山田太郎の発言 (政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会)

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山田太郎君 ODA調査派遣第二班について御報告いたします。
 当班は、本年一月七日から一月十五日までの九日間、ミクロネシア連邦及びパラオ共和国に派遣されました。
 派遣議員団は、団長の古川俊治議員、羽田次郎議員、田村まみ議員、そして私、山田太郎の四名でございます。
 今回訪問しましたミクロネシアでは、シミナ大統領、パリク副大統領やモーゼス連邦議会議長、パラオではウィップス大統領、オイロー副大統領など、両国とも大統領及び副大統領との面会の機会に恵まれるなど、様々な関係者と意見交換を行いつつ、多くのODA案件の視察を行うことができました。
 以下、両国における現地の視察、政府要人や関係者との意見交換を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
 まず、ミクロネシアについて申し上げます。
 インフラ整備について、ポンペイ港及びポンペイ国際空港を視察いたしました。
 ミクロネシア最大の港湾でありますポンペイ港は、我が国の無償資金協力により拡張しましたが、同国のみならず太平洋全体の物流ネットワークの改善が期待でき、同国の持続的発展及び脆弱性の克服に大いに貢献するものであると評価できます。また、シミナ大統領から要望があった新たな貨客船は、同国海運の持続的発展には欠かせないインフラであり、経済安全保障を支える重要な産業である造船業の再生に力を入れている我が国といたしましては、支援の可能性について検討すべきだと考えます。
 ポンペイ国際空港は、我が国のODAにより滑走路を延長し、重量制限なしに航空機が離発着できるようになりました。同国の経済成長基盤の強化に資するものとして評価できます。
 ミクロネシアの最重要産業であります水産業の振興について、ポンペイ港及びタカティック漁港を視察しました。港の拡張等により、港湾内の安全性の改善や水揚げ作業の効率化が実現しましたが、同国は、気候変動に伴う周辺海域の海洋環境の変化が今後の漁業活動や漁獲動向に影響を及ぼす可能性も指摘されており、同国の水産業の振興については、同国の要請も踏まえながら支援を検討すべきであると考えます。
 また、派遣議員団が紹介しました我が国のマグロ養殖の事例に先方は大変関心を示しました。養殖漁業は、ミクロネシアの経済的脆弱性に対する一つの解決策となり得るもので、SDGsの目標十四、持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用するにも合致するため、我が国として支援を検討するべきです。
 次に、パラオについて申し上げます。
 インフラ整備について、我が国のODAで建築した新コロール・バベルダオブ橋を視察しました。この橋は、二十四年経過した現在でも質の高いインフラとなっており、日本・パラオ友好の橋と呼ばれ、日本とパラオの友好のシンボルとなっています。
 また、視察したパラオ国際空港は、二〇二二年にPPP、官民連携方式にてJICAの海外投融資による融資等を受けて本邦企業による拡張、運営が行われており、民間の知見活用が図られている点でも評価できます。昨年十月には我が国との定期直行便が就航し、ますます多くの日本人観光客の訪問が期待されます。現地からは大型機離着陸のための滑走路延長の要望がありますが、我が国とパラオの交流の拡大や観光業等の経済発展にも資するため、支援が可能か検討すべきであります。
 このように、パラオにおけるインフラ整備は、同国の持続的経済発展や国民の利便性に資するため、同国の実情や要請を踏まえつつ、今後とも支援を継続すべきであると考えます。
 広大な排他的経済水域を有するパラオが海洋秩序を守り、資源等を保全するために、我が国は、海上保安庁等でパラオの海上警察職員に対し研修を行い、海上保安能力の向上を支援しています。研修経験者の話では、同国と同じく海で他国と接している我が国での研修は大変有意義であり、研修で知り合った他国の研修経験者との国際ネットワークが研修終了後も職務に役立っているとのことでありました。我が国が取り組んできた人づくりが世界に広がっている好例として評価できます。海上保安能力強化支援は自由で開かれたインド太平洋戦略の観点からも重要であり、今後も、このような大洋州の海上保安能力の向上を進めていくべきであると考えます。
 持続的な海洋資源の活用についてパラオ海洋養殖普及センターを視察しました。同センターでは、世界に存在する全十一種類中八種類のシャコガイの養殖に成功しており、養殖されたシャコガイを食用にして、天然シャコガイを保護しています。これは食の安全保障の観点からも重要であると評価できます。また、サモアから研修生を受け入れており、大洋州全体の海洋資源の持続性を高める可能性を有しています。我が国としても、パラオを中心とした持続的な海洋の実現を引き続き図っていくべきであると考えます。
 また、パラオは、米国との自由連合盟約により、査証なしで米国に滞在、就労できるため、若者を中心として米国に人口が流出しており、出生率も低下しているため、高齢化も懸念されています。ウィップス大統領は、漁業の振興や、農業、金融業等の新産業の創出を対策として挙げていました。我が国においても地方からの人口流出や少子高齢化が課題であり、パラオと共にこのような課題解決に取り組むことは、開発協力大綱が示す共創による新たな価値の創造であり、我が国として協力を検討する意義は大いにあると考えます。
 次に、両国を通じた所見について申し上げます。
 第一に、廃棄物処理についてです。
 島嶼国にある両国にとって、廃棄物処理は深刻な問題です。国土が狭小であり廃棄物処理場の確保が難しく、環境上埋立ても困難です。また、人口が少なく国内市場が小さいため、焼却炉の建設やリサイクルも経済的に困難な状況にあります。
 ミクロネシアでは、修理工場や部品の不足により、中古車が修理されずに廃棄されて問題となっています。同国内では日本車の中古車が多く、過去にはJICA海外協力隊として自動車整備士が派遣されていましたが、引き続き中古車問題の解決に向けた取組を検討することが重要です。
 一方、パラオで視察しましたベラウ・エコ・グラス・センターでは、最初、JICAシニアボランティアとして派遣された藤勝雄氏が、利益が出るリサイクルシステムを構築し、飲料容器の回収率九〇%を達成しています。さらに、回収した廃ガラスで作製したガラス工芸品がパラオの名産品となり、ガラス作り体験が観光資源になっています。
 これは、廃棄物処理におけるODAの成功例として高く評価できるものです。また、日本とパラオが協力して、他の太平洋島嶼国に同センターのノウハウを学んでもらい、廃棄物処理問題の解決を支援するという共創のモデルケースにもなり得るのではないかと考えます。
 第二に、親日国に対する支援の重要性です。
 両国とも、国際場裏において、自由で開かれたインド太平洋戦略や、日本の国連安全保障理事会常任理事国入り等の各種の決議、選挙において日本を支持する親日国であります。パラオのウィップス大統領は東京電力福島第一原子力発電所を訪問した初めての外国元首であり、ミクロネシアのシミナ大統領は二番目に訪問した国家元首です。共にALPS処理の海洋放出について日本を支持しています。
 近年、中国の支援が大きくなり、我が国の存在感が相対的に低下する中、効果的な外交政策を展開する上で、国際場裏において一国一票の投票権を有する親日国の存在はますます重要となっており、親日国の多い太平洋島嶼国に対する支援の継続又は増加は重要です。一方、我が国では、ミクロネシア及びパラオを含む太平洋島嶼国の多くが親日国であるという認識が浸透していませんが、我が国と太平洋諸国の認識の非対称性は望ましいものではなく、政府は、これらの親日国の重要性を周知して、これらの国々への支援に対する国民の理解を深める努力をするべきです。
 今回の我々派遣議員団は各所で大歓迎され、我が国に対する期待の大きさを実感しました。ODAのみならず、国会議員の公式訪問は我が国が両国を重視していることの表明であり、定期的な訪問の重要性を訴えていきたいと思います。
 第三に、JICA海外協力隊の活動の重要性です。
 JICA海外協力隊については、両国の大統領からも感謝が示されるなど、我が国の顔の見える開発協力として現地に大いに貢献していることが確認できました。
 しかし、近年、JICA海外協力隊の応募者は大きく減少しています。JICA海外協力隊が維持されるよう、周知広報や、応募者減少の原因究明など、関係者の努力を期待いたします。
 また、海外協力隊員は、原則として派遣国で自動車を運転できず、公共交通手段が発達していない両国では大変不便であるとの声もありました。この点も改善を検討していただきたいと考えております。
 第四に、相手国における情報発信の必要性です。
 我が国の両国に対するODAは、空港、港湾等、国民生活に不可欠な基盤的インフラが多く、両国の大統領、閣僚等や視察先の関係者からは高く評価されています。他方、これらが我が国のODAによって整備されたことを示すプレート等の表示は目立たないことが多く、両国の国民が我が国のODAの存在に気付くのか不安になることが多々ありました。対照的に、中国の援助で建てられた建物等にはその旨の目立つ表示をよく目にしました。
 相手国の国民に我が国のODAの存在が認識されなければ、両国の関係強化のためにODAが真に戦略的に活用されるとは言い難く、我が国がODAを供与した事実やその有益性を相手国の国民にも分かりやすく周知されるよう、積極的に共有、発信することが大変重要であります。
 結びに、今回の派遣に当たっては、視察先の関係者を始め、外務省及び在外公館、JICA等、多くの方々に多大な御協力をいただきました。改めて感謝を申し上げ、第二班の報告といたします。
 ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 山田太郎

日付: 2026-05-22

院: 参議院

会議名: 政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会