鳩山一郎の発言 (本会議)
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○国務大臣(鳩山一郎君) 緒方君の御質疑に対しまして答弁をいたします。
第一は、予算案不提出についてであります。議会は、御承知のごとく、近く解散をしなくてはならない情勢にあります。これは全国民が要請しておるのであります。近く議会が解散せられるので、予算案を審議するいとまがないのであります。(拍手)従つて、予算案大綱を示したのにすぎませんでした。これは、よくお考え下されば、無理はないことだと御了承下さるだろうと思います。(拍手)
第二の御質疑は、憲法第九条についてであります。私は、緒方君の言わるるがごとくに、憲法を改正して自衛軍備を持つということを二年半前に日比谷公会堂において絶叫いたしました。これも事実でございます。ところが、その当時におきましは、自由党内閣でも、日本を守るための軍隊を持つことができないという考え方のもとにおいて、それで保安隊という名前において自衛隊を持とうとしたのでありますが、これは国民を偽わるところのやり方であつたのであります。(拍手)そこで自衛のためならば軍隊を持ち得るということが日本の常識になりつつあつたのでありまして、それで、当時の国民の観念と今日とにおいては、そこに歴史上の変遷があつたと見るのが当然だと思うのであります。(拍手)今日は、自衛のためならば軍隊を持ち得るということが通論だと私は思つておるのであります。(拍手)緒方君は、特に私が出たり入つたりまた出たりという文句をこの際に使われましたけれども、出たくなくても、汚職事件が起きたり、指揮権の発動をしたり、暴言をしたりしたならば、出ないわけに行かなくなつたのであります。われわれが出たのは、あなた方のやり方が悪いから出たのであります。私の罪ではないと思うのであります。(拍手)
第三は外交の問題についてでありますが、外相と私との問において、中ソとの交通、貿易に関しての意見に少しも矛盾はございません。(拍手)国交を開いていない国と善隣友好の道を開きたいということは、決して自由主義国家群との関係をやめようという趣旨ではもとよりないのであります。自由主義国家とますます緊密な提携をしていくことはもとより当然ではありますけれども、国交の開かれない諸国を敵とする理由は断じてないと私は思うのであります。(拍手)国交の調整をやつていきますのには、まず自由に交通し、貿易を増進していつたならば、やがてはよき仲よしの国になれると思うからしてこそ交通、貿易を中ソといたしたいというのであります。これが世界の平和に通ずる大道であると私は思つておるのであります。(拍手)
抑留者の帰還あるいは領土の返還をいたしたいことはもとより当然な希望でありまして、機会あるごとにこのことは折衝するつもりであります。この抑留者の帰還、領土の返還を求めるのも、まず交通を自由にし、貿易を増進してだんだんに国際関係を正常に戻したならば、それによつて糸口が開けるものと私は思うのであります。
中共も国民政府も、ともに領土を持ち、ともに支配する人民を持つておりまして、形においてともにりつぱな独立国と見るのが適当だと私は思つております。(拍手、発言する者多し)
フィリピンの大統領に何か書面を出したようなことが申されましたけれども、私はフィリピンの大統領に書面を出したことはございません。何か誤解であろうと思います。
大体においては御答弁をしたつもりでありますから、私はこれをもつて答弁を終ります。(拍手)