栗栖赳夫の発言 (鉱工業委員会)
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○栗栖國務大臣 お答えいたします。現下の財政は、この戰爭中十年間の赤字財政、さらに終戰以來極端なインフレーシヨン、物價騰貴による赤字財政によつて、非常な危殆に瀕しておるのであります。私は、財政が囘復をして、正常なる状態に置かれた場合におきましては、軍備その他の費用などというものは、從來要つたものは、要らなくなるのであります。これを文化、あるいは生産増強、あるいは勤勞階級の税の負擔の輕減というような方面に差向けていつて、そうして最も平和日本にふさわしい財政、税の負擔というようなこともいたしてみたいという理想はもつておるのでありますが、現状におきましては、地方財政は申すに及ばず、中央の財政も困窮をきわめておるのであります。しかして収入の面におきましては、租税収入が収入の大部分をなしておるのであります。また租税収入の中におきましても、勤勞所得者に對する税というのも、相當大きな部分を占めておるのでありまして、これをただいま坑内夫に對する勤勞所得税の全免というお話がありましたが、この數字についても、さように小さくなつておらぬかと思うのであります。これはそういうことをいたしますれば、波及するところは大きな部門にも及ぶのでございまして、こういう窮迫した財政のもとにおいては、これを實行することはできないと思うのであります。しかし勤勞所得者に對する負擔の輕減ということは、十分考えたい、こういう現在におきましても、事情の許す限り、財政の許す限りは考えたいと思いまして、今囘の追加豫算にあたりましては、議が確定いたしますれば、こういうような方法をとりたいと思うのであります。すなわち勤勞所得税に對する控除を二割から二割五分に引上げるのでございます。そうしますと、大體五萬圓から課税というくらいになるのであります。それから扶養家族の控除を、月一人二十圓を四十圓に引上げるのでございます。そういたしますと、月に大體百四十二圓の輕減となると思うのであります。この輕減は大體年収十五萬圓くらいの勤勞所得者は均霑ができると思うのであります。そうしてなお百四十二圓の輕減は、七月に遡及してやりたいと思つております。從つて七月、八月、九月、十月の額だけをこれは六百圓弱になると思いますが、お返しをしたいと思うのであります。これはあるいは十一月か、早い機會において支拂いと差引き拂いをしてお返しをしたい、かように考えておる次第でございます。それからなお今囘の追加豫算では、まだはつきりではありませんけれども、それは遠からずきまると思いますが、きまりますと、勤勞所得者に對しても、高率な所得者に對しては、税率の引上げをするのでありますけれども、七萬圓未滿のものに對しては、税率を引上げない、こういうふうにいたしたのであります。そこで普通の勤勞所得者は、増税の負擔をしなくてもよいようになると思います。なお炭鑛におきまして、坑内に勤勞されるところの人の超過所得についての税の輕減ということをただいま考えておるのでありますが、その方法等は目下研究中であり、なおその筋にも交渉中でございます。これも何かの方法でいずれできるようになるのではないか、こう思つておる次第であります。