小澤佐重喜の発言 (国土計画委員会)
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○小澤佐重喜君 この岩手縣の水害は、御承知の通り第一次、第二次、第三次とございますが、この議題になつておりまする請願は、いわゆる第一次分でございまして、もちろんその請願を出した當時におきましては、二次三次があると豫想した者はなかつたのでありまして、從つて、今議題になつた問題だけで、政府の御考慮を願うことはきわめて不徹底なものになるかも知れません。しかし議題になつた問題が第一次分だけでございますし、殊にこの請願の目的とするところは、いわゆる、應急對策と恒久對策にわけておるのでありまして、少くともこの恒久對策の部面に至りましては、第二次、第三次ともに同じ観點に立つ問題であると思いますから、二次、三次の分の總合した請願は追つていたすことにいたしまして、一應ここの一次の分、すなわちただいま議題になつておる請願の趣旨だけを弁明いたしたいと存じております。
このいわゆる第一次水害は、本縣の南地方を襲つた水害でございまして、明治四十三年の盛岡地方を中心とする大洪水に比較しますと、家屋の流失、人畜の被害こそ少いが、山林資源の濫伐、水害防餘施設の缺如、その他悪條件が原因となりまして、交通網施設の破壞を初め、農耕地の冠浸水流失、木材、薪の流失、製炭用窯の決壞、あるいは住宅等の浸水等、その被害がまことに厖大でありまして、しかも旬日以上を經過したこの請願書を出す當時でさえも、いまだに降雨がやみませで、冠浸水以外の農作物の腐敗は、はなはだしく多きにわたつております。なお今後精査するに從いまして、ますます被害が増大するものと推測いたしておつたのであります。しかしてこれが水害の應急策としては、民心民生の安定、國家再建ないし本縣の振興上重大なものと認め、岩手縣會におきましても、もちろん縣當局、關係町村その他の機關を總動員いたしまして、ただちにこれが應急措置を講じておつたのであります。殊にこの食糧事情及び經済情勢よりしまして、速急に國會及び政府の援助のもとに應急竝びに恒久的施設を論ずることをしなかつたならば、該被害地における疲弊その極に達しまして、ほとんど再建不能の致命的なケ結果を招來するものと思惟せられておつたのであります。從いまして、國會竝びに政府におかれましても、この現状をとくと御了察せられまして、これから申し上げますところのいろいろな事項につきまして、特に適切な對策を講ぜられ、特段の後援助を賜わりたいという趣旨で、本請願書を出したのであります。
これを具體的に申し上げますれば、まず應急對策において、第一に道路、橋梁、護岸、耕地、水路、揚水施設等の應急工事費に對する高率の助成、第二に應急資材の特配竝びに復舊工事費借入に關する特別の措置、第三に浸水家屋に對する炊出米の補給増配、第四には衛生資材竝びに農薬の特配、第五に代作物の種子の斡旋、殊に水害地に對する肥糧の特配、第六には防疫指導班の編成等伝染病未然對策、第七は供出割當の減免と減収農家に對する飯米補給、第八には被害農産村に對する應急低利資金の融通、第九には旅行者滞在地における救済費に對し國庫全額助成、第十として被害地方における免税措置、以上がいわゆる應急對策でございますが、もちろんこの中には政府としてもすでに相當の施策を施したものも多々あると思うのであります。從いまして、現在の状況では、請願者としては第二の恒久對策の方に重點をおいておるのであります。
そこでこの恒久對策といたしましては、第一に、北上川の治水計画の急速な實施、特に改修、堤防、ダム施設の整備促進、第二としては、農作物についての品種研究、水害時期による前後措置に關する研究、第三としては、災害防止林の設備促進、第四としては、基幹道路、橋梁の新設、第五としては、山王海、稗和西部及び葛丸川農作水利事業の國營、第六として、北上川支流河川流域のダム施設整備促進、第七として、水害地に對する現在の農業保險料は低率につきこれが農業保險法改正の促進、第七の問題は、申すまでもなくいわゆる災害補償法案として現在政府から提出せられまして、本院で審議中でありますから、これは速やかに審議を終了せられて、法律を實行に移していただきたいという趣旨であるということを附け加えておきたいと思うのであります。
以上のような諸點について、ぜひ政府當局の善処を要望する意味において、本請願書を提出したゆえんであります。もちろん先ほど申し上げました通り、これは第一次水害に對する請願でございますがゆえに、それより大きな水害であつた第二次、第三次水害の面も併せて御研究を願いたいと存ずる次第であります。以上簡単ですが趣旨弁明いたしました。