田中彰治の発言 (決算委員会)

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○田中委員長 起立多数。よつてさよう決しました。
 この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ本委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。すでに御承知の通り本委員会は国政調査の一項目として政府関係機関の収支のうち日本開発銀行の造船融資に関する件について調査中でありますが、さきに本委員会に出頭した証人検事総長佐藤藤佐君、東京地検検事正馬場義続君が職務上の秘密として証言を拒否した事項について、法務大臣に対し証言及び書類提出の承認を求めたのてありますが、その承認を拒否し、理由の疏明をして来たのであります。この承認拒否の理由を受諾することができない場合には、内閣に対して、その証言または書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の声明を求めることになりますが、この種の事例は初めてのことであり、先例にもなることでありますので、本委員会におきましては審査の慎重を期するため、参考人として学識経験者の意見を聞き、あわせて今後の証人喚問の参考にもなりますので御足労願つたわけであります。従いまして右の点をお含みの上、忌憚なき御意見を開陳されるようお願いいたす次第であります。
 それではこれより御意見を求めることになりますが、問題の点といたしましては、すなわち第一に、本委員会は国会に与えられた国政調査権に基いて国家の利益のために調査するのであつて、それが捜査の問題に関しても、ある程度詳細に証言すべきであろうと考える次第であります。もとより国政調査権に基く証言の必要性については一応の段階はあるでしようが、はなはだしく調査に支障を来すようなことは国政調査権の性質上許さるべきではなく、職務上の秘密といつても、もちろんその限界が固定したものでもないと思います。よつて国政調査の目的またはその必要性のいかんによつて、秘密の限界は相対的に動くものではないでしようか。そこで国政調査権に基く証言要求とその証人及び職務上の秘密の限界についての問題。
 第二に、国政調査権は一応国政一般にわたると考えなければならないと思うのでありますが、ただ司法は行政と異なつて憲法及び法律の拘束を受けるだけで、これを国政調査の名のもとに云々するということになると裁判の権威というものが疑われ、国家の法秩序の上からも許されないことと思いますが、検察という事務は司法作用に密接に関連し、司法権の行使を可能ならしめる作用であるとしても司法作用そのものではないのであつて、司法に関する行政的な事務であろうと考えます。従いまして検察事務の内容が司法事務の内容と同じように国政調査に対して不可侵なものであるとか、内容的にその批判を許さないものであるとかというようなことはできないのではないかと思います。そこで国政調査権と検察事務との関係についての問題。
 第三は、かりに検察事務と司法事務とが相互に密接な関係があつて、公訴が裁判所に係属している間は、捜査及び公訴追行の内容については国政調査権に対して、ある範囲職務上の秘密として保護されなければならないとしても、現在問題になつている造船問題についてはすでに起訴されておる多数の被告人があり、佐藤榮作君も政治資金規正法の罪名ではあるが起訴されておるのであります。そこでその起訴されておる事実を今証言することがどの程度公訴の障害になるものか、ともかく事件は相当の程度まで公知になつておると思います。従つてたとえば佐藤榮作君が金を受取つたことは確かであり、その意味づけのため開発銀行の融資に関係があつたかどうか。これは否認するであろうが、そうするとすでに起訴状に書いてあるリベートの行先を証言することになるのであります。従つてこれが国家の重大な利益に悪影響があるとまでは思われないのでありますが、こういう点についての問題。
 第四に、証人、特に吉田首相についてでありますが、造船融資に関連して幾多の疑義があり、調査の徹底を期する必要上証人として喚問することに決定し、その手続をとつたのでありますが、証人は閣議及び閣議の状況奏上とか、外遊準備等々のため、指定期日以降外遊出発まで、すなわち九月十八日から九月二十六日までの間出席できない旨の届出があつたのでありますが、本委員会といたしましては、この出席拒否の理由が正当の理由とは認めがたいとの決議によつて、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八条により告発したのでありますが、この出席を拒否し得る正当な理由の限界。
 第五に、国政調査権に基く首相の証人出頭拒否による告発の場合、憲法第七十五条の国務大臣の訴追との関係。
 以上五点について各参考人の御意見を承りたいのであります。
 参考人各位には大体お一人三十分程度で御意見の開陳を願つた後、委員各位の質疑に移ることにいたしたいと思いますから、さよう御了承願います。
 それではまず京大総長滝川幸辰君からお願いいたします。

発言情報

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発言者: 田中彰治

speaker_id: 12389

日付: 1954-10-11

院: 衆議院

会議名: 決算委員会