太宰博邦の発言 (社会労働委員会)

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○政府委員(太宰博邦君) この法律が国会で制定せられましてから、実施になりましてすでに二年を経過しております。端的に申し上げますと、この法律を制定していただいたために、全国の母子家庭が非常な明るさを覚えた。また勇気ずけられた。これはしばしば母子家庭の集まりなどにおきましても直接耳にしておりますし、また府県の当局からの報告によっても明らかになっておるところであります。またその効果につきまして、大体私どもとして一番懸念しておりました点は、こういう時勢のもとにこの資金を活用して、果して商売がうまく成り立っていっているだろうか。まあこれはなかなか測定も困難でございますが、ただこの金を借りた母子家庭のこの償還の成績というものからもある一端がうかがえるのじゃないか。その償還の成績はただいままでに入ったところでは、二十八年度に貸しました分については、その同年度末に八一%の償還になっております。それから二十九年度の分につきましては、三十三件分でございますので全部とは申せませんが、やはり七八%強というわけで、いずれにしましても、当該年度の末において八〇%近くの償還を見ている。これはこの法律が制定されます前に、一時的に国民金融公庫の方から貸付を実施して、五億ほど実施しておりまして、その成績などを聞きましても、非常に償還率がいい。おそらく一番今までの償還率のいいものの中の一つではないだろうか。それだけに母子家庭の人たちがこの法律を作っていただいたことに感謝しておると同時に、元気づけられておる、またそれが効果があがっておるということを示すものだと考えております。さような点からいたしまして、今後その貸付の際の事業をどういう事業を選ぶかというような面について、指導さえあやまちなくいたしますならば、この制度は伸びていくだろうということをばく然とながら考えております。
 それからこの法律の改正案のことでございますが、第一点の、大学に就学しております者に対する貸付を、二千円以内というのを三千円以内にする。大体この法律が例の日本育英会とほぼ内容において同じような内容でもって進んできておるのでありますが、育英会の方でそのうちの一部の者、特に必要のありまする者に限りまして、二千円以内を三千円以内にまで引き上げるということを今年度から実施しておるのであります。それで母子家庭の方からも、ぜひこちらの方も一部の者についてそれを三千円に引き上げてもらいたいという要望があったわけでございますが、さような点から検討してみますると、確かに母子家庭の子供たちで、この資金を借りて大学に進んでおります者の中には、やはり下宿住いをしておるとか、あるいは遠く家を離れて住んでいるとかいうようなことで、自宅から通学している生徒と比べてやはり経費のかかるという者もあることも事実でございますし、その場合にその子供たちを育英会の方の制度に切りかえるということもこれは実際問題としてできないことでございますので、やはり同様に、本法律の中においてさようなワクを広げていただくということは非常にけっこうなことであるというふうに考えております。
 それから第五条の第二点の方で、事業継続資金というものにつきまして、この法律制定の際には、据置期間というものは事業継続資金についてはなかったのでありますが、それをこのたび六カ月までのこれの据置期間を設ける、こういう御趣旨のように存じますが、これは一番最初の法制定のときに特にこの据置期間が事業継続資金についてなかったというのは、一私どもの承わっているところによりますれば、この事業継続資金というものはまあ運転資金みたいなもので、従って常に回転しているから、これはまあすぐ翌月からでもそれは回収しようと思えばできるのではないかというような気持であったかと、まあ私どもは推察しているわけであります。しかし最近の実際の実情を一、二聞いてみますると、やはり一時的に事業が思わしくなくなったというような場合に、この事業継続資金によって立ち直る、そういうような場合においては、やはり若干の据置期間を設けた方がいいという声が相当強いのであります。純理論的に申しますると多少疑問の点もありまするが、実際の実情は確かにそういう点もあろうかと存ずるわけであります。従いまして、もしこの法案が国会で御審議して通過いたしますならば、私どもとしては忠実にその線に沿ってできるだけ善処して参りたい、かように考えている次第でございます。

発言情報

speech_id: 102214410X03619550730_015

発言者: 太宰博邦

speaker_id: 23202

日付: 1955-07-30

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会