苫米地義三の発言 (本会議)

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○國務大臣(苫米地義三君) 高良さんのお話のうち、運賃値上に関する点につきまして私からお答えいたします。
 物價の引下げ運動が一方に行われておる際におきましてすべての物價が騰がる。殊に運賃が騰るということは実に國民生活の上において非常に遺憾であることは私も深く感ずるところであります。この機会に運賃の値上問題の経過を一應申上げて御理解を願います。從來の運賃そのままで参りますれば、本二十二年度の予算は八十四億円の赤字が出ることになります。それがために前内閣では、この國鉄の特別会計が独立採算制のできまするように運賃の値上をするということになつたのでございまして、私共新内閣はそれを一應引継いで参つた次第であります。
 併しながらこの重大なる運賃の値上は軽々にやつてはいけない。十分に國民の納得を得なければならんのでありますから、或いは公聽会を開くとか、或いは議会が始まりますればその御賛同を得るとかいうような手続をとつてやろうかと思つておつたのでございます。ところが、前内閣で考えました値上げが手続その他によりまして段々遅れまして、そうして今回の新物價体系の政策になりましてので、自然運賃の問題は新物價体系の一環として採り上げられるようになつたのでございます。即ち今の石炭價格にいたしますれば、値上りだけでも八十数億の値上りになります。從來御承知のように僅かに一トン百八十五円で石炭を使つておつたのであります。然るに今回御承知のように石炭の消費者價格は千二百八円になつております。それに諸掛りを加えますれば千三百円以上で鉄道は使わなければならんのでありまして、それゆえに石炭の費用だけで百億を超しますが、一方從來の運賃そのままでありますれば、二十二年度の総収入は九十三億にしか過ぎないのであります。即ち石炭代だけにも足りないという事実がございます。それゆえに今回の新物價体系によつて運賃をそのまま据え置くといたしますれば、約三百億円の赤字が出ることになるのであります。これはゆゆしき財政問題でありまして、さようなものを借入或いは公債等によりますれば、自然インフレーシヨンの惡化を來たすことになるのでありまして、経済安定本部ではこの新物價体系を作ります際に、運賃をどの程度に止めるかということの檢討をいたしたのであります。それが國鉄三倍半というようなことになるのでありまするが、本当に國鉄特別会計の独立を図る意味におきましては三倍半では足りないのであります。三倍半であがる收入は焼く二百二十億でございます。然るに先刻申上げました石炭だけでも八十数億、又その他の物價の昂騰によりまして、修繕費その他のものの値上りもやはり八十億を超す程度になります。又從來の予算におきまして、人件費は一ケ月千百円を計算いたしておつたのであります。これは昨年の計算でありまするからさようなことになりますが、今回新物價体系に織り込まれました標準賃金即ち千八百円にいたしますれば、これ又五十億ぐらいの増加となるのでありまして、この増加收入二百二十億に対しましてやや匹敵するような支出の増大になるのでございます。從いまして独立採算の希望いたしました最初の考え、即ち八十四億の赤字を消そうというこの考え方はまだ十分に達しておりません。若し鉄道会計が本当に独立するならば四倍半でなければいけないのであります。併しながら全部これをこの際カバーするということには、我々の努力がまだ残つておると私は信ずるのであります。即ち國鉄の経営合理化その他によりましてあらん限りの努力を拂いまして、この赤字の收縮に努めるということによりまして、一年ではいかんかも知れませんが、何年かの計画を立てまして、この赤字克服に邁進したいと存じておる次第であります。然らば値上の方は止むを得ないが、何故に議会に諮らなかつたか。こういうことでございます。これは運賃だけの問題でありますれば、当然最初私が申上げましたように、或いは國民の前に公聽会を開く。議会開会中ならば議会に諮りまして、そうしてやるのでありますが、今回の分は新物價体系の一環として採り上げたものでありまして、その実施とその額はその全体の中に包攝されておりますために、止むを得ずこういうことにいたしたのであります。併しながらそれだけでも足りませんから、私は先月の二十七日にラジオを通じまして、一般の國民にこれを申上げ、又ラジオ討論会を開きまして國民にもこれをお知らせし、又常任委員会には参議院にも衆議院にも出まして具さに説明をいたした次第でございます。御承知のように財政法が通つておりますが、形の上から申しますればその第三條は、施行規則がまだ政令が出ておりませんから、正式にかけることもできませんけれども、今のように重要な社会性を帶びておりますからせめて説明でもして御理解を得たいと存じまして、かような措置を採つた次第であります。尚一ケ月間の猶予期間を置いてやるべき筈でありますが、これも今申上げましたように他の物價には既に運賃が織り込んであります。密接不可分の関係で今回だけは全く止むを得ない特別の措置であるということに、甚だ遺憾でありますけれども御了承を願いたいと思います。
   〔國務大臣西尾末廣君登壇〕

発言情報

speech_id: 100115254X01419470709_022

発言者: 苫米地義三

speaker_id: 15422

日付: 1947-07-09

院: 参議院

会議名: 本会議