横山利秋の発言 (労働委員会)
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○参考人(横山利秋君) 書記長の横山でございます。非常にお忙しいところ時間をお割き下さいましたことに対して、国鉄労働者を代表いたしまして厚くお礼を申上げます。
只今当局側から御説明になりました事実関係につきましては、そんなに違つたことはございませんから、成るべく時間を短縮する意味におきまして、事実関係に伴う見解の相違を主として申上げたいと思います。
今回の問題の根本原因は、何といつても四回に亘る私どもの賃金裁定が一回も完全に実行されなかつたというところに根本の起因をなしておりますし、第二番目には昨年と本年とに亘り合計二十一名という大量の幹部の解雇措置ということが国鉄労働者に与えた非常な憤激の的になつているのが根本の理由でございます。かてて加えて定員法以来御存じのように国鉄は約十万人ぐらいの人員の整理が行われておりますし、その労働強化と他に比較してやはり賃金が低い、こういう点が欝積しておつたわけであります。
直接の原因といたしましては、昨年本参議院におきましても運輸委員会において本年はとにかく裁定の完全実施をするべきだというふうな決議をなされました。我々としても仏の顔も三度と申しますけれども、今年こそは必ずや裁定が実施できるであろうと思つておつたわけでありますが、御存じのようにそれが七月以降となりまして、かてて加えて年末手当は他の現業公社に比較いたしまして国鉄が一番少い。こういうふうな実情に結果としてなつたわけであります。そういう悪い結果である上に加うるに十八名という解雇通知であります。この十八名というのはその量においても又質においても到底国鉄労働者としては認めるわけには参りません。一月以降その撤回のためにいろいろ努力をいたしました。併し努力をする一方、私どもとしては国鉄労働者の日常の労働条件を守るために当局側と団体交渉を続けて参つたわけであります。その交渉は只今職員局長がおつしやるように尋常普通に続けられました。三役がいないままにとおつしやるのですけれども、これは柴谷さんが委員長であり且つ交渉委員長として調印もいたしましたし、その調印した協約は実行されて参りまして、何ら日常変るところがなかつたわけであります。ところが五月の中旬に全国大会を開くということになりました途端に、只今御説明のように三役は留任してはいかん、こういう勧告がございました。
お考えになつてもわかりますように労働組合のその性格なり或いは人事について使用者側が容啄をするということはこれは不当労働行為として戒められているところであります。それをあえておやりになつたわけでありまして、私どもはまあ法律的立場ということは一応さておいても、組合の問題は組合がきめるべきである、こういう観点でその申入れをお断りをいたしたわけであります。
全国大会は、又その過程に開かれました中央委員会は満場一致、一人の反対もなく、解雇の通告を受け、これに対して反対の闘いをしている柴谷さん初め四人の者の再選を認めたわけであります。
本日私は時間もございませんので、法律的な問題の解釈を余りいたすことはどうかと思いますが、素朴に言つて一番労働者として大事なことは給料を値上げしてもらうことと首を切られたくない、これが労働運動の一番基礎の問題だと思うのであります。その基礎の問題で闘つた組合役員、私もその該当者でありまするから、いささかこういうことを申上げることほどうかと思いますけれども、併しその先頭に立つて闘つた人が首を切られた、解雇の通告を受けた、だからすぐにお前は戦列から出ろ、こういうことでは労働者として一体何を目標にしてどういう信念で闘うのか、当局と交渉するのか、何かと言えば、一生懸命にやつた、首切られた、それは戦列から直ぐ外さなければいかんということでは、労働者が労働組合に信頼をし、そうして当局と交渉をするということに非常な障害を受けるわけであります。従いまして国鉄の三十六万の労働者がこの解雇を不当と認める限りにおいて、又労働組合の本来の気持において三役の再選をするということは、素朴であり、且つ又労働運動の一番基礎的な問題として御理解をお願いしたいと思うのであります。
併しこれに対して当局側は五月二十七日に団体交渉をしないという通告をし、六月一日には総裁が全職員に対して訓示を発表し、六月四日には組合活動の自由の制限をする四つのことを通告をして参りました。それは組合費の一括徴収をしない。そういう協定があつたけれどももうしないのだ。或いは又組合運動に組休制度というものがありますが、それもやめるのだ、それから専従者の給料の予納制度がありますが、それもやめるのだ、こういうふうに組合活動の自由を制限する措置をして来られましたので、我々としては六月一日に仲裁申請をいたしました。申請は、この団体交渉を拒否すること、これが不当労働行為だというのであります。言うまでもなく団体交渉は我々の解釈するところを以てするならば憲法に基くところでありまして、仮に百歩を譲つても法外組合だから団体交渉権がない、こういう点は私どもとしては考えられないところでありまして、今日まで労働法の学者もそういうことはないと解釈をしておられると聞いているわけであります。併しこの間団体交渉しない、それから話合いすらしない、とにかく当局側としてはまあ何と申しますか、組合活動の制限をして、組合に対して俗な言葉で申しますと喧嘩を売るという恰好になつて参りましたので、勢いそれに対する防禦の措置をとらなければなりませんので、仲裁委員会に夏季手当についての緊急な斡旋をお願いしたのもこの趣旨であります。七月の昇給についても又緊急な斡旋をお願いしたのもその趣旨であります。
今回の問題の特色は先ほど申しましたように、とにかく労働紛争というものについては何ぼお互いが実力行使をしたり喧嘩をしておつてもどつかでやはり窓口を開いて交渉に応ずる、最後の話合い、妥結に応ずるという形があつて紛争は解決するものと常識上考えられるところでありますが、今回ばかりはとにかく先手を打つて当局側が組合活動の自由を制限するいろいろの措置をとられる。それに対して我々がまあ防禦的な形において闘いを余儀なくされる、こういうところに根本の問題があると考えられるのであります。私どもは仮処分にも申請をいたしまして、只今お話がありましたように二つの案が提示されました。
我々としては、新聞で御存じかと思いますが、第二案というもの、これについては非常に痛いところがあるのでありますが、今日根本的な解決をすることが必要であつても、これだけ境目が大きいのではこれは望めない。従つて先ず第一に暫定的な解決をすることが至当であろうと考えまして、痛いところがあるのでありますが、第二案を了承いたしたのであります。併し当局側は先般のときでは第一案、我々としては到底問題にならない第一案すらも条件を付けなければいやだ、まあ基本的には第一案でも問題だというふうな観点をとつておられるので、裁判長の非常な御熱意にもかかわらず、和解という問題は困難な情勢になつて来ているのであります。
この際労働省のお方もお見えになりますので、一言これに対する又余分な紛争が殖えて参りましたことに触れざるを得ないのでありますが、七月二日に労働基準法の三十六条の締結の事業場の通達が出ました。今まで超過勤務につきましては鉄道管理局で交渉し結んでおつたわけでありますが、この紛争の最中に労働省がその協定の締結権を現場に下す。つまり当初のお話では管区だけに下すという措置をなされようとしたわけであります。そこで我々は労働省とお話合いをいたしまして、ここにいらつしやる安井さんもいろいろお考えの末、慎重にそれじや一つ考慮しようというお約束を願い、大臣にもそういうお約束を願つて七月一日は延期するというお話であつたわけであります。ところが延期はたつた一日でありまして、七月二日に機関区とほか六つ、合わせて七つの事業場が三十六条協定、超過勤務の協定の指定現場にされました。その結果どういうことが起るかと申しますと、改めて超過勤務の協定を各事業場ごとにし直さなければならんことになつて参りますし、それは今まで一所でやつておつた紛争を全国各地に及ぼすものでありますし、組合費の問題にいたしましても、或いはいろいろな問題にいたしましても、この紛争の過程に非常に、折角とにかく紛争を成るべく少くしたいと思つておりますのが、拡大をする結果になつたわけでありまして、組合としてもそれによつて組合運動が低下するのを避けるためにやはり対抗手段をとらざるを得ん、こういう状況になつて参りました。
その三十六条の協定と関連をいたします問題に超過勤務の問題がございます。この十日乃至十四日頃から新聞に発表をされておりますように夏の臨時列車が出ることになつております。国民大衆の要望によつて又国鉄の経営上にもよつて臨時列車を夏に出すということは必要なことだと私ども思うのであります。従つて私どももいろいろな紛争はともあれ、その臨時列車を動かすために超過勤務をすることは必然的なことでありますから、その超過勤務に応じ得る態勢にするためには基準法三十六条の協定をしようではないか、こういうふうに申入れましたところ、これを一蹴し、とにかく国鉄労働組合とは協定をしない。こうして鉄道学校の生徒やいろいろな人を使つてこの臨時列車を動かす。極めて私は危険なものと思わざるを得ませんし、これは是非とも思い直しをされるべきところではないかと思うのであります。
結論として、過程に申上げましたように、好んで私どもはこの紛争を続けようといたしておるわけじやありません。いわば今回は俗に言う売られた喧嘩でありまして、組合の団結を守るための、組合の組織を守るための止むを得ない恰好での闘いになつておるところを十分一つ御記憶を願いたいと思いますし、第二番目には、いつもの紛争と違つて交渉しようにもしようがない。話合いをしようにもしようがない。とにかく一方的に双方が実力行使を対抗上する。その源は当局の措置に対する止むを得ざる手段としての我々の闘争指令、こういうふうになつておることも御理解を願いたいと思うのであります。我々としてはこの際どういうふうに話をつけるにいたしましても、とにかく話合わなくてはなりません。団体交渉してこそ、そこで話合つてこそ解決のめども見えて来ようかと思うのであります。団体交渉の再開こそが今日一番大事なことであると思います。団体交渉はしない、調停委員会はまだ今委員がきまりませんので調停機能を発揮いたしません。仲裁も仮処分も今日すぐ出るとは思われない状況で極めて残念なことであります。従つて労働者が自分たちの利益と団結を守るためには、こういう機能が全部停止をされますれば、必然的に力で、団結で、行動で自分たちの地位なり生活を守り、団結を守るということになるのは止むを得ざるところでありまして、この点につきまして是非諸先生方の御理解ある態度を以ちまして、団体交渉の一刻も早く再開されるようにお願いをいたしたいと思うわけであります。
簡単でございますが……。