櫻井美穂子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(櫻井美穂子君) 櫻井でございます。本日はありがとうございます。(資料映写)
今日は、二つの視点でお話しさせていただきたいと思います。まず、前半が地域のデジタル活用について、後半がそのデジタル技術を使うユーザー側の視点についてでございます。
二ページ目が地域のデジタル活用についての資料になります。
こちらは、世界二十都市の持続可能戦略と日本のスマートシティーのケーススタディーを基にしまして、デジタルをキーワードとして共通項を分析したものになります。持続可能な地域づくりの指標として多くの地域で使われていますのが、この資料の図の中にございますウエルビーイングですとかクオリティー・オブ・ライフ、暮らしやすさといった指標です。特に、協働、共に創る共創、いろんなステークホルダーの方とのコミュニケーション活動にデジタル技術を使うという共通的なパターンがございました。このデジタル活用は、コミュニケーションのサポートだけではなくて、生活の新しい価値を生み出すことで持続可能な地域づくりに貢献しているということが分かっております。
この図の下の方にそのデジタル活用がどういった生活の新しい価値を生み出しているのかというのを五つまとめているんですけれども、次のページで御説明させていただきます。
まず一つ目が知識創造です。こちらは、いろんな社会課題を解決するための教育プログラムですとか、ほかの自治体、ほかの地域で何をどういうふうに解決しようとしているのかといったケーススタディー、そのケーススタディーの中で生まれてきたいろんなノウハウをオンラインプラットフォーム等で共有するといった活動が行われています。
二つ目がエンゲージメント、コミュニティー力でして、こちらは、デジタル技術を活用することで、自治体と住民の方との関係性ですとか、あと企業と利用者の方の関係性がより双方向のものに変化していきますので、その変化を先ほど申し上げた共に創る共創のためのコミュニケーションにつなげていく、それをデジタルが支えていくという形でデジタルが使われています。
三番目がサービス創出。こちらは、新しい産業、特に私がケーススタディーした事例の中では、グリーン産業、モビリティーサービス、あとクリエーティブですとかアート産業をデジタルを使って活性化していくという事例が多く見受けられました。
四番目がローカル情報の活用です。こちらは、リアルタイムデータに基づいた政策立案とデータ分析に基づいた意思決定を行うというものです。
最後が、パーソナライズと書いておるんですけれども、これは、デジタル技術を活用することによって、今まで誰にとっても同じサービスを提供していたところから、一人一人の状況ですとか御家庭の状況ですとか、あと地域の多様性を様々勘案した形で、一人一人の状況に応じたカスタマイズしたサービス提供ですとか情報の提供ができるようになるということで、そこから新しい価値を生み出していくということが行われています。
ここから、日本と海外から二つずつ事例を、簡単ですけれども御紹介させていただきます。
四ページ目です。
まず一つ目が、イギリスのグラスゴーというところの取組で、グラスゴーはスコットランドの中心都市でして、スマートシティーに注力している場所でございます。
ここでは、オープンストリートマップと呼ばれる、写真の右側に地図がございますけれども、これデジタル上の、オンラインポータル上の地図で、これを使った教育プログラムを展開しています。この地域にいろんなコミュニティーが、地域のコミュニティーがありまして、趣味を通じたコミュニティー、例えばガーデニングですとか町歩きですとかいろんなコミュニティーがあるんですけれども、そのコミュニティーの皆さんがこの地図を使って、日頃こういうところによく行くよですとか、ここにこういう課題があるんじゃないかということを、この風船のようなピンを立てて、参加者と一緒に問題を共有しながら、より未来に向けた議論を誘発していくといったことが行われています。
これはオンラインだけではなくて、写真の左側が物理的な紙を使ったものなんですけれども、紙を使った地図でも小中学校の子供たちが同様のことを行う、風船のような色が付いたピンがございますけれど、それを使って同様のことをやっているという事例でございます。知識創造ですとか、あとコミュニティーをつくるという事例です。
次、五ページ目が二つ目の事例でして、オーストラリアのメルボルンというところの事例です。
メルボルンは世界一住みやすい町としていろんな国際調査の上位に入っておりまして、先月も世界最高の都市という国際調査で初めて一位を取った都市です。
こちらに示している図は、先週の火曜日、四月の七日の午前十一時時点のこのメルボルンの中心市街地の歩行者のデータです。青と白と黄色で点示されているんですけれども、過去四週間の同日時、火曜日の午前十一時の歩行者数の平均よりも多い場合が黄色、平均程度が白、低い場合が青という形で視覚的に示されています。こちらは誰でもアクセスできるオープンデータポータルとして公開されていまして、リアルタイムなデータが公開されておりまして、市の都市計画ですとか、あと民間の新規のサービス、例えば出店計画等に用いられているものでございます。
次の事例が六ページ目で、こちらは日本の神奈川県の藤沢で行われているスマートタウンなんですけれども、こちらは、スマートタウンの中にお住まいの住民の方ですとか、あと商業施設のテナントの方が最新情報を投稿し合うようなクローズドなポータルになります。
先ほど、メルボルンは誰でもアクセスできる形で公開していたんですけれども、こちらはクローズドな、関係者だけが見られるポータルで、この町の中でいろんなサービスが提供されていまして、モビリティーサービスですとかエネルギーに関連するサービスが提供されているんですが、こういったサービスへの入口としても使われているポータルになります。ちょっとこの写真には載っていないんですけれども、このスマートタウンの中の戸建ての屋根に全部太陽光発電装置が付けられておりまして、今日、これぐらいこの地域全体で電力をつくったよとか、これぐらい消費したよということが可視化されて見えるようなグラフもこのポータルの中で表示されています。
最後は、七ページ目の、こちらも日本の福島県の会津若松の事例ですけれども、これは町歩きアプリで、ペコミンというアプリケーションです。
こちらも地図と連動しておりまして、先ほどのメルボルンの事例と似ているんですけれども、市が公開しているオープンデータがこの地図上に連動して表示されるようになっています。ユーザーの方がこのアプリケーションをダウンロードしていただくと、こういった形でオープンデータも見られますし、ほかのユーザーの方が投稿した、この場所はこういうのがお勧めだよといったような情報が見えるようになっていて、町歩きをしながらほかの方と情報交流ができるというサイト、アプリです。あと、歩数に応じたポイント等も獲得できるといったもので、コミュニティー強化の事例として御紹介させていただきます。
続いて、八ページ目から後半の観点なんですけれども、様々、今御紹介したのも一例でございますが、いろんなデータですとか、あとサービスが存在しておるんですけれども、それを使う、使われないと意味がないということで、ユーザー側の視点で幾つか調査をこれまでしておりますので、御紹介させていただきます。
そのユーザー側の視点というのも二つございまして、まず組織の視点と、あと個人の視点ということで、この八ページ目の図は組織の視点で、二〇二一年に国内の基礎自治体、市区町村の十六の自治体の職員の皆さんにヒアリングをした結果になります。このヒアリングでは、自治体がデジタル化をする上でどういった人の能力が、個人個人の能力が必要ですかということと、あと組織全体にどういう文化が必要ですかということを聞いたものです。
そのヒアリングを基に三つの力を定義したんですけれども、まず個人の力、自治体のデジタル化に必要な職員一人一人の力ということで、一つ目が構想力で、デジタルを使って一体何をしたいのかということを考える力。二つ目が自己変革力で、これは、そのデジタルの世界が、この当時はまだAIの議論もそんなになかったんですけれども、今調査するとしたらAIのこと聞かなきゃいけないですけれども、どんどんどんどん変わっていくので、その変わっていく中でいかに自分を絶えずアップデートして変えていこうとしていけるのかということで、自己変革力。あと三つ目が、これ自治体の皆さんにお伺いしたので、現状の法制度の中で一体何ができて何ができないのかというのをしっかり理解することが必要ということで、この三つを定義をいたしました。
この下にいろいろ何とか力で書いたんですけれども、黄色の書いてある住民目線力ですとか対話力というのがコミュニケーションの能力です。真ん中のオレンジで囲っている問題設定力、分析力等々が、今でしたらAIがかなり強力にサポートしてくれる力になります。右側が、グレーで示しているものが、突破力ですとか説明力って書いたんですけれども、こちらは、その上の三つのどの力に対しても共通して必要な力として分析をいたしました。
九ページ目はもう少し細かいお話ですので、ちょっと後ほど御覧いただければと思います。
十ページ目が、今度は、ヒアリングの中で、じゃ、自治体のデジタル化に必要な組織の文化というのは何ですかということをヒアリングした結果になります。こちらも三つの大きな力を定義したんですけれども、ビジョン力、これ先ほどの構想力と同じで、デジタルを使ってどういう未来を目指したいのということと、あと寛容力、これは余り日本の伝統的な組織文化と相入れないところがあるんでございますが、失敗を許して先に進んでいくという寛容力。あと最後が理解力で、これは、そもそも情報システムが一体何ができて何ができないのという基本的な知識の力ということで挙げられていました。ここも先ほどと同様に黄色、オレンジ、グレーで色づけしたんですけれども、やはりコミュニケーション、組織としていろんなステークホルダーとの対話力、ネットワーク力、チーム力、組織横断力って書いてあるんですけれども、こうした力が非常にデジタルの社会で重要だということをたくさんの職員の方がおっしゃっていたということになります。
次のページの下の方に理想のリーダー像というふうに書いたんですけれども、このヒアリングの中で、どういうリーダーがいると自分がよりデジタルがやりやすくなると思いますかという質問をしたときに出てきたお答えの一部ですが、失敗を恐れずやってみるマインドセットがやっぱり重要だということがいろんな方からお伺いできまして、それがあると、自分たちが何か新しいことをしようというときの後押しになるよということでした。
十二ページ目。こちらも先ほどのヒアリングの中で、職員の方がお話しされた中でどういうキーワードがたくさん出てきたのかというのを可視化したものなんですが、多く出てきた単語が多く表示されるようになっております。赤で囲っていますように、失敗ですとか挑戦、相談といったキーワードがたくさんたくさん出てきたということでして、先ほどと重複いたしますけれども、やはり組織全体の寛容力、失敗してもその失敗を糧に次につなげていこうということですとか、失敗を恐れずやってみようというマインドセット、この組織文化が非常に大切ということがこのヒアリングで分かったことでございます。
続いて、あと二つ調査結果を御紹介して終わらせていただきますが、続いては個人の視点で、私たち一人一人、住民の方がどういう観点でデジタル技術を使っているかという調査になります。
こちらも二〇二一年に、十三ページ目ですけれども、二〇二一年に全国の四千人強の方を対象にオンライン調査をいたしました。当時、コロナ禍で、いろんなことをデジタルを使ってやってみようということが注目されていたんですけれども、その中で、行政のサービスもオンラインでできるということがいろいろ進んでおりまして、その行政のオンラインサービスでどういうニーズがあるんだろうということを明らかにしたいというのがこの調査の目的でした。
十三ページ目でお示ししていますのは、その行政のオンラインサービスの利用意向が高い方って一体どんな人なんだろうというのを分析したものでございます。質問は、お住まいの自治体との近さを感じるのはどんなときですかという質問に対して、地域のイベント、お祭りや屋外での催しに参加したときと答えた方が行政のオンラインサービスの活用意向が高いという、そこに相関関係があるということが分かりました。デジタルのことを研究しているんですけれども、こういったアナログな地域のイベントというのはすごい重要だということが分かりました。
続いて、十四ページ目は、別の質問で、お住まいの地域でどういう暮らしを送りたいですかという理想の暮らしを聞いた質問になります。この質問に対して、静かで煩わされない暮らし、お金の心配の少ない暮らし、災害や犯罪から守られた安心できる毎日と答えた方の行政のオンラインサービスの活用意向が高いという相関があるということが分かりました。
最後、もう一つ別の調査を御紹介させていただきます。十五ページですけれども、こちらは一番新しい調査で、二〇二四年の末に全国の二千人を対象にしたオンライン調査です。
先ほどは行政のオンラインサービスの活用意向を聞いた調査だったんですけれども、もう少し広い視点で、デジタル技術そのものを毎日の生活の中に取り入れたいというふうに考えていらっしゃるかどうかというのをデジタル活用意欲というふうにラベルをしまして、その活用意欲にどういった心理的な要因が影響を与えるのかというのを明らかにしようとした調査になります。さらに、性別や年代別の違いを見たいという目的の調査です。
デジタル活用意欲は、デジタル活用によって生活がこれまでより楽に、あるいは良くなったと思うか、AIを含めた新しいサービスを今後使っていきたいかという質問項目を基にこのデジタル活用意欲という項目をつくりました。
その心理的な要因としては、信頼、不安、自信といった要因を定義をいたしまして、分析の結果、この三つが全てデジタル活用意欲に影響を与えるということが分かりました。具体的には、信頼と自信はプラスに影響しまして、不安はマイナスに影響するということと、あと、性別と年代がいずれも有意にこのデジタル活用意欲に影響を及ぼすということが分かりました。
もう少し詳しく見ているのが十六ページ目からでございまして、デジタル活用意欲、あと信頼、自信の各項目の平均値の推移なんですけれども、これは傾向としまして男女共に年齢とともに下がっていきます。平均値そのものは男性の方が女性よりも高いという結果になりました。不安は、反対に男女共に年齢とともにどんどん数値が上がっていきます。平均値は女性の方が男性よりも高いという結果でございました。
こちらの十六ページに示しておりますのは、デジタル活用意欲と信頼の数値でございまして、女性四十代、男性五十代でいずれもマイナスに転じています。あと、男性五十代、女性四十代から若年層に比べて有意に下落しているということが分かりました。
十七ページ目は不安と自信の図ですけれども、推移ですけれども、不安は、男性二十代、女性三十代を底に上がっていきまして、男女共に五十代から若年層に比べて有意に上昇しているということが分かりました。自信は、男性五十代、女性四十代から若年層に比べて有意に下落しているということが分かりました。
こちらが最後のスライドですけれども、地域のデジタル活用に向けてということで、デジタルを使って生活の中の新しい価値を創造していくということを多くの地域で取り組んでいます。
具体的には、冒頭に御説明させていただいたような五つのキーワードがございました。特に、コミュニケーション力ですとか多様性理解力、新しいリーダー像、こういったものを踏まえて、その地域の自治体なり企業なり、組織全体として取り組んでいくときにコミュニケーション力がすごく重要だということが分かっていまして、私自身はずっとデジタル活用の研究しておるんですけれども、これ研究すればするほど、物理的な人との対話ですとか関係性を構築するという能力がいかに重要かということを日々感じているところでございます。
最後、御紹介した幾つかの調査で、デジタル活用意欲を向上させるためには、オンラインで何かを頑張ってやるだけではなくて、地域のお祭りですとかイベントといったアナログの活動もすごく重要ですし、男女共に特定の年齢層、特に高齢層に対していろんなデジタルのサポート、今政策が行われていますけれども、特定の年齢層だけではなくて、それぞれ男女の違いですとか性別の違いに着目しながらライフステージの変化に寄り添った対策が必要だと考えているところでございます。
以上で私の発表を終了させていただきます。
ありがとうございました。