海野三朗の発言 (鉱工業委員会)
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○海野三朗君 本邦の工業、特に中小工業における窯爐は、概してその設計竝びに燃料の處理方法につきましては、ほとんど明治以來の舊態を持續し、これが改良進歩は、すこぶる遲々たるものがあり、また熱經濟に對するそれらの從業員の智識も、はなはだ乏しく、いたずらに燃料を浪費し、さらに爐材竝びに保温に關する智識にも缺けるところ多く、誠に寒心にたえないところでございます。殊に近時燃料供給難とともに、その製品に必要な温度に對し不十分な點が多く、從いまして、製品に遺憾の點が夥しく、なお工場の設備の惡いために、見返品等の大量生産に應ずることができず、一方燃料の品質低下によりまして、低質炭及び電熱の利用を考慮しなければならない状況でございます。從いまして、この際、できるだけ少量の燃料及び低カロリー炭或は電熱をもつて適切な窯爐及び燃燒と餘熱装置、竝びにその操作方法を急速に研究實施することが、是非必要であるのでございます。さきに文部省竝びに日本學術振興會におきまして、この目的のために窯爐竝びに爐材委員會が設けられ、委員として權威者三十二名竝びに多數の研究囑託が無報酬で努力いたしてまいりましたが、經費三萬四千圓にすぎず、十分にその目的を逹することができず、貧困な燃料資源の現在及び將來を考えるとき、窯爐の能率を高め、燃料の節約、製品の良好、竝びに經濟的生産を目指す意味におきまして研究に精進するとともに、あまねく中小工業者の熱管理その他、工場の實際を指導いたしまして、わが國工業再建に特に力を傾注しなければならないことを確信し、ここに右に關しまする經費五十萬圓を支出されるよう望む次第でございます。