野澤清人の発言 (社会労働委員会)
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○野澤委員 何べん問答しても、納得のいく御返事が出ませんので、一応保留しておきましょう。保留しておきますが、今、大石君のお言葉では、処方せんを発行することは医者の診察の義務である、こういうことをおっしゃられておる。義務であるならば、多少煩瑣であっても、これは行うのが建前だと思うのです。それを単に医者が事務的に煩瑣であるという理由でこれを拒否するということは、当らないと思うのです。この点に関して、あくまでも加藤先生も大石先生も、これは医者が不便だから、また厄介だから書かないのだ、こういうことを主張されていますが、大学病院あたりに行けば、たとい院内処方というものであっても、一々書いておる実情です。書き得ないというのは、むしろ開業医の場合において、多少煩瑣であるということが言い得るかもしれませんが、この煩瑣ということだけで、もし世の中の事柄が解決するならば、たとえば、物品を売りまして領収書を出すのも煩瑣であり、レストランで料理を幾種類も食べて、その料理の単価を書いて金を取ることも煩瑣であります。そういう主観的な煩瑣によって、国の規定というものがあいまいに曲げられていくことは、国民の感情としても、国家の制度としても、これは絶対に避けなければならぬことだと思うのです。
そこでお尋ね申し上げたいととは、私が前回に秘密治療ということを申し上げて、そういうことは知らぬということをおっしゃられましたが、秘密治療の反語である医療内容の公開に対して、きわめて不親切であると私は思うのであります。なお医者自身として、自分で患者を診察した上に、その患者はこれこれの経過をたどっておるからというので投薬する内容を一般患者に示しても、何ら差しつかえないと思うのであります。その処方せんを一応発行しておいて、それを患者に持たせて、その上で患者がどこから薬をもらうかということをこの前の国会できめられた。これが最も合理的であり・民主的だという見解のもとにそうきめられた。従って、薬事法の中にこれを入れているものを、さらに逆戻りするように医師法の中にこれを舞い戻らした、ここには相当の故意または作為が働いておると思われるのです。それは、単にめんどうだからという理由だけでは、せっかく第十国会であれだけの騒ぎをしてきめられた議員諸君の面子もゼロになるし、国会の権威も失墜することになるのではないかと思うのであります。極論するようでありますが、私は、むしろこの医薬分業ということを、あなた方が絶対に拒否するという精神ならば、それはわかりますけれども、この間加藤先生も大石先生も、医薬分業を暫定的に推進する意味においてということで今度の改正案を出された、こういうことでありますと、医薬分業に対する理解が那辺にあるかわからないわけであります。従って、処方せんを発行することが厄介なのではなくて、発行するのが当りまえなのでありますから、当りまえの場合に対して、これをどうしても患者の治療上支障がある、あるいはまた医者の治療方針をきめる上においても不行き届きがあるからという理由で除外例を設けるというのなら、意味があると思います。この点に関しては、医薬関係審議会で一年以上ももみにもんで、どんどん今成案を作っておる、これまで御破算にしようという考え方には、相当の作為がなければならぬ。作為の根拠は何かというと、医者自体は、自分の技術を公開することをきらっている。たとえば、一人の患者に処方せんを渡す、これが町の薬局に行き、二回、三回と続いていくうちには、その医者の技術内容が国民に暴露される。従ってその医師の技術内容に対する大きな恐怖観念から・処方せんの発行ということに対して、あらゆるもっともらしい理由をつけて拒否される理由があると思うのであります。こうした事柄を今後とも続けていくということであれば、日本国民ほど不幸なものはない。従って、との提案理由の説明にありますように、国民や患者の立場から立案したというものの、その第一ページからして、すでに国民の意思をじゅうりんして、しかも国家の新しい制度に対する撹乱方策をするものと考えられますが、この点どういうふうに御弁明になりますか、お伺いいたします。