田畑金光の発言 (労働委員会)

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○田畑金光君 簡潔に御質問申上げたいと思いますが、只今の吉田君の御質問に対する御答弁で、新経済政策の政府の考え方というものについて一応了解がついたわけでありますが、同じ政府の下でデフレ政策をやり、而も又同じ政府の下で新経済政策が出て来ること自体我々としては奇異な感じを持つわけであります。併し只今の御答弁によりますと、日本の経済の自立を貿易振興という点を中心として進めて行こうとする、構想については我々としても了解ができるわけであります。そこで当面の問題といたしまして日本の経済規模というものが実力以上に膨脹した。従つてこれを日本の国力に相応した経済基盤に建て直すという考え方で経済施策が進められているわけでありますが、併しこの政策を進めて参りますと、どうしても国民生活の問題、雇用水準の問題、中小企業の問題、こういう問題が具高的に出て来るわけであります。そこでお尋ねしたことは、輸出振興三年計画ということを政府は考えられておりまするが、今のデフレ的な経済の運営というものは一応大蔵大臣等の言葉を借りますと二年前後、こういうことを聞いておりまするが、どの程度現在のようなデフレ経済を維持して行かれようとするのか、それが一つであります。
 それから現在のこの縮小生産の過程というものが三年計画でしなければ、拡大生産の基盤が据えられないのかどうか。そういたしました場合、現在の、先ほど申上げましたような、国民生活の問題、失業の問題、中小企業の問題等につきまして、どういう具体的な手を打たれようとする御方針であるか。
 それから私は具体的にお尋ねしたいのでありますが、只今の御答弁を承わつておりますると、融資の状況でも、日銀或いは市中銀行の貸出しは殆んど変りはないのだ、従つて生産指数も殆んど落ちてない。生産活動も維持されておるのだ、こういうようなお話でありますけれども、成るほど二兆七千億を越える融資に上つておりまするが、その融資の内容を検討いたしましたときに、これは非常に系列融資であり集中融資になつておるわけであります。いわゆる銀行資本の背景を持つ独占企業のみが融資を受けておる。中小企業というものは殆んど銀行の窓口から閉出しをくらつておる。地方銀行に参りましても同様であります。例えば信用金庫或いは相互銀行等の支払準備金を見ましても、基準率の二〇%を割つて一六%乃至一七%に低下しておる。先ほど大臣は中小企業の倒産を防止する、こういうことをお話になりましたが、やはり私は金融の面が中小企業の一番命取りになつているのじやないかと思うのでありますが、具体的に金融の面から中小企業に対しまして政府はどういう方針をとつて行かれようとするのであるか。
 更に只今の吉田君の質問等に関連いたしますが、現在の具体的な石炭不況の問題について申上げますと、十九国会の節に愛知通産大臣は、石炭不況克服策について本国会終了時までには具体的な成案を作つて我々に呈示したい、こういうお話があつたわけであります。ところがその後大臣からも通産当局からもこれぞという政策を我々は示されておりません。御承知のように今日の石炭不況の問題も政府の総合的な救済の計画性の欠如、或いは総合的な燃料政策が欠けていた点にあると思うわけであります。昭和二十六年以降の高炭価問題解決として重油に転換した、この政府の方針が石炭市場を圧迫して今日の需給のアンバランスを生み出している。ところが又その政府が外貨の逼迫等の事情も手伝つて、今回は重油を石炭に転換されようとされているわけであります。この際当面する石炭不況に関しまして通産大臣は具体的にどういう政策を以てこれに対処されようとしておられるのであるが、具体的に私は御答弁を願いたいと思いますが、同時に先般来重油の消費規制をやつておられまするが、その経済効果がどうなつておりまするか。又石炭が非常に暴落いたしております。現在の炭価の問題と重油の市場価格との関連等を見ましたときに、これらの点がどういう均衡関係になつているか。現在のような石炭の価格からいたしますならば、これは経済効率の点から申しましてもコストの面から申しましても、当然に燃料というのは国内炭に転換すべき段階に来ているのではないかと思いますが、こういう点に関しまして通産当局はどういう御方針でおられるか。
 更にもう一つ私はお尋ねいたしたいのであります。電気料金の問題であります。本年の四月一日に電力会社から一割四分四厘の値上げ案が通産当局に提出されたわけであります。十九国会の節におきまして公益事業局の関係者は、政府としてはどういう方針に出るかは不明だけれども、折角現行制度に基いて作業をやつている、こういうような御答弁であつたわけであります。成るほど現行料金が昭和二十七年の五月の値上げ改正以後据置かれて、而も昭和二十八年の或いは昭和二十九年の新電源開発等を見ましたときにも、電力会社の資本費の負担というものも了解できるわけであります。併しながらこれに対しましては政府といたしまして開発銀行の金利の引下げの問題、或いは法人税、事業税、固定資産税の減税措置によつてカバーしよう、こういう考え方で七月六日の閣議においては通産省の六分八厘の値上げ案というものが一応見送りになつたと我々は聞いていたわけであります。ところがその後の情勢を見ますならば、現行制度の下において、形は如何にも据置のような形をとりながら、或いは石炭条項を停止するとか、或いは夏冬料金の一本化を図つて実質的には、五分乃至六分の値上げを招こうという方針をとつておるわけであります。こういうことではデフレ政策というものに一体どういう政府は信念を持つてやろうとされておるのか、我々としては疑わざるを得ません。殊に昨年度の電力九会社の経営の状況を見ましてもすでに百億を超えた渇水準備金を積立てておる。上期の一割五分、下期には一割二分の配当をやつておる。実際の純益を見ましても上期に三十三億余、下期には八十八億八千万円こういう黒字を計上しておる。而も昭和二十九年度の五月以降の状況はどうかというと異常豊水期になつておる。こういうようなことを我々見ましたときに、政府が電気料金を実質的に引上げられるということが炭鉱に影響し、鉄鋼に影響し、化学肥料に影響し、日本のいわゆる基礎産業という産業は勿論、国民生活自体にも大きな反響を捲き起しておるわけであります。こういうような点が我々といたしましては、一体デフレ政策を堅持すると申しながら、こういう面において府政みずから破綻を示しておる。これらの点が我々納得行かないのでありますが、こういう点に関しましての政府の方針を承わつておきたいと考えます。

発言情報

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発言者: 田畑金光

speaker_id: 24201

日付: 1954-08-06

院: 参議院

会議名: 労働委員会