吉川末次郎の発言 (本会議)

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○吉川末次郎君 只今議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、我々の委員会におきます審議の経過並びに結果につきまして御報告申上げたいと存ずるのであります。
 先ずこの法律案の趣旨及び内容について簡單にご説明申上げたいと存じます。地方自治法施行の状況及びその後の情勢の推移に應じまして、地方自治のために更に適当なる一部の改正をこの法律案を通じまして行わんとするのであります。政府当局が説明いたしますところによりまするというと、先ず第一には、同法律案は地方事務所及び地方公共團体の協議会の設置並びに使用料等に関す許可権を整理いたしますと共に、市町村合併等の際における財産処分はすべて関係團体の自主的協議によつて定めることといたしまして、これと共にいわゆる地方團体の起債自由の原則を認めておるのであります。ただ起債自由の原則につきましては、現下の情勢に鑑みまして当分の間は從來の制度を存続して置くとこういうことになつておるのであります。
 第二には、最近地方におきまして、いわゆる中央官廳の地方特別機関と稱されまするところのいろいろないわゆる中央官廳の出店の設置の傾向が非常に強まつておりまして、現在都道府縣の区域内において設置されておりまするところの主要なものの数は大体九十にも達しておるのでございます。で、このような中央官廳の出先機関の濫立されますることはいいことではないのでございますから、これを防止いたしまするということの必要を認めまして、これから新らたに地方行政機関を設置するというような場合におきましては、國会の承認を要することを規定いたしておるのでございます。尚又知事、市町村長等の彈劾裁判の規定を改めまして、新らしい構想に基きまして、司法裁判所によるところの公正な事実認定をば基礎といたしまして、國政事務の遂行を強制し確保する、こういう措置が規定されておるのでございます。
 第三番目には、この法案におきまして、政府は地方議会に対しまして、官報であるとか、或いはその他の政府の刊行物というものをば地方の公共團体の議会に送付いたしまして、そうして地方の議会においては必ず図書館をば設けなければならん、こういうことを規定いたしておるのであります。又知事、市町村長等の発案権を侵害しない限り、地方議会は予算の増額修正をするということをば防げない、こういうような規定も設けておるのでございます。
 第四番目に、本改正案におきましては、先般來行われましたところの地方選挙等の結果に鑑みまして、この選挙に関するところの規定を若干改正整備するように規定いたしておるのであります。即ち補充選挙人名簿の調製、選挙人の年齢及び住所の期間の算定等につきまして、選挙を民主化するという立場からいたしまして、これに対して若干の修正を加え、その他地方公共團体の長即ち府縣知事或いは市町村長等の決選投票、又は選挙において一度は競爭の状態にあつたに拘わらず、候補者の死亡或いは辞退ということのために候補者がたつた一人になつてしまつたとき、その結果即ち無競爭と現行法律においてはなることになつておるのでありますが、そういう場合には選挙の期日を延期いたしまして、そうして次位の得票者をば候補者とし、又は新らたに補充立候補を認めること等を規定いたしましたこと、その他同一政党の候補者は二人を超えて各種の立会人を出すことができないことといたします等、選挙手続の改正をこの法案の中に盛つておるのであります。
 以上が大体政府から提出いたしました法律案中に規定せられております重要な改正事項の概要でございます。
 我々の委員会は、十月十一日予備審査のため付託せられましてから、前後八回に亘りまして愼重審議を重ねて参りました。又特に先月十三日の我々の委員会におきましては、地方自治体の代表者並びに学識経驗者等八名を証人として喚問いたしまして、それぞれから意見の発表を求めたのでございます。これらの経過につきましては何卒委員会の会議録を御覧頂きたいと存ずるのであります。
 次いで一昨五日、衆議院から、この政府提出の法案に対しましてこれを修正した上で可決した旨の通告に接したのでございます。この衆議院が行いましたところの政府案に対する修正の事項というものは、参議院の我々の委員会におきましても、予てこの政府案の予備審査中におきまして、それに関連いたしまして関係当局と数回に亘つて連絡を取りまして審議を重ねて参りました結果、我々が決定いたしましたところの意見というものも、衆議院の方から回付して参りました修正案の中に数項目に亘つて盛られておるのであります。今衆議院から回付して参りましたところの修正の主なものにつきましてここに御紹介申さなければならないと存じております。
 第一は、普通地方公共團体はその区域内におけるところの行政事務で國の事務に属しないものを処理する権能を有するものとすること。
 第二は、市町村の廃置分合及び境界変更は関係市町村の申請に基き、都道府縣知事が当該都道府縣の議会の議決を経てこれを定めることとしたこと。
 第三は、市となるべき普通地方公共團体の具えるべき要件は法律でこれを定め、町となるべき普通公共團体の具えるべき要件は当該都道府縣の條例でこれを定めることとしたこと。
 第四は、都道府縣は市町村の行政事務に関しまして法令に特別の定があるものを除くの外條例で必要な規定を設けることができるものとし、この都道府縣の條例に違反する市町村の條例はこれを無効とすること、及び普通地方公共團体は法令に特別な定があるものを除く外條例に違反した者に対しまして、その地方公共團体の條例でここに刑罰規定を設けまして、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留科料又は沒收の刑を科することが地方自治体の條例で以てできるものといたしまして、その罪に関する事件は國の裁判所がこれを管轄するものとしたというようなこと。
 第五には、普通地方公共團体の規則は法令に違反しない限りにおいて、これを定めることができる旨を明らかにいたしまして、第四に御紹介いたしました場合と同様に、先に申上げましたような規則に違反いたした者に対しましては、規則によりまして二千円以下の過料を科することができるというような、規則違反に対する刑罰規定を設けたというようなこと。
 第六番目には、道府縣廳の部に関してであります。即ち北海道或いは府縣廳に各種の行政の部門がありますが、その部は総務部、民生部、教育部、経済部、土木部、衛生部及び農地部の七つの部というものは必ず道府縣においてこれを置かなければならないことといたしまして、その他の部は農林又は林務、商工、水産、労働又は公共事業の六部、及び北海道におきましては、更にそれ以外に開拓部を、條例で特別の必要がある場合には、規定といたしましてこれを置くことができるというようにいたしまする外、これらの部の新設廃合又は事務の配分の変更を認めないものとするということ。尚東京都の会計部と現行法に規定されておりまするものを財務部に改めまして、道府縣の民生部の管轄いたしておりまするところの事務のうち労働に関するところの事項は、これを経済部の所管するところの事項と規定いたすように改正いたそうとするのが又その一点であります。
 第七番目に御紹介申しますことは、普通地方公共團体の長は、條例の定めるところによりまして、毎年二回以上いわゆる財政に関する白書をその地方公共團体居住民に対して作成いたしまして、これを公表しなければならない、こういうように規定することとしたいというのであります。この財政白書を作成してこれを人民に公表するということは、我々参議院の治安及び地方制度委員会におけるところの一証人の意見を我々が採決いたしましたことから來ておるのでございます。
 第八には特別市を指定することに関するところの規定でございまして、特別市は当該都市のみならず、必ずそれに関係するところの都道府縣の選挙人全体の一般投票によつてこれを決定しなければならんというようにしたことであります。先般來横濱、名古屋、京都 大阪 神戸等のいわゆる五大都市におきまして特別市制の運動というものが盛んに起りまして、憲法第九十五條の解決につきましていろいろ論議が行われましたことは、皆様もよく御承知のことであると思うのでありますが、この度の改正におきまして、地方自治法中にこれに関するところの立法手続をば明文化しまして、そうした疑義を一掃するというように決定いたしまして、衆議院におけるところの修正案の中にはそれが盛られておるわけでございます。
 尚その外第九番目には、現行の地方自治法が規定いたしておりまするところの地方公共團体の協議会に関するところの規定は、これを廃止することと決定しておるのであります。
 以上が、先に申しましたような我々の意見をも参酌し、又その他の関係当局との折衡の結果、衆議院が回付して参りました修正案の内容に盛られておりまする修正個所の概要でございます。
 このようにいたしまして、我々の委員会におきましては、この衆議院の修正案をも一括いたしまして討論に入りましたところが、緑風会所属の鈴木直人委員、同じく緑風会の岡本愛祐委員、及び同じく緑風会所属の岡元義人委員から、それぞれそれに対しまして賛成意見の御開陳がございまして、次いで採決に入りましたところ、本法案は全会一致を以て衆議院の修正通り可決すべきものと決定いたしました次第でございます。以上を以て御報告を終りたいと存じます。(拍手)

発言情報

speech_id: 100115254X06419471207_016

発言者: 吉川末次郎

speaker_id: 18659

日付: 1947-12-07

院: 参議院

会議名: 本会議