山田節男の発言 (本会議)

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○山田節男君 只今議題となりました国連軍との協定締結に関しまして、私は日本社会党第二控室を代表し、政府に若干の質問をいたしたいと存じます。
 先ず第一に、本協定が締結されるに至りまするまで、その期間が全く異例の長期間を要しているということを指摘しなくてはなりません。講和条約発効と同時に、我が国は主権を回復いたしまして、独立国となつたのでありまするから、英連邦軍が国連軍の一部としてなお日本に駐屯を継続し得るためには、少くとも条約乃至協定に基く我がほうの合意承認がなくてはならんことは当然でございます。然るにこの当縦とらるべき措置が、条約発効後二十余カ月も在荷放置されたという理由は何であるか。この点が国民には明らかにされていないのであります。独立国分の領域内に他国の正式な軍隊が条約上の保障なくして随意に駐屯するということは、到底考えられないことであります。かような事実は、独立日本の尊厳を汚すものと言わざるを得ないのであります。占領軍政の余勢に脅えた吉田内閣の軟弱外交が、かようなふしだらなことにしたのではないか。かように考えるのであります。政府が国連軍との間に、かような無協定の駐屯を許したということを、一九五一年の九月八日、即ちサンフランシスコの講和条約が締結されましたと同日に取交わされました吉田総理大臣とアメリカ合衆国のアチソン国務長官との交換公文書に基いて、我が国は、国連が国連憲章に従つてとる行動に援助する義務を引受けている当然の結果であるというように弁解するかも知れません。併しこの義務を忠実に実行するためにも、独立国となつた以上は、逸早く我が国における国連軍の地位を明確化いたしまして、我が国の権益の不当なる使用を制限をするということは、これは国際法上論を待たないところでありまするが、この当然の措置が早急にとり得たかつた理由、根拠を私は吉田総理に先ずお伺いしたいのでございます。
 次は、岡崎外務大臣に質問いたすのでありますが、この国連軍との協定の締結の折衝に際しまして、英連邦軍が使用する施設又は区域を有償にするか無償にするかということについて、外務省と大蔵省の見解の相違があつたということを聞いておるのであります。で、本協定の第五条におきまして、「国際連合の軍隊は、日本国における施設で、合同会議を通じて合意されるものを使用することができる。」こういうことを規定いたしておるのであります。なお又第十五条におきまして、日本は、この国連軍に対しましての施設、区域を、これを提供する、提供さるべきものと、かようなことになつておるのでありますが、併しながら、この協定の正文の上で見ますというと、何らこの無償にすべきというような根拠はないのであります。併しながら、この協定の正文におきまする、この協定から見ますというと、結局外務省の主張しました無償貸与論、無償で貸与するということになつておるのでありますが、これはどの根拠に基くものであるか。この点を明らかにいたしたいのであります。無償貸与いたしますれば、英連邦軍は遠慮して、その接収施設や区域を自発的に制約、減少するであろうというようなことを主張しておられたように聞くのでありますが、今日のこの現実の事態から見ますというと、岡崎外相の予想を全く裏切つておるように考えるのであります。かような外務省の国連軍に対しまする日本国有の施設或いは区域を無償で貸したということは、この協定の折衝の最中、昨年の末からでありまするが、例の日英貿易会談、例の日英一般支払協定というものが、これが折衝されておつたのでありますが、これを幾分でも自分のほうに、我がほうに有利に導かんがために、英連邦諸国へ、まあ何と申しますか、媚態を呈すると申しますか、駈引の意味でこの無償貸与をしたのだというのでありますが、これは事実であるかどうか。この際岡崎外相に明らかにして頂きたいと存じます。いずれにしましても、かような一種の追随主義の岡崎外交のこれは現われであるように感ずるのでございます。
 去る二月十九日に本国連協定が調印されました当日、いわゆる共同発表なるものが発表されました。そうして、この接収施設、区域の解除の場所、並びにこれに対する将来の方針が明らかにされましたが、これによりますると、極めて利用価値の少い、まあ数から申しますると、約十カ所でありまするけれども、その一部又は全部を解除するということを申しておりますが、併しこの国連協定を適用することによつて至大な影響を受けます呉市にとつてみますというと、この呉市の肺臓とも称すべきアンザツク・パーク、即ち旧海軍練兵場の跡やら、或いはこの呉市が港湾都市としての浮沈を制するとも申すべき重要な施設でありまするところの繋船堀第一号埠頭、これはこの共同発表によりまするというと、共同使用するのである。これは従来の経験から行きまして、全く名義上だけであつて、事実は英連邦軍が専用にする。こういうような一つの美名の下に実際上はこれは返還しない。誠にアングロサクソン民族的なずるいやり方をここに現わしておるのでありますが、御承知のように、昭和二十五年六月に、只今藤田議員からも御発言になりましたように、旧軍港の平和産業港湾都市転換法が国会におきまして全会一致を以て通過いたしましたのも、これらの旧軍港都市を何とかしてこれを早く転換させて、旧来海軍のために育ち、海軍のために発展して参りましたこの都市を何とかしてやろう、これがためには、国のあらゆる機関が挙げてこれを協力してやらなくてはならん。こういうような法律の本旨でございまするが、然るに従来英連邦軍が全くこの不必要と思われるほど広大な施設、地域を依然として使用しておりまして、呉市並びにその周辺地区の産業的、経済的な発展を阻止しておることは明らかな事実でありまして、誠にこの特別立法の趣旨から申しましても遺憾な次第であります。かようなことは、何と申しましても、やはり吉田内閣の外交と申しまするか、対外的に極めて軟弱であるそのことが、呉市並びに呉市周辺の二十数万の市民が、これによつて犠牲に供せられておると、かように申しても私は過言でないと存じます。
 英連邦はこの共同発表の中に、英連邦軍は朝鮮におけるその任務遂行上の軍事的要請と、広島県及び呉市の経済的及び社会的発展の双方を念頭に置いて、全施設について検討する、これがために現地に地方委員会を設けるということを言つておるのでありますが、只今の藤田議員の質問に対する御答弁によりますると、かなり広汎な実質的な権限を持たして、そうしてこの施設の返還というようなものについて、或いは小坂労働大臣の言われるところによれば、労務の問題についても扱わせるということでありますが、従来この日米行政協定に基きまする合同委員今並びに作業班、サブコミツティの活動というものは、とかく何と申しまするか、間ぬるいのであります。現実の事態に即しない。この点は、先ほど外務大臣並びに小坂労働大臣から御答弁がありましたから、これに対して重ねて質問いたしませんが、とにかく日米行政協定における合同委員会或いは作業班の従来の能率というものは必ずしもよくなかつた。この点は一つ御改善を願いたいと存ずるのであります。
 次に、これ又藤田議員が触れられましたが、この国連軍の駐屯によりまして、これら駐屯地域というものは非学に行政酌負担が殖える。例えば道路でありますとか、或いは橋梁、或いは警察費、或いは消防費、これらを入れますというと、多額の費用を要するのであります。日米行政協定におきましては、これを補償すべき法律が二つも設けられてありまするが、これに対しまする只今の藤田議員に対する御答弁によりまして、政府は何かのこれに臨時的措置をとるような法律を設けるということでありまするが、これは単なる特別調達庁だけの関係するような問題ではないのでありまして、農林省或いは労働省、或いは通産省、こういうような部面に亘るものでありまするからして、将来制定さるべき特別立法というものは、かような意味において私は十分考慮されなくてはならんと存ずるのであります。
 次に、大蔵大臣への質問でありまするが、この前にも申上げましたように、国連軍との協定を折衝する際において、大蔵省はこの英連邦国連軍の使用する施設、区域に対しては、これを有償でやるべきだということを、これを主張したということでありますが、この点は私は先ほども外務大臣の質問に申上げましたように、この国連協定の少くとも第五条によりますれば、大蔵省の説が私は正当であると思うのであります。然るに遂に外務省の意見が通つたということは、私は如何なる事情があつたのか、本会議にこの際明らかにして頂きたいと思うのでございます。
 なお併せて、只今英連邦軍が使用しておりまする国有財産の全部から仮に徴収せられるといたしましての使用料の総額は一体どのくらいあるのか、本議場において明らかにして頂きたいと存じます。
 で、この国連軍との協定におきましても、日米行政協定におきまするがごとく、例えば本協定の第十三条第四項のA、B、これに軍人、軍属或いはその家族のこの私用物、自分らの私用に供するものでありますが、これに対しては輸入関税を免除するという規定があるのでございます。これは通産大臣はおられませんが、大蔵大臣は御存じのことと存ずるから、質問申上げるのでありますが、従来これと同じ規定を持つておりまする日米行政協定、これが巧みにこの盲点を利用されまして、この条項によりまして外国人が日本の市場に、いわゆる一種の密輸入されたものが市場に氾濫し、又自動車のごときは、この条項を巧みに利用いたしまして、昨年のごときは、少くとも二千台この日本の市場に流れておるということを言われておるのでありますが、こういうようなこの国連軍協定におきまする第十三条の第四項のA、Bについては、日米行政協定によりまする苦い経験からいたしまして、少くとも大蔵大臣は、この対策を如何にするかということを考えらるべきであると思うのでありまするが、若しこれに対しまして大蔵大臣は、日米行政協定におけるこの盲点を衝かれておる点を御認識になつておるならば、少くとも抜本的対策があると思うのでありますが、これに対しまする御所見を伺いたいと存じます。
 次に、自治庁の長官にお伺いいたしますが、先ほど藤田議員の御質問がありまして、大蔵大臣が一部御答弁になつたのでありまするが、この本協定の第十四条第三項、いわゆる地方税を免除する、電気税、ガス税を免除する、こういうようなことになりますというと、大蔵大臣の御説明によつて、一体この英連邦の使用しておる全国有財産の使用量の総額を、若しお調べになればわかると思いますが、若しこれが平和的、産業的に国連軍に占有されておりませんならば、これは事業をやつておりますれば、固定資産税として当然これは市にも収入があるわけであります。然るにこれらのものが全部免税されておる。地方税の免除ということは、この英連邦軍の所在しておりまする、駐在しておりまする所におきましては、先ほど申上げましたように特別の経費を要するのでありますけれども、こういう収入がないために、財政的には極度の窮乏を告げる、今日のこれは実情でございます。只今大蔵大臣から特別平衡交付金を多少按排してやつておる、又将来もやるのだと、こういうことを仰せられますけれども、かようなことでは、全くこの地方財政にとりましては九牛の一毛であります。地方自治体の健全な発達を期するためには、かような弥縫的なことでは、到底できるものではないのでありまして、何か特別の救済措置を必要と存じます。これを米軍が駐屯しておりまする地域におきましては、先ほど藤田議員の言われましたように、防衛分担金、或いは安全保障諸費というものがございますから、そういうものでうまく補償をなし、或いは代替施設の建設等が行われておるのでありまするが、英連邦駐留地域に対しましては、全くこの点には一方的な犠牲を強いるという、一つの片手落ちになつているのが現状でありまするが、こういうような不公平を是正するためには、何か特別の交付金を与える、これらの呉を含めましての他の三軍港にいたしましても、終戦前までは、いわゆる海軍助成金という事例から申せば、殊に終戦時におきましては三倍半に及ぶような助成金をもらつている。こういうようなこともあることから勘案しまして、何かこれに対しまする特別の財政的の補償をするということが必要であると思うのでありますが、塚田自治庁長官はどういうようなお考えであるか。この点をお伺いしたいと存じます。
 最後に、労働大臣に対する御質問でございますが、先ほど藤田議員の御質問に対しまして、国連軍とのこの労務基本契約、これをアメリカの、米軍のほうの労務基本契約が調印され次第、国連軍においても労務基本契約を結ぶ所存であるということを申せれておりますが、御承知のようにこの米軍との労務基本契約というものは、すでに一年有半に亘つてのこれは懸案になつておる。アメリカ軍がこれを承認しないのである。今後これがいつ署名されて労務基本契約が成立するかということは、今のところ見通しがつかないのじやないかと思う。かような事態にありますところに、その時期を待つということでは、私はこの国連軍が、国連軍の協定によりまして労務の提供が間接雇用になるという、この間もない時期を控えまして、アメリカとの、米軍との労務基本契約ができる時期を見て、労務基本契約を国連軍と結ぶと言われますけれども、これは私は、現実並びに過去の経験からいたしまして、極めてこの点は私は不安に思うのでありまして、米軍との労務基本契約が成立しよう、しないにかかわらず、その基本項目というものはすでにきまつておるのであります。即刻私は労働大臣としましては、国連軍の当局に折衝されて然るべきものだと思うのでありますが、労働大臣は如何にお考えになるか。なお、この国連軍協定の第十四条の第二項によりますというと、労務の調達の契約から生じます紛争、いわゆる労働争議、これは契約の当事者によつて解決されるものであるが、若しそれで解決さもない場合には、合同会議において付託することができると、それでも解決しない場合におきましては、両政府間においてこの解決を図るのだということを言われますけれども、今日まで米軍との労務者のこの労働紛議というものは、この点は筋道はできておりまするけれども、なかなか解決しない。これがために日本の労務者は非常に困窮いたしておるのでありますが、これに対しましては、もつと徹底した、もつと明らかな条項を私は持たれるべきだと思うのでありますが、この点に対しまする小坂労働大臣の御答弁をお願い申上げたいのであります。
 以上でございます。(拍手)
   〔[国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 101915254X03719540422_044

発言者: 山田節男

speaker_id: 17379

日付: 1954-04-22

院: 参議院

会議名: 本会議