伊勢崎賢治の発言 (内閣委員会)

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伊勢崎賢治君 全てが、全ての援助は、アメリカでも相手国のためなんですよ、建前上は。それで、こういう教訓、こういう失敗が続いているということを申し上げ、この熱量を分かっていただき、この問題の深刻さをね。
 続けますよ、いいですか。この時代のアフガニスタンと同時進行していたもう一つの事例があります。イラクであります。
 二〇〇三年のアメリカのイラク侵略、そしてサダム・フセイン政権の崩壊後、日本は何と総額五十億ドル、そのうち七割が円借款です、巨額の支援を決定いたしました。その背景には、二つの大きな政治的理由がありました。
 第一は、同盟国アメリカへの配慮であります。国際的な支援を得ていたアフガニスタンのケースとは違い、イラク戦争においては、アメリカは協力国、有志連合ですね、の確保に極めてこれ問題、窮しておりました。だからこそ、日本として米国への強力なコミットメントを示す必要があったと。
 第二に、中東の原油サプライチェーン、すなわち油田利権を確保するという、まさに当時のエネルギー安全保障の思惑であります。つまり、政治的思惑が金融機関としての償還確実性を完全に凌駕した典型例がこの対イラク円借款でありました。
 実際、我が国は、サダム・フセイン時代に既に焦げ付いていた過去のイラクの債務約六千七百億円を帳消しにする一方で、並行して最大三十五億ドル、日本円で三千八百億円です、を上回る新規の円借款を決定し、実行しました。
 私は、G7各国の開発金融機関におけるリスク管理基準や議会監視の仕組みについて国際比較を行いました。これほどの前科を抱えながら、前科です、その教訓を省みず、再び経済安保という政治的スローガンの下で審査規律を緩めて支援を拡大する、このような公的金融機関の在り方は、先進国の中でも極めて異例です、これ。日本だけです。構造的にちょっと異常です。
 端的に申し上げれば、G7各国が、過去の失敗から厳格なリスク管理と議会への事前通告などの強い監視の仕組みを構築してきたのに対し、我が国の本法案では、国会による事前チェックの仕組みすらなく、意思決定をブラックボックスに置いたまま規律だけを緩めるという世界の潮流への完全な逆行にしか見えません。
 その後のイラクがたどった道もまた極めて厳しいものでした、御案内のとおり。深刻な宗教対立、テロの多発、そして過激派ISの台頭、治安悪化、汚職、イラクもまた世界で最も腐敗が深刻な国の一つになりました。日本が融資したインフラ事業は、常に中断や遅延、不透明な資金流出の極めて高いリスクにさらされ続けました。イラクの円借款は、政府間のODAでした。しかし、今回の法案が対象とするのは、日本の民間企業を通じた出資であります。
 政府間のODAですら、政治的思惑が優先されれば、これほどのリスクを抱え込む。ましてや、民間企業を通じた事業において、経済安全保障という政治的スローガンを免罪符にして再び審査規律を緩め、民間企業のリスクを国庫で肩代わりしようとしております。
 実際、アメリカもイラクにおいて、アメリカにおけるJBICに相当するOPICですか、OPICを通じて、自国の民間企業による現地事業に巨額の融資や補償を行いましたが、治安悪化と汚職の中で、これらの事業もまた破綻しました。
 政府に伺います。済みません、時間がないですね。政治的な、それとか地政学的な要請を優先して審査規律をゆがめ、イラクにおける米国の民間融資の失敗のような悪循環を今度は日本の民間企業を通じて繰り返す。この懸念、僕の懸念、どうお考えになりますか。お願いします。

発言情報

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発言者: 伊勢崎賢治

日付: 2026-06-09

院: 参議院

会議名: 内閣委員会