石田昌宏の発言 (政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会)

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○石田昌宏君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
 当班は、本年一月十一日から一月十八日までの八日間、インドネシア共和国及び東ティモール民主共和国に派遣されました。
 派遣議員は、阿達雅志議員、古賀千景議員、上田清司議員及び団長を務めました私、石田昌宏の四名でございます。
 今回訪問したインドネシアにおいては、シンASEAN事務局次長、インドネシア日本国会議員連盟の皆様、プトゥット国家開発企画省次官、東ティモールにおいては、ライ国民議会議長、ライ副首相、アサナミ副首相、東ティモール日本友好議員連盟の皆様などの要人を始めとする様々な関係者と意見交換を行いました。また、各種のODA案件の現地視察も行うことができ、非常に実りのある派遣となりました。
 以下、両国における現地視察、意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
 第一に、海外における本邦技術の活用機会の拡大についてです。
 インドネシアのパティンバン港開発事業では岸壁や地盤の改良などに、また、ジャカルタ都市高速事業では車両などに、本邦技術が導入されています。
 また、インドネシアのバリ海岸保全事業、プルイット排水機場緊急改修事業、東ティモールのギド・ヴァラダレス国立病院整備計画においても、日本の知見、技術を駆使した工事が行われています。
 今後とも、日本の高品質な各種技術を有効に生かせるよう、あらゆる方法やスキームを模索し、海外展開していけるようにすべきです。
 第二に、都市・地域開発計画への積極的な参画についてです。
 現在、パティンバン港が位置するレバナ地域における開発計画についても、我が国は支援を行っています。港湾整備、産業開発、都市計画といった関連施策がうまくかみ合うよう、総合的に支援する日本の役割は大きく有用なものであり、同様な取組をほかの地域においても大いに展開していくべきです。なお、これらの取組においては、雇用の創出、地域の活性化といった当該地域の経済や社会全体に裨益する視点を忘れてはなりません。
 また、ジャカルタ都市高速事業の開通が現地住民の生活の質の向上などに大きく貢献していることに加え、施設などが美しく維持され、非常に高い評判を得ていることも糧とし、我が国企業が戦略的に町づくりの各種プロジェクトに円滑に関与できるよう引き続き取り組んでいくべきです。
 さらに、ジャカルタ地盤沈下対策プロジェクトなど、いわゆる公害対策を始めとする苦い経験を踏まえて我が国が培った様々なノウハウを地域開発計画に生かすことは、今後も積極的に行うべきです。
 第三に、都市部から地方への展開の必要性についてです。
 今般、都市部から離れた視察先として、インドネシアではパティンバン港、東ティモールではマウバラ中学校を訪問しました。両地への訪問の際には、道路事情や学習環境の悪さなど、共通して都市部とそれ以外の地域における格差がかいま見られました。
 各種案件の形成に当たっては、都市部に偏ることなく、地方へも様々な案件が展開していくよう当該国に促していくとともに、事前事後のモニタリングも徹底していくべきであると考えます。
 第四に、情報通信分野における開発協力の重要性についてです。
 情報通信環境の整備は、当該地域への交通アクセスの確保等にコストを掛けていた従来の方法や考え方から、インフラ整備全体の分野別のコスト配分の在り方にも変化をもたらすものと言えます。
 現在、東ティモールの情報通信環境の整備に関して、海底ケーブルの接続先の多様化が課題となっています。我が国の海底ケーブル事業に関する知見や経験を生かし、東ティモールにおける今後のプロジェクトに対して積極的に参画することが望まれます。
 第五に、質の高いインフラ整備という我が国の強みを官民一体で積極的に取り組む必要性についてです。
 質の高いインフラ整備は、当初は高価との印象はありますが、維持管理の負担が軽減され、ライフサイクルコストで長期的に安価になります。政府においては、安易に価格競争の波に乗ることなく、日本の人材育成、技術移転、環境配慮等を強みとする質の高いインフラ整備について理解を深めてもらうよう、根気強く、根気よく説明し、積極的にアピールやセールスをしていき、官民一体となってODAの活用を戦略的かつ集中的に行う必要があると考えます。
 第六に、人材育成及び教育分野の支援の重要性についてです。
 我が国の道徳や仕事に取り組む姿勢の習得を含め、非常に高い評価が相次いだ我が国の人材育成の支援は、親日派や知日派の人的ネットワークの構築、ひいては国際社会での我が国のプレゼンスの向上にも大いに貢献するものであることから、今後も取組を深化させていくべきです。
 また、今回訪問したマウバラ中学校では、生徒たちからは、我が国の支援に対する感謝とともに、将来の夢として日本留学を希望するという声がありました。
 教育は他者や異文化に対する理解と信頼を育み、国際協力及び平和を支える礎であるということを改めて深く刻みたいと思います。
 第七に、ブレンデッドファイナンスの官民一体となった取組についてです。
 我が国は、昨今の財政上の制約に加え、国民の開発協力に対する見方の厳しさの増大などから、一層効率的、効果的なODAの実施が求められています。
 二〇二五年四月に施行された改正JICA法では、ブレンデッドファイナンスの活用としてリスクテーク機能の拡充が定められました。今後、このような新しいスキームが大いに活用されるよう官民一体で取り組んでいくべきです。
 さらに、今後、インドネシアが推進する国内資源の高付加価値化を目指す下流化政策を背景に、関連産業への投資に向けた動きがある中、積極的な関与について政府が後押ししていくべきです。同様に、東ティモールにおいても、雇用創出や人材育成等を通じて同国の課題解決に奮闘している我が国の企業の取組に対し、政府として後押ししていくべきです。
 第八に、円滑な投資環境の障壁となる課題の解決及び法制度整備支援の在り方についてです。
 投資を呼び込むために、安定的かつ予測可能性の高い魅力的な投資環境が構築されていることが不可欠です。円滑な活動の障壁となる法制度等については、当該国の文化や歴史、社会等も尊重し、言語の壁にも留意しつつ、不断の課題解決を促していくことが今後も重要です。
 さらに、我が国の今後の法制度整備支援においては、行政手続の透明化を含む法履行・運用能力強化、法規範文書間の整合性、政府内部での調整機能の強化など、よりきめ細やかな部分での支援も充実していくべきです。
 第九に、ASEANとの連携強化の重要性についてです。
 我が国は、ASEANを世界の成長センター、巨大な市場として位置付けていくとともに、様々な分野において、自由で開かれたインド太平洋とインド太平洋に関するASEANアウトルックの相乗効果により更なる協力をハードとソフトの両面で推進していくべきです。
 さらに、我が国は、こうした取組を通じてASEANからの期待に応えていき、人権、自由、民主主義、法の支配の重要性といった共通の価値観の下、ASEAN地域全体の持続可能な発展、連結性強化、平和と安定の維持に一層貢献していくべきです。
 最後に、今回の調査に当たっては、両国とも開発協力において中国が影響力を強めている面がかいま見られた一方、我が国のこれまでの支援に対する多大な感謝と積極的な評価が寄せられました。これらは、我が国が開発協力において、現地経済、社会や地元の人々の生活、福利を損なわないよう長年自らを律してきたことにより得られたたまものです。こうした先人たちが築いてきた信頼をレガシーとして次世代に受け継ぎ、更に深化させ、相手国と共に新たな社会的価値を創造し、双方向に発展していくことが重要です。
 参議院としても、このような開発協力の実現のため、派遣議員団が自らの目で現場の実態や声を把握していくことは有意義であると考えます。
 結びに、今回の調査に御協力いただいた視察先及び内外の関係者の方々、事務局の方々など、全ての皆様に改めて心から感謝を申し上げ、第一班の報告といたします。

発言情報

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発言者: 石田昌宏

日付: 2026-05-22

院: 参議院

会議名: 政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会