福島愼太郎の発言 (労働委員会)

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○説明員(福島愼太郎君) 先般当委員会で御報告申上げました以後の情勢につきまして報告申上げたいと思います。
 現在駐留軍労務者の問題と一口に申しますわけでありますが、これには大体二つの大きな非常に重要な問題が絡んでいるわけでございます。一つは御承知の通りの米軍の計画を持つておりまするところの大量の人員整理の時期がそろそろ近付いて来ておりまして、その最初の整理者がこれはまあ北海道で出て来るわけでありますが、九月の十四日には出て来るという関係、もう一つは、それに関連はいたしまするが、そういう大量人員整理を前にして組合側から提案されておりますところの特別退職手当制度をこの際新設せよという要求がどういうふうに処理されつつあるか、この二つの問題であろうかと思うのであります。人員整理の点につきましては、先般の際にもいろいろ申上げたわけでありますが、これは繰返しますとアメリカ側の陸軍予算、日本における陸軍の予算が二五%の削減、本会計年度において二五%の削減に伴いまして、日本人労務の関係においても若干の予算削減をせねばならん。従つて人員の整理を必要とするという事態に立ち至つたわけでありまして、二五%と申しますことは、陸軍の関係の人員が十一万何千という数になつておりますわけでありますから、二五%そのままであれば二万八千人程度の整理が必要ということになるわけであります。そこに人員整理ではありますけれども、北海道から撤退するという問題が別にあります。又そのほかにも予算関係を伴わなくても、従来から過剰の人員を擁しておつた施設そのものが廃止されるとか、そういうところがありまして、これらの整理と絡み合つているわけでありますが、併しまあ予算節約額を弾きますという見地からいたしますると、北海道の撤退とかほかの理由で整理するものであつても、予算の節約には当然貢献するわけにはなりますので、予算節約からの関係から出て来てない、ほかの関係から出て来ている整理でありますけれども、これが当然二万八千のうちの部分を占めることになるわけであります。二万八千という数字は単純に二五%ということで申上げたわけでありますが、実際には予算削減額を呈示しまして、各部隊からそれだけの予算削減をするためにどれだけの人員節約をしなければならないかということで集まりました数字は二万五千、二万五千までは本当のところは参らないのでありますが、大事をとりまして二万五千ぐらいの数まで行けばいいということになつておりますので、二万五千人が減れば、予算節約の目的を達するものであれば、北海道からほかの事情によつて既定計画として減る人員、その他過剰人員として減る人員その他を控除いたしました残りをどうするかということになるわけでありまして、北海道関係が四千三百人、その他の過剰人員が既定計画として出て参りましたものが二千くらいございますから、これらを差引きました残りの一万数千の問題を予算上のいろいろ工夫をして、節約額との関係において人員の整理のほうを減らして参ろうという努力をいたしておるわけでありまして、現在までの段階では、今申上げました北海道撤退とかその他の既定計画に基く整理の通告をいたしました。これが大体六千数百というところまで来ておりまして、それからその後予算上のいろいろな問題を解決して、最終的に一万九千になるか、一万七千になるかということがきまつておらないので、残りの予算節約に伴う人員整理ができないわけでありますが、併し零になるわけではないわけでありますから、その二万五千と初めに計画いたしました半数までは全般的な調整が済まないうちなら人員整理の決定をし、通知をしても差支えないのみならず、きまつたものは早くやつたほうが予算節約の効果はあるわけでありますので、この九月の十五日頃までには一万二千程度の人員整理の通告はするということになつております。通告いたしましてから四十五日目に整理になるわけであります。従いましてこれから半数済んだ残りの一万一、二千について自然減員による数を控除するとか、予算を工夫して人員の整理を減らすとかいう作業にかかるわけでありまして、一万二千ぐらいまでは北海道の分を含めてどの道整理しなければならないということが確定しておるのが現在の状態であります。今後残つた一万二千数百について、これを七千で食いとめるか八千で食いとめるかということになるわけであります。台計いたしますと北海道の分その他も含めまして二万名を若干越す程度の大量な人員整理があるであろうということは事実になるわけでございます。これらは十一月の十五日までには完了するであろうと考えております。十一月の十五日までに完了するであろうと申上げました意味は、九月の十五日までに申上げましたその第二段の処置までいたします。十五日以後に残つた数についての調整をしまして、月末までに結論を出す、月末までに結論を出して、日本側にその通知をして来れば四十五日目に解雇になる。従つて十一月の十五日までには完了するであろうと、こういうことになるわけであります。
 この解雇に関連いたしまして、組合の要望しておりました特別退職手当の問題が早急に解決されなければならないという事態に立ち至つたわけであります。特別退職手当の問題と申しまするのは、組合口は駐留軍労務者と公務員の待遇との関係において駐留軍労務者の現在の待遇というものは、その後ベース・アツプその他は重ねて参つたわけでありますが、待遇の制度の基本は昭和二十三年にきめたものであるわけであります。その当時駐留軍労務者の勤務の性格が公務員のような永続的なものでないということ、又勤務が公務員よりも激しいのではないかということ、それらの点を考慮して、公務員の制度を若干上廻る点にきまつたわけです。資金ベースにおいても、公務員の現在の賃金ベースは一万五千円、駐留軍労務者のべースは一万八千円、かように決定したわけであります。退職金の制度も公務員の制度を若干上廻る占にきまつたわけであります。そこで組合側の要求というものの根拠は、二十三年に駐留軍労務者の特殊性を考慮して公務員より或る程度上廻るという原則が承認され、従つてきまつた。その後公務員の退職制度は行政整理に際しては八割増、若しくは待命制度、そういうような改訂が加えられたわけであつて、現在公務員制度に駐留軍労務者が追い越されたというわけではないかも知れ、ないが、併し曾つてこしらえた差が縮まつてしまつたのであるから、それを元通りの差に回復しなければならないという議論から出発して特別退職手当という制度が提案されたわけであろうと考えておりますが、そういう意味の問題があるわけであります。ところがそれを我々が聞き取りまして、アメリカ側との交渉をいたしておるわけでありますが、組合の要求するような八割増の特別退職手当というものはなかなか簡単には軍の承服するところにもなりませんし、又我々自身といたしましても、なにがしかの調整は必要であろうと考えておりますけれども、昭和二十三年当時の公務員と駐留軍労務者との待遇の差というものが一応承認された原則であるとするならば、それに戻すために八割の増加が必要であるかどうかということについて数学的に立証することができないという見解をとらざるを得ませんので、これは我々としても相当美瑛に困難があろうかと考えております。軍との交渉上これ以外調達庁と申しますか、日本政府と申しますか組合を離れて、我々独自がこれを批判する場合にどういうことになるかという点に主眼をおきましていわゆる調達庁案をこしらえて軍との折衝を続けておるわけであります。問題の根本は、公務員の行政整理に伴う退職手当を改善いたしました際に表向きは八割増ということが言われておることは事実でありますが、実際には恩給の控除とかその他の関係もありまして、現実に殖やしたのは二割しか殖やしておらない。従つて曾つての中が二割程度縮つて来たということは言えても、八割縮つておるからということは言えないというわけであります。それからアメリカ側の理論といたしましては、二十三年に公務員と駐留軍労務者との間の中を設けたことは事実であり、その原則は承認するのであるが、そうして又その後公務員側に退職金に関連する制度が変つて、状況に変化を来たしたということも事実であるけれども、同時に又駐留軍労務者側においても、それ以前においては対象になつていなかつた失業保険給付の対象というような措置も昭和二十七年に至つて入るようになつたのであつて、駐留軍労務者の状況も変つた。両方変つたのであるから、一方が二割程度殖えたからといつてそれで差が縮まつたということは言えない。比較さるべき両方が変化したのであるから、その差が曾つての差通りになつておらないといういわれはない。むしろ曾つての差より開いておるくらいだという議論になつて来ているわけであります。我々といたしましては今日まで組合との交渉も重ね、組合の八割増という案は絶対動かせない性質のものであるか、これが通らなければ他のものも容認しない案であるかどうか、それから又八割増というものが若し絶対に動せないものとすれば、その数字的根拠はどうかという点について折衝を重ね、一方軍に対しましては、失業保険給付というのものは退職金に算入すべきものではない。アメリカにおいてはそうであろうけれども、日本においては環境が違うのであるということで議論を重ね今日米に至つておるわけであります。今日なお結論が出ていないと一応申上げざるを得ないと思いますが、本日もここへ参りますまで、最後という意味ではありませんが、ストライキをやつたからといつて交渉を打切るというような根性は持つておりません。最後とは思つておりませんけれども、その以前における最後交渉もいたしたわけであります。軍側は組合の八割増案というものを容認することができないという態度を変えておらない。又我々の取上げておりますところの失業保険給付という問題を退職金に算入すべきでないという議論に対しましても、昨晩あたりは多少の希望も持つておつたのでありますが、なお実は昨晩のところでは、態度がこれを容認する時期に達しておらないという状況になつておりまして、この問題につきましては、本日組合にストライキ前の一応の同等をすることになつておりますけれども、組合側の満足するような回答は現実のところできない状態にあるということを申上げなければならないと思う次第であります。
 一応の状況はさような次第でありまして、なお申し残している点もあろうかと存じますけれども、御指摘に従いまして申上げることにいたします。

発言情報

speech_id: 101915289X00619540910_003

発言者: 福島愼太郎

speaker_id: 20058

日付: 1954-09-10

院: 参議院

会議名: 労働委員会