行政監視委員会

2026-03-09 参議院 全145発言

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会議録情報#0
令和八年三月九日(月曜日)
   午後一時三分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         芳賀 道也君
    理 事         浅尾慶一郎君
    理 事         江島  潔君
    理 事         鶴保 庸介君
    理 事         田島麻衣子君
    理 事         竹内 真二君
    理 事         梅村みずほ君
                赤松  健君
                生稲 晃子君
                岩本 剛人君
                上野 通子君
                小川 克巳君
                加田 裕之君
                北村 経夫君
                見坂 茂範君
                上月 良祐君
                野上浩太郎君
                橋本 聖子君
                山谷えり子君
                泉  房穂君
                古賀 千景君
                古賀 之士君
                福士 珠美君
                後藤  斎君
                小林さやか君
                水野 孝一君
                里見 隆治君
                猪瀬 直樹君
                金子 道仁君
                杉本 純子君
                岩渕  友君
                大島九州男君
                北村 晴男君
                伊波 洋一君
                安野 貴博君
    ─────────────
   委員の異動
 二月十八日
    辞任         補欠選任
     古賀 千景君     福島みずほ君
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     梅村みずほ君     岩本 麻奈君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     福島みずほ君    ラサール石井君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     小川 克巳君     吉井  章君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         芳賀 道也君
    理 事
                浅尾慶一郎君
                江島  潔君
                鶴保 庸介君
                田島麻衣子君
                竹内 真二君
                岩本 麻奈君
                杉本 純子君
    委 員
                赤松  健君
                生稲 晃子君
                岩本 剛人君
                上野 通子君
                小川 克巳君
                加田 裕之君
                北村 経夫君
                見坂 茂範君
                上月 良祐君
                野上浩太郎君
                橋本 聖子君
                山谷えり子君
                吉井  章君
                泉  房穂君
                古賀 之士君
                福士 珠美君
                後藤  斎君
                小林さやか君
                水野 孝一君
                里見 隆治君
                猪瀬 直樹君
                金子 道仁君
                岩渕  友君
                大島九州男君
                北村 晴男君
                伊波 洋一君
                安野 貴博君
               ラサール石井君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        有薗 裕章君
   参考人
       一橋大学大学院
       法学研究科教授  辻  琢也君
       京都大学公共政
       策大学院院長   曽我 謙悟君
       追手門学院大学
       地域創造学部教
       授        小野 達也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査
 (国と地方の行政の役割分担に関する件)
    ─────────────
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芳賀道也#1
○委員長(芳賀道也君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六日までに、大津力さん、古賀千景さん及び梅村みずほさんが委員を辞任され、その補欠として杉本純子さん、岩本麻奈さん及びラサール石井さんが選任されました。
    ─────────────
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芳賀道也#2
○委員長(芳賀道也君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員になっておりますので、その補欠選任を行います。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芳賀道也#3
○委員長(芳賀道也君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に岩本麻奈さん及び杉本純子さんを指名いたします。
    ─────────────
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芳賀道也#4
○委員長(芳賀道也君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芳賀道也#5
○委員長(芳賀道也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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芳賀道也#6
○委員長(芳賀道也君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に一橋大学大学院法学研究科教授辻琢也さん、京都大学公共政策大学院院長曽我謙悟さん及び追手門学院大学地域創造学部教授小野達也さんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芳賀道也#7
○委員長(芳賀道也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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芳賀道也#8
○委員長(芳賀道也君) 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のうち、国と地方の行政の役割分担に関する件を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、辻参考人、曽我参考人、小野参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず辻参考人からお願いいたします。辻参考人。
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辻琢也#9
○参考人(辻琢也君) 本日は、参議院行政監視委員会という大変重要な場におきましてお話しする機会をいただき、誠にありがとうございます。私は、一橋大学で行政学、地方自治論を専攻しております辻と申します。
 本日の私の申し上げたいこと、これは重大な一点に尽きます。人口増加という成長社会を前提とした国、地方関係を、超高齢、人口減少という成熟社会を前提としたものへ根本的に方針転換していかなければならない、このことに尽きます。
 近年、国境を越えたデジタル化の波と国内における深刻なマンパワー不足が相まって、こうした根本的な方針転換は待ったなしの状況にあります。本日は、私が研究現場で目の当たりにしました秋田県と富山県という二つの自治体の現実を共有し、この難局を乗り越えるために市町村、都道府県、そして国がそれぞれどのような役割を担うべきなのか、皆様とともに考えたいと思っております。
 まず、私たちが直面している現実を再確認します。配付資料の二ページから六ページ、これが秋田県に関連するものです。
 秋田県は、ここ十年以上、人口減少率が全国一高い水準にあります。ここで重要なのは、その人口減少の主要因が、若者の東京への流出、いわゆる社会減から、高齢化に伴う死亡数の増加と少子化に伴う出生数の減少から成る自然減へと移行している点にあります。
 したがって、仮に今すぐ希望出生率である一・八を達成し、社会減が解消されたとしても、人口が安定的に推移するようになるまで四半世紀以上の時間を要します。私たちがどんなにすばらしい政策を打ち出しても、今後二十五年間は人口減少に耐えなければならないという事態であります。
 人口が減るとどうなるか。地域に人がまばらに住む低密度化が進行します。秋田県は、今年度、ツキノワグマによる人身被害が急増し、全国で報じられました。しかし、実は雪下ろし中の高齢者の事故など、雪害による死者数が熊被害の三倍にも上っています。生活の基盤を維持すること自体が命懸けになりつつある、これが少子高齢社会のリアルです。
 一方、一人当たりの県民所得が比較的高い富山県も事態は深刻です。配付資料七ページから十六ページまでが富山県に関連するものです。
 富山県は、秋田県に比べればコンパクトな県土を構成し、県庁所在地である富山市は、全国に先駆けてコンパクトシティー戦略を展開してきました。しかし、それでも人口の低密度化は避けられません。
 その結果、コンパクトな富山県にも重くのしかかるのがインフラの老朽化であります。県が保有する建物の約七割が築三十年を超え、今後三十年で必要な更新費用は、施設を長く使う工夫をしても現在の経費を上回ります。富山市内でも、旧町村部に通行止めや重量制限されている橋梁が偏在します。少人数でも生活道路として使う住民がいる限り、簡単に橋をなくすことはできません。
 こうした厳しい現実は、私は単なる衰退を意味するものとは思いません。これは、持続可能な規模へと社会を最適化していくための避けて通れない産みの苦しみと考えます。
 そこで、配付資料十七ページから十九ページを御覧ください。
 ここ近年、国や自治体は、児童手当の拡充など攻めの対策に関してはかつてなく思い切った対策を講じてきました。これ自体は高く評価すべきであると思います。しかし一方、年間出生数が七十万人を割ろうとしている現在、当面はインフラや行政サービスを適量に縮減、更新していく守りの対策も充実せざるを得ない状況にあります。
 橋を架け替えない、施設を統廃合する、こうした省インフラの提案は、総論賛成各論反対に陥りやすく、実行には大変な困難が伴います。
 かつて、自治体は、効率的な行財政体制を目指して、民間へのアウトソーシングや市町村合併で乗り切ろうとしました。しかし、現在、新たな合併の機運はなく、民間企業も人手不足とコスト高騰にあえいでおり、政府のアウトソーシング戦略も転換点を迎えつつあります。
 こうした中で、配付資料二十ページが示しますとおり、この閉塞感を打破する最大の原動力はデジタル化と考えます。ここでは、自治体が主体となってデジタル化で顕著な成果を上げている先行事例を一つ紹介します。
 それは、地方共同法人である地方税共同機構を活用した税務DXであります。これまで、地方税の徴収に際して、自治体はシステムをそれぞれが整備し、金融機関と個別に契約を結びました。しかし、地方税共同機構という共同のプラットフォームを設立し、eLTAXや地方税統一のQRコードを導入したことによって事態は激変しました。
 機構が一括して外部機関との折衝やデータを取り込むことで、全国規模で経費が節減されました。国税との情報交換も一括して機構が行います。自治体の現場では、ミスが許されない納付の消し込み作業から職員が解放され、専門知識を持たない職員でも税務業務を担える環境が整いつつあります。納税者にとっても、窓口に赴くことなく多様な手段で全国どこへでも納税できる環境が整いました。機構は、現在、資金規模で国税e―Taxをしのぎ、国民健康保険料金なども取り扱う言わば地方版の歳入庁として機能しつつあります。
 この際重要なのは、国がシステムの標準化の方針を打ち出す前から、現場のニーズを踏まえて自治体側が共同化の仕組みを準備してきたということであります。実効性あるデジタル化は、国の努力だけでは実現できるものではありません。現場を担う自治体の主体的な努力があって初めて達成できるものであり、国頼みの他力本願ではなし得ないことであります。
 ところで、デジタル化といっても、全てをデジタル化に置き換えようというものではありません。今後重要なのは、デジタル技術を徹底的に使い倒すことで単純な事務作業から職員を解放し、そこに生み出された余力を、人にしかできない対面サービスや政策立案に再配分するということです。アナログとデジタルのベストミックスこそが、国、都道府県、市町村それぞれ共通の政府経営の真髄と考えます。
 それでは、こうした現実を踏まえて、国、都道府県、市町村はそれぞれどのように役割分担を再構築すべきでしょうか。
 配付資料二十ページから二十三ページに記したことを、市町村、都道府県、国という政策主体別に再整理して言うと、次のとおりとなります。
 市町村は、住民に最も近い最前線で、デジタルとアナログのベストミックスを地域社会に実装する役割を担います。行政手続の徹底したデジタル化を進め、場合によっては外部委託していた業務をデジタル前提で内製化し、組織の機動力を高める必要があります。
 そして、そこで生まれたマンパワーを使い、住民の顔を見ながら、インフラの縮小や統廃合という痛みを伴う最適化について、勇気を持って、しかし丁寧に合意を形成していく、これが市町村の最大の使命であります。
 都道府県は、単なる市町村の取りまとめ役ではなく、より広域的な視点から全体最適をデザインする役割を担います。
 例えば、富山県の橋梁の図が示していますとおり、橋梁も県内には国、県、市町村のインフラが入り乱れ、それぞれがばらばらに管理しているだけでは無駄が生じやすくなります。管轄を超えてインフラの複合化、集約化を主導するのは県の役割と思います。
 また、富山県の多くの市町村で例えば農業の専門職員がゼロ人となっているように、日本全国で市町村単独による専門人材の確保は不可能になりつつあります。県は市町村と一体となって専門業務を補完し、マンパワー不足を広域的にカバーする広域調整、補完機能をこれまで以上に強化しなければなりません。ケースによっては、市町村に代わってインフラを整備、維持管理していくこともあり得ます。
 最後に、国の役割は、地方がこの守りの経営を確実に行えるよう、制度と財源の環境を整えることにあります。
 これまで国は、インフラの新設には手厚い補助を出してきましたが、これからは縮小、更新、管理、除却、こういった事業に対しても更に財政措置を拡充すべきと思います。
 また、デジタル化やネット取引の恩恵が東京都などに偏在する現状を是正し、地方が安定的にサービスを維持できる一般財源を確保することも不可欠に重要な要素であります。
 さらに、標準化を進めてデジタル基盤の整備をするのも国の役割です。その際、地方税共同機構が証明しましたように、国は全国共通に使えるプラットフォームを自ら提供するばかりではなく、使い勝手の良いものにするために、自治体共同での整備を支援することも重要な役割となります。
 以上、考えますと、人口減少は決して悲観すべき未来とは思いません。人口が減っても、一人一人が豊かさと安心を実感できる社会をつくることは十分に可能です。私たちが省インフラや全体最適に真剣に取り組むのは、単に予算を削るためではありません。将来世代に過度な負担を残さず、未来をつくる魅力的な投資を確保するためであります。
 これからの時代に必要なのは、これまでの常識を疑い、柔軟に、そして未来志向で行動することです。国、都道府県、市町村がそれぞれの個別利害を離れて、駄目だったら柔軟に直すということを前提に、合意できたことからトライアルでまずやってみる、このことこそが私たちを豊かな成熟社会へと導く鍵になると思います。
 以上をもちまして、私からの意見開陳とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
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芳賀道也#10
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございました。
 次に、曽我参考人からお願いいたします。曽我参考人。
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曽我謙悟#11
○参考人(曽我謙悟君) ありがとうございます。
 京都大学の曽我と申します。本日は、このような貴重な機会を与えてくださり、誠にありがとうございます。
 私からは、政策評価の具体的な事例を素材として、国と地方の関係を中心に考えるところを申し上げたいと思います。
 昨年の六月十八日、参議院本会議において総務大臣から説明が行われています政策評価から行政監視の一年のサイクル始まっておりますので、これを取り上げることで今後の委員会での御議論に資するところがあればと願っております。
 話のポイント、三つあります。第一は、行政が政策評価活動を通じて生み出すデータや情報をもっとオープンにしていく必要があるということです。第二は、国と地方を連結した形で政策評価を行っていく必要があるということです。第三は、行政の限界を見極め、政治の側で引き取るべきところを見極めるということが行政監視の役割ではないかということになります。
 早速中身に入ります。
 具体的に取り上げますのは、総務省による生活道路における交通安全対策に関する政策評価です。今なお、年間約二千六百名が交通事故で死亡されており、三十万人以上が負傷されているということで、人々の命や健康を大きく損ねる問題です。これを減らすための活動は注目されにくいですが、また地道なものですが、こうした活動こそが行政の本来の役割なのだと思います。
 ところが、実際どの程度事故を減らせているかというのは市区町村によって大きく異なります。しっかり危険な箇所の解消に取り組んでいけばもっと事故を減らせるはずだと、それには事故がどこでなぜ生じたのかというデータを自治体が利用していくということが鍵となるというのがこの政策評価の基本的な問題意識となっています。
 生活道路の整備、管理は、市区町村が自治事務として担当しております。その七割近くは単独事業であり、また補助金も大ぐくりにされていますので、どれだけの資源を交通安全に使うかというのは自治体の判断になります。また、組織面でも自治体による違いは大きく、市民生活系のところに位置付けられているところ、防災系に位置付けられているところ、さらには土木系に位置付けられているところが見られます。
 では、この市区町村による交通安全対策というのがいかなるものか、その実態を解明するために、総務省は四百五十四の市区町村を抽出し、アンケートやヒアリング調査を行っています。その調査結果について、論点絞って御紹介をしておきます。
 まず、事故情報の収集についてです。事故発生箇所を一部分であれ把握している市区町村となると七割超えるんですけれども、多くは地元警察からの情報提供によっているということで、警察庁が整備をしているんですけれども、事故オープンデータというものがありますが、これを活用している市区町村となると六・九%にすぎません。また、過去の事故ではなく、潜在的に事故のリスクが高い箇所の把握となると、ほとんど把握していないという自治体が六二%に上ります。
 担当者からは、住民要望への対応に追われる中、事故発生箇所を把握する余裕はなく、その必要性も感じないという、そういった声が上がっています。
 次に、事故の情報を今度は施設整備の方で用いているかというと、その程度も高いとは言えません。事故実績をほとんど参考にしないという自治体が四四・六%であって、リスク箇所情報に至ってはもう八割近くが使用していないという状況です。
 実際の整備の手順は、住民要望を受け付け、受付順に現地確認を行い、担当者の経験から危険性、緊急性、必要性を判断するという、そういった自治体が大半になっています。
 そして、施設整備によりどの程度交通事故の被害を減らすことができたかという施設整備の効果検証について、体系的な検証を実施している市区町村は一つもありません。
 以上の実態調査からの提言として、データの活用がもっと必要であると、国交省に対しては市区町村への周知啓発、警察庁に対してはオープンデータ情報の充実と都道府県警察による市区町村への情報提供の促進というものを求めているというのが政策評価です、今回の政策評価となります。
 以上がこの政策評価の中身なんですけれども、一年以上掛けて丁寧に実態の分析を行われた成果であるということは認めた上で、三つ批判を加えたいと思います。
 まず第一ですけれども、これは、EBPMが必要という結論ありきで、実効性に乏しい処方箋になっているのではないかと思われます。
 評価書は、自治体がデータを活用しないのは人材やノウハウやスキルが不足しているからだというふうにこれも前提してしまい、データの提供等、周知啓発が処方箋になるというふうに示しています。
 しかし、調査の中身をよく見ていきますと、その多くの自治体は、使いたいけど使えないと言っているのではなくて、使う必要性をそもそも感じていないというのが実態のように思われます。
 処方箋のピントずれてしまっているのは、オープンデータの利用によって行政の実態を改善するという提言が最初から設定されていたのではないかというふうに思われます。確かに、せっかく充実したオープンデータあるということで、EBPM推進したいというのは、それが望ましいことだというのは私もそう思いますけれども、しかし、だからといって、その結論が先にありきというのは問題だと思います。
 なぜ自治体はデータを用いないのかという問いを立てて、じっくりと分析することから始めなければならなかったのではないかと思われます。実態をもたらしている要因の分析に基づかずに性急にデータの利用やEBPMを迫っても、実態を変えることは難しいと思います。
 では、なぜデータを使わないのかというと、例えば、箇所付けには地方議員の方が影響を持っているのではないかとか、担当部署が市民生活系でなければ事故への注目が弱くなってしまうのではないかといった様々なこと考えられます。
 こうした仮説、検証していくためには、調査で収集したデータ、公開していただくことが何よりも大事です。それがあれば、研究者は多角的に分析していくことができます。政策評価法では学識経験者の知見活用というのが定められていますけれども、評価で集めたデータが公開されていなければ、研究者の知見は活用できません。行政の側がよりオープンになっていただければ、一緒に政策の現状を分析し、改善点を考えていく、そういうことに寄与したいと思っている研究者はたくさん存在しています。調査データの公開を強く求めたいと思います。
 次に、第二の批判になりますけれども、事故情報を用いた施設整備が事故を減らせているのかということが検証できていないことです。そのため、ほかの政策手段との比較も行えていないということが言えるかと思います。
 自治体の側が施設整備の効果検証を行っていないわけですね。これ、施設整備によって本当に安全を高めるということができているのか、いま一つ確証ないわけですけれども、しかし、検証まで踏み込むということもできていないというのが現状になります。そうすると、総務省の側が今回この政策評価通じて効果の検証を行っているということは十分に意義があることだと思います。
 ただ、この評価書で行っていることというのは、よく見ますと、事故情報を用いる市区町村とそうでない市区町村のその事故減少率を比較するという、かなり単純な統計的な検定を行っているということになります。こうした方法では、それ以外のいろんな要因によって推定不正確になるというような問題があるわけです。回帰分析等も行われているわけですけれども、事故情報と元々の事故の件数以外の要因統制されていないということで、因果推論としては不十分なものになっています。
 このように、事故情報に基づいて施設整備の効果が十分明らかにされていないということですので、ほかの政策手段と比べてより大きな効果を生む政策手段を探し出すということもできていません。警察が行っている様々な交通規制との比較等も行われていません。リソースに限りがある中で、もっと安全性高めるにはどうすればいいかということはこの評価では分からないと言わざるを得ないかと思います。
 最後、三つ目の批判ですけれども、評価制度が構造的に断絶しているというふうに思われます。
 この評価では、国交省と警察庁という国の機関だけが提言の対象になっています。自治体が効果検証を行っていないことに対しても、特段注文付けているわけではありません。また他方で、注目すべき取組があるわけですけれども、それをベストプラクティスという形で推奨するようなこともしていません。
 これは今回の調査に限られた話ではないかと思います。政策評価法の対象は国の機関だけであって、委任や補助があるか、あるいは法定受託事務でなければ総務省による評価の対象にもなっていません。国と地方が一つの政策を協働して実施しているにもかかわらず、評価において国と自治体を峻別し、自治体への意見表明を一切行わないということが必ずしも適切とは私には思えません。地方自治の観点から自治体への助言に慎重であるということは理解できますけれども、しかし、実際の政策実施の実態を踏まえ、政策評価法における国と地方の関係についても見直しが必要ではないかと思っています。
 ただ、それには国による政策評価が地方自治体の現状を正確に把握するということが条件となります。今回の調査においても、地方自治体の声、拾い上げられているわけですけれども、ただ、結論に沿うようにピックアップされているようにも見受けられます。そうではないというのであれば、それを確認できるよう、調査におけるインタビュー調査の記録等についてもオープンにしていただくということが必要だと考えます。
 以上が批判ということですけれども、さらに、この評価から、この評価が示している国と地方にまたがる問題の中で、行政では扱いにくい、政治の場で議論するということが望ましいのではないかと思われる点を四点申し上げたいと思います。
 第一が、参加と平等の間のジレンマの問題です。これは言い換えると、自治体の意思決定はどのような情報に基づいて行われるべきかという問題でもあると思います。
 地域住民からの要望と客観的なデータという二つがあるとき、とりわけ両者が食い違うときにどちらをどのような理由で重視すべきか、その答えってそう簡単ではないかと思います。住民要望に応えるということは、民主主義的には正しいようにも思いますけれども、声の大きな地区の整備が進むというような形になるかと思います。他方で、データ活用によって客観的に把握するということは、平等であるというふうにも言えますけれども、しかし、安全意識が低いとか活動を一生懸命していないというようなそういった地区でも整備が進むというのは、ある意味では悪平等と言えるのかも知れません。
 誰が優先順位決めるのか、住民なのか、議会なのか、専門家なのか、あるいは国なのかという、そういう役割分担の設計問題として考えるべき論点だと思われます。
 二つ目ですけれども、命か経済かという、そういった価値選択、それと国と地方の役割分担の関係についてです。
 安全施設の整備を通じて、命か金かと、あるいは命か利便性かという、そういった選択を自治体は暗黙のうちに行っているということになります。こうした選択、新型コロナウイルスへの対応時に顕著に現れたわけですけれども、日常的なふだんからの自治体の行政というのも様々な政策においてこうした選択を行っているわけです。ただ、そうした選択、全て地方が担っていくというのも過重な負担のように思います。
 あと、住むところによっては交通事故リスクに大きな格差が生じているというのがこの調査で示されているところです。大阪なんかですと、事故多発箇所というのは同規模の都市平均の一・五倍あるんだというようなところが見えています。こうした格差は、国がやっぱりサポートして初めて是正できる問題のようにも思います。
 地方分権の観点から補助金はできるだけ減らすべきだというふうにされてきたわけですけれども、命と経済を、そういうシビアな選択を国と地方でどう分担するかという観点からも、使途を限定した補助金の意義、改めて問い直すことが必要ではないかというふうに思います。やる気がある自治体の足かせになることは避けつつ、また条件的にしかし不利なところを下支えする、そういった補助というのは必要ではないかと考えるところです。
 第三に、AIデータと専門職不足への対応です。
 これまで道路整備というのは土木系の専門職の経験と知識に依存してきましたが、今後人材の確保、ますます困難になっていきます。他方で、この調査の中で出ているので言うと、浜松市のように、AIで学習させて事故危険度予測モデルを構築していく、そういった事例も現れているわけです。AIによる意思決定支援が実現していくと、技術職不足を補いながら客観的な施設整備も可能になっていくかと思われます。
 こうしたAIモデル開発の担い手は国なのか、それとも先進的な地方なのか、技術系の役割分担の再設計が求められていると思います。
 最後、第四ですが、自動運転の時代に向けた道路管理の再設計の話です。
 行政の側から見ると、国道、県道、市道という所管ベースで道路は分けているわけですけれども、実際の道路ネットワークというのは、生活道路、幹線道路、高速道路といった、そういう機能ベースになっているわけです。自動運転、恐らく高速道路から順に普及していくと思いますけれども、そうしたときに所管別のこの管理分割というのは円滑に対応するということが難しくなってくる可能性があるかと思います。
 今後、自動運転の普及というのは、技術だけではなくて、社会側の制度整備にも懸かっているかと思います。日本の自動車産業、自動運転時代においても国際競争力を維持しようと思うのであれば、国と地方の道路管理ガバナンスについても見直していく必要が出てくるように思います。
 以上四つの課題、いずれもこれは現状の行政の在り方だけでは対応が難しい問題だと思われます。これらは政治の側が引き取るべき課題ではないかと考えるところです。
 最後に一言申し上げたいと思います。
 行政が自らの活動や評価を通じて手にした情報やデータをより一層オープンなものにしていただくことで、実情の理解を通じて社会を改善していくということが進むよう、国会議員の皆様には是非お力添えをいただきたいと思っています。また、行政が扱えない価値選択の問題を国会が主体的に扱う役割を担っていただくということを期待しております。
 行政監視というのは、単に行政の誤りを指摘するだけではなく、行政が問えない問いを政治として問い直していただくことに意義があるというふうに私は考えています。個別の政策について丁寧に検討を行いつつ、そこから構造的に見られる問題を抽出していき、全体の改善を図っていくということが行政監視の質を高める一つの有効な方法ではないかということを改めて申し上げ、意見陳述を終わりにしたいと思います。
 御清聴、心より感謝申し上げます。
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芳賀道也#12
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございました。
 次に、小野参考人からお願いいたします。小野参考人。
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小野達也#13
○参考人(小野達也君) 追手門学院大学の小野でございます。
 本日は、このように貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は政策評価の理論や方法を専門としておりまして、今回は我が国の政策評価の課題につきまして、政府と自治体の役割という観点も加味しながら意見を申し上げたいと思います。
 配付資料の一ページ目を御覧ください。
 まず最初に、政策評価の研究と実践の系譜について少し整理をさせていただきます。釈迦に説法となる向きには御容赦をいただければというふうに思います。
 政策評価の研究と実践には、しばしば三つの系譜があるとされます。どの系譜も日本で取り組まれておりますが、それぞれ課題が様々あるというのが現状かと思います。
 まず、一つ目の系譜が業績測定と呼ばれるものになります。
 これは、一つ一つの政策の進捗や結果を数字の指標でモニタリングして、政策サイクル、PDCAサイクルを回そうというものになります。いわゆるニュー・パブリック・マネジメントの潮流に乗りまして多くの国に広まって、単なるモニタリングにとどまらずに、今日は目標値を設定して目標管理を行うというのが標準となっています。
 日本でも、九〇年代後半から自治体で一気に導入が進みまして、政府でも二〇〇〇年以降、まずは施策レベルで、続いて事務事業レベルでも制度化されているわけです。また、評価制度の枠の外でも、様々な計画や政策で必須のものとなった感もございます。
 二つ目の系譜は、プログラム評価と呼ばれるものになります。
 こちらは、個々の政策につきまして、その必要性から論理、プロセス、アウトカム、インパクト、すなわち正味の効果、さらには効率まで体系的に掘り下げて評価するというアプローチになります。今日注目されておりますEBPMというもののコアな部分の源流というのは、このプログラム評価の中で最も重要な段階と言われていますインパクト評価に相当すると。そのインパクト評価に医薬分野の実験の実践ですとか経済学の因果推論の研究などが合流した形で今日のEBPMになっていると言うことができるかと思います。
 日本では、残念ながらこのプログラム評価というのは余り実行されておりませんけれども、EBPMはそれとは別の統計改革の議論が発端となってこのインパクト評価が結果的に求められることとなっているというのが現状かと思います。
 三つ目の系譜は、しばしば政策分析と総称されるものになります。
 事前に政策の費用と効果を推定し、採否やオプションの選択を行うというものになります。
 日本の政策評価の制度では、公共事業ですとか規制などの事前評価が義務付けられているわけであります。
 日本における政策評価をめぐる近年の議論、その中心は、今申し上げた系譜の一つ目の業績測定に関するものと、二つ目のプログラム評価のうちのEBPMに相当する部分と考えることができます。
 以下では、それらについて私の見解を申し述べたいというふうに思っております。
 ここで、本日の用語につきまして少しだけ説明をさせていただきたいと思います。
 まず、政策という言葉、いわゆる政策の階層の狭い意味での政策、施策、事務事業の全てを含む意味で使ってまいります。
 それから、政策評価という言葉も、政策を評価する様々な制度や手法、自治体なども含めて、それらの総称ということで使ってまいります。
 また、評価指標という言葉も、政策について客観的に説明する数字、それらの全ての総称というふうに聞いていただければと思います。
 それから、エビデンスという語ですが、こちらは、基礎的なレベルから厳密なレベルまでを含むものとして総称してまいりたいというふうに思っております。
 さて、本日意見として申し上げたいことは、大きく分けて二つございます。
 一つ目は、先ほど一つ目の系譜として挙げました業績測定のタイプの政策評価に関してであります。
 配付資料の二ページ目を御覧ください。
 まず、その中でもマンネリズムの問題をお話をし、続きまして、古くて新しい問題と言っておりますが、評価指標の取扱い、最後に、今日のEBPMとの関係ということについて申し上げたいというふうに思います。
 まず、マンネリズムと評価疲れに関することなんですけれども、この業績測定のタイプの政策評価といいますのは、自治体全体で見れば、総合計画ですとか毎年度の予算編成と連動する形で、もうかれこれ三十年、先行しているところからは三十年、それから、政府の政策評価制度にも四半世紀の実績があるということになります。そのほかに、政策評価の制度の外で行われる業績測定を含めまして、今や公共部門のあらゆるところに行き渡ったと、そういう感がございます。そのこと自体は非常に画期的なことであったと考えております。
 しかし、次第にその評価の必要性の自覚ですとか新規性というのが薄れてまいりまして、評価のルーチン化あるいは形骸化というのが目立つようになってまいりました。言わば定例の文書作成作業と化したケースが少なくないと思われます。
 このようなマンネリズムの一方で、現場では評価を行うことの負担感は増すということがあります。評価疲れということも言われるようになってまいりました。評価制度を廃止する自治体も増えてまいりましたし、政府の政策評価制度、リニューアルがなされましたが、その背景にもこの各所における評価疲れというものが間違いなくあったということでございます。
 このような課題の背景には、評価が使命として実行されるミッションドリブン、これが望ましいわけですけれども、そうはなっておらず、義務的な作業として規則どおりに評価書を作成するという、言わばルールドリブンの作業になってしまっていると。評価についてはこれでは困るということでございます。政府の政策評価制度も早い段階で法制化されまして、言わば強力な制度というふうになりましたけれども、結果として厳格な運用ということが強調され過ぎた嫌いがあると思っております。
 また、形式的に目標管理の作業のみが各所で必須とされる状態となっておりますけれども、近年様々なところで聞こえてまいりますが、数字の指標や目標値による管理、PDCAサイクル等への疑念あるいは批判、そういったものの原因になっている可能性があるかと思います。可能な限り定量評価せよというのは、今日の政策評価の基本的なテーゼということになると思います。私も強く共感いたしますけれども、ここで定量というのは言わば妥当性のある定量のことであって、無理やりにですとか、形式的なものということでは決してないと思います。この辺り、世の中でかなり誤解されてしまっている感がございます。
 しかし、これからの時代の政府、自治体において、業績測定に基づいて政策を取捨選択し、資源配分を最適化するということの必要性は、増すことはあっても減ることはないというふうに考えております。
 続いて、古くて新しい問題としておりますが、お話をしたいと思います。
 約三十年前に業績測定のタイプの評価が始まった当初から、政策の成果、いわゆるアウトカムと呼ばれていますけれども、それを測る指標の設定が難しいという声が一貫して多数ございます。政府も自治体も多くの、数多くの研修を実施して、マニュアルも用意してきたわけですけれども、大勢は変わっていないという状態です。確かに、その社会科学の測定というのは、自然科学と比べて間接的なものになりますし、行政の評価指標というのも企業経営の評価指標とはまた別の、更に多元的な評価軸が必要になりますので、難しいという事情はあるわけです。どのような研修が効果的なのか、あるいはどういうマニュアルが必要なのか、この辺り、改めて考える必要があると思っております。
 近年はロジックモデルという、その政策の実施前の過程から成果の発現までの論理的な関係を流れ図にすると、そういう絵を描いた上で評価指標を設定するという方法、これが幸いにも日本でも取り入れられるようになってまいりました。これは大変結構なんですけれども、現場の様子を見ると、これもルールドリブンになりがちなところがございます。
 さて、それで、アウトカム指標がそれなりに設定されたとして、更に二点ほど指摘したいことがございます。
 一つは、その政府の各府省が設定するアウトカム指標というのは、最終的には国民生活ですとか全国の各地域における成果そのものを測りたいところなんですが、そういうものが乏しいという点でございます。多くは、自治体行政でどういう取組が、政府の政策によって自治体行政でどういうことが行われたというような、そのような把握にとどまっているものが多くて、一言で言えば、データの連携を欠く状態であるということが言えます。
 もう一つは、政府、自治体の設定する評価指標のほとんどは、いわゆる総数とか平均の把握にとどまっておりまして、その内訳、地域別ですとか対象者の属性別の集計など、そういうものが非常に乏しい状態になっているということであります。仮に総数や平均が同じでも、偏りがあるかないか、政策の評価にとって重要な観点であろうというふうに思います。
 また、評価指標の良しあしというのが、その妥当性、つまり測るべきものを測っているかどうかで決まるということが言えます。評価指標の妥当性が不足していれば、その後、評価指標を使った議論というのが意味を失ってしまうということになります。この評価指標の質というものについても、やはり何らかの点検、これまでもないわけではないんですが、点検を強化するということが望まれるということでございます。
 それから、政府において政策評価制度や行政事業レビューという形で業績測定のタイプの評価というのが、少なからぬ課題があるとは言いつつもそれなりに定着したと言えますけれども、近年、EBPMというものの関係で関心が改めて高まったというところがございます。現在の政府のEBPM、広い意味でのEBPMには、この業績測定のタイプの評価が基礎的なEBPMと位置付けられております。
 現在の政策評価全体を見ますと、その評価対象という意味では、この業績測定のタイプの評価の対象となっているものが圧倒的に多いわけです。そういう意味では、この業績測定の改善というのが非常に重要な意味を持ってくるということでございます。このEBPMの、基礎的なEBPMという位置付けになったというのは、その改善に向けて追い風になると期待している次第でございます。
 少し、今日はこれ以上具体的にお話しする時間はありませんけれども、資料二ページ目の下の方にはややちょっと具体的な、技術的な問題を書いております。
 続きまして、資料の三ページ目に参ります。本日、意見として申し上げたい大きな二つ目の話でございます。
 御承知のように、エビデンスという概念は階層構造があると考えるべきなわけですけれども、様々な方が様々な形の整理をされています。この配付資料の三ページの上の方に挙げました図は、政策の立案、評価の手法と、それからエビデンスの階層というものを対照させた私なりの整理でございます。
 図の左側が政策の立案と評価の手法です。どのような評価や分析の結果に基づいて政策を決めるのかという観点で分類しております。右側は、いわゆるEBPMの議論におけるエビデンスのレベルと言われるものの大まかな分類になります。共に、上の方に行くほど厳密なエビデンスを扱います。御承知のように、アウトカム指標が改善したとして、その変化は本当にその政策によってもたらされたのか、あるいはほかの要因を取り除いてもそうなのかという因果関係が求められるということになります。この図の一番下には、やはりどのようなレベルであれ、統計の誤用や濫用というのは起こり得ますので、そのようないわゆる統計のうそがないことが実は全ての議論の土台になるという意味で下に付け加えております。
 このような構造についてまず申し上げたいことは、この図の上の方の厳密なエビデンスと、それから下の方の基礎的なエビデンスとが政策の現場において別物であってはならないということであります。これはしばしば言われる例えとして、スポーツの試合というのがあります。試合のスコア、何かスポーツをしていて、試合のスコアが結果として非常に重要なわけですけれども、それを踏まえて、コーチなり監督が原因の分析や作戦の検討をするということになるわけであります。つまり、業績測定の広く浅い評価から掘り下げた分析を行うべき政策を決めて、選んで、発見して因果関係を突き止めるという一連の過程ということになります。ところが、現状の例えば府省さんの取組などではこれが別物になっているというのが現状ではないかというふうに思っております。
 また、業績測定型の評価において、最終アウトカムの前の段階をきちんとチェックをする、あるいは、アウトカムの、先ほど触れましたアウトカムの内訳を比較したりする、そういったことが厳密なエビデンス追求との間に入るような、間をつなぐ分析として有効な場合があるのではないかとも思っております。
 三ページ目の下の方になりますが、エビデンス追求の目的ということでちょっと何点か書いております。
 まず、二つ目の項目をちょっと先に述べさせていただきたいんですが、より厳密なエビデンスを推計する試みというのが各省で今行われておりますけれども、その何を対象にするかというところで、分析が可能で効果を確認できそうな政策は対象とするというような印象がございます。現在まだ実証研究ということで、準備段階ということかとも思います。
 それから、その上に一つ目として挙げている点ですけれども、ある研究で推計された結果というのがあったとして、それがそのまま現実の政策のエビデンスとなるとは限らないということです。研究結果として出たものと政策の本当の効果として扱うものとの間には若干距離がある場合があるということも指摘したいということであります。
 それから、ちょっと三点目、一番下のものはちょっと省略をさせていただきたいと思います。
 配付資料の最後になりまして、持ち時間残り少なくなってまいりましたので、国民的関心事に関する評価の検証、これは是非、国会といいましょうか、国として考えていただきたいということで、例えば私の学生に課したレポートなんかでも書いてきますけれども、例えば総理大臣が徹底的に検証するという趣旨の発言があったものとして、例えば地方創生の第一期ですとか新型コロナ対策などは、それに相当するものは現実には示されていないのではないかというようなことがあります。そのようなものをきちんとデータに基づいて示されれば、非常にEBPMの何たるかということを広めるということにもなろうかというふうに思います。
 大変恐縮ですが、最後の五番のところは後書きのようなことで何点か書いているものですので、少し時間ももうこれで尽きましたので、私の話はここまでにしたいというふうに思います。よろしければ、また御質問でお尋ねいただければと思います。
 御清聴ありがとうございました。
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芳賀道也#14
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
    ─────────────
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芳賀道也#15
○委員長(芳賀道也君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川克巳さんが委員を辞任され、その補欠として吉井章さんが選任されました。
    ─────────────
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芳賀道也#16
○委員長(芳賀道也君) これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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生稲晃子#17
○生稲晃子君 自由民主党の生稲晃子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、大変お忙しい中、参考人の皆様方には大変貴重なお話をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
 人口減少とか、あと地域の課題が深まる中で、国と地方の役割分担、また連携の在り方というのは、これからの行政を考える上で大変重要なテーマであるというふうに思っています。先生方の御知見からいろいろ学ばせていただいたこと、本当に感謝しております。
 辻参考人、曽我参考人、そして小野参考人、お三方にお伺いしたいと思います。
 今日、今回、先生の資料を事前に読ませていただきまして、また先ほど辻先生のお話の中にも出てまいりましたので、質問の機会を今日この委員会でいただけたことを大変有り難く思っています。
 それはなぜかといいますと、私は東京選挙区の議員であります。現在、地方税の財源の偏在是正をめぐる議論が東京の中で非常に大きくなっているんですね。
 昨年十二月に決定しました令和八年度の与党税制改正大綱において、東京都に集中する地方法人課税や固定資産税を他の地方自治体へ配分する偏在是正の強化が明記されました。小池都知事は定例会見等で数回にわたって反対、反論の姿勢を示していらっしゃいますし、また、東京の国会議員とか、あと都議会の方でも、東京から奪うような構造には強い懸念の声が上がっているところであります。私自身も東京選挙区でありますので、その思いというのは理解をしているところであります。
 この問題は、単に東京対地方という対立の構図で捉えるのではなくて、日本全体の発展という視点から考えていく必要があるのではないかというふうに感じています。
 小野先生は、鳥取大学の教授として、また鳥取に根差した自治体や政府の取組に多く携わってこられたというふうにお聞きをしています。参考人の先生方それぞれのお立場から、東京と地方のこの関係ですか、今後どのように考えていったらいいのか、その御見解をお話ししていただけると有り難いです。お願いいたします。
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辻琢也#18
○参考人(辻琢也君) 御質問ありがとうございます。
 非常に難しい問題だと思います。私自身も、以前ですが、東京の自治のあり方研究会というのの座長を務めたこともあります。
 東京が、何といいますかね、日本で一番の都市であり、しかも、中国の大きな都市に比べると人口規模といってもそんなに大きくないという状況になっておりますので、東京の頭を押さえて地方を伸ばすというよりも、東京も地方も共に伸びていくと、こういうような状況をつくっていくことがやっぱり一番重要じゃないかというふうに思います。
 しかし同時に、ここで今言われていることは、結局、東京の経済活動が大きくなって東京の税収が増えているというところもさることながら、ネット取引になって、地方その他で活動しているけど、納める税金は東京に納めているというようなものが増えたり、結局、地方の活動部分のものが結果的には地方でうまく徴収できずに東京の税収になっていたりというようなものも含めて、今の東京の税収の多さにつながっているというのが状況だと思います。
 そうした中で、本来各地方が頑張ってその分税収として得られる分についてはやっぱり何らかの是正をして、その地方が伸びていくような体制をつくり、東京も地方もそれぞれ頑張ることによって経済面も税収面もプラスになっていくと、その納得感が得られるような体制をつくることが重要なことではないかというふうに思います。
 以上です。
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芳賀道也#19
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございます。
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曽我謙悟#20
○参考人(曽我謙悟君) ありがとうございます。
 私は政治学専門にしておりますので、そうした観点から申し上げますと、東京と地方というような、こういう構造の話ですね。
 これ、別に日本に限られた話ではないんだろうと思うんです。それは、経済的に発展したところとそうじゃないところというような違いというのはいろんな国にあって、それが政治の観点から見たときに私が一番危惧しているのは、やっぱりそれがその分断とかにつながっていくということですね。それは、アメリカとかもそうですし、イギリスとかもそうですし、そういったところでその分断というものが都市と地方の間に強まっていくという、それを危惧するところです。
 日本は、相対的にはそういうことが今まで避けられてきたのではないのかなというふうに考えています。それに寄与してきたのが、地域的な再分配というのを強くしていくと、端的に言えば、東京の富を地方に再分配していくということも大きく寄与してきたんではないのかというふうに考えています。
 ただ、それが東京の方の負担感の大きさになっているというような話になるわけですけど、今おっしゃっていただいたようなお話というのは、他方で、地方交付税とかも含めたときにどれだけ東京が地方に対してサポートするというようなことを担っていくのかということかと思います。
 それが、私の今の話でいうと、そういう社会全体の分断とかをできれば抑制するような形でどれだけの負担を背負っていくかというようなことを、これはもう国会レベルの話だと思いますけど、国として考えていっていただくというのが大事かなというふうに思う次第です。
 以上です。
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芳賀道也#21
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございます。
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小野達也#22
○参考人(小野達也君) ただいまの御質問、私はちょっと、かなり、自分の専門を踏まえて何か発言できるということではなくて、何か一納税者としての発言以外余りないのかもしれない。
 ただ、一つ今思いましたのは、鳥取におりましたときに、公共事業の評価委員会というのを、義務付けられている、全都道府県にございますが、その会長などを務めたときに、やはり公共事業などを、国から補助金が出て鳥取県で公共事業を行うというときに、オールジャパンの、日本全体の水準できちんと評価をすると明らかに効率が悪いと。お金掛かる割に成果は、人口も少ないですし、経済も小さいですから、余りないと。ただ、補助金がやってまいりますから、鳥取県の自己負担分を考えると非常に効率は悪くないということにもなる。これ全体で見ると、合成の誤謬と言われたりもするわけですが。
 ただ実際には、でも、東京に限らず大都市部と鳥取と比べると、いろんな水準、インフラの水準も恵まれていないと。それは何とかしたいという地元の気持ちでもあるし、私は客観的な立場で、私というか、委員会としては議論しなければいけないし、非常に悩ましいところで、鳥取県のためにどう判断するかというのと、やっぱり日本全体のためにどう判断するかという方向は違うわけですよね。その辺、世の中、単純化して言うと、やや曖昧な状態になっていて、いろんなものが進んでいるのではないかと。これは、鳥取県で公共事業の評価委員会に十年ぐらい関わりましたときに常々思っていたことでございます。
 ちょっとお答えにはなっていないかもしれないんですが、申し上げました。
 以上です。
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芳賀道也#23
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございます。
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生稲晃子#24
○生稲晃子君 それでは、じゃ、まだお時間ありますね。辻先生と曽我先生にまたお聞きしたいんですけれども、この偏在是正の議論の背景には、やっぱり東京への人口とか、あと企業の集中、東京一極集中の問題があることはもう間違いないというふうに思うんですけれども、そういった構造の中で、税財源のその偏在是正として、東京から地方にその財源を移すだけでは地方の発展とか地域間の格差の是正につながっていくのかというのは、ちょっと私はつながっていくのかななんというふうにいつも疑問に思っているんですね。やっぱり制度の在り方とかを見直していく必要もあるのではないかなというふうに考えたりするんですけれども、その辺りを先生方どういうふうに思われているか、御見解をお願いいたします。
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芳賀道也#25
○委員長(芳賀道也君) 恐れ入りますが、申合せの時間も近づいています。お答えは簡潔にお願いできれば幸いです。
 では、辻参考人、お願いします。
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辻琢也#26
○参考人(辻琢也君) 大変難しい問題、簡潔に答えるのは困難ですが、一つ言えるのは、東京に集中し過ぎたときに東京に要するに外部不経済が発生するというのが一番東京としては課題になるところじゃないかと思うんです。
 今、外部経済、昔と違って、水が足りないですとか大気が汚染して大変だとか、こういうような状況ではないんですが、やっぱり今、この中で土地の価格がどんどんどんどん高くなって、二十年前に比べると二倍ぐらいに住宅地でもなっているようなところがあったりして、大体、普通のサラリーマン世帯でやっぱりなかなかマンションだとか住宅も容易に取得できなくなるような状況になってきていると。
 こういうことを考えますと、東京の住みよさ、活力を維持する上でももう少しいろいろ分散した政策、それに税の政策が役に立つならば、そういう観点からの政策はやっぱりあっていいのではないかというふうに思っております。
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芳賀道也#27
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございます。
 曽我参考人、恐れ入ります。
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曽我謙悟#28
○参考人(曽我謙悟君) 今の問題でいいますと、まず最初に分析しなきゃいけないのは、なぜ一極集中が生じているのかということの分析が必要なんだと思います。
 いろいろあり得ると思いますが、例えばやっぱり雇用の問題は大きいんだと。そうすると、その雇用の問題を、東京以外のところの雇用の在り方ですね、そういうのをどういうふうに改善していけるかという形で考えて、そのときお金がこれだけ必要なんだという話になったときにお金がという話になっていくんだろうと思うんですね。
 そこの辺りの議論がないままに、お金をどっちに移すというような形である種の取り合いみたいになるというのでは、余り生産的じゃないのかなというふうに考える次第です。
 以上です。
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芳賀道也#29
○委員長(芳賀道也君) ありがとうございます。
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