須賀賢二の発言 (商工委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○説明員(須賀賢二君) それでは私からお手元に差し上げております「月例経済報告」につきまして簡単に最近の経済の動きを御説明申し上げたいと思います。
 この資料は毎月私どもの方で閣議に最近の情勢を報告しておりまするものを便宜用いましたものでありまして、三月二十九日に二月を中心の状況を御報告いたしたのであります。初めにごくあらまし最近の動向をかいつまんで述べておるのでございまするが、この一、二ヵ月の動きといたしまして、特に注目されまするのは、最近物価がやや騰貴をいたしております点でございまして、この点を一番初めに取り上げておるわけでございます。かいつまんで申し上げますと、卸売物価は御承知のように昨年デフレの過程におきまして、大体八月ごろまでずっと下って参ったのでございまするが、九月ごろから大体落ちついて参りまして、大体九月から去年の年末ごろまでは朝鮮動乱前と比較いたしまして、大体五割高、動乱直前を一〇〇といたしまして大体一五〇ぐらいのところでずっと推移をいたしておったわけでございます。ところが去年の暮、特に今年の一月、二月とこの物価がやや上向いて参りまして、二月の終りには二五四という指数になったわけでございます。ただその中身をやや詳しく見てみますると、全体の物価が上向いておるというわけではないのでございまして、比較的物価の上りました品目は限定をされておりまして、特に金属関係、それも鉄鋼、銅、それから雑品の中でゴムというような、特に海外の市況と非常に密接に関連をいたしておりまするものがかなり大幅に上ったというようなことになっておるのでございます。今年の二月終りに一五四というような指数が出ました時期におきましては、かなり物価の先行きも心配をされましたのでございまするが、その後の状況を見ますると、二月の下旬あたりを境にいたしまして次第に落ちついて参りまして、特に鉄鋼金属関係、ゴム等の関係におきましても大体頭打ち、一時のようなあまり目立った騰貴の傾向は一応おさまったというような形になっております。従いまして最近の物価指数は大体一五二を前後いたしておるような状況でございまして、一応警戒をされました物価の先行きも現在の段階ではやや小康を得ている、一応落ちついておるというような形になっておるのでございます。こういう形になっておりまするのは、やはり何と申しましても、まあデフレ基調と申しまするか、いわゆる安定的な経済の基調はやはり続いておると、それから去年の十月ごろから物価が比較的堅調な態勢を続けて参りました背景には、やはり輸出が非常に順調に伸びたという面が多分にあるのでございまするが、その方もあとで申し上げまするように、一応輸出の実勢も一ころのような伸び一方というような形ではなくなりまして、まあ停滞気味と申しまするか、いわゆる輸出の増勢も一応まあ一服というような形にありまするので、それらの面からやはり物価も一応落ちついてきたというような形になっておるのではないかと思うのであります。
 それから物価に次ぎまして申し上げたいと思いまするのは、最近の国際収支の動向でございまして、御承知のように去年の下半期以来非常に輸出が順調に伸びた、それから輸入の方が比較的低い水準で、ぐっと推移をしておるというような関係から、去年の下期以来非常に国際収支の面は相当大幅な黒字で推移をいたしてきておるのでございます。ところがごく最近になりまして、やや国際収支の黒字の幅も縮小をしてくるような傾向が見えておるのでございまして、特に二月につきましては、ここにも書きましたように、一月より黒字の幅が三千二百万ドルばかり減少いたしまして、四百万ドルの黒字にとどまったのでございます。ただ国際収支の幅がこういうふうに縮まって参りましたのは、二月の四百万ドルという幅はやや低きに過ぎるのでございますが、ただ実勢といたしましては先ほど申し上げましたように、輸出の水準が以前のように伸びなくなったということと、一方輸入の方が二十九年度は比較的あとの方にずれておりまして、毎年一、二月ごろになりますと食糧でありまするとか、あるいは綿花でありまするとか、そういう比較的金額のかさみます輸入がふえて参るのでございますが、ことしは米の買付が遅れておるというような関係もありまして、例年の傾向に比較いたしまして輸入がまだそれほど水準が上ってきておらないのでございます。そういうような関係からまだ黒字がずっと続いておるわけでございまするが、特に二月につきましては特需が非常に減少いたしまして三千数百万ドルにしか二月は受け取りがなかったわけであります。毎月四千万ドルないし五千万ドルの受け取りがあったものが、二月に、これはある程度特需の要因があるようでございまするが、大幅に減少いたしましたような関係がありまして、非常に国際収支の黒字の幅が縮小し、特に二月につきまして特に目立ちますことは、この国際収支の中での貿易収支、いわゆる輸出と輸入だけの関係から見ました収支は赤字になっているのでございまして、例月貿易収支だけで黒字を続けておりましたのが、二月に貿易収支だけの範囲内では少し赤字が出たというような結果になっております。
 それから財政金融関係でございますが、これはちょうどこの一、二月が揚超期にありますので、これは例年の傾向でございますが、ことしの二月もかなりの幅の揚超になっております。これは二ページに書きましたように四百八億程度の揚超になっているわけでございます。一方銀行の預金、貸し出し等の関係を見てみまするというと、最近の傾向といたしましては一般の産業資金の方の需要はそれほどに活発ではないように見られるわけでございまして、二月について特に地方銀行を中心としてやや手元が前月等に比較いたしまして窮屈になりましたのは、去年もあった現象でありますが、ことしも地方公共団体に対する融資がかなりの額出ている模様でございまして、これが二月の銀行貸し出し増加の一つの要因をなしているようでございます。去年も特に一−五月の間におきまして地方公共団体が金繰りのために地方銀行から金を借り入れるというような傾向がありまして、これが一般の産業資金をやや圧迫したというようなあれが出たのでございますが、ことしもすでに二月において若干そういう傾向が見えるような格好になっております。
 それから日銀券の発行還収の状況でございますが、日銀券の還収状況は非常に順調でありまして、去年の年末最高発行額から二月末までの間に千六百十七億円、還収率九七形ということになっておりまして、大体去年の還収率九八%と同じ程度の還収を示している状況でございます。
 それから生産活動の方について申し上げて見まするというと、4のパラグラフに鉱工業生産の状況を書いてございますが、最近の生産の実勢は昨年七、八月ごろまで鉱工業生産がいわゆるデフレ環境の中でずっと下って参りましたのが、九月ごろから回復して参りまして、その回復の調子を去年の年末ぐらいまで続けておったわけでございます。ただ去年の年末、それからことしの一、二月の傾向といたしましてはかなり高い生産水準を続けておりますが、数字で申し上げますと、ことしの一月で一五四・二、これは昭和九−十一年を一〇〇といたしました総合生産指数でございますが、鉱工業生産で大体戦前の五割強高いというような数字になってきているわけでございまして、かなり高い水準にあるのでございますけれども、前年の同期、いわゆる二十八年の終りから二十九年の初めごろに比較して見まするというと、ごくわずかでありまするが、その当時の水準からはやや下回っておるというような生産水準になっております。なお、業種別の動きといたしまして、かなりはっきり出ております傾向といたしましては、やはり二十九年中のいわゆる投資需要の減退という面が生産の面にもかなり明瞭に反映をいたしておりまして、投資財の関係が比較的水準が低い。一面、消費財の方の生産はかなり活況を維持しておるというような形になっておるわけでございます。
 大体の全体の傾向はそういうことでございまするが、この四ページ以下の財政、金融、生産、貿易その他につきましてそれぞれ項目を分けて説明をいたしてございまするが、この中からおもなところだけ拾って申し上げて見ますると、初めの財政資金と金融資金の動きは先ほど申し上げました通りでございまして、この部分につきましては特につけ加えて御説明申し上げる必要もなかろうかと思うわけでございます。
 それで2の物価の動きが今月の動向の中で比較的注意をいたさなければなりませんので、これにつきましてさらに若干つけ加えて申し上げますと、物価の動きは、二月も先月の一・一%上昇に続きまして、これは次はちょっと消えておりまするが、〇・八%の騰貴をいたしたわけでございます。二月末の指数は一五四というような水準まできたわけでございまして、大体これは去年の四、五月ごろの水準にまで戻った。昨年の二月が一番物価が高かったわけでございまするが、それが九月の底値までに約九・二、三%下ったのでおります。鉄鋼の中でも特にくず鉄がございまするが、この下った分の約四割くらいをこの一、二カ月の間に戻したというような格好になっておるのでございます。それで上昇の原因でありますが、これは先ほども申し上げましたように、鉄鋼、銅、ゴムといったような海外相場の堅調に引きずられたものがおもでございまして、それ以外のものにつきましてはそれほど目立った大きな変化はないわけでございます。商品類別に見ますと、金属関係がこの下の方に書いてありますように昨年の九月から本年の三月までの間に鉄鋼が二三%、非鉄金属が六%と上って非常に値上りが激しかったわけでございまして、二・三倍といったような上り方をしておるわけでございます。ただ最近に至りましてこの騰勢もようやく鈍って参りまして、大体最近では頭打ちといったような格好になっていることは先ほど申し上げた通りでございます。
 それから卸売物価の動向はただいま申し上げた通りでありますが、消費者物価、いわゆる一般消費者の家計に結びついておりまする小売価格の方はこの十二ページの右側に消費者物価指数が出ておりまするが、これは御承知の通り非常に動きが緩慢でございまして、卸売物価に見られましたような大幅の変動はいたしておらぬわけでございます。去年の七月ごろが一四五・七、これは朝鮮動乱前が一〇〇でございますが、この辺が一番高かったわけでございしまて、その後若干、まあ十月等の特例はありますけれども、若干下って参りまして、去年の十一月、十二月ごろに大体一四二から一四一ぐらいのところまで下っておるわけでございまするが、今年の二月には食糧の反騰、特に生鮮食料品の反騰によりまして、ややこれがもとに戻りまして、大体一四三・二というような都度の価格になっておりますが、ただこれも去年の同期と比較してごらん願いますと、去年の同期は一四五くらいでありますので、やはり数パーセントは下っておることになるわけであります。
 それから次に十四ページ以降の、生産と在庫の動きでございますが、先ほど申し上げましたように、生産水準は一月一五四・二、それから二月が最近出ておりますが、二月が二五七・五というような数字になっております。これで見ますると、去年の同期よりやや下回った程度のところに現在ごくわずか下回ったところの生産水準にあるわけでございます。ただ商品類別で見ますると、十六ページにございまするように、去年の二十九年三月の鉱工業生産が一七二・四、これが戦後の最高でございますが、これに比較いたしまして三十年の一月は、一五四・三、これは三月、一月でございまするけれども、三月という月は毎月ちょうど電力事情がよくなったりいたしまして、生産が急にはね上る月でありまして、それに反しまして一月は、十二月分直後の月ということで、毎年生産がやや下回る。従いまして一月と三月と比較いたしますことは、比較の条件がよろしくないのでありますが、一応この資料では比較いたしております。それによりますと、大きな商品ブロックでは、非耐久財が二・六%下っておる。それから耐久財の方は二一%低い水準にあるという形になっておりまして、先ほど申し上げましたように、投資財関係の生産の下の方が非常に大きいというような形になっておるわけでございます。やはり昨年来の傾向といたしまして、一番下っておりまするのは、投資需要でございまするが、その方の影響を直接に受けておる、かような形になっておるわけでございます。
 それから通産省で差し上げておりますメーカー在庫、この指数が十七ページに出ておりまするが、これは、去年の上半期はずっと在庫がふえて参りまして、在庫の減少傾向に転じたわけでございますが、最近もその傾向が続いておりまして、三十年一月では、二十五年を一〇〇といたしまして、一五二・八というような水準にきておるわけでございます。ただその後商品ブロック別に、やや最近では傾向は変ってきておりまして、十八ページの表にありまするように、最近、在庫が増勢に転じたものが品目によっては出てきているわけでございます。これで見ますると、ゴム製品、皮製品、窯業−セメント関係、それから鉄鋼、非鉄金属等ごくわずかでありますが、やや在庫は増勢に転じております。
 それから企業整理、雇用関係、いわゆる労働関係の資料について御説明申し上げますると、雇用の関係は二十三ページに表がございまするが、見てみますると、常用雇用の推移といたしままして、昭和二十六年を一〇〇といたしました、これは労働省で調べておりまするが、「毎月勤労統計」から取りました指数でございますが、この表で非常ははっきりいたしておりますことは、去年の三月ごろから雇用水準が毎月ごくわずかずつではありますが、毎月きまって低下をして参ったことでございます。その低下の割合は比較的緩慢なんでございまするが、毎月一定のきまった下り方をしておるということがこの指数から読みとれるわけでございます。従いまして毎月の低下の傾向が累積をして参ります関係から、今年の一月と去年の一月を比較して見まするというと、雇用水準が全産業で約二%ぐらい下っておるというような形になっておるのでございます。これは十九ページの下のところに説明がつけられてございまするが、全産業で二%の減少になっております。
 それから失業関係も最近の一月左右の傾向としてはそれほど目立った変化はないのでございまするが、これもだんだん累積をして参りまして、失業保険の受給者数は三十年一月で五十六万三千人というようなふうにだんだん累積をしてきておるわけでございます。去年の一月が約四十二万であったのに比較いたしますと、十五、六万ふえておるというような格好になっておるわけでございます。
 それから完全失業者の数でありまするが、これも毎月労働省で調べておりまするものでありまするが、これは二十四ページに毎月の完全失業者の数が出ておりまするが、これは御承知のよりに去年の八月が七十一万が最高であったのでありまするが、その後大体六十万から七十万に達しない範囲の間で動いておりまして、三十年一月は六十三万、しかし去年の一月三十九万に比較いたしますとかなり大幅に上っているわけであります。
 それからいわゆる労働市場、まあ労働市場という言葉はどうかと思いますが、公共職業安定所の求人、求職状況、これは三十年一月に求職が百五十一万人、それに対して人を求める方が五十万人ということになっておりまして、その比率が三三・一、こういうような状況にあるわけであります。ただこれは一月新規卒業生等の関係もありまして、やや一月はこの数字が上っておるのでありますが、それ以前の状況は大体この求職、求人比率が二〇%前後になるわけであります。求職、求人関係の比率は去年全体のベースにしては非常に悪くなっておるわけでございます。
 それから賃金の動きを二十五ページの上の表に出しておりますが、二十九年は年間を通じまして賃金の上り方は非常に緩慢であったわけでございます。ここ数カ年の間でこんなに賃金が動かなかった年は去年が初めてでございます。大体一月の平均賃金は一万七千四十円、これは全産業労務者でございますが一万七千四十円。前年同期に比較いたしまして全産業で約四%、製造業だけは〇・八%というような程度の水準にあるわけでございます。なお実質賃金の方も最近、先ほど申し上げましたように消費者物価がやや下っておりまするので、前年の同期を約一%上回ったというようなところにいっておりますが、これはむしろ最近の消費者物価の低落傾向が影響しておると思うのであります。
 それから二十六ページ、消費の動向について簡単に出ておりますが、東京都勤労者の消費水準、これは現在の家計調査から出しました家計支出額と、昭和九−十一年の家計支出額とを比較いたしまして、その倍率を消費者物価指数の上り方によってデフレートしたものでございまするが、それによりますと、二十九年一月から十二月まで大体九−十一年を一〇〇といたしまして一〇〇にほぼ近いような数字でずっと動いておるわけでございます。これで一月から十二月まで平均いたしますと、ちょうどこれが、ぴったり一〇〇になるのでございまして、去年の消費水準は大体九−十一年の水準に勤労者の消費水準がいっておるというような形になっておる。ただ月々の動きを見ましても十二月などが非常に飛び上りますのは、これは年間の平均を一〇〇といたしております関係で、十二月のように非常に支出のふえます月が飛び上るわけでございますが、大体年間水準としては月々の傾向といたしましてもそれほど大きな変化をいたしておらんわけであります。大体消費水準は一応落ちついておるというような形になっておるわけでございます。特に今年の一月は去年の同期に比較いたしますと六・三%、やや目立った上り方をしておるのでありまするが、これは毎月のその一月だけの傾向を見ますると、たまにこういうことは出るのでございまして、数カ月をならして傾向を見て行くようにして判断をいたして見まするというと、それほどの上昇はいたしておらないというふうに見られるわけであります。
 それから最後に国際収支の関係でございますが、これは先ほど申し上げましたように、二月は輸出が、三十八ページの表にございますように、輸出が一億三千三百万ドル、輸入が一億四千八百万ドル、これに対しまして貿易外の受け取り及び支払いがこの表にありますようにあったわけであります。特需が三千二百万ドルというふうに非常に二月は大幅に減ったのでございまするが、これは三月にはある程度回復をするというような情報もありまするので、大体二、三ならして大体四千万ドルくらいのベースのところではなかろうかと見ております。それで最近の輸出の水準といたしましては、三十ページの表にありまするように、通関、認証、信用状接受高、いずれも大体一億四千万ドル台にあるわけでございまして、おおむね去年の七月ごろからの非常に輸出が好調になって参りました時期の水準にあるわけでございます。従いまして二月のこの指標から輸出がやや下向いてきたようなことは、この指標だけでは申し上げかねるのでありますが、ただ最近の輸出成約の状況等の資料によりますと、特に綿製品の関係でありますとか、あるいはカン詰類でありますとか、そういうようなものが一時上りやや下ってきたような傾向も見られますので、今までのような増勢傾向は一応とまって、ほぼ横ばいに転ずるのではないかというような見方をいたしておるわけでございます。
 それから輸入の方はここにもありまするように、二月が通関一億七千四百万ドル、為替で一億四千八百万ドル、信用状開設一億五千万ドル、こういうようなところにありまして、先ほど、今年は輸入の時期が多少ずれておるということを申し上げましたが、例年に比較いたしますと、それほど、なお例年の調子より多少遅れておるのでございまするが、これから米などが大量に入って参りますということになりますと、輸入の方は、これからはこの数字が若干上っていくというような傾向になるのではないかと思うわけでございます。従いまして国際収支の方も一時のような大きな黒字の幅は出て来ない、大体最近の経済の指標として私どもの方でとりまとめておりまするのは以上であります。

発言情報

speech_id: 102214461X00319550330_013

発言者: 須賀賢二

speaker_id: 21564

日付: 1955-03-30

院: 参議院

会議名: 商工委員会