小平忠の発言 (予算委員会)

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○小平(忠)委員 趣旨弁明を申し上げる前に、配付された印刷物の修正個所につきまして説明を申し上げます。配付されておりまする印刷物の最後の備考欄を削除いたしまして、この事項を別刷りの七と書いてありまする印刷のように、この編成がえを求める動議の三ページの六の次に七としてこれを挿入するよう、印刷の誤まりがありましたので、修正いたすことをまず冒頭に申し上げます。
 私は日本社会党両派を代表して、政府提出の昭和三十年度一般会計暫定予算案外二案に反対し、これが撤回を求め、かつ両派社会党によって作成した政府予算案組みかえの動議をここに提出し、これが趣旨を明らかにするものであります。(拍手)
 われわれが政府提出案に反対する第一の理由は、今回の暫定予算案は、四、五月分の純事務経費のみを計上した事務予算であるという名目に隠れて、年度予算の編成方針についての説明を怠り、事実上政府は国会に対し予算審議上不可欠なる資料の提出を拒否しておるからであります。一萬田蔵相は、再三にわたる野党三派からの要求によって、閣議に付されざる一萬田蔵相の明年度予算構想なるものを説明いたしましたが、この内容たるや、総選挙中の民主党の宣伝文書を一歩も出ていないのみか、きわめてお粗末きわまるものであります。あのようなガリ版刷り三枚程度のおざなりな作文をもって、予算審議に最も重要なる資料提出上の形式的つじつまを合せることは、予算審議上かって例を見ない最悪の前例を鳩山内閣が残すものでありまして、国会の民主的運営の見地より見て、きわめて、遺憾に思うのであります。
 政府提出案に反対する第二の理由は、今回の政府提出暫定予算案は、四、五月分の純事務経費のみを計上した予算案としても、きわめてずさんであるからであります。われわれは暫定予算の編成というものは、財政支出の空白期を来たさないように、一日も早く審議通過せしめるためには、歳出予算の経費は、最低必要とする純事務的な経常費のみを計上すべきことを原則と考えます。従って、現在進行中の日米交渉における防衛支出金の分担額問題のごとく、現在検討されつつある経費について、機械的に前年度予算の月割額を計上するのは、国民に対しては純事務的計上を装いながら、米国に対しては阿諛追随の媚態を呈する鳩山内閣独特の二枚舌外交の現われなのでありまして、断じて見逃しあたわざる事実なのであります。
 また暫定予算編成に当っては、前年度歳出経費では明らかに不足となって赤字を出した主要項目については、不足額を補うに足る経費を計上することが、純事務的にも必要なる処置であるとわれわれは考えるのであります。この見地に立って今回提出された政府予算案を検討してみますると、社会保障関係の生活保護費、社会保険費、失業対策費、結核対策費の四項目並びに業務教育費国庫負担金、地方財政に対する交付税交付金、補助金関係、公務員給与の地域給における一部の不均衡是正など各種項目にわたって、事務的経費の計上としてもきわめて不十分である事実を指摘し得るのであります。特に今回の政府提出案において著しい事実は、昨年中の深刻なる経済不況によって失業名や生活困窮者が急激に増加し、中小企業の疲弊、倒産はますますひどくなってきているという憂うべき事態に対し、暫定予算案においては何らの考慮も払っていないことであります。具体的に政府予算案に計上された失業対策費四十六億一千五百万円の経費について検討してみますると、まず失業対策事業費の補助については、前年度予算が一日平均十七万人分を計上していたのに対して、わずかに二万人分を増額したのみであります。失業保険費においては、保険金受給実人員を前年度の月平均四十九万四千人から、わずかに九千人分増額したのみであります。これによってみれば、失業対策費の増額はわずかに二万九千人分が計上されているだけであります。しかるに政府作成の失業統計によってすら完全失業者数は六十万人台に固定化しており、実際の就職を希望する失業者数はこれを数倍も上回っていることは、天下周知の事実であります。しかるに政府は失業対策費の若干の増額の必要を認めながらも、その増加額たるや深刻なる失業難の現実を無視したごまかし以外の何ものでもないのであります。われわれは鳩山内閣のいわゆる公約と実際の政策実施面との矛盾については、無数に指摘すべき事実を握っております。われわれはこれらについては日を改めて政府を追及することとし、本日は政府提出の暫定予算案について、この考え方、この案について反対し、政府がこれをすみやかに撤回することを要求するものであります。
 われわれの方針は、お手元に配付された資料通り、両派社会党によって共同組みかえした予算案をもって、政府案にかわる暫定予算として提出するものであります。
 われわれの組みかえ動議は、組みかえ増額すべき項目としては、生活保護費においては、前年度予算三百五十七億円の三カ月分を最低必要額として計上するものであります。
 社会保険費においては、前年度予算の二カ月分相当額と、厚生省事務当局が認めている明年度の健康保険赤字約九十億円の二カ月分相当額を計上するものであります。
 また結核対策費は、前年度予算百三十五億円の二カ月分を計上いたしたのであります。
 次に、失業対策費においては、一日当り吸収人員を五十一万人とし、失業保険費においては受給実人員を月当り五十五万人に増加せしめ、これらに要する二カ月分経費として百億九千万円を計上したのであります。
 文教関係費においては、明年度の小学児童数七十万人増加に伴って、教職員数を最低一万七千人増員する必要に迫られておるので、これに必要なる義務教育費国庫負担金の増額三カ月分十一億円のみを計上したのであります。
 地方財政に対する交付税交付金関係では、これらの社会保障関係費や文教費関係における経費増額によって、地方財政の負担額も増額せざるを得ないので、この地方財政の負担増加分だけを地方財政困難の折から、これを国庫負担によらんとするものであります。
 われわれは以上にあげた項目以外に公務員給与の地域給等において、ぜひとも暫定予算において組みかえの必要を認めておるのでありますが、これらは年度予算においてこれを計上し、四月にさかのぼって支給するように措置したいのであります。
 ただこの印刷物の七項目に明記いたしましたように、地方財政は、年度初めに短期資金三百億円を必要とするのでありますから、政府はこれを資金運用部資金または預託金などによって融資することを、ここに強く政府に要求し、さらに公共事業費あるいは食糧増産、失業対策等の補助事業について、継続的な事業については、既定方針通りこれを支出することにいたしておるので、あります。
 次に、われわれの組みかえ動議において、組みかえ減額する項目は、第一に防衛支出金百四十七億三千六百万円の支出は、日米交渉において、わが国側の分担額が確定するまでは支出の繰り延べをはからんとするもので、これは日米安全保障条約並びに日米行政協定にも何ら矛盾するものではありません。組みかえ減額せんとする第二の項目は、防衛庁費でありまして、われわれの要求は前年度予算七百八十八億円のうち、事務的経常費五百四十五億円のうちで最低必要とする経費として給与、庁費等のみ約五十九億円を計上し、政府案より十億円だけ減額せんとするすこぶる常識的かつ穏当なる主張なのであります。
 以上の組みかえ増減によりまして、暫定予算全体の歳出歳入額は変動せしめぬようにわれわれは配慮し、一日も早く暫定予算案の審議を終了せしめんとするものであります。
 何とぞ本予算委員会においては、われわれの組みかえ動議を慎重検討され、これを採択されんことを強く切望いたしまして、私の趣旨弁明を終ります。(拍手)

発言情報

speech_id: 102205261X00419550328_557

発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1955-03-28

院: 衆議院

会議名: 予算委員会