葛西嘉資の発言 (厚生委員会)

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○葛西政府委員 第一に武田委員のお話になりました點は、遺族などについて第一線が思うようにいつておらぬという點についてでございますが、これに關連しまして、この程度のことをやつていい、この程度以上はいかぬというふうな具體的の指示をしなくちやいかぬというふうな御意見だつたように拜承したのですが、これは實際の問題になると非常にデリケートになつてまいると思います。
 あるいは終戰後は無差別平等にやらなければならぬということを申したその直後、その半面の影響として、遺族なりあるいは傷病者なりに對する援護という問題が不必要に遠慮されておつたのじやないだろうかというふうに思われておつたのじやないだろうかというふうに思われる節があることも、私は地方によつては認めざるを得ない現状であるように思います。あるいは先ほども申したように、累次の地方の主務者の部長あるいは課長會議には口を酸つぱくして申してきております。具體的にこの程度まではいい、この程度からはいかぬというようなことを申すことはこれはなかなかむずかしゆうございます。しかし民生委員の指導の會合等には、婦人の囑託が現在私どもの手もとに三人ばかりおるのでありますが、これを全國に派遣いたしまして、婦人の民生委員の會合をすでに一囘だけは全部集つていただいていたしたような次第であります。それからこの遺族と言いますか、あるいはそういうものの援護の方も終戰後大分カーヴが上つてきておるのであります。二十年十二月それから二十一年六月、二十一年十二月、二十二年の六月というようなふうに押えまして、援護者の數などを表にしてみますと、ずつとカーヴが上つてきておるようなことなんかは、やつぱり私が先ほど申しましたように、一時非常に不必要に遠慮したものがだんだんわかつてきて、ずつと上つてきてるんじやないかという一つの證據だと思います。なお今後とも私どもが一番心配をしなければならぬ問題は、どんどん保護を要求するものと、それからほんとうにどん底までいつてもなお保護を受けようとしないで、間違つた道を選んでいくというような人もあることであります。そういうところには第一線の係員としては十分氣をつけまして、そういう人に漏れのないようにする努力を今後一層していかなければならぬというふうに、これは會議等にはいつでも指示しておることでありますから、だんだんと徹底してまいるのではないかというふうに思います。
 それから第二に母性の指導等について、一體どういうことを考えておるかということ、これはたいへん大きな問題でありまして、政府部内におきましても援護の部面あるいは指導保護に關係する部面ということになりますと、これはおのずから所管が違つてまいります。あるいはまた社會教育というようなことになりますれば、文部省の社會教育局の方から指導を願わなければならぬ部面もあります。また勞働部面の問題になりますれば、今度新しくできました婦人少年局長の手もとで立案されるような問題もあるわけであります。私どもの受持つております部面においては、御承知のように保護という部面から、これは今具體的にどういうものがあるかというと、なかなか算え上げることもめんどうでございますけれども、事々に觸れてこういう方面の指導をやつてまいろうという心構えでおりますが、具體的には今後のいろいろな指導のケース、第一線の職員がいろいろ困つておる人を援護することにつきましては、ケース・ワークと申しますか、その實情に即した援護の方法というものが、社會事業の方で言いますと一つの技術になつておるわけであります。そういうふうな技術指導というものをやつておる例が實はたくさんあります。よく申す例でありますが、ケース指導のたつた一つの例を申し上げますと、これは關東の縣であります。陸軍の將官をしていた人の遺族の方が、しかも子供を中學校にやつておる家庭で、戰後初めのうちはどうやらこうやら食いつないでおつたけれども、逐にたけのこの身が出てしまつて、ほとんど皮がなくなつてしまつたというようなことで、民生委員にかけこんだ例があります。その時に非常に民生委員がよく指導していただきまして、その人にお花の先生をさせることしにて弟子を集めた。しかしなお足らないということから、習字ができるというので、その人にまた習字の看板をかけさせまして、習字の先生もするということで、また弟子を集めたら、非常に收入がよくなりまして、子供も中學に行くことができるようになり、一家がほとんど更生できたという事例がある。これなどは一つのいいケース・ワークとしての實例ではないかというふうに申しているわけであります。御承知のように、子供が中學校等に行つておりますれば、義務制になつた新制中學は別でありますが、それ以外の學校に上つている者については、最低限度の生活を保護するという生活保護法では行けないのは御承知の通りでありますが、これはそんなふうな場合にぶつかりまして、實情に即して援護の手を伸べたいい例ではないかと思つております。そんなふうな個々のいろいろな實例から申しましても、遺族といいますか、あるいは、母性といいますか、子供を抱えて困つている遺族の厚生をはかつたという例は相當あると存じます。

発言情報

speech_id: 100104237X02219471013_011

発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1947-10-13

院: 衆議院

会議名: 厚生委員会