加賀田進の発言 (本会議)

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○加賀田進君 私は、ただいま提案されておりまする地方財政再建促進特別措置法案に対しまして、日本社会党を代表して、総理大臣、大蔵大臣並びに自治庁長官に対して、その主要な問題点をたださんとするものであります。
 戦後民主政治の基盤として新しい理念のもとに出発いたしました地方公共団体は、地方住民の福祉増進を究極の目的として、地方自治の確立強化のために、すでに八年余にわたって努力を続けて参りましたが、その努力にもかかわらず、昨今の地方財政は実に容易ならざる事態に直面しております。すなわち、昭和二十八年度の決算におきましても、今川島自治庁長官が発表された通り、四百六十二億円余の赤字が生じておりまして、二十九年度の赤字推定は実に六百億をこすのではないかといわれております。このように、年々増加をたどります地方財政の赤字の根本的な原因に対して、一体政府はどのような理解を持たれておるのか。この地方財政再建の措置法案も、今次国会に提出されておりまする地方財政に関係のある諸法案におきましても、あるいは本年度の地方財政計画におきましても、さらには後刻提出されようといたしておりまする地方自治法の一部改正をわれわれが伝え聞いても、すべて底に流れておる思想は、地方財政の赤字発生の原因は地方団体の責任に帰すべきものであって、政府としての責任ではないという考え方が一貫しておるように思われるが、地方財政の赤字の責任の大半は政府にあるとわれわれは信じております。(拍手)
 現在の地方財政における構成は、義務的な経費及び公共事業や国庫補助事業等、国の施策に伴う経費が七五パーセントから八〇パーセントを占めておりまして、地方独自の施策による事業はわずかに歳出の五、六パーセントにすぎない現状を考えるときには、地方財政の赤字の原因の大半は、政府が必要な財源を地方に与えないからであって、いわゆる地方団体に対する所要の財源措置を政府が極端に圧縮しておることに基因しておるものと私たちは思います。従って、総理大臣並びに大蔵大臣は、この地方財政が赤字を生じた根本原因をどのように考えておるか、この際明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、本法案は、赤字によって破局寸前に悩む地方団体の弱点を利用して、政府は地方自治の自主性を不当に侵害するとともに、中央集権への道をさらに大きく切り開くおそれがあるということであります。赤字団体が議会の決議を経て決定した財政再建計画に対して、政府は自治庁長官を通じて自由に条件を付したり、さらには変更を加えてから承認するという権限を持ち、その上に、再建計画の執行に当って、財政運営が不当だという理由のもとに、地方団体に対して予算の一部執行の停止を命じ、その他いろいろな処置を命令することができることになっております。全く政府に支配権が握られているということになります。そればかりではなく、政府の命令に従わなかった場合には、財政再建債の利子補給を停止するとともに、地方自治法第二百五十条の自治庁長官の許可権を乱用して、地方債の許可を与えないという罰則まで設けてあります。実に、地方公共団体の財政窮乏の弱点を利用して政府の支配権を自治体の中に深く根をおろそうとする、民主政治逆行のおそるべき内容が含まれていると私は思います。(拍手)
 そこで鳩山総理に質問いたしたいのでありますが、現行憲法は、帝国憲法と異なって、民主政治の基礎を築くために、特に地方自治の一章を設けて、地方公共団体の自主独立性を保障しているということは御存じの通りであります。この重大な使命を帯びている地方公共団体の行財政に対して政府が変更を命じたり執行停止を命ずるがごときことは、地方自治の本旨を誤まるばかりでなく、地方団体の事務の処理、行政執行の権能を侵害して、憲法第九十四条の違反になると思うが、総理大臣はいかに考えているか、この際明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、川島長官にお尋ねいたしまするが、赤字団体の長は、二重、三重にこのように政府の権力によってがんじがらめに拘束された財政再建計画に基いて予算を調整して、地方議会に提出することになります。その場合、ほとんど増額や修正をすることのできないような結果となって、地方住民の意思決定機関である議会は事実上予算案の審議決定権を奪われるということになります。従って、それは地方自治法第九十七条の議会の増額決議権を剥奪することであって、私はおそるべき地方自治に対する自治庁の魔の手が差し伸べられるものと言わざるを得ないと思うのであります。そればかりではなくして、教育委員会においても同じく予算の送付権が実質的に喪失して、教育委員会法第五十六条が空文化してしまいます。教育行政そのものの独立性を侵すことになると思うが、自治庁長官はいかに考えておられるか、この際その所見を明らかにしていただきたいと思います。
 なお、赤字団体の財政を再建する基本方針として、地方公共団体が、別途に税目を起したり、普通税の標準税率を高めて、負担能力が限界に達している地方住民に対して増税を行うことになっております。先般の選挙を通じまして政府は、減税を公約して、今国税に対して少々の減額を行なって、公約完全実施の宣伝をいたしておりまするが、その裏から地方団体の手を通じて増税を強要するがごときことは、私は国民を欺瞞するもはなはだしいと言わざるを得ないと思います。大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 財政再建は、かかる増税と、職制の改廃による地方公務員の首切りと、そうして経費の節減を前提として、政府は赤字公債分として五十億円、首切り公債六十億円、地方公募債百五十億円、財政再建債の利子の一部を補給することによって、赤字を解消し、予算の均衡を保持する計画を立てねばならないようになっておりますが、果してこのようなこそくな政策によって地方財政の健全化が達成できると川島長官は思われているのかどうか、単なる金融的措置にのみとどまらず、抜本的対策を行う意思があるかどうかを、この際明確にしていただきたいと思います。
 長官は、去る三月三十日の参議院地方行政委員会におきまして、秋山長造君の、地方財政の財源を増すために交付税を何パーセントくらい引き上げる見当ですかとの質問に対して、五パーセントですと明確に答弁されております。いわゆる二七パーセントにするということが川島長官によって言明されておりますが、その後現在まで何らの具体的実行案も現われておりません。依然として二二パーセントに据え置かれております。自治庁は大蔵省に対していかなる努力を払われたか、そうしてその結果がどのようになったか、この経緯に対して、この際事実を明確に発表していただきたいと存じます。
 先般、両派社会党が、地方の赤字財政は政府と地方自治体がお互いに理解と協力体制を整えて助け合わなければ解決することは不可能であると確信をいたしまして、当面の財源処置として長官が言明されたと同率の二七パーセントに引き上げる改正案を提出いたしましたが、長官は今もなお二七パーセント引き上げるべきが妥当であると信ぜられておるかどうか、もし妥当だと信じられているとするならば、両派社会党の提出しております二七パーセントの改正案に賛同される意思があるかどうかを明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 最後に大蔵大臣に質問いたしまするが、地方財政の現状から、自治庁長官は、大蔵大臣に対して、交付税率の引き上げこそ赤字に苦しむ地方公共団体る救うただ一つの当面の政策であると強く主張して交渉されたと聞くが、なぜかかる全国各地方団体の要望にこたえた国民的要求を簡単に拒否されたのか。防衛庁経費のごとき再軍備費については惜しげもなく膨大な増額を無条件で認めた大蔵大臣が、国民生活と直結いたしております地方財政になぜあたたかい救済の手を差し伸べようとしないのか。なお、そればかりではなくして、本年度は一般公募債が例年よりも増加され、その上再建債が加わったため、一般金融機関はとうてい公募債消化の能力がないであろうということから、この公募債を引き受けるための機関として自治庁長官は地方債証券公庫を設置しようとしたが、大蔵大臣並びに大蔵省の強い反撃にあって実現しなかったといわれている。大蔵大臣は、いかなる理由によって、公募債の消化をはかろうとした地方債証券公庫の設置に反対されたのか。この際この点を明確にされたいということを強く要求いたしまして私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇]

発言情報

speech_id: 102205254X02819550614_036

発言者: 加賀田進

speaker_id: 20805

日付: 1955-06-14

院: 衆議院

会議名: 本会議