葛西嘉資の発言 (社会労働委員会)

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○葛西参考人 山本ヤヲ女史の点については、当時新聞にも出ておりました。私どもも、非常に心を痛めたことでございます。赤十字の現在の制度を率直に申し上げますと、退職金の規定がございまして、赤十字の看護婦が退職した場合には、それぞれ勤務年限、現在の給与等に応じまして、一時金を出すことになっております。山本ヤヲさんの場合も、相当勤められまして、後進に道を譲られたときには当時としましては、相当額の金が山本さんに渡ったのであります。しかし、山本さんがやめられてから、御承知のように一万や二万、金があったところで、ほとんど戦後のインフレで問題にならなくなってしまったのが大体の実情のようでございます。ですから、その責任はどこにあるかというと、インフレが責任だと言うより手がないのじゃないかと思います。従いまして、かやうなことで、現在も、看護婦さんがある程度勤められるということになれば、現在は現在の貨幣価値に応じた退職金が、一時金が出ることになっております。古い看護婦さん等については、百万円を越す金額が一時金として本人に行くことになっております。しかしながら、それでは十分ではないのでございます。これは私どもとしましては、ぜひ何とか今のお話しのような年金というやうなものをやらなければならぬというふうに考えるのでありますが、何も赤十字の財政というものは、それらの長い人に年金をやるほどの、まだ財政ではないのでございます。しかし現在赤十字の看護婦といえども、今御承知の厚生年金法にはかかっておるのでございまして、やがて厚生年金が実施になる時期になりますれば、これらの退職者については、掛金も納めておりますから、その恩典には浴することができる。しかしそれの実施までの間は、実は年金というものはないのであります。昨年ナイチンゲール百年祭に当りまして、総裁陛下からナイチンゲール賞の受賞者をお呼びになったとき、参議院の厚生委員会に彼らを連れて参りましたときに、感謝の決議があると同時に、当時の草葉厚生大臣に対して、議員の方からお尋ねがありまして、こういう人については、国家として一つ何とか老後安定の道を講ずべきではないかというようなことがあって、趣旨はもっともだから研究しますというようなお話があったのであります。厚生省御当局でも、いろいろ寄り寄り御研究をいただいておることとは思いますけれども、何せそういうような状態でございます。しかし、私どもの内部でも、今の御趣旨で——これらの看護婦さんで養老院に入っておるような人は、実は今お述べになった通りでございます。ナイチンゲール賞をもらっている者でも、香川アヤという人は東京の養育院に入っております。これらの人は独身で長い間、六十幾つ、あるいは七十に近くなるまで勤めるというようなことで、身寄りの者もほとんどなくなってしまい、ほんとうに孤独になってしまって、寄るべがなくなるというような、非常に気の毒な状態でございます。従いまして、これらの人に対しましては、何か老人ホームといいますか、看護婦のホームを一つ作る必要があるというわけで、今研究をしておりますが、なかなかこれは金に関する問題でございますので、十分なことができないで弱っております。ただ山本ヤヲ女子等につきましては、今述べになりましたように、起居が不自由になりましてからは、ずっと赤十字の中に看護婦の同窓会館みたいなものがあるのでありまして、そこへ入りまして、自分の妹さんが来まして、私も参りましたが、一室で妹さんと二人で後輩の看護婦どもがめんどうを見て、最後は病院で安らかにゆかれた。最後の危篤のときも、私参りましたのですが、看護婦、御厄介になって相済みませんというようなことを小さい声で申しました。私は、ここはあなたのうちじゃないか、あなたのうちにおるのに済まぬということを言う必要はない、心置きなくやりなさいと言って、かわるがわる後輩の看護婦が見舞ったというようなことで、山本ヤヲさんだけは、そんなことでございましたが、できるだけそういうふうにして参りたいと思います。全体の多数の赤十字看護婦の老後の安定ということについては、まだ大きな問題が残っておりますことは、その通りでございます。

発言情報

speech_id: 102204410X05019550726_075

発言者: 葛西嘉資

speaker_id: 25628

日付: 1955-07-26

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会