小峰保榮の発言 (決算委員会)
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○説明員(小峰保榮君) 建設省の二十八年度の検査の結果について御説明いたします。
先ほどお話が出ましたように建設省の工事の関係の経費は千三百二十一億円、決算額が非常に大きいのであります。直轄工事と補助工事についてお話を進めて参ります。先ず直轄工事でありますが、これは工事事務所等が百六十七カ所ございます、全国に。そのうち五十一カ所昨年検査したわけであります。先ほど大臣からもお話がございましたが、直轄工事につきましては数年間私ども相当深く検査しておりますが、非常にこれはよくなってきております。検査報告の掲載事項を、数の上から申しましても目に見えて減ってきているのであります。これはまあ、非常に喜ばしいことだと思っております。
先ず二千三十号以下六件、直轄事業についての批難がございます。二千三十号は利根川の改修と申しますか、千葉県の印旛郡になるのでございますが、木下というところがございます。そこでサンドポンプを使いまして浚渫をやっているのでありますが、最初取った泥を捨てる予定にしておりました川、これが農業水利に非常に大きな関係のある川であります。将監川というのでありますが、そこへ捨て始めましたところが、農業上の水利の上から困るというのでそこに捨てられなくなってしまったのであります。そのときにやめればよかったのでありますが、計画をそのまま実行して参りまして、川の泥を取って、川の中へ、利根川の中へ捨ててしまったのであります。結局一方では取りましたが、それだけ高い山ができてしまいまして、洪水のときには断面においては一向ふえていない、こういう結果になったのであります。そうしてせっかくまたその積み上げた泥を取りのけなければいかぬという事態になりまして、五百万円ばかり損してしまったというケースであります。
それから二千三十一号以下の案件は工事が粗漏のため手直しを要するとか、あるいは工事費の積算が過大だった、従来この種の批難が相当にたくさん出ていたのでありますが、本年度は合計で五件ということになっております。
次には、補助工事について御説明をいたします。建設省の補助工事、主として災害復旧でありますが、これはちょうど昨年が四年目、私どもが全国的に検査を始めるようになりましてから四年たったのであります。直轄工事が非常によくなっているのに比べまして、まことによくなり方が遅い、少しはましになっているのでありますが、全体としてみますと、どうも必ずしも非常によくなったということを申し上げられないのは、はなはだ遺憾であります。ことに二十八年度は災害が御承知のように非常に大きくございまして、後ほど申し上げますが、私どもの方で査定の調査、従来検査して参りますと、どうもあとから行ったんではだめだ、先に見て、たとえば便乗工事だとか、あるいは二重査定、架空工事とか、こういうようなものも大がい補助金はそのままいってしまいまして、われわれが発見したときには、もうほかの工事をやっているというような事態が多いのであります。それで早く調べてそういうものを振り落してしまうというのが必要だということを痛感いたしまして、実は査定調査をやったのでありますが、そのせいもありますか、事後検査では一件当りの大きな批難というのが前年に比べてうんと減っております。数では前年が三百件あまり、本年は四百六十件、十万円以上を見ますと件数は五割方ふえているのでありますが、批難金額ではむしろ減っている、こういう現象を来たしているのであります。これは経理が若干よくなったことと、今の調定調査で便乗工事のようなものを早くふるい落してしまった、その結果だと私どもは見ております。全国で工事現場が四万七千ほどあったのでありますが、そのうち私ども一一・八%、五千六百四十四カ所ほど工事現場を見たわけであります。これは査定ではもっと多いのであります。査定調査はもっとはるかに多い。あとで申し上げますが、これは事後検査が五千六百四十四カ所ほど見まして、一件当り十万円以上の不当工事というのが四百五十一工事あったわけであります。その織り込みの表にございます。これは非常に多い数ではありますが、農林省のときに申し上げましたように、農林省は千九百あったのであります。それに比べますと、数は非常に少いわけであります。何分たくさんございますので、おしまいの表につきまして別表第五というのでざっと書いてございますが、その中から代表的な事例と目されるものを幾つ——三百六ページ以下に掲げてございます。相当数がございますが、代表的なケースの中から特に代表的なと見られるものを幾つか御説明いたします。
まず(1)の、秋田県の山本郡響村の案件であります。これは工事費が百四十万円、国庫負担金が百万三千円でありますが、村道の災害復旧をする、こういう工事であります。道路百メートルに法長五メートルの石垣を作ったわけでありますが、行ってみますと上流部四十八メートル、半分ぐらいしか石垣が作っていない。しかも法長五メートルというのに実際は一メートル七十センチしかなかった、こういうケースであります。あとはくいをちょいちょい打ってあっただけで工事済みでいる。石垣も根入れが要るのですが、根入れは設計通りになっていない。根入れが浅いために下が洗われてしまって胴木もゆるんでいるし、全面的にはらんでいる、非常にあぶない、すぐこわれてしまう状態になっているわけであります。一方工事費の方を見ますと、今申し上げましたように、百四十万円使ったはずが実際は五十五万円しか使っていない。国庫負担金は百万三千円もらったのでありますが、その半分ぐらいしか使っていない。そして四十五万三千円という剰余金を出して村の一般経費に回してしまった、こういうケースであります。こんなふうに非常にこわれやすい弱いものですから、工事もぞんざいになる、そしてぞんざいなことをされても文句も言えない、こういう状態であります。粗漏工事としては代表的ケースでございます。
次が二番であります。愛知県の幡豆郡横須賀村が、これはやはり出来高不足のひどいやつでありまして、二千七百万円で道路の災害復旧をやる、ところが道路と護岸三千四十八メートルの石垣で八千九百平米、こういうことで補助金がいったわけでありますが、石垣も実際は五千二百平米しかやっていない、しかも裏込ぐり石があまり入っていないし、そのかわり工事費は非常に安くあがった。それも先ほどの二千七百万円かけたはずが千十万円余り余ったと、こういうわけであります。そして補助金の余ったうち四百八十二万円で別の査定外の工事を勝手にやった、こういうケースであります。
それから三番目ですが、これは事実はそうむずかしいケースではありませんが、ただこれは、会計検査院の検査で出来高不足を見つけまして、手直しをさせたわけであります。そして手直しの途中でまた災害を受けたのであります。そして手直しをしたところはこわされなかったのでありますが、手直しの済んでいないところは流されてしまった。こういうケースであります。ちょっと珍しいケースでありますが、設計通りにやっていれば、決してちょっとした災害ではこわれないはずだといういい実例だと思います。設計の手を抜いて安く工事をあげるので、また災害を受ける。こういうちょっと珍しい事例であります。
四番は、和歌山の水軒川災害復旧でありますが、これは県が直営工事をやったわけでありますが、その直営で県がやっていながら、工事費を国庫負担金の相当額だけ使わないで余してしまって、県の費用に回したというケースであります。これは運輸省に一つございましたが、それとよく似たケースでございます。それから、これは同じようなことが福岡県にもございまして、やはり県が国庫補助金、負担金を余らしてしまって、ほかの県単独工事に回していたといろ例であります。
それから一つ飛びまして(6)の山口市でありますが、これは戦前に渡し場に橋があったところと称して、コンクリートのりっぱな橋をかけた、百間橋というあれがございましたが、あれの続きであります。百間橋を作りましたが、これは道路がないのでありまして、せっかく作った橋が使われていないのであります。そして今度は、その接続道路——百間橋の西側から国道に続く道路を作ろうとしたわけであります。たまたまそこが小さい川になっておりまして、その川の堤防が災害で流された。こういうことで査定がついたわけであります。行ってみますと、堤防の方は一向にこわれていないのに、その堤防の上の道路を広げていた、こういうふうになっているのであります。これは写真もございますが、二メートル半の道路が堤防の上にあったわけであります。それを五メートル半に拡幅工事中に私ども検査で見つけたのでありまして、現在これは途中でストップになっております。橋も実に立派な橋なんでありますが、これは道がないために使えないというので、はなはだどうかと思うのですが、その道をたまたま災害を受けないのに災害復旧として作ってしまった。こういうケースであります。ほかにやり方は、災害復旧と言わんでも道をどんどん作る方法があるのですが、そして早く活用するのがほんとうだと思いますが、現在まだ橋が役に立たんままでおります。
それから次の七番、これは山口県ですが、これは日本海側に油谷湾という湾がございますが、あの湾の手前から半島の先へ連絡する航路があるわけであります。約五キロくらいでございますが、三十分ぐらいでいくそうでございます。この航路は、道路として扱われるわけであります。ちょうど橋の長いものと同じように、ある地点々々を連絡するための船、これが橋と同じような考え方で、船が流されますと、道路災害復旧と同じように船の復旧費を災害復旧の対象にとってもらえるわけであります。そのケースですが、これは町で持っているのが二本あるのでございますが、そのうちの一本の船が、十三トンほどの船でありますが、沈没した、こういうので補助がついたわけでありますが、実はその船は沈没していないのであります。沈没したと言って写真をつけてきたが、写真はずっと離れました仙崎湾で使っていた船で、沈んでいる船の写真を持ってきまして、そして油谷湾の船が沈んだ、こういうことで三百四十八万円、国庫負担三百十四万円持っていったわけであります。ところが行ってみますと、これはすぐボロが出まして、沈んだと称する船が翌日から就航していたのであります。そしてこの船は、ほかの航路へ回しましてほかの航路で使っていた、船は売ってしまったわけであります。現在は、こうやって作りましたりっぱな二十三トン、前よりはるかに大きい船でありますが、就航しております。これはいつか運輸省のときに、査定調査のときににせの写真で護岸を作ろうというのであります。あれは未遂で終ったわけですが、これは完全な既遂になってしまったわけであります。
それから次が(8)の松山、これは今、松山市になっておりますが、補助工事をやりましたときには興居島村、こういう小さい村だったわけでありますが、二百五十五万円の海岸の災害復旧でありまして、石垣を二千百六十五平米やったということで、国庫負担金を二百四十一万円出したわけでありますが、実際は千六百二十八平米しかやっていない、こういうわけであります。しかも非常に工事が粗雑で、もう検査に参りましたときには、一部は、石垣ができ上ったばかりなのに崩れておった。そうして金を余しておりまして、五十五万円余らしたのでありますが、これは別に小学校の分校の校庭の整地にまわしてしまった、こういうことになっております。
それから最後に高知県の宿毛でありますが、ここでは九十九万六千円で町道災害を復旧するというので、国家負担が六十九万七千円行ったのですが、実際は全然災害も受けてないし、工事も全然やっていないという架空工事のケースであります。
事後検査の分はそのくらいにいたしまして、次は事前の早期検査、これについて申し上げますが、農林省のときにもお話いたしましたが、どうもあとで行きましたものは、結局不当工事が査定の結果によるものと施工の結果によるものとあるわけであります。今申し上げましたいろいろな出来高不足だとか粗漏というのは、施工の監督が悪かったわけでありますが、こういうものはあとで行っても見つけることができるのでありますが、査定が悪いために出た不当というものは、なかなかあとではわからないのであります。たとえ便乗というようなことがわかりましても、百軒橋のようなひどいのになりますと、全額返すということになりますが、実際問題として補助金を返すといっても、なかなか行えないことなんであります。従って私どもとして、比較的事後検査では便乗の批難が少いのであります。ところが実際は非常に便乗が多いのでありますが、それをやってみますと、案の定、非常に便乗工事が出てきたのであります。それで、この表がございますが、全体で約一万ヵ所見たのですが、そのうち工事数にして二千百四十一カ所が査定から結局落ちたのであります。そうして工事費が二十億五千余万円減ったわけであります。農林省は八十七億減りましたが、建設省では二十億、こういうことになっております。そうして、このうち一番多いのが改良その他の十二億、それから二重査定が三億七千四百万円、それから設計過大が四億七千三百万円、こういうことになっております。便乗的なものがいかに多いかということがおわかりだろうと思います。具体的な例を一、二申し上げますと、まず重複査定の例でありますが、これは(2)が非常に大きいのであります。熊本県阿蘇郡白水村、それから長陽村、ここは二十八年災のときに非常に災害を受けまして、農林省でも大きな復旧費がついたのでありますが、建設省でも、白水村が一億二千万円、それから長陽村が五千百四十万円、こういう大きな査定がついておりますが、これは農林省とダブっている、そうして建設省の方が悪いということで落したのが、あれは農林省の方が悪くて、農林省として落したのが、こちらは建設省が悪くて農林省がいいということで建設省を落したのであります。白水村の分が一億三千五百万円全部であります。それから長陽村の分が四千三百万円、これと重複しておりまして、今申し上げました分が減ったわけであります。
それから便乗の例でありますが、福井県の遠敷郡奥名田村、これをちょっと御説明申し上げます。これは道路の災害復旧でありますが、国庫負担が千三百五十万円、千五百二十メートルばかりの道路を二・五メートルから三メートル半に復旧する、こういうことになっておったのでありますが、行ってみますと、二メートルもない小さい逆なのであります。二メートル未満の道は災害復旧として取り上げないと、こういうことになっておるのでありますが、それを実際は非常に小さいしかも千五百二十メートルだけ復旧しまして、その先は行き止りということになっておるのでありまして、これもちょっと災害復旧として取り上げるのに行き過ぎではないかということで落していただいたのであります。
(4)ですが、和歌山県の紀の川の災害復旧に伴う査定額千九百万円、国庫負担金手八百八十三万円でありますが、護岸延長三百七十メートルを復旧する。ところが実際は、行ってみますと、そのうち二百二十メートル工事費千百三十二万円、これは被害の事実がない、こういうものであります。
それから設計過大の例を一つ御説明申し上げます。設計過大として、三百十六ページの(2)奈良県の吉野郡野迫川村中原川のケースであります。査定額一億六千三百万円、国庫負担金一億五千八百万円、これがコンクリートの護岸延長五千七百二十二メートルを復旧する、こういうことになっておったのでありますが、コンクリート用の砂利、砂がそばにあるのであります。これを使えばいいのに、四キロも先から運搬する、こういう設計になっておったわけであります。これは、その場で使えるじゃないかというので直していただいたのでありますが、その現場の砂、砂利を使いますと、河床掘さくも減ってしまうわけであります。河床掘さくが六万六千百二十五立米積算してあったが、今のコンクリート工事に転用いたしますものが二万四千立米あるわけであります。結局二万四千立米だけはコンクリート工事のほうに使いますから、河床掘さくがそれだけ減るということで、だいぶん大きな差がついたわけであります。
以上大体御説明申し上げました。御質問がありましたらお答えいたします。