田中織之進の発言 (予算委員会)

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○田中(織)委員 どうもその点は、今度の修正を契機として一萬田さんが従来の自説を変更されておるという疑いを多分に持つのであります。
 それでは続いて私は今度の修正案の政治的な意義について、私が心配するゆえんを財政上の問題から具体的に申し上げてみましょう。率直に書って、本年度もそうでありますけれども、特に明年度以降においては、日本経済というものは非常に苦しい段階に入ると思うのであります。本年度の予算編成に当りましても、すでに歳入、いわゆる租税収入というものは一応限界にきているという点から、あなたがやはり一兆円の線を堅持しなければならぬという予算編成の根本的方針をとった点は、私はやはりこうした国民経済、従ってそこからしぼりとるところの租税収入の限界というようなものについても、かなりの配慮をされておるというふうに見ておったのでありますが、特に今度の予算を通じて、われわれが今後、少くとも明年度において見通される事態、今年及び明年度へかけて見通される事態として重要な問題は、やはり軍事費に関する問題であります。特にこれは後ほどあらためて私は取り上げたいと考えておりますが、ことしの防衛分担金の削減交渉の妥結に伴って発表いたしました共同声明によりまして、防衛庁の関係において予算外契約百五十四億円はいやがおうでも来年度の予算に計上しなければならない。さらに防衛分担金については、少くともわれわれがこの共同声明を真正面に受け取る限りにおいては、明年度以降における防衛分担金の削減というものはアメリカ側は応じないということを、この共同声明がうたっておるようにわれわれは受け取るのであります。下手をすると、明年度においてアメリカ駐留軍の兵力は減っても、最近のような、特に鳩山内閣のような腰の弱い防衛分掛金の対米交渉では、明年度は防衛分担金をさらにアメリカの軍事的要求に従って増額せしめられるかもしれない。この面からくるところの防衛費の増大というものがまず第一に考えられます。
 その点に関連して第一には、従来まで多いときには千二百億からありましたところの繰越明許費が、すでに本年度は三百二十七億円に減っております。おそらくこれはことしじゅうに使い果してしまうと私は思うのであります。そういう関係からして、明年度におけるいわゆる防衛庁費というものは、勢い、さきに述べました予算外契約を予算に計上するだけの問題ではなくて、従来へ防衛予算の重大な特徴でありましたところの繰越明許費というものがなくなる関係から見て、新規増額というものが私は必至になると見るのであります。
 さらに第三には、一台一億円もかかるといわれるジェット機の国内生産の方針を、アメリカとの間で日本政府が承諾しそのためのいろいろな準備を着々進めておるようでありますが、一台一億円もかかるようなきわめて非生産的な設備を、国の責任において日本側が持つということによって、いわゆる非生産的経費の支出の増大ということを考えなければならない。
 こういうように大体三つの観点から見て、軍事費が増大する半面に、昨年の特徴でありました西欧諸国における景気の頭打ちの問題、特にポンド圏の輸入抑制が最近強化されてきております。そういうことに伴う貿易の国際競争の激化、さらにこれはあらためて通産大臣にも伺いたいと思っておりますが、中共貿易の問題についても、貿易協定の促進どころか、逆行するような政策をこの政府みずからがとりつつある。たびたびこの委員会で指摘されますように、特需の著しい減少というものが考えられる。こういう観点から見ますならば、昨年度は思う以上の外貨事情にございましたけれども、本年度から昨年度へかけての外貨事情というものは、いよいよ窮屈になって参りまして、現在手持ち九億ドルあるということでございますが、そのうち三億ドルは焦げつきでございます。そうなりますと、これを漸次食いつぶして明年度においては外貨事情というものがきわめて悪くなるということは、これはいなめない事実だと思うのであります。
 さらに輸入の抑制の強化、また輸出の下振が続いて参りますれば、デフレ下においてようやく底をついたかの感がありました鉱工業生産が、さらに私は打撃を受けてくると思うのであります。この点から考えますならば、先ほど大臣がきわめて楽観的に述べられました今後における国民所得の増加の問題、まして拡大均衡への発展というようなことは、全く悲観的な見通しに立たざるを得ないと私は思うのであります。そこで、こういう内外の両面から見たところの経済的な困難さに加えまして、現内閣が、やはり自由党の吉田内閣時代と同じような形で、アメリカに要請されるがままに、自衛力漸増と申しますか、防衛力をますます増大する傾向にあり、そうした傾向を受けて、財界や旧右翼勢力、あるいは保守党の中には、最近――総理もその中の一人に入るわけでありますが、昔のような軍備の復活というものに対する考え方が非常に強く出てきておる。これが将来の憲法改正というような問題を契機といたしまして、今後における重大な国民的課題になることは申すまでもないのであります。こういうように見通して参りますならば、結論的に申しますれば、明年度においては軍事費の増大関係から見て、勢い財政上の歳入の不足を補うためには、是が非でも公債というものをその意味で発行せざるを得ないような事態に立ち至ると私は考えるのであります。この点について大蔵大臣の一萬田さんのただいまの答弁では、少くとも今年は財政上のそういう関係から公債を発行しないということを言明されたのでありますが、私が以上申し述べたような本年の予算執行の過程、また明年度に展望される経済の動きという関係から見て、明年度の予算編成に当って公債を発行せざるを得ない立場に追い込まれることをあなたは予見しておらないかどうか。私は少くともそういう伏線が今度の修正案に含まれておると見ておるのでありますが、この点に対する大蔵大臣の見通しを伺いたいのであります。

発言情報

speech_id: 102205261X02519550607_017

発言者: 田中織之進

speaker_id: 14587

日付: 1955-06-07

院: 衆議院

会議名: 予算委員会