柴愼一の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○柴愼一君 立憲民主・無所属の柴です。柴愼一です。よろしくお願いいたします。
本調査会は、「情勢の変化に対応した未来志向の社会の構築」を三年間のテーマと決定し、一年目である本年は、「社会・経済情勢の現状」について、四回にわたり参考人質疑を行ってきました。専門的な知見を有する計十一名の参考人の方々から貴重で有意義な御意見を伺うことができました。
本調査会で行ってきた参考人質疑を踏まえ、その中でも特に重要と考え、印象に残った議論を三点に集約し、意見を述べたいと思います。
まず一点目は、少子化と人口減少に伴う人手不足についてです。
我が国は、生産年齢人口の減少に伴い、社会生活の維持に欠かすことのできないエッセンシャルワーカーの人材確保が大きな課題となっています。医療、介護、物流、インフラなど、様々な業種の人材不足が深刻化していますが、処遇が改善されていません。これらの職種に携わる人たちが社会への貢献にふさわしい賃金を得られるよう、労働の価値を適正に評価することが強く求められます。
学習院大学の宮川参考人からは、エッセンシャルワーカーの役割について、学校教育の中でその重要性を強調していくことが必要であるとの意見が述べられました。AI時代を迎えた今こそ、エッセンシャルワーカーが持続可能な社会を維持していく上で欠かすことのできない存在であることを社会全体が再認識すべきです。
我が国では、労働者の処遇が、労働の価値や必要性ではなく、旧来のホワイトカラー、ブルーカラーなどの職業イメージなどによっているのではないか。このノルムを変えていく必要があることを強く訴えたいと思います。
また、野村総合研究所の増田参考人からは、地方公共団体で人手不足が顕在化し、特に土木技師、保健師等の専門・技術職の確保が極めて困難になっている状況が説明されました。国による事務の代行に加え、国と地方公共団体が垣根を越えて共に人材を育成する仕組みづくりが必要となるのではないかとの参考人の意見を真摯に受け止め、地方の人材確保に取り組んでいく必要があります。
二点目は、日本の低い労働生産性と賃金についてです。
宮川参考人からは、日本の労働生産性は、近年、他の先進国に比べ差を付けられていること、東京大学の吉川参考人からも、労働生産性の伸びが非常に悪いことが指摘されました。新しい技術や産業により労働生産性を向上させ、その生み出した利益が賃金の引上げに還元されていく経済の好循環が求められますが、同時に、長年続いたデフレ下で低賃金が当然となり、そのことが技術革新の遅れにつながっているという面もあります。
吉川参考人は、我が国の賃金水準について、賃金に見合った生産性を生み出すのが経営の役割であり、経済全体で見て日本の賃金は少し安過ぎると述べられました。生産性の高い産業に労働力が移動していない現状がありますが、さらに、吉川参考人は、良い職があれば人は動いていく、移らないのは移りたいと思うような職、ジョブが不足しているからだとも指摘されています。低賃金、低生産性の悪循環から適正な賃金と高い生産性の促進という好循環への移行が強く求められます。
三点目は、時代の変化に対応した働き方についてです。
近年、これまでの画一的な労働形態に縛られず、働く人のライフスタイルの変化に合わせた働き方が重視されるようになってきました。テレワークの活用などデジタル化も進んでいます。
神戸大学の大内参考人は、こうした状況を踏まえ、ICTの発展は労働者を場所的、時間的な制約から解放することにつながると述べており、さらに、企業も人材不足の中で個人の多様なニーズに合わせなければならないと指摘するなど、企業の取組も重要としております。
今後、こうした多様な働き方は、労働力不足の解消の一助になるだけではなく、個人のワーク・ライフ・バランスの充実、企業にとっても優秀な人材の確保につながるものと期待しております。
一方で、プラットフォーム労働等の新たな働き方における労働者保護の在り方の検討は今後の大きな課題であり、実態に即した具体的な対応が必要となります。
最後に、これまでの参考人質疑を振り返って、政治が取り組むべき課題の多さを再認識することができました。一年目の調査会で各参考人の方々からいただいた貴重な御意見を今後の調査にも生かしていくことが重要です。二年目以降の調査会においては、人口減少と少子高齢化の問題に加え、働き方、インフラ、貧困対策、コミュニティー、地方の課題、教育などについても議論を深めていくことが重要ではないかと考えます。
以上です。