畑野君枝の発言 (憲法審査会)
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○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
今日は、国会は憲法問題をどう議論すべきかについて幾つか意見を述べます。
私はこれまで、国民の多数が改憲を求めていない中で、国会の側が改憲をあおり、国民に押しつけるような議論はやめるべきだと主張してきました。
憲法九十九条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と定めています。これは、憲法に反する現実に対し、憲法の実現を確保させ、国民の基本的人権を守り、立憲主義を徹底しようというものです。
この立場から、憲法の原理原則を現実の政治に生かすための議論を予算委員会や各常任委員会の場で行うことこそ私たち国会議員が果たすべき責務だということをまず強調しておきたいと思います。
その上で、憲法に反する現実の政治の問題で問われているのは、憲法九条に反して自民党政権が軍事強化と戦争する国づくりを進めてきたことです。安倍政権は、二〇一四年に、それまで歴代の自民党政権も憲法九条の下で認められないとしてきた集団的自衛権の行使を一片の閣議決定で容認し、安保法制を強行しました。さらに、岸田政権は、二〇二二年に策定した安保三文書で、敵基地攻撃能力の保有を明記しました。
政府は、今年三月に国産の長射程ミサイルの配備を強行し、そして米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークの配備を進めています。二〇二三年には次期戦闘機の第三国への輸出を容認し、今年四月には殺傷兵器の輸出を全面的に解禁しました。世界の紛争を助長し、武器輸出によってもうける死の商人国家への道を突き進むものです。
そもそも、武器輸出禁止の原則は、国会での議論の積み重ねの上に衆参両院の全会一致の国会決議で確立した、憲法の平和主義に基づく国是です。時の政権の恣意的な決定で覆すなど、到底許されません。
さらに、高市首相は、今年中の安保三文書の改定を明言し、アメリカのトランプ政権の要求に応え、軍事費をGDP比三・五%に増額するための議論を進めています。日本国憲法の平和主義をじゅうりんし、軍事強化のために国民の生活を踏みにじろうというもので、断じて認められません。
憲法九条が求めているのは、絶対に戦争を起こさず、徹底した外交努力で争い事を解決することです。今こそ、この九条の精神が世界の平和のためにも求められています。それは、イラン戦争を終わらせ、国民の暮らしを守るためにも極めて重要です。今、憲法九条を守れの声が大きくなっているのも、そのことを国民が求めているからです。憲法九条の生命力を世界中に発揮することこそ求められています。
もう一つ、憲法が保障する基本的人権をめぐって指摘しておきたいのは、再審法と冤罪の問題です。
冤罪は、無実の人を長期間にわたってその自由を奪い、個人の尊厳も名誉もじゅうりんする、国家による最大の人権侵害の一つであり、絶対に許されません。
日本国憲法は、世界に類を見ないほど詳細な刑事手続の保障を定めています。それは、戦前の明治憲法下で多くの国民を不当に弾圧してきたことへの反省によるものです。
明治憲法は国民の刑事手続に関する人権保障を欠いており、その下で、検察や警察による自白の強要や長期間の拘束が横行し、多くの無実の国民が処罰されました。とりわけ、治安維持法の下で、特高警察による拷問や脅迫により国民を厳しく弾圧し、命を奪ってきました。
この教訓から、日本国憲法は、十八条で人身の自由を保障し、三十一条から四十条に至るまで十か条にわたって刑事手続について定め、公正な手続の保障、公平、迅速な裁判を受ける権利、自白の強要や拷問、脅迫の禁止など、詳細な人権保障を規定しています。冤罪を許さないことを徹底して求めているのです。
にもかかわらず、自白の強要や人質司法、証拠の捏造などが横行し、冤罪が繰り返されてきたことは極めて重大です。その上、冤罪被害者を救済するための再審開始を不当に引き延ばすことは、幾重にも許されることではありません。
袴田巌さんは、冤罪を晴らすまでに四十八年もの間不当に拘束され、死刑囚として過ごした三十四年間、死刑執行への恐怖を強いられました。このような人権侵害を二度と繰り返してはなりません。
憲法の精神に基づき、冤罪をなくすための徹底した審議を行い、再審法を抜本的に改正することが国会に求められているということを強調して、発言を終わります。
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