鈴木直人の発言 (本会議)
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○鈴木直人君 私は、自由党を代表いたしまして、今回提案せられました地方財政再建促進特別措置法案並びにこれに関連する三十年度地方財政計画に関し、若干の質問をいたさんとするものであります。鳩山総理大臣初め一萬田大蔵大臣、川島自治庁長官の責任ある御答弁をお願いいたします。
地方財政は、今や、五百六十億になんなんとする莫大なる実質赤字を抱えまして、破局の寸前にあるのであります。これがため、地方自治体は極度の現金不足に悩みまして、月々の俸給の支払いにすらその金策に窮し、一時しのぎのやりくりによって辛うじて切り抜けているというのが偽わらざる真相であります。昨日の毎日新聞の記事によりましても、今や全国各地の自治体において給料遅配が続出しており、一日千秋の思いをもって待っておる夏季手当すら、一カ月以上繰り下げまたは分割支給のやむなきに至っているものが続出しているというのが実情であります。今後もかくのごとき状態のままにおいて推移するならば、おそらく近き将来において地方自治体はその機能を麻痺停頓するに至りまして、まことに憂慮すべき事態に立ち至るであろうということが予想されるのであります。地方財政の再建整備こそは何よりもまず解決しなければならない焦眉の急務でありまして、今回政府が法案を策定して地方財政の赤字解決に乗り出しましたことは適切な措置であると思うのであります。
しかしながら、いよいよこの法案を検討いたしてみまするに、その内容たるや全く不徹底きわまるものでありまして、地方財政の抜本的解決などにはほど遠いものであり、しかも、法案全体を通じて直感せられるところのものは、地方自治体をあたたかい手をもって育成強化しようというのではなく、むしろ地方自治体を金づかいの荒い準禁治産者的な扱いにして、地方自治庁長官の完全なる監督支配のもとに置こうという、あまりにも中央集権的な官治行政的な規定が終始一貫しているという感じを受けるのであります。しかも、国がいかなることをこの法案でしているかと申しますと、五十億の政府資金をただ貸し出すこと、百五十億の公募債の発行を許すこと、そうして、その公募債の利子には、先ほど大臣が言われたように、ただ二分の利子補給をすること、これだけであります。六百億の過去の赤字を解消するのに、ただ二百億というようなきわめて少い、しかも政府資金はただの五十億にすぎないのでありまして、この五十億をもって六百億に近いところの赤字を解消しようというのがこの案なのであります。しかも、五十億の政府資金は貸してやる、百五十億の公募債は許してやる、しかし今後七年間というものはお前たちの台所を差し押えるというのがこの内容であります。地方自治体側が、法案の内容を知りまして、これは血も涙もない仕打ちである、こう叫びまして、おそらくこれは官治行政への移行を考えているものであろうというようなことを疑心いたしまして、一斉に反撃に立ち上りましたことも、これは法案を直感いたしてみまして、ゆえなきにあらずと考えるのであります。
そこで、私は、まず第一に自治庁長官にお尋ねいたすのであります。六百億に近い赤字を解決するのに、わずか政府資金五十億、公募債百五十億をもって、どういうふうにしてこれを切りかえるのか、その切りかえ方を具体的にお教え願いたいのであります。政府が真に六百億の赤字を解消しようとするならば、少くとも百億ないし百五十億の政府資金をさらに必要とすると私は思うのであります。自治庁長官のこれに対する意見をお聞きしたいのであります。
第二の質問は大蔵大臣にお願いするのでありますが、政府は、五十億のこの政府資金のほかは、百五十億の公募債をもって、これを自治体において公募して借りて、それでやって行けということであります。しかしながら、私は、この三十年度は百五十億の公募債の消化というものは困難であると考えておるものであります。昨年は二百億の公募債がありましたが、先般政府から出されました五月十五日現在の資料をもって見ますと、わずかに二百億のうちの八十八億しか消化されていないのであります。あとの百十二億円というものは、まだ先月の十五日に消化が残っておるという状態なのであります。しかも、本年は、百五十億のこの再建債のほかに、一般公募債として二百三十億が予定されておるのでありますから、三百八十億というものがこの三十年度におけるところの公募債の割当になるのであります。この三百八十億というものは、とうていこれは消化し切れないと思うのであります。かくのごとき状態は、まるで絵にかいたぼたもちを見せて、こういうふうにしてやってやるという欺瞞政策、これは鳩山内閣一流の欺瞞政策であるかもしれませんが、これは一笑に付すにはあまりにも問題が大き過ぎると思うのであります。大蔵大臣は、おそらく、百五十億のこの再建債については、法律の中に来年になってこれを政府資金に切りかえるという規定があるから、これはできるとお答えになると思いますけれども、そうするならば、あとの平年度の二百三十億の公募債というものは、おそらく消化ができないということになりまして、地方自治体はこれがためにほとんど仕事ができないというようなことになると考えるのであります。この百五十億の再建債は必ず完全に消化してみせるという公約を、この際大蔵大臣の口より承わっておきたいと思うのであります。
第三は、地方債証券公庫を設立する意思があるかということを大蔵大臣にお聞きしたいのであります。前に申し上げました通り、地方自治体の地方債の消化の限度というものは、もう満度に来ております。従って、本年度三百八十億の消化というものは困難であることは、先ほど申し上げた通りであります。従って、これが方法として、地方債証券公庫というようなものを作りまして、国においてそれを出資し、地方団体も出資いたしまして、そうして従来の縁故募集、市場募集というものと一緒になりまして、この地方債を消化していくということが、今後地方自治体の財政運営上最も重要なものであると考えるのであります。この点につきましては、大蔵大臣はこの地方債証券公庫というものの設置に対しては反対であるということを聞いておるのでありますが、おそらく、大蔵大臣がそう言われるのでありますから、何か非常に確信があって、弊害もあるというのでそうされないのだろうと思いますが、これに対するところのお考えを伺いたいと思います。
第四は地方自治庁長官にお願いするのでありますが、六百億に達するこの赤字を解消するにわずか五十億というようなことになりましては、全国都道府県、市町村に分けますと、スズメの涙ほどにすぎないのであります。しかしながら、この法案を見ますと、そのような国の対策にかかわらず、先ほど申しましたように、二十六カ条にわたるところのこの規定を見ますと、ほとんど地方自治体をがんじがらめに縛りつけるような条文で一ぱいなのであります。地方自治体側の現在の空気というものは、政府は御存じだと思いますが、せめて二、三百億程度の政府資金があるならばこのように締められてもやむを得ないけれども、わずか五十億程度の政府資金でかくのごとく何年間も差し押えられるような結果になるならば、何とかして、できるならばこの法律によらず自力更生をやっていきたいというのが、地方自治体の大部分の現在におけるところの空気であります。しかるに、この第二条第四項には、もし自治体側がこの法律の適用を申し出でなかったならば自治庁長官は勧告することができるようになっておるのであります。そこで、長官にお聞きしたいのでありますが、この勧告というものは、いかなる場合にやり、どういうふうな意味をなすものであるか、その勧告の効力をお聞きしたいのであります。
しかも、条文によりますと、勧告に応じないで、そうしてこの三十年度も赤字が出たような場合には——おそらくこの三十年度は赤字が出ると思いますが、この三十年度の赤字団体に対しては、三十二年度からある程度地方債の発行を制限するという規定になるのであります。おそらく、全国の大部分が、もしこの適用を受けなかったならば、三十二年度は地方債を発行することができないという規定になるわけであります。これはまことに冷酷な仕打ちであると思うのであります。かくのごとく地方自治体にまま子いじめのごとく冷酷な処置をしなくてもいいのじゃないかということを、この条文を見て痛感いたしているのであります。鳩山内閣の地方自治に対する方針というものはこのようなものなのだろうか。このように、強いものには仕方がないが、弱いものは幾らでもいじめるというようなことが友愛精神であるのかどうか疑わしいのであります。いわゆる勧告の方針並びに勧告に応じなかった場合にどういうふうにするかという点について、この際自治庁長官に御説明をお願いしたいのであります。
第五は三十年度の地方財政計画についてでありますが、この三十年度の地方財政計画は、私たちの見るところにおいては、百四十億程度の赤字が出ることは必至であります。これは明らかに百四十億の赤字が出るということの結論になったのであるが、閣議において、それは国会に提出することができないということになって、一夜に、自治庁の役人に命令して、数十億をこれに入れまして、そうして赤字の出ないようなものにしたのであります。この百四十億というものは、ほとんど中央側に対する消費節約のものになっているのであります。かくのごときものは紙に書いた計画のようなものであって、地方財政の実態とは違っているものであります。自治庁長官も、この計画は紙の計画である、実際のものは別にあるのだということを言うておられるのであります。それで自治庁長官にお伺いしたいのでありますが、現在国会に提出してある、あの三十年度地方財政計画というものは、ほんとうに赤字が出ないと考えておるものであるかどうか、赤字が出ると思っているのか思っていないのか、その点をはっきりお聞きしたいと思うのであります。
第六の点は、鳩山総理大臣に最後にお聞きしておきたいのであります。最も近い機会において地方交付税率を引き上げる意思があるかどうかという点であります。過去における六百億に及ぶこの赤字、また本年起るであろうところの百四十億の歳入不足の原因というものは、もちろん地方自治体の財政運営の不手ぎわに責任の一半はありますけれども、根本的な原因というものは地方交付税の税率が国税三税の二二パーセントという低い税率にあることは明らかであります。でありまするから、昨年の国会におきましても、この衆議院におきましては満場一致をもって二五パーセントという決議をいたしたのでありますが、不幸にして参議院において二二パーセントに修正されたために、今日に至っておるのであります。もし昨年二五パーセントであるならば、その額は百八十九億でありまするから、このインチキな財政計画を出す必要はなかったと思うのであります。そこで、鳩山総理大臣にお聞きいたしたいのでありますが、この税率を上げるにいう意思があるかどうか。全国の都道府県、市町村は、鳩山首相の理解ある一言を期待いたしておるのであります。