葉梨康弘の発言 (憲法審査会)
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○葉梨委員 自由民主党の葉梨康弘です。
私は、平成十九年の国民投票法の提出者四人の一人であり、本審査会の中では立法時における議員同士の議論を知る唯一の委員です。当時の議論を思い起こせば、与野党とも国民投票運動については、性善説に立って、できるだけ自由にという共通理解があったものと記憶しています。
その上で、本日は、国民投票運動に関する資金規制に絞って発言させていただきます。
さて、この問題については、英国の例などを参考に、一部会派から、国民投票運動等に関する支出が一定額を超える団体の届出制、当該団体の支出限度額の設定、収支報告書の提出の義務づけなどを法的に規制すべきとの意見があったと承知しています。
このような意見の背景には、資金力をバックにした一方的かつ集中的なCM等が国民の判断をゆがめるのではないかという問題意識があるものと思われますが、その問題意識を受け止めた上で発言をさせていただきます。
まず、実務上の論点です。
届出制の制度設計については、例えば、他の活動を行っている団体が国民投票に関する支出を切り分けて把握することができるのかなど、かなりの困難が伴います。支出限度額についても、複数の団体を設ければ幾らでも脱法行為が可能になる疑念があります。収支報告については、これは多分、国民投票の結果が判明した後に行われるので、どこまで実効性があるのか疑問です。その他、地方の選挙管理委員会の事務負担の問題もあることもあり、その実現には実務上の困難を伴うという印象を持ちます。
次に、立法時の共通認識と乖離せずに改善方策を探るための私の意見を申し述べます。
立法時も、広告放送については投票日前一定期間の勧誘CM規制にとどめ、国民投票運動は性善説で基本的に自由であるべきという共通認識で与野党とも収まった経緯があります。その上で、今後、CMの出し手である団体、主に政党が想定されますが、例えば自主的な申合せを行う、これを公表するという取組も検討すべきでしょう。また、CMの受け手の側である放送事業者等にも自主的なガイドラインの策定を促すなどの取組も必要でしょう。
憲法制定権力は、言うまでもなく国民です。護憲であれ改憲であれ、国会がその手続法を作らないことで国民の根本的な権利を侵害してはならない、憲法を国民の手に、このことを私は中山太郎先生から教わりました。
もとより、社会の変化に伴い、いろいろな技術的懸念はあるかもしれません。早急な対応が必要です。でも、その懸念について合意が得られないことを理由として国民投票法自体を執行できない状況をつくろうというのであれば、それは全国民の代表である国会議員の姿勢としていかがなものかというふうに考えます。
以上で私の意見表明を終わります。