葛西嘉資の発言 (厚生委員会)
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○葛西政府委員 母子問題に關連されて、未亡人の問題についてのお尋ねでございますが、未亡人の中には、柱と頼む主人を亡くされて生活に困窮しておる者が非常に多い状態でありますことは、御承知の通りでございます。戰爭中は未亡人ないし遺兒、あるいは傷痍者というものについての特別な國の施策が行われておつたのでありますが、御承知のように、終戰後はこれらの者を無差別平等に取扱うということになりまして、これが戰爭の犧牲者であるから、あるいは戰爭に行つて亡くなつた人のあとであるからという理由をもつて、特別の施策をするということが許されなくなつたのでございます。御承知のように現在の生活保護法におきましても、法の第一條に書いてありますように、優先的な取扱いをすることなく、平等に保護するのだということを言つておるのであります。原因のいかんを問わず平等に保護してまいるのだ。こういう建前になつております。未亡人の中には非常に生活に困窮しておる者もいるわけでありまして、これらに對しましては、生活保護法によつて現在保護をいたしております。ただ何分にも數が非常に多く散らばつているような關係で、これらに温かい援護の手が行届いておらないというふうなこともあるのじやないか。現にこれらの人が生活に困つたために、母子心中をするというような例も、御承知のように新聞紙上に出ているようなこともあるのであります。これらのことはたいへん遺憾なことでありまして、私どもといたしましては、過般民生部長會議の際、あるいは厚生課長會議の際等にも、これらの者に遺憾なく保護をするようにしてもらいたいということを、會議の都度示しているようなわけでございます。これらの人の保護という問題について、無差別平等にするということは、均一に畫一的にこれを保護していけということとは區別があるわけであります。その困窮の實情に應じて、その家庭の實際の状況に應じて保護をしていくということは、これは一向差支えないのであります。そういうような意味から、非常に民生委員あるいは縣、地方事務所當局等にも注意をしてやるようにということは、もう繰返し繰返し現在まで申しているようなわけでございます。ある縣等におきましては、この寡婦の方々を對象にしまして、生活保護法による生業扶助を活用いたしまして、ホームスパン等の屑繭を利用いたしまして、それを紡ぐことを未亡人にやらして、そのかせぎ賃をかせがすというようなことを計畫をされまして、困つた状態に應じて生活保護法の生業扶助によつて、絲の紡ぎ機械を貸し與え、あるいはくれてやるというようなことをいたしまして、それぞれの家庭にそれを持ち歸らせまして、子供の守りをしながら、あるいは家事の炊事等をしながら、屑繭を紡んでホームスパンの原料にするというふうなことをして、相當成績をあげているような町村もあるわけであります。會議等の際にも、そういうふうなこまかい注意をしていただければ、ほんとうにその未亡人に即應したいろいろな措置が、現在の法制のもとに特別の保護をするということはできぬのであるけれども、實情に即した保護をするという配慮をしていただきますならば、こういうふうに更生ができるのだというふうな事例などもお示ししてやるように言つておるようなわけでございます。そのほか現在までの特殊な未亡人だけの對策ではありませんけれども、未亡人の實情に即した施策といたしましては、あるいは家がなくて住めないという者につきましては、相當數の母子寮等も用意いたしまして、これらに収容をするというようなこともいたしておるようなわけでございます。全般的に母子問題を輕視しておるというふうなお話がございましたが、そのつもりは毛頭ございません。たいへん大事な社會問題であり、これを援護してまいることが非常に大事な問題であるという點は、よくよく心得ておるつもりでございます。