葛西嘉資の発言 (厚生委員会)

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○葛西政府委員 それでは委員長の命により、大臣に代りまして、ただいま議題となりました災害救助法案について提案の理由を説明いたします。
 非常災害に際して羅災者の救助に萬全を期することが、個人の保護のためにも、また社會秩序の保全をはかるためにも緊要事であることは申すまでもないところであります。現在災害救助に關する法律としては、明治三十二年に制定された罹災救助基金法があるのでありますが、從來の經驗に徴しますと、同法によつては救助の徹底を期することが困難であつたのであります。
 第一に、同法は単に罹災救助基金に關する法律たるに止まるものでありますから、救助活動全般にわたる規定を設けておらないのであります。從つて救助活動が區々となり、不徹底となる憾みを免れず、殊に關係行政機關等の圓滑な協力を缺くような場合が生ずるのであります、
 第二に救助費についても、現下の物價情勢においては、罹災救助基金からの支出のみではとうてい不足なのでありまして、その他にその都度の必要に應じて都道府縣の一般會計負擔や、多額の國庫補助を必要とする場合が、過去の經驗に徴しても多いのであります。この點につきましても實情に即した規定を設け、かつ都道府縣と國庫との費用分擔關係を明らかにしておくことが、救助の圓滑、迅速を期するために必要と認められるのであります。
 第三に、從來の罹災救助基金法においては、救助に必要な物資について何の規定も設けておらないのでありますが、現下の情勢におきましては、災害時における物資の手當についても適切なる對策を講じておく必要があるのであります。
 以上のような點を是正した總合的な災害救助法律を制定する必要がつとに痛感され、かつ前議會の委員會においてもその旨の要望がありましたので、ここに災害救助法案を提出いたす次第であります。
 同法案の内容につきまして簡単に説明いたします。同法案の目的は、第一條に規定されておりますように非常災害に際して、國が地方公共團體、日本赤十字社その他の團體及び國民の協力のもとに應急的に必要な救助を行い、災害にかかつた者の保護と社會の秩序の保全をはかることに在するのであります。
 次にこの法律による救助は第二條に規定してありますように、一または二以上の都道府縣の全部または一部にわたる天災その他の非常災害にかかり、現に應急的な救助を必要とする者に對してこれを行い、また災害の範圍が前項に該當しなくても、多數の者が同一の災害にかかり、現に應急的な救助を必要とするときは同じく救助を行うのであります。
 次に救助その他緊急措置の適切圓滑な實施をはかるために關係行政機關等の協議體として中央に中央災害救助對策協議會、都道府縣ごとに都道府縣災害救助對策協議會を設け、なお必要あるときは、數都道府縣を區域とする地方災害救助對策協議會を設けることができることとし、これらの點につきましては第三條から第二十條までの規定が設けられております。本協議會においては、特に事前においてもまた災害時においても救助に必要な物資の備蓄、整備等につき計畫をたて、協議會を組織する行政官廰等は、その計畫を實施するために必要な措置をとることとなるのであります。
 次に日本赤十字社の機能の活用をはかるために、第二十一條においてその協力を求め、また各種團體その他民間の救助に對する自發的協力活動の連絡調整にあたらせ、また第三十二條において都道府縣知事は救助またはその應援の實施に關して、必要な事項を日本赤十字社に委託することができることといたしております。
 次に第二十二條におきまして、救助は都道府縣知事がこれを行うこととし、その種類は第二十三條に規定してありますように、收容施設の供與、食品その他生活必需品の給與、醫療その他さしあたつて生活の維持に必要なものとされております。
 次に救助に必要な人及び物の確保に關して關係大臣、都道府縣知事等に必要な權限を附與することとし、これに關しては第十二條、第十三條、第二十四條から第二十九條までの規定を設けております。
 次に救助に要する費用等は、第三十三條以下の規定によつて原則として都道府縣が負擔することしこれに對し第三十六條により國庫がその費用の多少、都道府縣の財政力等を反映する補助率により補助することとなつております。
 次に救助に必要な費用に關する都道府縣の負擔の財源に充てるために第三十七條によりまして都道府縣ごとに災害救助基金を設け第三十八條におきましてその最小額は五百萬圓とし、その額に達するまでは毎年度一定額の積立をなすことといたしております。
 最後に附則におきましては罹災救助基金法はこれを廢止し、罹災救助基金はこの法律による災害救助基金とすることにいたしております。なお國庫補助等に關する費用は、事前に豫測することができませんので、その都度豫備費等から支出することにいたしております。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。

発言情報

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発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1947-08-11

院: 衆議院

会議名: 厚生委員会