大家敏志の発言 (政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会)

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大家敏志君 ODA調査派遣第三班について御報告を申し上げます。
 我々は、本年一月九日から十八日までの十日間、打越さく良議員、横山信一議員、団長を務めました私、大家敏志の三名で、エジプト・アラブ共和国及びトルコ共和国を訪問してまいりました。
 国内では、外国への支援より国内を優先すべきという声も少なくありません。私自身も、その問いを胸に抱きながら現地へ向かいました。
 まず一か国目、エジプトについて報告をいたします。
 アブデル・ラティーフ教育・技術教育大臣に直接御案内をいただき、日本式教育を取り入れているEJSオブール校を訪問いたしました。
 このEJSはエジプシャン・ジャパニーズ・スクールの略称ですが、日本語を教える学校ではありません。エジプトの公立学校であり、授業はアラビア語と英語で行われています。では、何が日本式なのかというと、給食の配膳、教室の掃除、学級活動、日直や班などです。日本では当たり前のこの文化が、子供の人間形成に深く寄与するとエジプト側が高く評価をし、取り入れたものであります。
 きっかけは二〇一六年、エルシーシ大統領の訪日でありました。給食を自分たちで配膳する子供たちの姿に深く感銘を受けた大統領は、帰国後、エジプトの子供たちにもこの教育をと、自ら国家レベルでの導入を指示したのです。一国の大統領を動かした日本の教育文化。その現場を私たちは自分の目で確かめることができました。
 我が国はこれまで、約百八十六億円の円借款と日本からの人材派遣、エジプト人材の育成など、技術協力を行ってきました。エジプト政府は、二〇三〇年までにこのEJSを五百校に拡大する意欲を示すとともに、就学前教育から大学院に至るEJS以外の多くの学校への日本式教育の普及も進めています。さらには、第三国展開も視野に入れており、日本式教育が、エジプトのみならず、中東全体へと広がる可能性が現実のものとして見えてきています。
 次に、インフラ整備であるカイロ地下鉄四号線の工事現場を視察いたしました。順調に工事が進められていました。
 これまで二千七百三十七億円の円借款を実施しており、数年以内に日本製車両によって運行開始予定だとのことであります。開通後は、交通渋滞や大気汚染の緩和のほか、大エジプト博物館やピラミッドへのアクセスも飛躍的に向上します。
 続いて、大エジプト博物館を視察いたしました。
 我が国が二〇〇六年以降、八百四十二億円の円借款を実施し、昨年十一月に全面開館した世界最大級の博物館であります。総工費の実に約六割を日本が担いました。開館式典でエルシーシ大統領は、日本の多大な支援に厚く感謝すると明言。館内には日本語解説が付され、日本の貢献が目に見える形で残っていました。
 次に、人道支援の現場として、ガザ情勢で重症患者を受け入れたダール・アルシファー病院をアルシャルカーウィー病院長の御案内の下、視察をいたしました。
 ODAで供与した医療機器が使われており、米国支援が削減される中、日本の資金援助への期待は一層高まっていることを感じました。
 また、女性の地位向上に取り組むゴズール開発基金を訪問し、アダウィ会長の御案内の下、ODAで供与した職業訓練施設を視察しました。
 エジプトの女性就業率は僅か一八%であり、女性の経済的立場の弱さはDVにもつながりやすく、社会連帯省において行ったモルシー社会連帯大臣との意見交換では、DV防止のメディア制作へODA協力を求めるという要望もありました。
 二か国目、トルコについて報告いたします。
 日本でいえば全国知事会に当たる地方自治体連合を訪問し、地方自治体の災害対応能力強化についてユルドゥズ事務総長と意見交換を行いました。トルコでは、これまで国中心、国主導で防災が行われていましたが、日本の地方自治体による地域防災計画、都市計画、災害廃棄物処理計画等の実践的ノウハウがトルコにとって有益な協力資源となっていることを確認することができました。
 次に、アンカラ給水計画の工事現場を視察いたしました。
 二〇〇九年から約二百六十八億円の円借款を実施しており、首都アンカラ市の長期的な水需要を満たす重要インフラであります。近年の気候変動による水不足の深刻化を受け、早期完成が求められています。
 また、国立省エネセンターを視察いたしました。
 約二十年前に日本が供与した機械が今も大切に使われ続けており、二十八か国以上から専門家を受け入れた第三国研修の拠点でもあります。本年開催のCOP31を踏まえ、二〇二七年から新たな第三国研修も準備中ということであります。
 次に、トルコ南東部地震で被災したハタイ県にあるマイ・オフィス・ファニチャー社を訪問し、中小企業への震災復興支援について意見交換を行いました。
 同社のオンレン社長からは、日本の二百億円の資金協力がなければ今日の再建はなかったと、心から感謝の言葉をいただきました。復興はいまだ途上であり、継続的な協力が不可欠だと感じました。
 また、インフラについては、ボスポラス海峡横断地下鉄を視察いたしました。
 約千九百六十三億円の円借款を供与し、大成建設が海面下六十メートル、世界で最も深い海底トンネルを建設した事業です。何度も挫折、断念してきたトルコ百五十年の夢を日本の資金と技術で実現をし、累計十二億人が利用しているとのことであります。
 このボスポラス海峡横断地下鉄開通式典では、安倍元総理とエルドアン大統領が記念プレートのボルトを締めました。今もホームには日本への感謝を示すレリーフが掲げられています。日本の技術と誇りは確かに刻まれていました。
 視察案件の最後に、都市防災について、ゲブゼ工科大学のマルマラ地震工学試験センターを視察しました。
 日本の専門家とともに、津波避難VR、バーチャルリアリティー装置の開発が進んでいました。地震大国同士だからこそ築ける深い信頼関係がそこにはありました。
 なお、我々三班では、直接的ODAの調査ではありませんが、トルコ海軍司令部を訪問しました。災害時における船舶を活用した医療提供について調査を行いました。トルコ南東部地震では、海軍艦艇が避難所として機能し、外科処置を含む医療サービスの提供に大きく役立ったことが確認され、多くの島嶼、沿岸地域を抱える我が国にとっても大変参考となる視察となりました。
 視察を終え、エジプト、トルコ両国で会談した大臣、研究者、被災した企業経営者から共通して聞こえてきた言葉があります。それは、日本を尊敬している、だからこそもっと頼りたいというものでありました。
 この視察を通じ、感じた四点を申し上げます。
 第一に、ODAを通じた友好関係の一層の発展であります。エジプトもトルコも日本との長期的な信頼関係を基盤としての発展を目指しており、その期待に応えることは日本の国益に直結すると考えます。
 第二に、両国が実施する第三国支援への協力です。エジプトは日本式教育を、トルコは防災・省エネ技術を第三国へ展開したいとしており、日本が直接展開しにくい地域での国際的プレゼンスの向上が期待できます。
 第三に、民間投資拡大のためのODAの活用であります。エジプトのアルマシャート計画・経済開発・国際協力大臣、トルコのチェリク財務副大臣から、日本企業による投資拡大への強い期待が示されました。長年のODAが育てた信頼の土台に、今こそ民間投資を乗せるべきであります。トルコとのEPA交渉の早期妥結も重要であります。
 そして、第四に、JICAの役割の再評価です。両国ではJICAへの評価が非常に高く、日本イコール信頼できるパートナーという感情の基盤を形成してくれているのがJICAであります。参議院としてもその成果を改めて評価すべきだと考えます。
 結びに、外国支援より国内優先を、その気持ちは理解はできます。しかし、ODAは単なる海外への支出ではありません。長年にわたる誠実な協力が信頼を生み、その信頼が日本の安全と繁栄に還ってくる、それが今回の視察で改めて確信したことであります。
 最後に、エジプト、トルコ両国の議会、政府、外務省本省、在外公館、JICAを始め、関係の皆様方に多大なる御協力をいただきましたことを心より感謝を申し上げ、三班の報告といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大家敏志

日付: 2026-05-22

院: 参議院

会議名: 政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会