庄司一郎の発言 (運輸及び交通委員会)
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○庄司一郎君 ただいま議題となりましたのは、舊宮城電氣鐵道株式會社が經營しておりまして、現在運輸省の省線となつておる仙臺市から石巻までの現在仙石線と呼稱されている鐵道全部を、もと通り今囘新しく創立中の宮城電氣鐵道株式會社創立事務所に拂下げ願いたいという結論の請願でございまして、もとの同會社の取締役社長中村梅三君ほかもとの重役及びこの路線關係の町村長等が連名で請願している拂下げの請願でございます。
簡單にその理由を申し上げると、宮城電氣鐵道株式會社は大正十一年九月に資本金五百萬圓拂込金五十萬圓をもつて設立し、爾來金融界の恐慌等不幸なる幾多の困難に遭遇してまいりましたが、辛うじて拂込金を徴收し、あるいは莫大なる借違金によつて昭和三年十一月仙臺、石巻兩市間の全通を見るに至とつたものであります。しかして同會社は單に營利のみの目的をもつて起業せられたものではございません。仙臺間の關係町及び地方産業開發の要望によつて地方の零細なる資金を集め敷設せられたものであります。創業以來十年間、まさに筆舌に盡しがたい苦難の時代を克服し、ようやく昭和十三年頃より前途に曙光を認め得るに至つたのでありまして、逐次設備の改善、充實等を實行し、もつて沿線の要望にこたえつつあつた折柄、突如として昭和十八年末政府より買收を申し渡され、株主及び經營者は非常なる損害をこうむるにもかかわらず、この買收は實質において國家總動員法を背景とする戰時中の特別措置として、戰時中なるがゆえに、あえて忍びて國家の用に供した次第であります。ゆえに終戰後の今日まで依然として國營となすの必要を認めざるをもつて、當然舊態に復してしかるべきものと信ずるゆえんであります。そしてこの希望を一層痛切に感ぜしむるものは國有に歸した後の結果であります。すなわちすべて官僚式畫一主義をもつて臨み、一時の應急的手段を講ずるのみでございまして、地方の實情に即應する徹底的なる設備の改善、改良を行わざるがために、車體は破損し、軌道は磨滅し、貨物車も客車も混亂に混亂を重ね、今にして何らか根本的の手術を施さざれば、自滅のほかなるべく世論囂々として非難の的になつております。現に國鐵勞組仙管下部原町分會は、仙石線の施設改善について仙臺管理部長に對し、要求書を提出されております。また地方日刊新聞も社説を掲げて、仙石線を攻撃しておるような状態であります。まことに國鐵現在の機構をもつてしては、この一地方線の運營に重大なる缺陷を暴露しているものと思います。さらに該鐵道沿線には仙臺の外港たる鹽釜港あり、石巻あり、ともに將來の發展を期待されており、また松島公園が國立公園に昇格される際でございます。特にこの鐵道沿岸は最も重要なる箇所であり、また鐵道の附帶事業として觀光施設その他、この後において開發に邁進すべきものがたくさんございます。これを要するのに現在の機構では望ましくない状態にありますので、一日も早くもとの民有鐵道にして、初めてよく適切の措置を講じ得るものと信ずるゆえんであります。これは國有鐵道のごとき厖大なる組織をもつてしては、地方特有の實情にそれぞれ臨機應變すべき小地方線、特に當沿線のごとき將來の發展的要素を含める支線の經營は、必ずしも適切に運營することを得ざるをもつて、沿線居住者にして沿線の事情を理解し、密接なる關係を有する事業會社をして、地方的特殊事情に立脚せる經營方針をもつて專念これを行わしめ、かつ地方の産業、あるいは觀光事業と協力し、眞に表裏一體となつて經營していくことが、兩々相まつて最も好結果を生ずるゆえんであると考える次第であります。以上の理由をもつてもとの宮城鐵道株式會社に、政府においては英斷をもつて拂い下げられんことを請願する次第でございます。