なことは二巡目に意見を述べる池畑浩太朗委員に託すこととし、私の発言を終わります。