鈴木直人の発言 (本会議)
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○鈴木直人君 私はこの際北村新運輸大臣に対して國鉄輸送に関するところの緊急質問をいたしたいと思いまして発言を要求いたした次第であります。
問題の本質を明かにするために、その一例といたしまして、十一月二十九日に朝日新聞に載つておりまするところの記事を簡單に朗読いたして見たいと思います。「ダイヤはその日暮し、連日、お客置去り、國鉄労組青森支部の新戰術」というような、大きな見出しによりまして、スト態勢に入つた國鉄労組青森支部ではすでにスト・ダイヤの作製も終り、不氣味な沈默を守り続けているが、スト前奏曲ともいえる新戰術を、この月半ばからすでに開始している。即ち安全運轉——去る十二日午後九時四十分青森発上野行列車に復員者七百八十名、一般乗客九百名が乗つたところ、「バネが危險状態となつた」とて青森檢車支区員は発車させず、一部乗客を降ろそうとしたが、乗客はおさまらない、混乱の末翌日午前一時やつと発車したが、この事件を皮切りに、檢車区では「詰め込み絶対反対」のポスターを青森駅構内に貼つて、毎日四、五百名の置去り乗客を出す始末となつた。第二は欠勤問題——今月十日機関助十三名が今井管理部長と待遇改善について交渉中、興奮の余り勤務が遅れ、大阪行は十三分、酒田行は二十分遅発した。二十五日から機関士、同助士合せて一日七十名平均が休んでいるため、二十六日運休貨物列車九本、二十七日同十一本と続いた。ダイヤ計画は、全くその日暮しになつてしまつた。このための貨物の滯貨は十一月の輸送計画二十万九千七百七十トンに対し三割減、動けん貨車が溜りに溜つて青森操車場には二百車を越えている。尚、責任当局である仙臺鉄道局も、硬軟両派に分れて対策についての決定を延ばし続けており、北海道、東京間の石炭輸送の鍵を握る青森支部の動きは各方面の注目を浴びている。ということがあるのであります。
これは朝日新聞の記事でありまするが、その後他の新聞におきましても、これに類したところの記事が散見されるのでありまして、更に北海道地方におきましては、各地区に亘りまして、同じような、いわゆる山猫戰術のごとき状態が発生をいたしておるという報道を見受けるのであります。最も昨日の朝日新聞によりますというと、事態は漸次解消せられつつあるようになつておるのでありまするが、私は念のために仙臺鉄道局の最近におけるところの輸送実績を人を派して関係方面から入手いたして見ますると、仙臺鉄道局管内におけるところの一日の平均の貨物の輸送標準は、一日二万五千トンぐらいになつておるのでありまするが、二十五日には二万一千トンであつたのが、二十九日に一万八千トン、本月の一日に一万五千トン、二日には一万九千トン、三日には一万八千トン、四日には一万七千トンという工合でありまして、むしろ決して問題は好轉しておるということは言えないと思うのであります。
更に東北、北海道地方におけるところの重要物資の滯貨の状況について調べて見まするというと、最も日本再建のために必要なところの石炭の滯貨が山元に相当積まれておる。又我々が鳩首して待つておるところの薪炭が各地に山と積まれておつて、駅頭には俵が腐りかけておるということも聞いておるのであります。或いは木炭更に亜炭につきましては、輸送請求の三分の一程度の輸送きり行われておらない。魚は止むを得ずして肥料に廻しておるというような噂も聞いておるのであります。
然るところこれに対しまして京浜地区、この東京における最近の状態はどうでありましようか。生産は振わない、インフレは昂進して、一般家庭はこの寒空に電熱は制限せられ、薪炭は殆んど望むべくもない、日夜空腹と寒さに震えながら、迫らんとするところのこの年末を迎えようとしておる状態であります。
國鉄がかくの如きところのだらしない状態であつては、我々は極めて寒心に堪えないのであります。無関心に折ることができないのであります。今や國鉄の指導幹部が果して指導力を持つておると言い得るのでありましようか。勿論私は國鉄当局或いは國鉄從業員の責任を云々するというつもりは持つておらないのであります。戰後の國鉄が戰争の下に破壊せられ、焼失せられ、そうしてその輸送力の消耗甚だしい中にあつて、実に目まぐるしいようなところの、日夜孜々として勤労を怠らずして、現在のごとき日本再建が行われておるということは、これに対しましては私は常に感謝し敬意を表しておるのであります。併しながら又この一方、この國鉄輸送というものが日本再建のために最も重要な役割をするところのものでありまするからして、この偉大なるところの役割をなす機構であればあるほど、この運輸に関して我我は無関心でおることはできないのであります。幸いに民主党内において腕の人、力の人といわれておるところの北村新大臣が任命せられたのであります。恐らくかくのごとき國鉄の乱脈事態は快刀乱麻を以て急速に解決されることであると信ずるのであります。私は以上のごとき新大臣に対する異常なる期待を持つて、左の四点について大臣の御答弁をお願いしたいのであります。
第一は先程私が申しました東北、北海道地区におけるところの、いわゆる山猫戰術というものの真相はどのようになつておるのであるかという、その経過について一應お伺いいたしたい。第二は、これに対するところの運輸当局の取りつつある対策をお伺いしたい。第三は石炭薪炭等の重要物資に対するところの滞貨一掃の見通しというものを力強く一つお答え願いたい。第四はかくのごとき戰術が、全國の他の鉄道の管区に及ぼすと言うような憂いがないのであるかどうか、これに対するところの確信ある対策をお伺いいたしたいのであります。以上四点についてお伺いいたしたいのでありまするが、これは單なる弁明的なるところの御説明ではなく、大臣の力強いところの確信のある、腹によるところの一つ御答弁を期待する次第であります。簡單でありまするが……