吉川洋の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(吉川洋君) どうも御質問ありがとうございました。
 もう既にお話ししたとおり、中身が変わらないと経済というのは成長できるものではないということはお話ししたとおりなんです。ただ、次に問題になるのは、御質問の中にあったんですが、どういうふうに変わっていけばいいのか、そういう問題があるんですが、先生方のお仕事との関係でいうと、それを政府が見極められるのかという問題があるんですよ。
 実は、イノベーションの生みの親であるシュンペーター、あるいはハイエクという有名な経済学者もそうなんですが、イノベーションというのは基本的に草の根にあるという、イノベーションの基は草の根にあるというのが一つ重要なことなんですね。
 私はもう大学リタイアして大分たっていますが、大学で昔教えていたときに、学生に説明するのに、そのことを納得してもらうための例として、要は草の根にイノベーションの基があるということなんだけど、やや唐突な例になりますけど、子供用の歯磨きのペーストってありますね、バナナの味がするとかイチゴの味がする、今どういうものがあるのかちょっとよく分かりませんが、あれは旧ソ連のゴスプランでは作れないということなんですよ。あれはやはり、歯磨き粉、ペーストを一生懸命売ろうとして朝から晩まで歯磨きのことだけ考えている人しか、イチゴやバナナの味のするペーストがあれば子供が飛び付いて売れるんじゃないかと、そのことを一国の政府が考えるということは不可能なんですよね。これはもちろん極端な例かもしれません。
 しかし、基本的にシュンペーターとかハイエクが言っていたのは、実は、資本主義経済、自由主義経済というのが中央集権の経済より優れているその理由は、イノベーションの基が草の根にあって、これは中央集権ではできないという、そこにあるという、つまりは分権した経済のある種の強みということだと思うんです。
 ただ、私が今お話ししたことと百八十度矛盾するようですが、では、政府の役割はないのかとか、国家プロジェクトみたいなものがないのかというと、それはまた極端で、そういうものもあるんですよね。それは、そのことを我々に納得させる歴史的な事例としては、宇宙、旧ソ連が当時の米国よりも、最初は一九五〇年代に先んじて、犬を乗せた衛星、人間を乗せた衛星、それから女性の宇宙飛行士を乗せた衛星、全て旧ソ連の方が早かったわけですよ。そういうこともあります。
 したがって、国が主導するようなプロジェクトの意味というのがないというのもそれは極端で、ただ、大本はイノベーションの根というのは草の根にあって、それこそが我々の住む自由主義経済の大本だということはやはり国会議員の先生方に是非とも御認識いただく必要があると思います。
 ですから、先ほども挙げましたけど、インバウンドの例とか、そういうところで大きな役割、政府、役割果たしたわけですが、最後に、もう時間もあれですが、そういう中で、一つ、今後、我々の社会で間違いなく伸びていく、あるいは伸びることは間違いないと思われるのは、やはり医療、介護じゃないでしょうか。この医療も介護も、御存じのとおり、公的な保険があって、それは正しいと私は考える立場ですが、ありていに言えば、そこでのプライスというのは公定価格なんですよね。ですから、その公定価格をどのように設定するかによって医療事業者も介護事業者も、またセクターとしての医療・介護分野というのがどういうふうに発展していくかと、大きな影響を受けるわけです。これは民間の市場に任せておけばいいという話ではないですから、そこは政府、そして先生方の役割が非常に大きい分野だと思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。

発言情報

speech_id: 122114324X00220260311_012

発言者: 吉川洋

日付: 2026-03-11

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会