栗山良夫の発言 (労働委員会)

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○栗山良夫君 今度の請願書、陳情書を大別いたしますと、労働法準法に関係する問題、労働者の給與に関係する問題、これを内訳いたしますと、税務職員の給與の問題、官公吏の地域の問題、寒冷地に対する特別給與の問題、更に日傭労働者の給與の問題、この四つに大別することができます。次に労働者の教育に関する問題、これだけに大別することができるわけであります。
 これを順序を逐つて申上げますると、基準法に関係いたしまする問題は、陳情書の第二百五十二号とそれから陳情書第三百四十四号の二件であります。この問題につきましては政府委員から所見も伺つたのでございますが、骨子となつておりまするところは、地方鉄道、或いは地方のバス事業の如くに、一日に運轉回数の極めて少いところで、労働基準法によるところの八時間労働制を実施せられるような場合には、営業が非常に困難になる。從いまして労働基準法の適用除外規定を設けて貰いたい。こういうのが陳情書の趣旨なのでございます。小委員会におきましては、愼重に審議いたしました結果、この度できましたところの労働基準法なるものは労働者の基本的な人権を定め、そうして労働者の労働條件に対しまして一定の水準を設定いたしましたものでございまして、こういう重要な基準法を経営の面において困難であるからというので、破るべきではない、こういうような基本的な人権が確保されまして、そうしてその上で経営が成立つためにはどういう工合に経営方法をとるべきかということが考えられるべきものであつて、基準法そのものに及ぶべきものでない、こういうことに意見の一致を見たのであります。特に中には現在労働基準法並びに施行規則によつて、その運用において十分に陳情者の考えておられるような工合に処理することもできる内容も含んでおるのでありまして、この点は陳情者の方に更に地方の基準局長などと連絡を取つて戴きまして、運用過ちなきように指示するのが適当ではないかと考えるのであります。從いましてこの二件は本会議に報告する必要のないものとこういう工合にいたしたのであります。
 次に給與関係でございまするが、給與関係の中で一番大きな部面を占めておりまするのが税務職員の待遇改善の問題であります。これは請願書の四百二十一号、四百五十五号、四百八十三号、それから陳情書で申しますと、五百四十二号でございます。そうしてこの骨子となつておりまするところは、現在税務職員の給與が外の官吏に比較いたしまして二、三級低位にあるということでございます。そうしてこの凸凹の問題も勿論是非さられなければなりませんが、更に現在の給與においては税務の完全なる遂行上にその組織並びに税務官吏の質、量においても非常に不満足の点が多いので、税務機構の拡充を至急に果されたいとの請願並びに陳情でございます。そうして税務官吏の最低生活が確保せられるために、特別の待遇改善がなされるならば、祖税歳入確保のためには、惡條件を克服して公僕たるの責任を十分に果し得るであろうと、こういうようなことが言われておるのであります。この点は只今政府においても、伺うところによりますると、いろいろと措置を講ぜられておるようでございまするが、請願、陳情の趣旨は妥当なるものと認めまして、そうしてこれは本会議に報告し、且つ内閣に送付すべきものであると、こういう工合に意見の一致を見たのでございます。
 次に地域給の問題でございまして、これは陳情書第五百三十号別府市の勤務地手当地域給を特地に引上げることに関する陳情、いま一つは請願書第五百二十三号京都府綴喜郡の地域給支給に関する請願、この二件でございます。この二件ともそれぞれ現在官公吏に行われておりますところの地域給の中で、別府市並びに京都府の綴喜郡は極めて高物價地帶であるので、現在の地域給の額を更にそれぞれ適当なところまで引上げて貰いたい、こういう趣旨なのでございます。この点につきましては大藏当局の政府委員の方々からも現在の研究過程を細かく伺つたのでありまするが、現在の地域給が果して全地域に亘りまして適当であるかどうかということは相当疑問がありまして、只今いろいろ研究是正中のように聞いたのでございます。從いましてこの請願、陳情の趣旨も妥当であると認めまして、ただ政府には全般的に考えまして各地の生活実態をよく考慮せられまして、公平に生活の維持が成立ちまするように地域給に対しては最も適正な給與が決定されるように至急に処理せらるべきである、こういう工合に内閣の方へ申達されるのが必要であろうということに意見の一致を見たのであります。
 次に寒冷地の特別給與並びに必需物資配給の請願でございます。これは請願書第四百五号、それから請願書第四百六十五号の二件でございます。これはすでに問題になつておりまするので、委員の諸君もよく御承知かと思いまするが、北海道、或いは東北、北陸地区におきまして特に寒冷甚だしく、そうして冬季の生活のためには特別な給與が支給されなければ生活の維持ができない。特に最近にようなインフレ下におきましては官公職員の家庭におきましても一時金を以ちまして越冬の準備をするというような余裕は全然ないのでありまして、こういう点につきまして政府に善処を要望して参つた請願書でございます。特に寒冷地用の防寒具、或いは繊維類、履物等の特別配給の問題も強くこの二件の請願書の中には強調せられておるのであります。現下の経済事情を勘案いたしまして、この二件の請願書は極めて迅速に取上げ、そうして解決をすべき問題である。こういう工合に意見の一致を見まして、そうして政府に適当に迅速に処置せられるように要望するのが妥当である。こういうような工合に意見の一致を見たのであります。
 次に日傭労働者の問題でございまして、請願書第五百十九号でございます。これは現在の労働諸法規に対しまして、日傭労働者なるが故に特別の保障をせられていない点が多々あるので、こういう問題について特例を制定せられたいとの請願でございます。この問題につきましても、労働省の政府委員からそれぞれ細かく説明を伺つたのでございまして、既にこの請願書の内容に盛られておりまするような事柄については、現法規の中におきまして、運用上十分に処置し得る点も多々あるようでございます。併し実際問題といたしまして、まだ法の施行後日が淺いのでございまして、十分にその実効を挙げていない節もありまするので、こういつた極めて切実な意見が現場の労働者諸君からなされているということにつきましては、やはり今後の行政の迅速適切化を図るために政府に申達いたしまして、そうして善処を要望するのが妥当であろう。こういうことに意見の一致を見たのでございます。
 その次に労働者教育の問題でございます。これは陳情書の第四百四十五号労働者教育の充実に関する陳情。この問題は福岡縣の縣会議長から陳情せられているものでございまして、福岡縣におきましては大労働縣、大生産縣であるにも拘わらず労働者教育の経費と施設とが極めて貧弱であつて、最も大切であるべき労働者の教育のために万全を期することができないので、善処を要望されて参つたのでございます。この点につきましては、基本的な労働者の教育はどういう構想を以ちまして、誰がやるべきかというような点が明かにせられなければなりませんので、労働省から土井政務次官に御出席を願いまして、現在の労働者の考えておいでになるところを具さに伺つたのであります。そうして労働者の教育は飽くまでも労働者が自主的に自分でやるべきものである。併しそれにつきましては現在の労働者のいろいろな教育をやる爲の施設というものが、どの府縣においても極めて乏しい。こういうものについては政府においても何らかの措置を講じたいというようなお話もございました。労働者の教育は極めて迅速に且つ充実してなされなければならない刻下の重要問題でございまするが、今後政府においても格段の新らしい構想を以ちまして、而も自主的な労働組合の発達のために善処を要望しなければならないのでありまして、そういう意味におきまして、この陳情書も内閣に送付いたすのが妥当である。こういう工合に意見の一致を見たのでございます。
 以上で委員会に付託せられました請願書、陳情書の全般につきまして極く概略に御報告を申上げたのでございまするが、内閣に送付すべきところの意見書等は、それぞれ案文を作成いたしておりまするので、後ほど個別に御報告を申上げ、御承認を得たいと思うのであります。

発言情報

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発言者: 栗山良夫

speaker_id: 24197

日付: 1947-11-27

院: 参議院

会議名: 労働委員会