田村文吉の発言 (労働委員会)

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○田村文吉君 いろいろ御苦心になつている点は了とするのでありますが、輸出の問題になつて参りまするというと、幸いにこの六、七月の二カ月はちよつと小康を得たというように私拝見するのですが、まあいろいろ事情もあり、又季節的な問題もあつて楽観は許されない、こう考えるのであります。殊にこの昨今におきましては相当に出血輸出の状況を感じられますので、原価が下つて来て正常価格が出ておるならばよろしうございますが、相当出血輸出をしておる、こういうふうな状況もあるので、果してこれは回復するかどうかということの問題、それが一つと、もう一つは現在のアンバランスが、まだ特需というものを見ておりますので計算に入つておりますが、特需というものはまあだんだん減ると見るのが常識でありますし、どうしても日本の独立ということになる限りにはよほど乾坤一擲の、いわゆる吉田さんの乾坤一擲の方向で輸出というものが展開されることを考えないと、なかなか今の特需が減つて来たような場合、或いはなくなつて来たような場合において国際収支をやつて行くということはできないというように私は考えるのであります。
 そこで輸出の振興で一番、そう言つちや何だが、邪魔になるのは独禁法だ、独占禁止法というものがあるために何かにつけてすべてが邪魔をしておる、こういうわけでありますが、ああいう非常に押し付けられた法律があるために輸出のほうも阻まれるのみならず、国内におきましても経済が、仮に日本としては余るときには一遍に余つており、足らんときは一遍に足らん、こういうことがありますので、こういうものを或る程度消化できるということが業者自体でできるようになつておらんというと経済というものはうまく行かんと思う。これは前の政務次官にもあなたによくお伝え願うように話しておいたのでありますが、今までの経済、過去おいて我々いろいろの経済の恐慌にも会い、又不景気にも会つて来たのですけれども、今日のように一方において労働問題で非常に経営者というものは経営の自由の手腕をとることができない状況になつておる。一方において独禁法によつて抑え付けられておる。こういうことでは浅い日本の経済としての運行ができないのだ。それを平気でただ金融の引締めさえやれば物価が下るのだという非常に甘い、単純な考え方でやつて行かれたのでは困る、こういうことを心配しておつたのでありますが、通産大臣は多少そういう点についてはお考えになつて、特に産業経済の生産者と十分に御接触の機会もあるのでよほど御理解はあると、こう私は信じておるのでありまするが、どうもそういうような一つの大きな根本的にその考え方が狂つておるような私気がするのですね。それで今度の一体不景気なんというものが金融の引締めで以て不景気が起つたと思つておるというようなこと自体が非常なる大間違いである。無論それは動機になり、きつかけにはなつたけれども、今まで日本の経済というものがだんだん伸びて来て、先ず生産の飽和点に達したというときに、こういう時期に丁度金融引締めというものをむやみやたらに言い出されたということが今日の非常な困つた状況になつているんです。だからこういう場合には現在の生産指数が一五〇幾つになつておりますか、こういうものをなお一体継続して行き得るというお見込みがあるかどうか、これも一つの問題でありまするが、そういうような点からして、この問題はそう簡単に行くわけではないのでありまするから、ただ金融引締め一本でこれをやろうとすれば必ずほうぼうにそういう問題が起きて来ると、こう思うのであります。
 先ず一番我々は可能性のある問題は、独占禁止法というようなああいう厄介な法律が今日輸出の面においても又内地の需給の調節の面においても非常に邪魔をしておると、こう考えるのでありまするから、これは一日も早く全廃されてくれれば一番結構なんでありますが、できない。我々はこれに対して解決する方法を考えなければならない。それで輸出の場合になりますると或いは輸出振興に関する特別の会社を作つて、そうして輸出に対してはいわゆる独禁法というものからは除外されて、而も窓口一本で国外に出て商社が競争するというようなことをすると同時に、輸入に対しても国内の業者が非常に競争して高い物を買い付ける、こういうことにならないような方法を一つ考えて頂くというようなことで、輸出入に関する法律を一つ作る必要があるのではないか、こんなふうに考えておりますが、今総合対策の中の一環としてですね、通常国会というお話もあつたのですが、私はこの経済の問題はそんな悠長に待つていられない。実はもう町に相当に失業者があつて、毎日の三面記事を賑わしておるように自殺をする人が出て来たり、随分実際困つている場合が多いんです。単にこれは失業者を公共事業に吸収すればいいんだという簡単な方法ではいかん。どうしてもこれらの産業というものは或る程度安定させる方法を考えて行かなければならないと、こう思うのですが、それでどうも通常国会まで待てばいいのではないかということも言い得ないので、通産省としてのやり得る現在の法律下においてどういうふうに一つやつて行く方法をお考えになつていらつしやるか、多分各種の御考慮もあると思いますが、その辺のところはどうですか。

発言情報

speech_id: 101915289X00419540806_008

発言者: 田村文吉

speaker_id: 18881

日付: 1954-08-06

院: 参議院

会議名: 労働委員会