石原武夫の発言 (商工委員会)
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○政府委員(石原武夫君) ただいま最近の経済指標について御説明を申し上げましたが、引き続きまして来年度の見通しをごく簡単に申し上げたいと思います。これは先ほど申しましたように、今経審内部でもいろいろ作業中でございますし、なお、予算の編成とも関連をいたしますので、まだ的確なところを申し上げかねますので、ごく概略の見通しだけを申し上げさせていただきたいと思います。
まず第一に、鉱工業生産の関係でございますが、これは先ほど御説明がございましたように、最近はほぼ前年と同じくらいの水準の横ばいになっているわけでございます。明年これがどうなるかということは主としてこれらの物の需要がどうなるかということであろうと思いますが、内需につきましては、御承知のように財政も一兆くらいということでございますし、金融面も引き続き引き締めと申しますか、現在の基調をくずさないという建前で考えておりますので、大きな増加はないと考えるわけであります。それから輸出面につきましては、これは後ほど御説明を申し上げまするが、本年度に対しましてそれほど多く伸びることが期待ができないのではないかと思いますので、鉱工業生産は今年に比較いたしまして大体一・五%くらいの上昇にとどまるのではないかという一応の見通しでございます。
それからその次に農林水産関係は、これはもう御承知のように天候に支配されますので予測することは困難でございます。一応もし平年作であるという前提で考えますれば、これは昨年は米が不作であったというような関係もございますし、その他の伸びを考えますと、これは約四%くらい本年よりは上回るのではないか、全体といたしましては、大体昭和三十七年度とほぼ同じくらいの生産になりはしないかという見込みでございます。
それから次に、国際収支の関係でございますが このうち一番問題になるのは輸出の見通しでございます。これは相手のあることでございますし、的確な判断はなかなか困難でございますが、今御説明を申しましたように、最近は輸出はもちろん好調ではございますが、従来の、昨年秋見ましたような上昇傾向は頭打ちの傾向にもございますし、昨年度におきまする輸出については上半期についてはいろいろ特殊の事情もございました。インドネシアとかそういうものが下期から輸入抑制をいたしておりますし、いろいろ各種の事情もございましたので、昨年のような伸びはとうてい期待できないのではないか。二十九年度といたしましては輸出は約十六億ドルになると思いまするが、これが明年度におきましては、これはいろいろ見方もございます。かたく見るのと、そうではないのがございますが、一応われわれの調べた結果では十六億二千万ドルから五千万ドルぐらいという見当を現在は持っているわけでございます。
それから特需につきましては、これは相当減少をする傾向にあると思いますので 昨年度は本年より約一億五千万ドル則後減少するのではないかというふうに一応考えております。従いまして四億二千万ドル前後くらいになるのではないかということを一応想定いたしました。なおこれらにつきましては、まだ的確な根拠がございませんので、多少変った数字のものになるかもしれませんが、今のところはそういうようなことを考えております。
次に輸入は、明年度といたしましては本年のやや一億ちょっと増加いたしました十九億ドルくらいという見込みを考えております。本年度はこの数字より一億ドルくらい少い数字でございますが、これは御承知のようにああいう金融引き締め等によって輸入が特別に押えられたという関係もございますので、明年度は本年より多少ちょっと上回った程度の生産を維持するためには大体十九億ドルくらいの輸入があればできるのではないかということを考えております。輸入は一応の見当といたしましては、本年度為替ベースで十九億ドルぐらいということを考えております。この程度で大体来年度の国際収支というものはほぼバランスをするということに相なろうかと思います。本年度は御承知のように為替収支面では三億ドル余黒字になっておりますが、来年度はさようなことではなく、ほぼ収支が均衡をする程度に落ちつくのじゃないかという現在見通しでございます。
それから次に物価につきましては、これもなかなか見通しが非常にむずかしいのでございますが、昨年の暮及び本年に入って参りました、先ほどいろいろ御説明いたしました卸売物価の上昇というようなものも、これは主として海外の市況の影響を受けておりますので、その他の物資については今いろいろ一般的に上ってくるという傾向も見受けられませんし、また明年度におきます需要の関係を考えましても、消費水準も先ほど申しましたように特段にふえるということも考えられないので、そう大差はないかと思いまするが、しかし需給の関係からやはり多少軟調ぎみに相なるのじゃないかというふうに考えております。
次に、以上総合いたしまして、国民所得でございまするが、国民所得は二十八年度は確定数字がすでに出ておりますが、これは御承知のように五兆九千六百四十九億という数字でございます。これが本年度−二十九年度につきましてはまだもとより確定数字ではございませんが、本年度は六兆一千九百億ぐらい、相当昨年に比較すると増加するのではないかという見通しでございます。これは後ほどいたしますと、確たる数字が出てきますが、六兆三千億ぐらいに……達しません、それに割合近いところにきているのじゃないかという予想をいたしております。来年度につきましては先ほど申しましたような指標から勘案をいたしまして、二十九年度の数字から約一千億、あるいは一千億ちょっとこしたくらいのところの国民所得になるのじゃないかという推定をいたしております。数字で申しますると六兆三千億前後くらいに相なりはしないかという見通しでございます。
それから次に雇用の問題につきましては、これは御承知のように労働力人口が多少ふえております。一応われわれの方としては三十九万人ぐらいの予想をいたしておりますが、これが新たに就職戦線に出てくるのであります。これらにつきましては明年度先ほど申しましたように、鉄工業生産が多少伸びて、また国民所街もある程度伸びるというような関係で、各部門にある程度の人口は吸収されていくと考えておりますが、それにいたしましてもなおこれらの第一次、第二次、第三次部門に吸収でき得ない労働人口というものが出て参ると思います。これらについては今いろいろ精密に計算いたしておりますが、それらの吸収の困難と思われます数字につきましては、来年度予算におきまして公共事業費、失業対策費、緊急就労対策費等そういう面で予算的な措置を講ずるように大蔵省といろいろ相談中でございます。かようなことで計算上出て参ります数字につきましては、予算上の措置を講じて参りたいと、かように考えております。ただいま申しました数字は先ほどお伝えいたしましたように今検討中でございますので、あるいは予算編成がとられます際までにはもう少し確定的な見通しが出てくると思いますが、その際には多少数字が変るかもしれませんが、その際には御了承を願いまして、その際にまた御説明をさせていただきたいと思います。