古賀千景の発言 (文教科学委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

古賀千景君 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主・無所属、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、デジタルな形態の教科書のアクセシビリティ機能を充実させ、障がいの有無や不登校、言語の壁を越えて、一人一人が得意を伸ばし自分らしく輝ける質の高い教育環境を全国に整備すること。加えて、認知特性にかかわらず、全ての児童生徒が学びにアクセスできるよう、標準化を推進するとともに、多様な学びを適切に評価する方策について検討を進めること。また、国内外のアクセシビリティに関する標準規格を踏まえ、デジタルな形態の教科用特定図書等が満たすべき技術的標準規格の策定に当たっては、当事者の声が規格策定のプロセスにおいて適切に反映されるよう、参加の機会を確保すること。
 二、デジタルな形態の教科書の導入を単なる教材の電子化にとどめることなく、生成AIの急速な進展や人口減少社会の到来を見据え、我が国が目指す公教育の将来像を明確に示すとともに、子どもたちの主体性、創造性、協働性及び情報活用能力の育成に向け、必要な施策を総合的かつ計画的に推進すること。また、デジタルな形態の教科書の教育効果について、学力のみならず、主体性、創造性、協働性、情報活用能力その他の資質・能力を含む多面的な観点から継続的な実証及び検証を行い、その結果を公表するとともに、教育政策へ反映すること。
 三、児童生徒の学習履歴及び教育データについては、その利活用とプライバシー保護の両立を図りつつ、本人及び保護者の権利を尊重した適切な管理及び運用の在り方について検討を進めること。あわせて、教育データの標準化や継続的な調査研究を実施し、子どもの発達段階や障がいの特性、教科の特性、言語の多様性等を踏まえ、その結果を不断に教育現場の改善に反映させる仕組みを構築すること。また、不登校児童生徒、病気療養児童生徒その他多様な事情を有する子どもたちについて、学習履歴及び教育データの利活用を含め、学びの継続性及び教育機会の確保に必要な施策を推進すること。
 四、N―E.X.T.ハイスクール構想により専門高校等の機能強化・高度化が進められる中にあっても、学習意欲や基礎学力に課題を抱える生徒、視覚障害や発達障害のある生徒、外国にルーツを持つ生徒等が取り残されることのないよう万全を期すこと。具体的には、デジタルな形態の教科書のアクセシビリティ機能や、高度な専門技術習得のためのシミュレーション教材等を最大限に活用した個別最適な学びの実現に取り組むとともに、多様な生徒の表現方法を評価する多面的・アウトプット型評価を推進すること。
 五、ICTやデジタルな形態の教科書を賢く使いながらも、五感を通じた体験活動や対話的・協働的な学びを子どもたちに保障し、紙の教科書・デジタル活用・体験活動のベストミックスでバランスがとれたハイブリッドな学びを実現すること。また、デジタルな形態の教科書やAI等の導入によって、他者との対話や身体的な実体験が軽視されることのないよう、教育の本質を見失わない運用を徹底するとともに、児童生徒が達成感や自らの強みが伸びる歓びを実感できる人間教育を強力に推進すること。国は、教科書に関する紙とデジタルの最適な組合せについて、諸外国の状況も含め多角的な調査研究を継続するとともに、エビデンスに基づいて子どもの発達段階や教科特性を踏まえた指針を示すこと。
 六、デジタルな形態の教科書について、国は、デジタルの活用を目的とするのではなく、児童生徒の学びの充実を図ることを目的として、その活用の在り方等を検討し、教科書に係る指針や標準仕様等を定めること。また、教科書の質を担保するため、デジタルな形態の教科書の検定審査の方法等について専門的な見地から検討を行うとともに、検定審査の体制を着実に整備すること。
 七、デジタルな形態の教科書の採択に関し、地域間の格差が生じないよう、全ての教育委員会が適切な判断を行えるようにするため、教育委員会の採択に係る負担の軽減策を講ずること。また、従来の教科内容に加え、アクセシビリティ、操作性、学習支援機能等について適切に評価するための指針の整備を図ること。あわせて、デジタルな形態の教科書及びその活用法について、教科書展示会その他の機会を通じ、保護者及び地域住民への十分な情報提供と採択過程の透明性の確保に努めること。
 八、教科書の内容や分量、教科書に掲載される二次元コードが大幅に増加する中、教科書の内容を網羅的に教えなくてはならないという考え方が依然として根強く、学校現場で負担感が生じている実態を踏まえ、教科書の分量やデジタル教材との役割分担等を検討するとともに、教科書「を」教える教科書観から教科書「で」教える教科書観への転換を促進し、子どもや学校現場の負担軽減を図ること。
 九、デジタルな形態の教科書の活用効果を最大限に引き出すには、教員がきめ細かく指導できる環境が不可欠であるため、高等学校を含め更なる学校の望ましい指導体制の構築に努めること。あわせて、教員の業務負担軽減に向けた校務DXの推進や、地域の教育資源との連携体制の整備を行い、教育効果の最大化を図ること。また、デジタルな形態の教科書の使用が認められることを契機として、教員がデジタルの活用も含めた授業研究のための時間を十分に確保できるようにするため、教員業務支援員等の学校を支えるスタッフの配置の一層の拡充等に努めるとともに、必要な予算措置を講ずること。
 十、国は、教員の専門性を最大限に引き出す支援に万全を期すこと。そのために、現職教員が受講しやすいオンライン研修も含めた多様な形態による教員研修の抜本的拡充や効果的な活用事例の共有、教員養成課程での実践的指導法の修得、ICT支援員の配置による技術的サポート体制の充実を国の責任において支援・推進すること。
 十一、新たな負担や格差を生まないよう、高校生等奨学給付金による端末購入支援や家庭の通信環境の整備支援の拡充に取り組むこと。また、転校・進学時の学習履歴の継続性の確保及びネットワーク障害時でも学びが止まらないセーフティネットの構築を行うこと。
 十二、デジタルな形態の教科書を活用するためには、学校における安定した通信環境が必要であることから、地方公共団体ごとの通信環境の違いが児童生徒の学習環境の格差につながることがないよう、ICT環境の整備に努めること。また、デジタルな形態の教科書に関連する端末や機器の整備について、必要な予算措置を講ずること。
 十三、デジタル教科書の導入に伴うアカウント設定・管理等の事務的負担が学校現場において大きな課題となっていることを踏まえ、国は、教科書発行者等と連携しながら負担軽減に向けた取組を進めるとともに、有効な対策や好事例を学校現場に積極的に周知・共有すること。また、デジタルな形態の教科書の導入に当たり、認証基盤、ID体系、データ形式等の標準化及び相互運用性の確保を進めるとともに、ベンダーロックインの防止及び地方公共団体・学校の負担軽減に努め、教育DXの推進に資する持続可能な教育基盤の整備を図ること。
 十四、デジタル教科書の使用による児童生徒の視力低下など健康面に関する留意点を整理し、教育委員会や学校等への周知・啓発を図ること。あわせて、スマートフォン等のデジタル端末によるSNS依存等のリスクを踏まえ、医学的知見に基づく学校での利用ルールのガイドライン等の周知を保護者等にも徹底するとともに、自己管理能力を高めるデジタルウェルビーイングの視点を養うこと。また、これらについて、健康面に関する調査と医学的知見に基づくフィードバックを継続して行うこと。加えて、視力、睡眠、依存その他の健康への影響に十分配慮し、端末利用時間の管理、フィルタリングその他のデジタルウェルビーイングを仕組みとして確保するための取組を推進すること。
 十五、より良い教科書を子どもたちに確実に届けるため、教科書発行者との連携を図りつつ、教科書の定価については、物価の変動や技術の進展等に伴い必要なコストに見合った適正な価格に設定すること。また、義務教育段階の教科書の無償措置を実現するために必要な財政上の措置を確実に行うこと。
 十六、著作物等を教科書に掲載する際の補償金額の検討に当たっては、学校教育における教科書の役割、教科書の安定的な発行・供給の確保、権利者への適切な対価還元等に十分留意すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

発言情報

speech_id: 122115104X00920260609_073

発言者: 古賀千景

日付: 2026-06-09

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会