市川誠の発言 (労働委員会)
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○参考人(市川誠君) 全駐労中央執行委員長の市川誠であります。只今委員長からのお言葉もありましたので、時間の関係もありますので問題点だけを摘出して陳述をいたしたいと思います。
今福島長官から大体現在駐留軍労働者の現状について説明がなされましたので、重復する点を避けたいと思いますが、私どもが一番苦しい点は、問題は北海値の撤退に伴う失業対策の問題であります。すでにこの問題につきましては、九月の十四日に解雇を発効します五百四十七名の第一次の解雇通告がなされております。そうして又数日中に第二次、約五十品名程度の解雇が通告されるだろうということも言われております。いよいよ撤退に伴う首切りの問題が本格的に行われるというように考えておるのであります。一方こういう状況になつておりますが、併し雇用主であります政府、又労働者の失業対策の問題を扱う立場にあります労働省等の対策を私どもはいろいろと折衝した範囲におきましては、現状におきましては困る者は失業対策事業に行つてくれ、それでもいけない場合には生活保護を受けてくれ、こういう程度の回答より出ていないわけであります。こういう現状では到底占領時代から苦しい条件の中に八年、九年という労働を提供して来た労働者として納得行かないものがあるのであります。
そこで具体的な問題としては北海道における完全な失業対策の確立を図つてもらいたい。而もこれは現行制度の中においてはすでに頭打ちの状態ではないかというように考えております。従つて私どもは国会方面にお願いする点は、現行制度の枠を超えての早急な失業対策の完全な確立という点を要望したいのであります。そういう段階に至るまでの措置といたしまして、当面労働者の取りあえずの生活を保障する措置といたしまして、私どもは昨年来要求しておりますところの特別退職手当の支給の問題を北海道の首切り問題を契機といたしまして現実的な解決を図つて行きたい、その実現を期したいというように考えておるのであります。たまたま陸軍関係ではやはり昨年までの大量整理に引続いて、新らしい年度の予算削減に伴つて約三万程度の首切りがなされるのではないかというように言われております。陸軍関係十一万五、六千の労働者に比較してみますと、若し二割五分という予算削減がそののまま整理の者に寄せられて来た場合には大体四人に一名の首切りという状況であります。こういう状況も私どもが全般的な失業対策の確立乃至は特別退職手当の早急なる支給を要求するかなり緊迫した、要求の要素となつておるのであります。特にアメリカがあれだけの予算削減をするというならば、我々が労働者の失業対策の不安について日本政府側として考慮してもらいたい問題は、財源的な問題としては行政協定に基くところの防衛分担金が一応表面的にはアメリカと日本側と折半負担ということになつておる。若しアメリカ軍側が大規模な予算削減をして、そうして日本に駐留する軍隊の経費というものはそれだけ減るならば、それに見合つた日本政府側の防衛分担金の節減ということも当然外交交渉によつて解決するのではないか、そうであるとするならばそういうような部面の額というものをやはり労働者の失業対策の部面に十分に廻してもらいたいということ々是非御検討願いたいのであります。
すでにこれらの大量整理の問題は、長官も軍側と事前折衝を急いでいられるのでありますが、軍側のとつておる措置はすでに大分で八月の百三十五名、東京のTOD関係で八月五日に四十二名、又東京の補給廠で八月の三日に七十五名と、神奈川のYEDではすでに第一次八十名、第二次百五十名、第三次八十名というように九十日間中における計画を立てて首切りを出しております。こういう状態を見ますと、軍側は果して日本政府側と誠意を以て事前調整を図つて、そうしてこの人員整理に対処しようという考えがあるのかないのか、極めてその真意というものを疑わざるを得ないのであります。勿論こういう現地に出ております状況につきましても政府側にも情報を通報いたしまして、軍との折衝によつて措置をいたしてもらうようにいたしておるのでありますが、我々としてはこういうような個々のこま切れ的な首切りの問題というものは、全般的な計画の中にはつきりそれが調整された後に出さるべきであるというように考えております。勿論大量整理の中での労働強化の問題、その部面からの首切り反対という問題も出て参りますが、それらが私どものやはり具体的な交渉の中で主張して行く点になつて参ります。いずれにいたしましてもこれだけの大規模な整理が行われるということになりますれば国内における労働事情、特に北海道等におきましては石炭産業或いは鉄鋼、造船等を見ましてもかなり労働事情は悪化いたしておりまして、むしろ労働問題という枠から社会問題或いは治安問題の枠に入つておるのではないかというように現地へ出張しての調査等の結果では感ぜられるのであります。そういう際におきまして北海道の撤退に伴う整理問題、又陸軍関係の大量人員整理に伴う問題につきまして早急な完全な失業対策の確立、特に現行制度の枠を超えての措置というものを早急にとつてもらいたい。又それまでの間における特別退職手当の支給というものを早急に措置してもらいたいということを強くお願いしたいのであります。
保安解雇の問題にも長官が言及されておりますが、二月の二日に保安協定が作られた後に空軍関係、陸軍関係、海軍関係とも出されて参つたのでありますが、ところが保安協定を同意したその主義というものは、無実のものはこの協定の中において十分救済をされるという点について期待しておつたのでありますが、その実績というものは我々は完全に期待を裏切られたと、特に鳥取の場合におきまして、鳥取の地区本部の委員長であります門脇志郎君に対しましては保安解雇該当者のいろいろな事情を聴収して、対政府、対軍部折衝に当つたという理由を以て保安解雇該当者という拡大解釈をとつて参つておるのであります。鳥取には他に第二組合がありますので、明らかに全駐労に対するところの弾圧の見地から利用されておるのではないかということが十分に察知されるので、この点についても協定の中における調達庁長官の意見というものを十分に活かして、そして我々が保安解雇協定に同意し、その中で期待した実績というものが確立できるように政府側の強力な対軍交渉を要求します。鳥取問題については私自身文書で司令官に直接解雇の撤回を要求しております。若し政府と軍との交渉が何らの打開を見ない場合は、私どもはこの保安解雇協定という問題について根本的に考え直したところの対策というものを打出さなければならないのじやないかと考えております。
次に過般起つた横田の問題でありますが、組合側としては司令官の出した二つの文書が完全に撤回されておらないので、その点については割切れないものを持つておるのでありますが、半面現地には他の労働条件の問題等もありますので、一応不満ではありますか、現地における円満なる労使関係の樹立というものを期待して静観しておる態度をとつております。その後現地で問題の発端になりました源泉徴収の問題につきましては、軍側も他の基地でやつておると同様の措置をとるということを言明しておりますから、問題の発端になつた減泉徴収問題は一応結着をした形になつております。いずれにいたしましても横田問題の中に包蔵いたしておるものは更により深い考慮を払つて我々としては措置して行かなければならないのではないかというふうに考えております。こういうような北海道の撤退に伴う首切り、陸軍関係の大量整理或いは保安解雇の問題が全部行詰つた、そういう中において昨年来の全般品的な基本契約の改訂ということが一向に進捗しないということがかなりの苦悩になつておることも事実であります、独立後我々は新しい契約改訂の中において日本政府の自主的の管理権というものを確立して、日本の労働法或いは労働慣行に基いて十分に日本の労働者を保護してもらいたいということを契約改訂において期待したのでありますが、すでに三年になるが一向に解決せられない。こういう状況を見ますと、軍側の労働政策というものは、口で言つておることと実際に行なつておることとかなり違つておるというように我々としては疑わざるを得ないのであります。併しいずれにしても契約問題につきましても、今起つております首切りの問題、特別退職金問題等の解決を契機といたしまして早急に全般的の改訂を行つて、残る労働者について十分保護できるような契約改訂を早急に取り結んで行きたいと考えております。
以上時間の関係で簡単でありますが、問題点についての我々の考え方の一端を述べたのであります。最後に附加えて申上げますと、特別退職金の問題は、これは私どもの組合員ばかりでなく、他の関駐労、全日海の組合員の共通した要望でありまして、この実現のためには私どもの組合としては最後の場合には実力行使をかけて闘い取る。そうでない限り、八、九年の間、国の負担しておつたところの労働提供の義務をまじめに果したその報いというものが何もないじやないかということが強調されておりますので、それらの点も十分御配慮の上で、国会方面においても十分の御尽力をお願いしたいということを申上げまして、一応陳述を終ります。