増田寛也の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(増田寛也君) 今日は、このような機会を頂戴いたしまして、大変ありがとうございます。
御指名をいただきました増田でございますが、いただきましたお題が、地方公共団体の持続可能性についてということでお題をいただきました。
持続可能性については、例えば財政面のことも気になる部分もございますが、現在、地方制度調査会で、ちょうど一月の十九日ですか、諮問がございまして、いわゆる人口減少で自治体の職員の確保自身が大変今厳しくなってきているということで、国、そして都道府県、市町村の役割分担も含めて議論するようにということで、ちょうど議論が始まったところでございますので、今日はそうした国、そして県、市町村の役割分担の変更も含めて、こういった職員の確保、人手不足についてどう対応していくのかということについてのお話を申し上げていきたいと思います。
資料を一枚めくっていただきまして、しからば、今、地方公共団体の人材の状況が今後どうなっていくかということでございますが、一ページ目、これは各自治体、左側が市区町村でございまして、右側は都道府県でございますが、御覧いただきますように、二〇五〇年、三十年後に向けていかに人口規模が小さい団体が多くなるかと、多くなっていくかということを示しております。特に市区町村におきましては、もうかなり一万人以下のところが、半分とは言いませんけれども、それに近いぐらいの、数でいえば割合を占めてくるということでございます。
二ページ目でございますが、その中で、当然のことながら、今、市町村あるいは都道府県の職員数、年齢の中で山と谷がございます。いわゆるかなり人口が多かった団塊ジュニア世代が、左側の図でございますが、ちょうど四十八から五十三ぐらいのところに今、年齢層が差しかかっておりまして、ここはかなり人口の塊になっておりますが、二〇四〇年、ちょうどこれ、今から十四、五年たった頃にはこの団塊ジュニア世代がみんな退職をする一方、最近、ここ数年、特にそうでございますが、都道府県、市区町村に入ってくる職員数というのは二十代前半が過半でございますけれども、いわゆる人口がぐっと減ってきたときに生まれた人たちということになりまして、右側の方でございますが、非常に、例えば、これは出生数でいいますと、一昨年の出生数がもう七十三万、昨年はもう日本人については七十万をはるかに割る数字になるわけでございますので、三分の一ぐらいの母数のところから一体どのくらいの職員が入ってくるのかと、こういう時代に十四、五年なると突入してくるということでございます。
そして、三ページ目でございますが、これは、多くの市町村に行きますと嘆きのような話が聞かれるわけでございますが、県も含めて、特に市町村においては、専門の技術職の職員の確保に今大変厳しい、その人たちについては応募がほとんどもうない状況であるという嘆きの声が聞こえてまいります。
真ん中のところに棒グラフで示しておりますが、特に逼迫しておりますのが土木技師、それから建築技師、そして保健師さん、それからいわゆるIT人材ですね、さらにそれに続きまして、保育士さん、看護師さんと、いわゆる土木建築分野、そして社会保障分野、さらにはIT分野といったようなところが非常に今職員採用に難渋をしていると。そして、そのページの一番下のところでございますが、約半数の市町村がもう募集してもほとんど応募がない、ここ数年ゼロですという話もいろいろ聞こえてくるところでございます。
こうした今の実情でございますが、四ページ以降、そういう中で、一方で行政需要自体も少し変化してきているということがございます。
四ページの方は、その中で行政の事務自体の変化の一つとして、行政需要が多様化、複雑化しているということを示した資料でございます。この四ページの左側の上の方は事務量が増えてきていますよという例を幾つか書かせていただいています。今お話ございました少子化の問題、それに従ってのいわゆる保育サービス始め社会保障分野の問題。それから、どこでも移住、定住策に大変力を入れている、そして、その一つとして空き家をどう利活用するかといったようなものもございます。そして、下の方でございますが、行政需要自身が変化してきているというものの例として、カーボンニュートラルですとか、いわゆるそうしたSDGsに関係するようなもの。それから、少し年代が、ケアの問題でもヤングケアラーの苦境をどう救うかといったようなものもございますし、それからインバウンド、外国人。そして、今お話ございましたインフラの老朽化対策。なかなか以前の経験値が通用しない、複雑化しており、そして多様化しているところに丁寧に対応していくといったような需要が増えてきております。
また一方で、一応総務省がチェックをしていることにはなっておりますが、各省で作ってきます法律に基づく市町村計画などの策定の作業も、右側の方に少し書いておりますが、入ってきておりますので、事務量自体は決して住民数が減っても減ることではなく、むしろ増えてきていると。
こうしたことについて、五ページでございますが、これまでも個別法でいろいろな対応策が行われて、取られてきました。古くは平成十一年に、二〇〇〇年でございますが、地方分権一括法が成立をいたしまして、特に福祉分野を中心に、まず市町村で、身近な市町村がきめ細かく処理をするという、そういう考え方の下で、そこに、五ページに法律の改正について書かせていただいておりますけれども、基本は市町村中心にきめ細かい行政を展開していくという考え方で法体系ができ上がってきたと、これがこの地方分権の流れの中での改正の内容でございます。
しかし、冒頭申し上げましたような、体制がかなり脆弱になっている中で、六ページでございます。これちょっとタイトルのところで、中には書いているんですが、介護保険と大きく書いていないんですが、市町村の中でも大変重要な介護保険の様々な業務をどういう体制でやっているかという平均的なものを総務省の資料からピックアップしたものでございますが、いわゆる介護保険業務、六ページの左側が平均的な市、大体人口五万人ぐらいのところでありますと、職員数も大体おおよそ決まってくるんですが、その中で、まあいろんな名前がございますが、ここの市では健康介護課というところの介護保険係というところが主に介護保険の仕事を担っていますが、その中の重要な認定審査、介護保険料賦課、そして事業者の指導はもうそれぞれ常勤者を一人張り付けるのが精いっぱいでございまして、特に認定審査は非常に多くの人たちに対応していかなければいけませんので、非常勤の人を雇って、それで対応している。
右側は非常に小さな村でございますが、人口千五百人ぐらい。ここでは、こうした介護保険の関係はもう課の中の一つの係、保健福祉係というところでやっておりまして、その中にも、ほかにも障害者福祉ですとか生活保護だとかほかの業務もございますので、介護保険については常勤者一人で対応せざるを得ないと、こんな状況でございまして、少し下に細かな、どういう市の外の業者に委託しているのかなどは書いておりますが、実は、高齢者も非常に多くなってくるというか、場合によっては、もう既に右側の村のようなところは高齢者すら少し少なくなってきているような実態もございますが、いずれにしても、掛ける時間なども非常に少ない中で何とかやりくりしてきていると、こういうのが今の実態かと思います。
七ページ以降でございますが、こうしたそれぞれの業務に応じて、時代が変わってきておりますので、ここ十年ぐらいの間に各省の方でも個別法の中でいろいろな制度対応の工夫をしてきたと。これは、いわゆる広域化を図ったりするといったようなものもございますし、市町村から都道府県の方に一部事務を移すといったようなこともございますし、外部委託をしていくということもございます。
その具体例を七ページ以降、七つほどくくってこちらにお持ちしておりますが、少し簡単にそれぞれ御説明してまいります。
七ページは、これは外部への、外部の団体に委託するということでございまして、よく施設の管理を外部の指定管理者の方に委託するといったものもございますし、それから郵便局、昨年まで実は私も郵便局の方にお世話になっておりましたが、郵便局の方に包括事務委託が可能なように制度も変わってまいりました。そういったところを活用して、窓口業務を受け持ってもらうといったようなことも行われてきております。
右側の方は、御案内の地方独立行政法人ということで、民間には少し業務の内容として適さないけれども、その自治体が直接というものではなくて、地方独立行政法人という中でルール化して、そこを業務をしていくというものでございます。
八ページでございますが、こちらは、下水道が一つの例でございますけれども、市町村の枠を超えて、長野県の場合には下水道公社を一つつくりまして、そこが維持管理業務などについてまとめて受託をして、一部は民間事業者へ発注すると、こんな工夫で何とかしのいでいるという分野もございます。
それから、九ページでございますが、事務処理を例の広域連合という形で処理するということで、ここでは老人保健法、それから国民健康保険団体連合会等々のものが出ておりますが、特に一番右、国保の財源が市町村ごとでは大変やはり小さく不安定ということで、途中で都道府県が財政運営の責任主体になるということで、市町村の財政不安がかなり解消された部分がございましたけれども、こんな例もこれまで行われてきたところでございます。
十ページは、これ、もう一度また消防と水道法の関係でございますが、市町村が広域で事務を推進していくというのも一つのやり方でございますが、市町村同士がいろいろ話を進めているところもございますが、都道府県に、その中で広域化の推進を担う責務を都道府県の方に負わせて、そこが市町村とよく相談をしながらそうした業務を推進していくと、こういう事務処理もこれまで幾つか工夫をされてきております。
十一ページでございますが、これは例のマイナンバーカードで、事務ですね、情報をJ―LISの方に一元化をしてそこでやるという、ちょうど十一ページの真ん中がその例でございますが、地方公共団体が、余り、個別というよりは全国で統一的な事務処理が可能なものについては、地方共同法人をつくって、そして処理をするといったようなことを幾つかパターンを書いております。
そして、十二ページが、国が、一方で直轄代行という形で行うと。ここも少しずつ制度が広がってきました。これは災害時などには特に有効でございますが、こうしたことも行われて、できるだけ迅速に事業を行っていくという工夫もなされてきたところでございます。
最後に十三ページでございますが、ここが今後大きな議論に恐らく地方制度調査会でもなっていくと思いますが、事務処理について工夫する際に、一つは、当然のことながら、共同処理を市町村間で広域に連携をして行っていくという、こういうパターンがございます。私も幾つかこの現場の方も取材に歩いてまいりましたが、北海道などでもこういったことがいろいろと活発に行われております。
もう一つ、右側でございますが、ここが今後、地方制度調査会で大きく議論されていくと思いますが、この際、市町村も大変脆弱な体制になってきているところが幾つか出てきていますので、思い切って、市町村の事務のあるものについて都道府県の方に担わせるという、ですから、今までの分権の考え方とは少し逆になりますが、ですから、市町村から見ると一部事務を返上するような形になりますけれども、そこで住民サービスが行われていく。例えば、先ほどのように、インフラ関係もそうでありますし、除雪なども、実際にやる行為は、国の直轄道路も都道府県道、市町村道、同じようなことになりますので、例えば、市町村道について体制が脆弱であれば都道府県の方が責任を持ってやるといったようなこと、いわゆるここでは垂直補完と言っておりますが、こんなことも今後しっかりと議論していく必要があるのではないかと思います。
十四、十五、十六は、ということで、まだ議論が始まって二か月たっておりませんが、ですから、まだほとんど議論がこれからということになりますが、地方制度調査会で、これ国会議員の先生方もお入りになっている場でございますが、今やっと議論が始まりました。
この十四、十五は、一番左側、縦に地方分権下での役割分担の基本的な在り方、これは二十五年前、ちょうど二〇〇〇年の地方分権一括法のときの原則が書かれておりまして、できるだけ基礎自治体優先で事務や権限をそこに移譲すると、そして、国や都道府県はそこを補完的に処理していくんだ。あとデジタル等も書いてございます。そんな考え方でいたものが、縦の真ん中のところですが、時代の変化とともに、先ほど申し上げましたような形で幾つか個別法の対応で変わってきております。そして、議論これからになると思いますが、一番右側のところに、地方制度調査会の資料を見ますと、これまでの取組から出てきている役割分担の見直しの手法を全部いろいろと通底する考え方を抜き出して、そこで、十六ページに書かれておりますような検討の方向性ということでどうもまとめていくのではないかと、このように見られるところでございます。
聞きますと、年末までに中間的な整理をするということでございまして、この地方制度調査会の中での議論を私もこれからいろいろ見ていきたいというふうに考えておりますが、最後に、少しそういう前提の中で十七ページに幾つか考え方をまとめさせていただきました。
七つ書いてございますが、簡単に申し上げますが、今後の人口減少が更に加速している、公共団体の人手不足顕在化をしているという中では、やはり業務の円滑な遂行をしていくためには、事務を減らしたりまとめたり、あるいは担い手を広げる、これは住民参加など、あるいは民間活用も広くしていくといった意味合い、そしてAIを活用していくといったようなことがもはや必須であろうと思います。必ず必要になってきます。具体的には、そのやり方として、もう既に行われている業務の一部の外部化や広域化、地方共同法人、そして国の代行など、様々なものが今後も個別法の中で取り入れられていく、そういう可能性もあるだろうと思います。
そして、三番でございます。さらに、業務の内容によっては、市町村間で広域で連携して、水平連携で解決できるというものは大いにやっていただく必要がありますが、場合によって、垂直補完、どうしても国や都道府県がそこを補完を直接するということも制度的には場合によっては今後あるのではないかというふうに思いますが、その場合でも、四番に書いてございますとおり、全国一律の対応とするのではなくて、地域のアセットはそれぞれ違いますので、非常に、地域の主体で、そうしたことを選んでいくところがそういう制度を使えるというような柔軟な制度にする。そして、私はやはり、国、都道府県、市町村の役割分担の変更の中でも、一番住民に身近な基礎自治体優先という地方分権の原則を維持しつつ、そこを大きく変えるのではなく、その中で工夫をしていくべきではないかと、こういうふうに考えております。
もちろん、六番に書いてございますように、その中で得られたものについて、個別法の見直しにつなげられるものはしっかりと各府省が責任を持ってつなげて、その上で財源もしっかりと確保するということが必要かと思います。
最後に、七番で書いておりますが、行政の役割分担の変更がそうした場合に今後も可能性としては出てきますが、そこの部分だけを議論するのではなくて、議会も含めた自治体運営全体を見通して、本当にそれが適当なのか、都道府県がもし一部垂直補完した場合に、やる業務はやっぱり市町村がこれまでやっていた業務ですので、本当に市町村議会が都道府県がやったことについて議会の中できちっとただせるのかどうか、そういう議会機能もきちんと果たせるかどうかも含めて、トータルでこうした議論を展開していくことが必要ではないかと、このように考えているものでございます。
私からの発表は以上でございます。