岡元義人の発言 (在外同胞引揚問題に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○岡元義人君 たまたまこういう事件が最後の日に起きたわけでありますが、私は途中からこの特別委員會に入りまして、その間皆様よりも、特別な立場でこの特別委員會を眺めて來た一人なんであります。當初穗積委員の政府當局に對して、本會における質問が掲載されたときに、引揚者たちは全く随喜の涙をこぼさんばかりに喜んだのであります。我々は何とかして救われるぞというような気持をば、痛切に引揚者たちは抱いたのであります。これは、この議員の方々は御存じなかつたと思いますけれども、恐らく私みたいな遠い鹿兒島の果てにおる者が、現に自分で見て、そうして眺めて來ておりますので、その感激の状況は全く、實に私たち自體でもそうでありましたが、引揚者の代表が國會へ出てくれて、而も猛烈にやつて頂いておるということに對して、大きな期待を抱いたのであります。そうして私もその後の經過というものを待つたのでありますが、併しながら末端までは何ら形に現れるものが來なくて、しびれを切らしてこの議事堂まで足を進めて参つたのであります。入つて見まして皆さんがあらゆる方面に血の滲むような努力を重ねて頂いておるという現實を眺めますときに、私がここに來るまでの氣持は、尚一層深く感謝の念に驅られたのであります。この點は外の委員の立場と違いまして、私の立場からは一入深いものがあつたのであります。私といたしましては、この特別委員會に入りました以上、皆様の今までのお働きの分まで働かなければいけないという氣持で、或いは出しやばり過ぎたり、或いは皆様の感情を害したりしたこともあつたかと思うのでありますが、併しながらこの點はこの席上で皆様にお許しを頂くことにいたしまして、取敢えずこの委員會の第一國會の過去を振り返つて見ますと、今先、問題になつておりますような、この特別委員會が何ら得るところがなかつたというようなことは、私は誠に残念な言葉と聽かなければならんと思うのであります。
そもそも引揚者の關係は、そう簡單に解決のつく問題ではなくして、いつも委員長が言われますように、紐をほどいて行くようにして一つづつ解決して行かなければならん問題が山積しておるのであります。それが、勿論我々の委員會がまだ力が足りなくて、そうして本當の解決をつけ得なかつたという點は、我々はないとこれは申さないのであります。我々がもう少し氣を附けて、もう一歩ふん張つたならば、あれもこういう工合に行くんじやないかと思われるような點もあるのじやないかと思うのであります。併しながら總體的に見まして先程淺岡委員が申されましたように、未復員家族の手當の問題にいたしましても、或いは生業資金の問題にいたしましても、あらゆる面において、一昨日でございましたか、今後の住民税の問題にいたしましても、これらの適用を除外するということをはつきり執つておるということは、これは大きな收穫でなければならんと思うのであります。又現在海外から内地へ到著しておりますところの有價證券の整理だけでも、この一つの仕事だけでも私は大仕事じやないかと思うのです。衆議院におきまして隱退藏物資の特別委員會が設けられておりますが、物と人の生命と、我々が常識で考えて見ましても、隱退藏物資の特別委員會が設けられるくらいでありましたならば、誰が考えて見ましても、この海外同胞の引揚及び更生對策に對するところの特別委員會は當然設けられなければならないものだということを私ははつきり言えると思うのであります。一番良い好個の例は、先日の免税の法律に關してでありますが、ああいうふうな法的根據があるものは、免税でもなんでも適用を受けられるのでありますが、引揚という問題、日本歴史始まつて以來の問題でありまして、なんら根據がないのであります。すべてが新らしい一つの根據を作つて行くより外方法がない。その根據を作るところは何處かと申しますと、この特別委員會であります。法律がないのでありますから、この特別委員會というものは、將來永久的なものでは決してないのでありますが、少くとも日本人口の何割かを占める厖大なこれらの人達の處置に関して、當然設けらるべき委員會であるということを私は申上げたいのであります。尚又議員の方々は、我我が國會議員といたしまして、この特別委員會に席を置く方は、これは一つの犠牲的精神においてのみなされると私は言いたいのであります。と言うのは、それぞれ國會議員としての職責を全うするためには常任委員としての專門的な勉強も必要であろうと思うのであります。併しながら、いつなくなるか分らないところの特別委員會に席を置いてやられる方は、これは少くとも犠牲的精神において、最も純粹な氣持において、そうして眞面目な本當にあわれな、そういう方の味方になつて行くというような健氣な氣持がなければ、この委員會には席を置かれないはずだと思うのであります。その點に鑑みましても、私達は今日、私も傍聽した一人でありますが、全く遺憾に堪えないのであります。すき好んで特別委員會を構成しようとしておる人は、恐らく私は一人もないと思います。あらゆる犠牲の上に立つてやつておられると思うのであります。これをばそういうふうに解釋されておる議員が國會議員の中に一人でもおられるというようなことは、誠に残念に堪えないと私は思うのであります。すべからくこういう問題に對しましては、我々特別委員會は、委員會が反省すると同時に、又こういうような失態に對して、あくまでも究明して行くという處置をばとられるように委員長にお願いいたしたいのであります。
〔理事北條秀一君退席、委員長着席〕