松雄金蔵の発言 (労働委員会)

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○説明員(松雄金蔵君) 只今田村先生のお話で、経済自立計画というようなものについて何か経済審議庁としてやつておるかという御質問であると思います。その点は、総理からの指示がどうこうという点は私も余り正確な表現で、正確なことを必ずしもお聞きいたしておりませんが、いずれにいたしましても経済審議庁といたしましては、従来こういう問題に絶えず触れて参つております。最近の状況につきましてもこういう問題を担当しておるわけであります。
 昨年いわゆる俗に、俗称岡野構想というようなものの議論を内部的にやつたこともございます。又最近の状況におきまして、必ずしも計画というようなものであるかどうか、これは現在の経済組織なり経済状況でそういう言葉を使うことが必ずしも穏当ではないと思いますけれども、かなり政策面を織込んだような見通しと申しますか、そういうものは当然私ども内部で、現在では一応フリー・トーキングの段階でございますが、やつておるわけでございます。併しその内容はまだここで具体的に申上げるような段階には至つておりませんけれども、まあ一応問題だというようなことを簡単に申上げますれば、要するに国際収支のバランスということが一応経済自立ということの目標であるということにいたしますと、どういう形で経済自立が、国際収支のバランスがとれるかということが要するに議論の焦点になるというふうに御了承願つたらよろしいのではないかと思います。これは勿論申上げるまでもないことでございますが、要するに日本の最近に言われておりますように、輸出二十億ドル目標というようなことが一般に論議せられておると思います。最近の状況はいろいろ申上げましたけれども、二十九年度の一応の輸出目標といいますか、見通しといたしましては、当初十三億七千五百万ドルという輸出目標、見通しを持つておつたのでございますが、外貨予算の編成のときにはこれから約一億ドルくらい内輪に、かために見て外貨予算の編成が現在行われております。最近の実勢から申しますと、多分この中間、或いは若干上廻るくらいのところで本年度の輸出が達成せられるのではないかと思いますが、仮に国際収支のバランスをとろうといたしますと、輸出が年度二十億ドルというようなことが一応の目標にならなければ現在の経済規模或いは何年かあとの経済規模から申しまして、国際収支のバランスはむずかしいわけであります。その差がここに数億ドル、或いはそれ以上あるわけでございますから、その差をどういう方法でどういう政策で埋めるようなことに想定するかという点が、自立計画といいますか、自立の見通しの一番の難点であるわけであります。この点をただエイドなり、或いは特需なり、そういうものに期待して、いわゆる下駄ばきの自立構想というのでは、本当の自立構想にならないわけでありますけれども、併し、さればといつていきなりそういう理想的な自立構想に辿りつけるかという点が現状ではなかなか判断なり想定のむずかしい点であろうかと思います。特に申上げるまでもないことかと思いますが、現在そういう形の問題からフリー・トーキングしておるというような段階でございますので、これは申上げるまでもなく、当初申上げましたように特に計画というような形で論議しておるわけではないかということを御了承願いたいと思います。
 それから第三の外資導入についてのお話がございましたが、これは私から申上げるような立場でもございませんが、恐らく田村先生のお言葉の意味は、現在の状況で外資を導入をして、それで一応まあ当面それでやれるということだけではいかんのではないかという点が先ずお考えの中におありになるのだろうと思います。確かに外資導入といいましても、或いは借款といいましても、これは只でもらうものではありませんし、終局的には、当面は外資なり或いは借款で国際収支のバランスにできるだけ寄与するにいたしましても、究局的には日本の経済の、国際収支のバランスをして、いずれはこれを返す、或いは払えるというようなことが基本的な根本的な考え方にならなければならないことは申すまでもないのであります。又一応外資なり借款で日本が或る程度の外貨を取得をいたしまして、従いましてそれだけの輸入力を殖やし、又それに見合うだけの物資が入つて来ると、その金を、これに見合う金を使つても、物と金が見合つている限りはいわゆるインフレ効果にはならないではないかということに対して、併し、その円資金を使う使い方が、いわゆる迂回的な生産面に投じられれば投じられるほどそこに若干インフレ的な働きをするのではないかという点も恐らく田村先生の御意見の中に含んでおつたのではないかと思います。これらの点は、私どももそういう点について問題があることは、私どもも議論の中にはあるのでございますけれども、現在論議せられております外資導入とか或いは借款というような現実の問題としてそういうことに触れるほどの重大な問題であるかどうか、この辺は私どもまだ十分な判断がつかないようなわけであります。
 なおもう一つ付加えて補足説明を申上げさせて頂きたいと思いますことは、先ほど物価の見通しにつきまして、先に政府は年度で本年五%の物価のダウンを予想しておつたと言つておつたけれども、今私が御説明をいたしました中に一割と言つたというようなお話がございましたが、これは数字の点でございますので、一応補足的に御説明をさして頂きたいと思います。
 それは要するに物価の比較をいたしますときに、二十八年度間平均と二十九年度間平均をとつてみますと一応五%程度のダウンがある。私どもの見通しは、勿論物価の見通しはむずかしいわけでありますから、正確なことにはならないのでございますけれども、一応卸売物価指数について年度間平均同士の比較で、卸売物価指数六・五%、小売指数三・六%くらい落ちるのではないか。従つて年度間平均では五%くらいの低下を予想した。併し二十八年度末、つまり二十九年の三月と三十年の三月、二十九年度末の時点の差で比較したしますと、やはり時点差では一割程度の物価の低落を期待していいのではないかというようなふうに一応の予想を持つておるわけであります。いわゆる五%乃至一割とまあよく言われますのはそういう意味であると御了承願いたいと思います。

発言情報

speech_id: 101915289X00219540707_020

発言者: 松雄金蔵

speaker_id: 4344

日付: 1954-07-07

院: 参議院

会議名: 労働委員会